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2006.04.05

『アルテミス・スコードロン 春は出会いの季節です』読了

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アルテミス・スコードロン 春は出会いの季節です』(扇智史/ファミ通文庫)読了。

『永遠のフローズン・チョコレート』が大変に素晴らしかったので、同作者の本をもっと読んでみようと思い、購入+読了。なかなか面白かった。

内容を一言で説明すると(それが許されるのであれば)、『ガンパレード・マーチ』+『マリア様がみてる』と言う形容しか思い浮かばない。絶望的な未来が確定された世界で、戦う事を義務付けられた少女たちの一瞬の青春、という物語である。物語冒頭で、既に絶望的な状況が提示され、おそらくは回想と言う形で、女性だけの士官学校へ舞台は移る。主人公はそこで憧れの先輩と出会い、言葉を交わし、惹かれあい、そして戦うための訓練を行い、そして実際に命を賭ける。そこには、近い将来に待ち受ける絶望を、感じ取りつつも実感の無いただの少女たちが、壁に当たって悩んだり、苦しんだりしていると言う当たり前の風景が、非現実なまでに残酷な世界で描かれている。

僕がつくづく感じたのは、この作家は”日常”というものに対する拘りである。戯画的に誇張された世界の中で、繰り広げられる日常的な風景は、決して面白い物ではなく、むしろ退屈でさえある。物語には大きな起伏も無ければ、劇的過ぎる運命も無く、そこに在るのはただただ、誰かを好きになったり、嫌われたと思って落ち込んだり、自分の不甲斐なさに涙する毎日がある。

そう言う平凡さを丹念に救い上げる作者の姿勢と、いかにもゲーム的、アニメ的な設定が組み合わさって、なんとも奇妙な作品になっていると思う。思うに、『永遠の~』は、ゲーム的な部分を極力殺ぎ落として、”平凡さ”のみを際立たせた作品なのだろう。この作者は、平凡さを描いてくれた方が面白いように感じた。なぜかと言えば、エンターテインメントと言うには、あまりに物語に娯楽性が少なく、劇的ではないからだ。それは、エンターテインメントとしては弱点であるのだが、そこがこの作者の魅力であると思うので難しいところではあるな。

とりあえず続きが非常に気になる。

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