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2006.04.07

『墓標の森と魔女の本 閉鎖師秘戦録』読了

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墓標の森と魔女の本 閉鎖師秘戦録』(扇智史/ファミ通文庫)読了。

扇智史作品の3冊目…なんだけど、ふむ、これは打ち切られてもしょうがないかな(酷い)。上手い下手を云々する以前に、明らかにエンターテインメントとして失敗している。他2作を読んだ印象として、この作者は極めて淡々と”当たり前”を描くことに優れているタイプだと感じたのだが、それは逆に”熱血”と言う名の快楽、あるいはカタルシスに乏しいとも感じられるのだ(別にカタルシスが無いわけではない。あくまでも少年マンガ的な快楽が少ないと言うだけに過ぎない)。翻ってこの『墓標の森と魔女の本 閉鎖師秘戦録』をみて見ると、設定的には明らかに少年マンガ的な娯楽作品として構築しておきながら、そこで語られるのは何一つ事件が起こらず、起伏も無く、刺激も無い平板な物語があるだけなのだ。確かにそこには導入があり、葛藤があり、事件があり、克己があり、つまりハリウッド的な物語の要素はきちんと詰まっているのだが、作者の視点はそんなところに向いていないのは明らかで、淡々と導入し、淡々と葛藤し、淡々と事件が起こり、淡々と克己するので、読者としてはこんな投げやりな作品を読ませられてもなあ、と言う感想しか抱けないのだ。多分作者は、主人公二人が穏やかに、ほど良い距離を保ったまま日常を過ごす話が書きたかったんだろうなあ、と思うのだけど、少年マンガ的な設定がその日常を阻み、実に淡々とバトルが始まって、さっぱり良く分からない葛藤の末、決着がついてしまうのであった。読者に読ませる事を考えておらんな、これは…。

作者の興味と、作品の持っている志向が乖離してしまっているのが最大の問題なのかな、と思った。きちんとここから軌道修正をして、『アルテミス・スコードロン』や『永遠のフローズンチョコレート』を書かせたファミ通文庫は作家を大事にしているなあ、と言うことも感じた。

あとはデビュー作を読んでみたいところなのだがなあ。

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