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2006.03.20

『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・つー』読了

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ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・つー』(新井輝/富士見ミステリー文庫)読了。

このシリーズは僕は大変こよなく愛しているんですが、それはなぜかといえば、あまりにも生きることに不器用すぎる人々がその不器用な生き方を少しづつ他者と交わらせて行くことで、変わっていくあらゆる物事を描き続けているという事なんだと思いました。そして今回の短編集もまさにそれらを描いている作品集になっている…筈なんですが…なんでこんな話になっているんだ!!わけわかんねえ!!

「そのいち 僕と綾さんと雪辱の痴漢プレイ」
せ、雪辱ですか…痴漢プレイですか…。しかも、本当にタイトルそのままの話であるということがまさに驚愕。驚愕しながらも、やはりこれはどうしようなく”綾さん”でしかない彼女のあり方には非常な痛ましさを感じてしまう。このようにしか生きられない人たちが、なんとか現実(社会?)と擦り合わせて生きていこうというともがいている話と言う事なんだろうね。まあその手段が痴漢プレイなわけで…。

「そのに 僕と綾さんと身代わりの暗闇プレイ」
み、身代わり…暗闇プレイ…。しかも、本当にタイトルその(以下略)。3ヶ月で三百回(何がとか聞くな)とか、まあ相変わらずの感じなんだけど、これは健一が冴子と綾さんとの関係について(どちらかと言えば冴子かな)振り返る話になっている。自分にとって彼女は、彼女にとって自分はなんなのか?それが単純に恋人であったり、あるいあは体だけの付き合いであったりしても、はっきりしていれば良いのだけど、曖昧なままになっているところが悲劇としか言えないよな。それに気が付いている感じの綾さんは、やっぱり健一の女神だと思ったよ。

「そのさん 私と佳奈ちゃんと豪華なお風呂」
日奈が双子の姉であり思い人である加奈と一緒にお風呂屋さんに行って、蛍子たちと会って、一緒にお風呂に入って、ひたすら煩悩に支配されたエロ妄想にふけるというシュールすぎてもはや文学の領域にまで達してる作品です。いや、本当だって!

「そのよん 私と冴子ちゃんと趣味のお仕事」
これは…シンプルだね。健一達を介在してない有馬冴子の日常と、第三者の目から見た彼女の姿。喫茶店の女主人の目から見たアルバイトの彼女は、とても細やかで、とても不思議な少女であった。そんな彼女と、お客のこないゆったりとした時間を過ごす。もう一人の女性がその空間にやってきて、女性三人の不思議な貴重な世界が築かれる。少女と女性達の、あるいは女たちの邂逅?みんなが傷ついて生きているけれど、誰よりも傷ついているように見える彼女が、不思議な癒しを周囲に与えている。それは穏やかさと少しの危うさにも似て、どこか不安定な印象があるのだね。どこか有馬冴子という少女の行く末を暗示しているような気がした。うん、この短編はとても良いと思うよ。

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コメント

世の中には数々の疑問がある。
答えて吉兆せんせっ!

【疑問】
「富士見※ミステリー※文庫」っていうからには、ミステリーなんですよね?ね?!

投稿: みしまっち@酔っ払い | 2006.03.21 02:02

そのように聞かれてしまっては、お答えせぬわけにも参りますまい。いいですか?よく聞いてくださいね?


【答え】
富士ミスはその存在自体がミステリー。


まあ普遍的真理?

投稿: 吉兆 | 2006.03.21 07:00

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