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2006.03.04

むしろ龍華仙人が主人公

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最後の宝貝 宝仙娘娘追宝録・奮闘編(5)』(ろくごまるに/富士見ファンタジア文庫)読了。

雑誌掲載されたものがほとんどであるので作者が完全に執筆に復帰したのかと言う点には疑問は残るものの、何はともあれ短編集が発売された事はまことに重畳である。そのうち奮闘編にまとまると思って雑誌をチェックしていなかったために数年来読むことが出来なかった作品が今ここに…と言うほど劇的ではないくらいにいつも通りの宝仙娘娘追宝録っすね。やっている事が本当に本編と変わらない…。

以下各話感想

「龍華陶芸に凝り、またしても護玄心労す」
仙界の話と言うのは結構珍しい気がするのだが、龍華仙人の活躍が見られるというのは嬉しい限りだ。しかし、タイトルにもあるとおり、龍華がなんか新しい事をやって護玄が胃を痛める(比喩的表現)と言うのはあまりにも完璧な展開であり、なんだか楽しいなあ。名前だけは出ていた湯飲みの宝具の誕生秘話(誇大表現)と言ったところで、さらに理渦や流麗まで登場させつつキャラも立ちまくっていて贅沢な短編だなあと思った(オチは無い)。

「秋雷鬼憚」
殷雷を失い心を凍てつかせた「氷の和穂」のお話。つーか、この作者は本当に平行世界とか時間跳躍とか好きだね…。これでメタまで使いこなしたら(いつかやりそうな気もする…)立派なSF作家ですね。冷酷無比でありながら心の奥底には本来の優しさを秘めた和穂が格好ええのう。しかし宝具が思い出せん…(多分、剣は愚断剣。指輪は名前は忘れたけどあれだし、時間を跳躍の宝具もあった。でも手袋ってなんだっけ?)。

「仙客万来」
面白いなあ…。宝具制作を工房に篭って一人いそしむ龍華仙人の下に、罪を犯したとされる護玄を探して色々な立場の人間が訪れてくる。本当にただそれだけの話なんだもんなあ…。龍華は一歩も動かないし、ひたすらべらべら喋っているだけ。最後にひっくり返す当たりもいかにも作者らしい。

「雷たちの大饗宴」
あれ?どっかで見たことのある始まりだぞ?と思ったら「雷たちの饗宴」の続きですか。いやもうこれがまた平行世界と閉鎖空間を利用したミステリになっているのだから恐ろしい。少しずつキャラクターの異なる平行世界の殷雷と和穂たちを見るのも面白いが、あっと驚く(無理矢理な)解決方法には脱力感が満載でよかった(実は解決方法を理解するまで3回ぐらい読み返したのは内緒だ)(書いておいて何を言ってやがる)。

「最後の宝貝」
衝撃的な始まりからして驚愕ですが、途中の展開からして現実と幻覚の境界線が曖昧になる崩壊感が大変に素晴らしかった。なんか支離滅裂というか無茶苦茶というかそれまでの伏線すらすべて意味が無くなるという限りなく禁じ手に近いような気もするが面白いから許します(偉そう)。全然違うけど、なんかディックを連想してしまったよ。

「きつね狩り」
なんか龍華仙人、性格変わりました?なんか女らしくなっているような(キャラ云々言う事にどれほど意味があるのかは分からんが)。しかし、まるでジョジョの奇妙な冒険を思わせる心理戦と駆け引きに満ち満ちた娯楽作品だなあ。十重二十重に罠を張り巡らしながらかなめの部分は臨機応変と言う龍華の繊細かつ大胆不敵な性格が表れている。格好ええ~。この作者が、こんなにまともに面白いエンターテインメントも書けたんですね…(失礼だな、君ぃ!)

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