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2006.03.19

『リリアとトレイズⅢ イクストーヴァの一番長い日(上)』読了

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『リリアとトレイズⅢ イクストーヴァの一番長い日(上)』(時雨沢恵一/電撃文庫)読了。

またしても上下巻と言う事で、まったく電撃文庫は商売が上手いことよ、と、ちょっと呆れる。ベストセラーをさらに売ろうという魂胆が見え見えで、ちょっといい気分はしないがまあ良い。作品に罪は無い。

しかし、時雨沢恵一はつくづく短編が好きな作家だということを強く認識した。もっと言えば、アイディアやひらめきを重視しているとでも言うのか、ちょっと斜め上の視点から物事を見ているような不思議な味わいが作品にはあるように、僕には感じられるのである。まず最初の手紙のやり取りからしても不思議な導入で、手紙の間にアリソンとリリアのやり取りが挟まれるのだけど、ここら辺に本編とは異なる彼女らの”日常”(穿った見方をすれば、読者を意識していない、ということか?)が垣間見えて面白かったのだけど、今回の作品全体でこのような小さなエピソードが挿入されており、いわば短編エピソードの外側に”長編”としての物語があるように感じられた。短編を積み重ねて、結果的に長編になっているとでも言うのか。無論、”事件”が起こってからはそう言う雰囲気は後退していくのだけど。ただ、これは今に始まった話じゃなくて、時雨沢作品にはいつもそのような印象がある。しかし、それがまとまりの無い印象を与えないのは、それぞれのエピソードが非常に魅力的なためだろうか。細かいエピソードにもきちんと”オチ”を用意する作者の生真面目さ(あるいは凝り性)は、僕が気に入っているところでもある。やはりそれも短編作家であるがゆえなのかもしれない、と思った。

それはそれとして、やはり時雨沢恵一の作品は、愛情も友情も喜びも憎しみすら描きながら、それらすべてを突き放しているところが最大の魅力であると感じた。誰かが愛し合うこと、誰かが殺しあうこと、作者はそのどちらも否定もしなければ肯定をすること無く描いている。どちらも等量に価値が無く、同時に大切なものであるのだ、とでも言うのか。

そんな事を考えました。

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