« 内容をまったく反映してない表紙だなあ | トップページ | 花粉症のおかげで目も鼻も喉も頭も酷い »

2006.03.02

置いて行かれるのは本当に堪えるよな…

026287070000
二〇〇二年のスロウ・ボート』(古川日出男/文芸春秋)読了。

村上春樹の原作を読んでいないので(先に読もうと思っていたんだけどなあ)トリビュートしての評価は出来ないのだけど、この作品は明らかに古川日出男作品以外の何者でもないと思う。東京を脱出することを目的とする主人公が、幾度にも試みを繰り返すもののそのすべてに失敗していく(そしてともに歩むはずの女性達においていかれる)様を繰り返し描いているのだけど、そこには”越境の欲求”と言うよりもどこまでも深い深い”挫折”と”孤独”を感じないではいられない。それでもなお東京からの脱出を求めると言うのはどういう事なのか、と考えてみると、それはここではないどこかへの憧れであり、あるいは自分と世界との和解するための方策の一つなのかなあ、と思わないでもない。要するに、人はそれぞれの手段で現実との折り合いをつけていかなければならないわけだが、この主人公は妥協するのではなく、徹底的に現実と戦おうとする姿勢がある。おそらくは、これからも何度となく挫折して孤独を味わい続けていくのだろうが、(例えそれが現実から目をそむけようとする行為だったとしても)挑戦を続けようという雄々しさの闘争的な部分が極めて古川日出男っぽいなあ、と思った。このあたりがけっこう面白かったのだけど、村上春樹との考え方がどのように異なるのかが気になって、原作がすごく読みたくなったと言う意味ではトリビュート作品ととしても素晴らしいと言えるのかもしれないなあ。あとキャラ萌え的な視点から言わせてもらうと包丁ガールが大変に素晴らしかった。闘争的でしかもガール。最高っす。

|

« 内容をまったく反映してない表紙だなあ | トップページ | 花粉症のおかげで目も鼻も喉も頭も酷い »

コメント

村上春樹のって『中国行きのスロー・ボート』ですよね。
読んだけど…もう、すっかり内容を忘れてしまってるッす。

そういや、『ROD』最新刊でも『風の歌を聴け』なんて章があったりして、流行なのかな?

投稿: きつねのるーと | 2006.03.05 22:04

僕は読もう読もうと思ってて忘れていましたよ。

あと、村上春樹は流行はあんまり関係ないんじゃないかと思います。若い頃に村上春樹を読んでいた世代が現在小説家になっていると言う事なのでは。

投稿: 吉兆 | 2006.03.06 00:25

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/8759867

この記事へのトラックバック一覧です: 置いて行かれるのは本当に堪えるよな…:

« 内容をまったく反映してない表紙だなあ | トップページ | 花粉症のおかげで目も鼻も喉も頭も酷い »