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2006.02.18

技術とはまた別のもの

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pulp I 』(森橋ビンゴ/ファミ通文庫)を読了。

ふーむなるほど。僕は森橋ビンゴのあまり良い読者とは言えず、この人の作品をまともに読むのは『三月、七日。』シリーズから3作目になるので、あまりこの作者についてきちんと理解出来ている自信は無いのだけど、しかし、この作者には、言葉に出来ない”何か”を切り取ることが出来る人であると思った。”何か”と言うのは説明すると陳腐になってしまうのだけど、要するに作者自身の体験や感情、つまり人生そのものであり、そこから生み出された”何か”の存在力は、生半可な技術など問題にならない力を持っているのだ。

正直なところ、僕個人的な意見を言わせてもらうならば、この人は小説はあまり上手くないと思う。荒削りであるし、読者に対する愛想もないし、何よりエンターテインメントにあまり興味が無さそうだ。だが、作者には、その荒削りなまでの”何か”を作者の内面から無造作に切り出し、読者に提示する。あまりにも生々しいそれは、一種の異様な迫力を持っている。読者である僕は、そのあまりにも荒削りな原石を前に途方に暮ながらもどこか魅せられている。

現実感の乖離と異常への憧れ。非日常への誘いという要素はまさしくライトノベル的なフォーマットであるのだが、そこには明らかに生きた感情と体験が息づいている。登場人物たちにたくされた”何か”は、単なるフォーマットを超えた説得力を備えており、その説得力こそがこの作品を支えているものなのだろうな。

それをきちんと作品に込められる作家は、とりわけライトノベル作家の中では希少なのだが、森橋ビンゴはその数少ない例外といえる作家であると思った。

あ、あとイラストが大変素晴らしいですね。見事な仕事だと思いました。以上。

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