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2006.02.21

中二的妄想を格調高く謳い上げたファンタジー

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ヨッパ谷への降下』(筒井康隆/新潮文庫)読了。

面白い。
まずも感じるのは、いかにも不条理とでも言うようなストーリーが、実際には驚くべきほどに”現実感”を感じさせると言う所だ。

”不条理”が何故”現実感”があるのか。それは一見不条理に見える物語は、実は”理”が通っていると言う事だと思う。ここで言う理とは、あくまでも異質な理ではある。一般的な常識からはかけ離れているものの、しかし、その世界の中では極めて論理的であり、我々からすれば異質ではあるものの極めて合理的なものなのである。そこがこの作品集の極めて特異な点であるという事が出来る。

そのためだろうか、収録されているどの短編も、極めて明晰かつ詩情にすら満ち溢れていながらもバカバカしいと言う素晴らしい作品ばかりだ。読んでいて明らかにギャグだろうと言わんばかりの展開なのに、何故か感動させられてしまったり、あるいは下ネタだらけのストーリーに感銘を受けてしまったりするのが不思議極まりない。

中学生が考えるようなエロ妄想が、筒井康隆の手にかかってしまうと崇高さすら漂わせている作品になってしまうのは不思議を通り越して筒井康隆は良い意味で頭のネジが外れている人だと思った。

一体どう言う思考回路をしているんだ?

補足
収録されている作品の中では『法子と雲界』、『あのふたり様子が変』、『家』、『ヨッパ谷への降下』が好き。『法子と雲界』は夢を哲学する法子(ほうし)の哲学ぶりが面白い。なんかいいことを言っているような錯覚さえしてくる。『あのふたり~』は実にくだらない状況のわりに作品に漂う切実感と焦燥感がすごくて読み入ってしまった。『家』は問答無用で僕の好きな不条理な環境下における普遍的なタイプのお話。『ヨッパ谷~』は奥さんが普通に萌えるかと。

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