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2006.02.10

納得しがたい明朗快活さ

4840114838
バレンタイン上等。』(三浦勇雄/MF文庫J)読了。

つまらなくは無い、と思う。むしろ面白い方の部類に入る作品であるとは思う。

だが、作品を流れる熱血で前向きな基調を支えるものが、単に「根性を見せろ」とか「がんばれ」とかで済ませられる程度の強度しかないのには、正直なところがっかりだ。

頑張れを言われて頑張った。根性を見せろと言われて根性を出した。それだけで一体何が解決すると言うのだ?そんな言葉だけで、人は簡単に救われるのか?

これは個人的な意見になってしまうのだが、僕は頑張れと言われて頑張る話にはどうにも不信感を覚えてしまう。

なぜなら、頑張れ、根性を見せろと言う言葉は、非常に口当たりが良い反面、相手がどのような問題を抱えているのかをまったく無視している傲慢さがあると思うからだ。例えば、頑張っても上手くいかない、あるいはそもそも頑張ることすら出来ない(剥奪された)人間は全然救われないと言うことにはならないのか。

そもそも頑張れと言われて頑張れるのならば、そこには何一つ問題は無いではないか。真の問題とは、頑張ってもどうにもならない問題を前にした時、人はいかなる態度で望むべきかと言う事であり、どうにもならない問題と人は格闘していかなければならないのだと思う。

その意味では、この作品はあまりに能天気にすぎ、僕の現実感とそぐわなすぎる。作品自体には罪はないが、それにしても単純明快すぎる前向きさは、僕には受け入れがたいものであった。前作にも同じようなところはあったのだが、いささか今回は鼻につきすぎたかな。読むタイミングが悪かったのかもしれない。

作品自体は面白いだけに、残念な読書になってしまった。あーあ。

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受信: 2006.02.13 01:28

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