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2006.02.28

くそったれな現実から逃げたところでくそったれな楽園があるだけ

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ぼくと魔女式アポカリプス』(水瀬葉月/電撃文庫)読了。

何の気なしに読んでみた今作だが、予想外に面白くてビックリした。なぜ僕が面白いと思えたのかについては実は明確に理由がある。それは普通であることへの嫌悪感とそこから逃れようという足掻き、非日常への憧れと言う主人公の動機が僕にとっては非常に近しいものであると言うことだ。何より非日常への憧れをもった主人公が、非日常に遭遇した瞬間にそれまでの日常が崩壊し、失った日常の尊さに気付くもすべては失われてしまうと言う意地悪な展開もまた僕の趣味にぴったりだった。結局、非日常への憧れと言うのは現状に対する不満の表れでしかなくて、日常から非日常に移行したとしても、そこではかつて非日常と呼ばれた新たな日常があるだけに過ぎない。結局、現状への不満は常に付きまとい、主人公の地獄はどこにも行ってもついて回る。否、一度逃げ出した場所は、より更なる地獄が生まれていくのである。

どこにも行けないという閉塞感と読者が望む方向を常に裏切る負のカタルシスもなんだか病みつきになる面白さがある。完全に個人的趣味の世界なのであんまりオススメはしないけど、現実からの逃避とその失墜と言うテーマに興味のある人なら読んでも損は無いのではないかと思った。

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最優先事項

何かをするときには優先事項を決めて行動するのは基本だが、時に優先云々以前にそれをやらなくては前に進めないと言う事項がある。

…部屋の片付け、早くやろう…。

1.『最強伝説黒沢(8)』 福本伸行 講談社
2.『エアマスター(27)』 柴田ヨクサル 白泉社
3.『20世紀少年(21)』 浦沢直樹 小学館
4.『多重人格探偵サイコ(11)』 大塚英志×田島昭宇 角川書店
5.『怪・力・乱・神クワン(4)』 志水アキ メディアファクトリー
6.『二十面相の娘(6)』 小原慎司 メディアファクトリー
7.『ランブリング・カレイド <星穹の女帝>戦』 高瀬彼方+黒鉄アクセル ファミ通文庫
8.『スイートホームスイート(1) 世界で一番要らない遺産』 佐々木史緒 ファミ通文庫

新刊と買い洩らしが中心。良く買うなあ…と、我ながら感心してしまう。エアマスターがあと一冊で終了かと思うと感無量。何一つ書き漏らし無いぐらいに全部を描ききっている感じですげーと思う。しかし、高瀬彼方のあまりの”乙女”な設定には正直ビックリした。まあ一筋縄じゃいかねーんだろーけど。

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2006.02.27

熱血恋愛スポ根図書館小説

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図書館戦争』(有川浩/メディアワークス)読了。

前二作にも共通する児童文学的、あるいは童話的な部分が強く出ている印象があるなあ。もともとこの人の作品は風刺的であったり戯画的であったりするところが多いのだが、今回はその傾向がより強く出ていたように思う。いわゆる一般的な意味でのリアルさと言うのは実はほとんど無く、どちらかと言えば現代のおとぎ話というべき作品であるのだけど、ディティール(軍事関係とか)の詳細さがおとぎ話としての寓話性を損なっているようにも感じられた。しかし、「こんなに都合良く行くはずが無い」とかそう言う指摘はあんまり意味が無く、どちらかと言えば作者が作品を通じて書いている単純明快な主張を受け入れられるかどうか、と言うのがこの作品を楽しむ上で重要なんじゃないないかと思った。内容そのものはいつもと同様、どう考えても大人になりきれないコドモオトナたちが繰り広げる熱血アクションで恋愛ものな感じで面白かったですよ。しかし、毎度のことだが有川浩の登場人物たちには年齢に相応しい落ち着きとかそう言うのとは無縁だよなあ…(いつまでたっても少年少女。良い意味でも悪い意味でもね)。

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もうこのシリーズはケチをつけるような感想が出来ねえよ。

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流血女神伝 喪の女王(3)』(須賀しのぶ/コバルト文庫)読了。

今回はバンディーカ女王編と言う事らしく、実は主人公カリエに劣らぬ波乱万丈な人生を送ってきていた彼女の生涯が、僅かにだが語られている。実はめちゃくちゃ重要人物であるということが判明したりするわけですが(まあタイトルの”喪の女王”と言うのは彼女の事を指しているわけで、重要ではないわけが無いか)、ある意味においてカリエの先輩とでもいえる存在として、カリエに影響を与えていくのかなあと思わないでもない。

それはそれとして、久しぶりにカリエのカリエらしい部分が表に出ている感じがしてすごく懐かしい気持ちになった。そーだよなー、逆境に次ぐ逆境に対して「負けるもんかあ!」と意地を張るのがカリエという主人公の本領だよなー。そこに恋人とも主従とも言えない微妙な関係であるエドとのなんか良く分からないが絶妙な相方ぶりで、久しぶりに気持ちの良い話になっていたと思う。ま、僕はもはやカリエたちが出てくるだけで喜んでしまう読者でなので、どんな話であっても楽しめないわけが無いんですけどね(もう批判的な読み方が出来ません)。ただただ運命に翻弄されるカリエの人生を見つめることしか出来ない読者として、最終巻まで付き合って行くのだろうなあ。

今後の展開としては、バンディーカ女王が一体どのような役回りを果たすのかが期待されるところである。

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ライトノベル青春小説と言って良いのかもしれない

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遠く6マイルの彼女』(ヤマグチノボル/富士見ミステリー文庫)読了。

まず、いつものヤマグチノボルとは異なった文体に驚く。この人はこんなナイーブな文章を書く事が出来たのか!というぐらいに内省的でデリケートなもので、良い意味で期待を裏切られたと言ってよいのだが、その後、死んだ兄に対するコンプレックスに支配されている主人公が、そのコンプレックスを克服するために方法として、「兄貴よりもいい女を彼女にする」と異次元の思考を始めて、まあいつも通りのヤマグチノボルだなあと安心した。

とは言え、全体的に見てやはり今までのヤマグチノボルとは違った、焦燥感と劣等感に満ちたドロドロとした暗い感情が根底に残されていて、それに作者の持つ”成長と克服”への志向が上手く組み合わされて、とても頭の良い作品になっているのは見事だ。これは、”少年”が”大人”に脱皮する話であり、同時に青春の挫折の話であり、諦めるまで話なのだ。

この作品を読んで、ようやくヤマグチノボルの方向性が分かってきたように思う。おそらく、この人は作品に自分を反映させるには”照れ”が大きく、頭が良すぎるのだろう。いつもならば”萌え”に特化させた記号的なキャラクターとラブコメフォーマットに忠実なテキストによって隠蔽されているとても純朴な少年の憧れ、劣等感、焦燥感が、この作品は連載という形式を取ったためか、ダイレクトに表に出てきているように感じた。

以前、僕はヤマグチノボルは少年マンガ的な感覚を大事にしている人なのではないかと推測したが、今回はやや方向修正の必要を感じる。それに加えて、少年が少年である時代の成長へのもがきを描いたジュブナイル作家として、おそらくヤマグチノボルを評価すべきなのだろう。

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2006.02.26

アニメ『Fate/stay night』について

大分反応が遅れたが、アニメ版『Fate/stay night』についてちょっとだけ。

原作至上主義者である自分としては、今回のアニメ化については何一つ、まさしく卵の欠片ほどの期待もしていなかったのだけど、実際に視聴しした結果、考えを改めるに至った。

要するに、これは極めて誠実に”奈須きのこをアニメ化”した作品なんですね。奈須きのこ作品が持っている過剰で高密度の世界を忠実にアニメにした結果、メインヒロインが登場するのが2話目になったり、15分ぐらい世界説明を語りに語り倒したり、アクションをやっている時間より飯を食っている時間の方が長かったり、そもそも会話をしているだけのシーンが多い上にそっちの方が面白かったりと普通のアニメ的には無茶苦茶なんですが、しかし、そもそも原作自体がそう言う話なんだからしょうがない。

そのようなバランスの悪い部分、だがしかし、その部分を除いてしまっては普通の作品に堕してしまう奈須きのこ成分をきちんと抽出しているあたりに作り手達の本気を感じた。このままいけば、”奈須きのこアニメ”としてはもしかすると素晴らしいものが出来るような気がする。まあ、一般的な意味ではとんでもない作品になりそうだけど(ファン以外の人が観て面白いのだろうか、これ)。

あと、本気で取り組むのは良いと思うけど、そもそも原作を(合理的に無理が無いように、かつ原作のテーマを失わないように)改変するだけでも一苦労だと思われるので、このまま続くのかどうか実に心配だなあ…。

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またやってしまった…

自分でも何とかしなきゃいけないと考えているのだが、本屋に入ると理性を失ってしまうのはいつもの事だとしても、広い本屋ではその傾向が極めて過剰になってしまうと言うのは某かの法則があるのだろうか。売り場面積と購入意欲の関連性については考察の余地があるような気がする(無いよ)。

1.『塵骸魔京 -ファンタスティカ・オブ・ナイン-』 海法紀光 ファミ通文庫
2.『狂乱家族日記 四さつめ』 日日日 ファミ通文庫
3.『永遠のフローズンチョコレート』 扇智史 ファミ通文庫
4.『ダーク・タワーⅣ 魔導師と水晶球(上)(中)(下)』 スティーブン・キング 新潮文庫
5.『Sweet Blue Age』 有川浩 他 角川書店
6.『カポネ』 佐藤賢一 角川書店
7.『タイタス・クロウの事件簿』 ブライアン・ラムレイ 創元推理文庫
8.『フィーヴァードリーム(上)(下)』 ジョージ・R・R・マーティン 創元推理文庫

実質11冊で会計は一万円強。まあ…たまにはこんな事もある、よな?
てゆーか面白そうな本が多すぎですよ!一体どれから読み始めればいいんだろうなあ…。大体『レキオス』を読んでいる途中で他に手が回らない状況だと言うのに。まったく時間が足りねえぜ!

ところで『塵骸魔京』のノベライズはまさしく待ちに待ったというところ。原作をこよなく愛する自分としては、期待と不安があるなあ。3.の『永遠のフローズンチョコレート』については、表紙、タイトル、コピー、冒頭の文章からしてとてつもない吸引力、要するにオーラがあった。これは面白そうな予感がする。

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2006.02.25

10万HIT

たった今気がついたのだが、いつのまにか10万ヒットを超えていた。大体、今日の午前2:00~3:00のあたりで達成したようだ。

証拠↓
10hit


開設したのが2004/4/18だから、1年と約11ヶ月で10万ヒットと言う事になる。大体5000ヒット(/月)?

…本当にそんなに見ている人がいるのかこのブログ…。

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おっさん祭の開催

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奇蹟の表現Ⅲ 竜<ドラゴン>』(結城充孝/電撃文庫)読了。

相変わらず面白いのだが、読んでいる時に電撃文庫を読んでいる気が全然しないのは一体どう言うわけなのか。出て来る登場人物がおっさんばかりでたまに若いのが出てきたと思ったらマッチョな女刑事だし、つくづく電撃文庫的なサービスが足りないことおびただしい。なんと今回の新登場人物は女刑事の一時的な相棒となった汚職刑事しかいないという徹底ぶり。うむ、そのサービスは正しいぞたぶん。ところで、かつて失ったものを取り戻そうと足掻く主人公の姿はなかなかに正統派なヒーローのようで格好良いと思う。この作品の良い所は、それぞれの傷を抱えた登場人物たちがそれぞれに傷を克服しようと言う”足掻き”をきちんと描いているところなのだろうね。あと内容は全然関係ないけど、ちょっと文章が荒れていたような気がした。荒れた、と言うよりは変わった、のかな?もともと丁寧な文章なだけに、変化が少し気になった(『…』の多用とか)。もともとこんな文章だったっけ?

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2006.02.24

はーまったりまったり

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座敷童できるコト(4)』(七飯宏隆/電撃文庫)読了。

うむ、どこから見ても完璧なまでに一部の隙も無く良い意味でも悪い意味でも普通だ。バランスの悪い過剰さはなく、洗練された技巧を駆使しソツはないのだが、地味すぎるのが最大の難点といえる作品だと思う。何しろ今回は、今まで読者に提示されてきた価値観が少しずつ崩れていく重要な回なのだけど、実際には全然それっぽい感じがしないしなあ…。主人公がようやく主人公として動き出してきたり(遅いよ)、新キャラがどんどん投入されたりでかなり状況は激変しているはずなのに、ここまで緊迫感が感じられないのはもはや作者の特殊な才能としか思えないな…。ま、そう言う部分も含めて嫌いじゃないんだけどね。

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2006.02.23

生きる事は受け入れる事に通じる

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半分の月がのぼる空(6)』 (橋本紡/電撃文庫)読了。

橋本紡ってこんなに小説が(あと文章が)上手かったのか!とある意味大変失礼なことに驚愕した。一瞬一瞬の現在を懸命に行き続けるヒロインと彼女を守り続ける事を誓った主人公が、苦難を乗り越えお互いの手を取り合ったクライマックスからの”その後”の話なんですが、普通はこんなの蛇足にしかならない展開なのに、橋本紡が書くと何でこんなに説得力を持つのか、という事を考えてみると、多分それは物語の作劇術を越えて、その日その日の一瞬を生き続ける事は不断の戦いであり、それはその命を終えるまで途切れる事無く続くのだという事をごく自然描いているためではないかと思う。そう遠くない近い未来で出会うすべての終わりに向けて、主人公はいろいろなものを喪失し、取り残されながらもすべてを受け入れて、選択した。その選択の結果を見せつけられながら、それでもなお生きていくというこの作品は、確かに”その後”の物語が無ければ決して閉じることは許されない作品であると思った。そこには単に”感動的”なだけではない”苦さ”がある。決して心地よいものではない。だが僕はその苦さが非常に大切なことと思えるのだ。

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なんだこの胸の中のもやもやは…

4840233020
狼と香辛料』(支倉凍砂/電撃文庫)読了。

例によってファーストインプレッションで書いたとおり。中世ヨーロッパ(風の異世界)をかなり本気で描いたライトノベルとしてこれは希少価値があるような気がする(名前の読み方とかね)。特に作品世界の風俗や文化、そして作品の肝である経済の描き方が大変丁寧で良いと思う。その結果、非常に地に足の付いた描写と相まって主人公たちの日常がとても魅力的なものになっているように感じられた。というかですね、ヒロインであるホロですよホロが大変魅力的というかむしろ今僕は”萌え”という感情を完璧に理解したと言うかドキがムネムネするんですが一体どうしたら良いんでしょうか(ちょっと落ち着け)。

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ついに地獄の季節がやって来た…

目が!目がーッ!(去年も同じこと書いたような…)。

1.『パラケルススの娘(3) 仮面舞踏会の夜』 五代ゆう MF文庫J
2.『青葉くんとウチュウ・ジンⅡ Xマス・スクランブル』 松野秋鳴 MF文庫J
3.『ホワイトデー上等。』 三浦勇雄 MF文庫J
4.『ゼロの使い魔(7) <銀の降臨祭>』 ヤマグチノボル MF文庫J
5.『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』 佐藤賢一 講談社文庫
6.『屍姫(2)』 赤人儀一 スクウェアエニックス
7.『バガボンド(22)』 井上雄彦 講談社
8.『蟲師(7)』 漆原友紀 講談社

あ、パラケルススの娘は2巻を読むのを忘れていたことに今気がついた。本の山から発掘しないとなあ…。

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2006.02.22

本当に、タイトルだけは何とかならないものかな

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お留守バンシー』(小河正岳/電撃文庫)読了。

これまたファーストインプレッションに書いたとおり。とにかく小説が上手い。そして面白い。非常に計算され尽くした作風の持ち主で、冒頭で何気なくおかれてた伏線が後半で明らかになったり(バンシーの間違った言い伝えとか)実に作品に無駄が無い。キャラクターについても不要な存在がいないというぐらいに計算された造型がされていて、きちんと収まるべきところに物語を納めたあたりの手腕は非凡の一言と言える。ほとんどライトノベルのお手本テキストを読んでいるような気がしてくる。その分尖がった部分はあんまり無いけど、少なくとも新人でこんな粗の無い作品が出てきてしまったところは大したものだと思った。ただこの先、この作家がどんな作品を書くのかと言う事についてはあんまり驚きは無さそうだ。少なくともこのレベルの作品は書いてくれるだろうし、それで十分と言う気もする。続きは勿論買いますよ。

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カタルシスは葛藤から生まれるってことかな

4840233012
哀しみキメラ』(来楽雫/電撃文庫)読了。

大体ファーストインプレッションで書いたとおり。本来人間でありながら”食うもの”となってしまった少年少女(と言うには歳をとっているが)たちが選んだそれぞれの選択を描くと言うストーリーは極めて骨太であると思う。人外となった悲しみと、お互いが唯一の同じ種類の存在となった仲間たちのはかなくも悲しい友情とか極めて野心的というか高度な事をやろうとしているように思う。ただ、惜しむらくは(火目の巫女と同様)彼らの、および世界との関係を描写する場面が、エピソードが決定的に足りないように感じた。結局、主人公たちがお互いに関係を深めていく描写もすっ飛ばしているし、人外としてのエピソードも足りていない。そのため後半の追い詰められ方がヌルく感じてしまった。主人公たちの葛藤が足りない(あるいは葛藤するだけの土台が足りていない)のが原因ではないかと思う。しかし、やりたい事自体は極めて意欲的で妥協が無いので、そのうちすごいものを書いてくれるという期待感は受賞作の中ではもっとも高いと言う意見は変わらない。今後に期待。

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まっとうなんだけど少し視点をずらしているあたりが好み

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火目の巫女』(杉井光/電撃文庫)読了。

ファーストインプレッションで書いたので既に対して書く事は無いのだけど、とりあえずなかなか面白かったと言う事は述べておきたい。ただ、3人のヒロインが一つのところに集まり、彼女達の交流が前半のもっとも重要な部分であり、この部分をきちんと描写をする事で後半の展開が生きて来るはずなのだが、やや描写が、エピソードが足りないように感じてしまったのは残念だと思った。ヒロインたちの結びつき明らかでないため、後半の展開にきちんと結びついてい無い感じがするのだよな…。でも、なかなか可愛らしくも一生懸命な主人公を始め、犠牲を払う事がシステムを運営する事と分かちがたく結びついている事、単純な成長物語にしないところなどが好みだった。続きが出たら買います。

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2006.02.21

中二的妄想を格調高く謳い上げたファンタジー

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ヨッパ谷への降下』(筒井康隆/新潮文庫)読了。

面白い。
まずも感じるのは、いかにも不条理とでも言うようなストーリーが、実際には驚くべきほどに”現実感”を感じさせると言う所だ。

”不条理”が何故”現実感”があるのか。それは一見不条理に見える物語は、実は”理”が通っていると言う事だと思う。ここで言う理とは、あくまでも異質な理ではある。一般的な常識からはかけ離れているものの、しかし、その世界の中では極めて論理的であり、我々からすれば異質ではあるものの極めて合理的なものなのである。そこがこの作品集の極めて特異な点であるという事が出来る。

そのためだろうか、収録されているどの短編も、極めて明晰かつ詩情にすら満ち溢れていながらもバカバカしいと言う素晴らしい作品ばかりだ。読んでいて明らかにギャグだろうと言わんばかりの展開なのに、何故か感動させられてしまったり、あるいは下ネタだらけのストーリーに感銘を受けてしまったりするのが不思議極まりない。

中学生が考えるようなエロ妄想が、筒井康隆の手にかかってしまうと崇高さすら漂わせている作品になってしまうのは不思議を通り越して筒井康隆は良い意味で頭のネジが外れている人だと思った。

一体どう言う思考回路をしているんだ?

補足
収録されている作品の中では『法子と雲界』、『あのふたり様子が変』、『家』、『ヨッパ谷への降下』が好き。『法子と雲界』は夢を哲学する法子(ほうし)の哲学ぶりが面白い。なんかいいことを言っているような錯覚さえしてくる。『あのふたり~』は実にくだらない状況のわりに作品に漂う切実感と焦燥感がすごくて読み入ってしまった。『家』は問答無用で僕の好きな不条理な環境下における普遍的なタイプのお話。『ヨッパ谷~』は奥さんが普通に萌えるかと。

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2006.02.20

ガンスリンガーとは死狂いなり

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ダーク・タワーⅢ(上)(下) -荒野-』(スティーブン・キング/新潮文庫)読了。

何も言う事が無いぐらいに面白かった。
この作品はまさしく指輪物語的な想像力が根底にはあるのだけど、そこからアメリカナイズされた冒険小説っぽいマッチョさと、現代小説らしいナイーブさが混在した結果、極めて重厚かつ流麗で突拍子も無い小説となっており、また冒険と試練、喪失と成長など極めて正しい教養小説としての側面と、果てしなく下品で猥雑な泥臭さまでを包括した極上のエンターテインメントと言えよう。

というかキング先生は一体どれだけローランドが好きなんでしょうか。一流のガンスリンガーでありながら彼に降りかかる運命は過酷極まりなく、二巻の冒頭で右手を失うわ病に倒れるは三巻に至ってはその不屈の精神すら均衡を失い発狂の危機にさらされると言うイジメっぷり。喜々としてこんなの書いているキング先生は相当に愉快な人だなあと思いました。やはり男は圧倒的な逆境に立った時にこそ真価を発揮するということなんですかのう。

お、そうか!分かったぞ!これはようするに『不屈の精神を持ったガンスリンガーにあっては自己(おのれ)に与えられた過酷な運命(さだめ)こそかえってその若い闘魂 (たましい)を揺さぶりついには…』と言う話なんですよ!

素晴らしきかなシグルイ。

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月曜日の朝はいつも憂鬱

タイトルのようになっている時はイエロー信号だ。日々のメンタルバランスと睡眠が崩れている証拠なので、自分を出来るだけ甘やかす必要がある。甘いものを少量摂取して炬燵にもぐりこみつつ本を読んでとっとと寝てしまおう。

1.『殺×愛(2)』 風見周 富士見ファンタジア文庫
2.『メフィストの魔弾(2) 愛の毒薬』 嬉野秋彦 カッパノベルズ
3.『勇猛なるジャレグ 暗殺者ブラド・タルトシュ』 スティーブン・ブルースト ハヤカワ文庫FT

何で『メフィストの魔弾』を買っているのかと言うと、なんとなく冒頭の主人公二人のラブラブエロスぶりが気に入ってしまったためであるということをここに表明しておこう。別に表明しなくても良かったような気もするが。あと第弐齋藤さんのところで『勇猛なるジャレグ』を「剣あり魔法ありドラゴンありのファンタジー世界を舞台にしたハードボイルド(!)」と評していたのにびっくり。え!そう言う話だったの!?という感じ。思わず買ってきてしまったよ。

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2006.02.19

『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』

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マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』(東亮太/角川スニーカー文庫)読了。

前に「”記号”などと言っているあたりに若さが見えるが」というような事を書いたが、書いた後に別段作者が若いかどうかを判断する根拠が無いことに気がつく。記号と言う言葉に惑わされすぎたような気がしないでもないが、内容を読んだ限りでは、作者が定義する記号の使い方が、僕にも感覚的に理解できるのでやっぱり僕と同年代くらいのようにも思った。どちらにしても「あーあ、記号なんて言葉をつかいやがって…」と言う居たたまれなさを感じるのだが。それすらも作者の手のひらのような気もする。考えすぎかな。

内容についてはタイトルから期待したとおりの内容だったと言える。アニメ的、漫画的な記号を付与され、過剰にキャラ立てされ、お約束ともいえる超越的なルールに縛られた存在であるはずの”キャラクター”たちが、お互いの代替可能な存在である事を逆手にとって事件を解決していくのだが、しかし極度に記号化されたキャラクターたちにとってはそのキャラに反する行動は元来けっして行うことが出来ない行為なのであるはずだ。これは相容れないはずの世界観が一つの場所にあつめられた結果、それぞれの持つ世界観(お約束のルール)が干渉し合ったことで、記号化された彼らの行動様式を強引に一つの世界観に纏め上げられたためであろうか。つまり、簡潔に説明してしまえば、この作品はさまざまなアニメ、ゲームからサンプリングされた記号によるクロスオーバー作品であり、その記号をチェスの駒のようにさまざまに配置し、あるいは配置を変えることによって生じるギャップを生み出す事が目的なのではないのかと思った。例えば変身ヒーローがゴルゴ13と戦っている最中にガイキングが乱入したところで幼馴染がパンを咥えた転校生とぶつかるような。余計に分かり難かったすまん。

そして、この記号の代替可能性(今考えた)が果たして作品にどのような影響を与えていくのか…はよく分からんので保留(逃げた)。続巻を読んで判断しようと思う。

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『ライトノベル読みに本当に聞いてみたい10の質問』

ライトノベル読みに本当に聞いてみたい10の質問 Ver.1.5 』に勝手に答えてみた。

1.尊敬するライトノベル作家は?
冲方丁
そのアグレッシブ過ぎる行動力と格好良すぎる文体は憧れるが、僕とほぼ同時代人と言う事実に打ちのめされます。尊敬と嫉妬ですな。

2.あなたの人生に影響を与えたライトノベル作品は?
いろいろあって特定出来ない。『ロードス島戦記』…と言いたいところだけど、僕の人生観にまで影響を与えたという意味では久美沙織の『精霊ルビス伝説』かなあ。人間とは不完全な生き物で、善でもあり悪でもあると言う当たり前の事実を教えてくれた作品です。それでも人は生きていかなくてはならないのだ。絶望的な(しかし僅かな救いをもたらされた)エンディングは僕のトラウマだったりする。

3.読んだけど生理的に受け付けなかった、どうしても好きになれなかった作品は?
渡瀬草一郎と川上稔。

上手い下手を超越したところのおそらく人生観とか現実認識のレベルで好きになれない。自分でも不思議なくらい好きになれない。はっきり言ってムカツク。大抵の作品は笑って許せる自分が何でここまで拒絶反応が出てしまうのかを自分でも知りたくなって、渡瀬草一郎は『パラサイトムーン』を5巻か6巻ぐらいまでと『空ノ鐘の響く惑星で』を2巻まで、川上稔は都市シリーズを『パンツァーポリス』から『電詞都市DT』(つまりほぼ全部)と『終わりのクロニクル』を3巻くらいまで読んでみた(…我ながら随分読んだな…)がやっぱり駄目だな。何でだ?

4.最も優れたノベライズ作品は?
久美沙織『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』

おそらく僕が今まで読んだノベライズの中で最良の一つ。ゲームのノベライズでありながらゴシック・ファンタジーの様相すら漂わせた豪華絢爛かつ退廃に満ちたファンタジー。本来倒されるだけの存在である魔族が単に邪悪なだけではない愛憎を備えているあたりが素晴らしかった。また、本来プレイヤーの分身である勇者に、愛と憎悪と復讐を備えた人間性を付与したのも子供心に衝撃的だった。

5.あなたにとって優れたノベライズとはなんですか?
原作をきちんとリスペクトしながら自分独自の解釈を大胆に込められたもの。原作そのままじゃ駄目だし、好き勝手をやっていいわけでもない。バランスが重要だと思う。

6.ライトノベルに挿絵は必要だと思いますか?
まあ要ると言えば要るが無くても別にかまわない。ただ、読者のイメージの補填としてのイラストは良いけど、イラストが先行しているのは個人的にはマイナスかな。イラストで作品の出来不出来まで判断されてしまうのはいただけない。

7.ライトノベルにあとがきは必要だと思いますか?
まあ要ると言えば(以下略)。でもまあ、作者は作品の中だけで語れば良いんじゃないの?という気はする。

8.書店で知らない作家のライトノベルを買う時の一番の基準は?
冒頭を立ち読みし文章が好みに合うかどうか調べる。あとは勘。

9.おかゆまさき著『撲殺天使ドクロちゃん』について一言(作品を知らなければ「知らない」と答えて下さい)
一言で言って天才の仕事だと思う。ただ才能が枯れるのもそう遠くは無いと思うけど。

10.あなたにとってライトノベルとはなんですか?
どうしようもない人生における暇つぶしと一時的な安息の手段。
溺れた時の藁。
そんな感じ。

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2006.02.18

凄い事を凄くないようにやるのが本当に凄い事なんだ…と思う

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タマラセ ボンクラたちのララバイ』(六塚光/角川スニーカー文庫)読了。

外伝というか短編集らしく肩の力が抜けた実にバカバカしい感じが良いですねえ。作品が持っている不条理なドタバタが全面に出ているので、本編でいささか殺伐とシリアスに傾きつつある傾向を(読者の視点における)バランスをもう一度不条理側に引き戻しているような感じがある。本編の軽い息抜きとしては良いタイミングだったように思う。まさか見計らっていたのか…?などと言う事はどうでもいいことですね。

それにしても本編の方が急展開をしているため、この短編集を読んでいたら随分懐かしい感じがしてしまった。いまさらコルシカ忍者の話なんてやられてもなあ…。雑誌は読んでいないのでそんな疑問ははるか彼方だったよ。つかお前誰だよ(酷い!?)。ライトノベルの速度を速さを実感してしまった。

大体においてしょうもなくも不条理なユーモアを振りまくシチュエーションコメディとばっさばっさの死人が出まくるギャップとか、けっこうすごいことをやっているような気がするのに、全然そんな風に見せない作者の奥ゆかしさとかも良い感じだ。そういう押し付けがましくないところは美点だと思います。

まあ大体そんな感じ。

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でもこれってヒューマンドラマって言うのかなあ…

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戦う司書と雷の愚者』(山形石雄/スーパーダッシュ文庫)読了。とても面白かった。

どうやらこの作者は、”肉”として扱われ人間性の剥奪された主人公が、人間としての生を生きようと足掻く話を描こうとしているようで、その意味では前巻の内容とまったく変わっていないのだが、しかし、その人間性を取り戻そうと言う行為は誰もが抱える”何者かになりたい”という欲求と言うか感情を明確に揺さぶってくれたように思った。今よりもっとマシな存在になりたいっつーか、まあそんな感じの気持ちだ。

失われた人間性の回復と言うのは非常に正統な物語であって、一見奇を衒ったかに見える世界観に反して、物語そのものを非常にシンプルで分かりやすく力強いあたりに真面目な作家なんだなーと思った。数多くのエピソードを一つのテーマにそろえて収束させる手腕といい、人数が多いわりに全然混乱をきたさない処理の仕方といいとにかく上手いとしか言いようがないですね。とくに前作で爆死したルイモンの見せ方なんて最高だよなー(ほんの一言二言しか喋らないのにかっこええ)。またレーリアの登場も嬉しかった。こいつ、実は裏主人公じゃね?作品内における”人間の気高さ”を一人で体現している感じがするぐらいで、もしかしたら今後も準レギュラーみたいな扱いになるんじゃろうか(既に爆死しているけどな。それにしても主要人物に死人の多い小説だ)。ハミュッツの最凶ぶりも最高だった。

なんか褒めちぎっていますけど貶す部分が思いつきませんので終了。個人的にはけっこう珍しいかも。

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技術とはまた別のもの

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pulp I 』(森橋ビンゴ/ファミ通文庫)を読了。

ふーむなるほど。僕は森橋ビンゴのあまり良い読者とは言えず、この人の作品をまともに読むのは『三月、七日。』シリーズから3作目になるので、あまりこの作者についてきちんと理解出来ている自信は無いのだけど、しかし、この作者には、言葉に出来ない”何か”を切り取ることが出来る人であると思った。”何か”と言うのは説明すると陳腐になってしまうのだけど、要するに作者自身の体験や感情、つまり人生そのものであり、そこから生み出された”何か”の存在力は、生半可な技術など問題にならない力を持っているのだ。

正直なところ、僕個人的な意見を言わせてもらうならば、この人は小説はあまり上手くないと思う。荒削りであるし、読者に対する愛想もないし、何よりエンターテインメントにあまり興味が無さそうだ。だが、作者には、その荒削りなまでの”何か”を作者の内面から無造作に切り出し、読者に提示する。あまりにも生々しいそれは、一種の異様な迫力を持っている。読者である僕は、そのあまりにも荒削りな原石を前に途方に暮ながらもどこか魅せられている。

現実感の乖離と異常への憧れ。非日常への誘いという要素はまさしくライトノベル的なフォーマットであるのだが、そこには明らかに生きた感情と体験が息づいている。登場人物たちにたくされた”何か”は、単なるフォーマットを超えた説得力を備えており、その説得力こそがこの作品を支えているものなのだろうな。

それをきちんと作品に込められる作家は、とりわけライトノベル作家の中では希少なのだが、森橋ビンゴはその数少ない例外といえる作家であると思った。

あ、あとイラストが大変素晴らしいですね。見事な仕事だと思いました。以上。

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久しぶりに深夜帰宅

昨日は久しぶりに帰りが24時を過ぎてしまったよ。19時ごろにマシンも落としてさあ帰ろうとしたところに課長につかまってしまったと言う我ながら笑ってしまうほどにグッドタイミングであった畜生。

1.『CLOTH ROAD(3)』 脚本:倉田英之 漫画:okama 集英社
2.『宝仙娘娘追宝録・奮闘編(5)』 ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫
3.『煉獄のエスクード(3) RHYTHM RED BEAT BLACK』 貴子潤一郎 富士見ファンタジア文庫
4.『黄昏の刻(4) 漆黒の戦慄』 吉村夜 富士見ファンタジア文庫
5.『道士郎でござる(8)』 西森博之 小学館
6.『結界師(11)』 田辺イエロウ 小学館

だんだん面倒になってきたので(今更かよ)、今後はよっぽどの事が無い限りコメントは止めます。そんな事をいってまたコメントを書く可能性は否定できませんが、まあ前言を翻すのは良くある事だから(だからじゃねーよ)。とりあえず言うべき事は、okamaは最高だ!って事と、『道士郎』が終わってしまったガッデム!ということです。道士郎が終わったことには正直がっくりきたが、まあ最後までノリの良いやつらで大変楽しかったよ。次回作を楽しみにしております。

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2006.02.15

紛れもない表紙買いです。本当にありがとうございました。

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ドラグネット・ミラージュ』(原案:賀東招二、作:きぬたさとし/Z文庫)読了。星の鼓動は愛…じゃねえよ。なんでゼータなのかがさっぱり分からんわけだがそれはそれとして感想に入りたい。

はっきりすっぱり正直に言うと、篠房六郎のイラストだけが目当てで買ったこの作品ですが(表紙買いをしている人がここにいる)、予想外に面白かったと言う事を述べなくては公平ではあるまい。ま、実のところまったく内容には期待していなかったのだけど(人気のある作家が原案とかやらかし始めたら要注意だ!)、これがまたバディものとしての抑える部分をきちんと抑えた堅実な仕上がりであり、かつ相棒を見目麗しき美少女にしたあたりでサービスも良いし、あんまり媚びていないキャラクターもバランスが取れていて、いや、正直言って馬鹿にしていてすまなかったよゼータ文庫。てっきり最近のライトノベルブーム(実態があるかどうか知らんがな。そのうちバブルの崩壊が来ますよー)に便乗した適当な企画かと思っていたけど、ちゃんとやる気はるのかね。まあ次回の配本にも期待したい。

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あ、『SFが読みたい!』を買うのを忘れてた…

しょうがない、明日買って来よう…。

1.『ガジェット・ポップ ~蒸気帝国騒動記~』 川崎康宏 GA文庫

GA文庫って一体何の略なんですか…と小一時間ぐらい問い詰めたいところだが、そんな時間が勿体無いので止めておく。運が良かったな貴様(誰だよ)。
それにしても、この歳になってようやく川崎康宏の面白さと言うか真価が理解出来てきたと言う印象があるのだが、初めて読んでから10年目にしてようやく真価が分かるというのも凄い作家だと感心するべきか今更かよと呆れるべきかは極めて危うい境界線のところにある。なんだそりゃ。とにかくなんつったらいいの?スラップスティックコメディ?本当に?そんな感じでありえない展開が雪崩をうって転がりまわる大変素晴らしい冗談小説でした。大好き。

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2006.02.14

良い事か悪い事か、それは当事者以外が決める事じゃない

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時には懺悔を』(打海文三/角川文庫)読了。

なんかまた変わった話だな…。まさか”障害児”をテーマにしたハードボイルドを丁寧に、しかも、説教臭くならないように書けるとは、作者の目の付け所も凄いけど、書ききった作者の筆力は凄いものだと感心した。きちんと調べているし、しかもそれを単なる設定、説明には終わらせないしで、まさしくプロの仕事であるなあ。面白いなあ。

やっている事はうらぶれた探偵とその女助手が事件を追うという極めてありふれた話なんだけど、探偵にも家族があって息子との関係に悩んでいたり、女助手が色々あって離婚して元夫に親権を奪われていたりするところが奇妙な味わいだと思った。そこには、彼らの日常のどうにもなら無さと事件との対比があって、決して格好良いだけの願望充足ではないドラマがあるのだ。

しかし、だからと言って重い問題提起を行った上で、決して説教臭くも重苦しくもならないユーモアがあり、どこかに明るさがこの作品にはある。それは必死に希望を明日に繋げようとする努力でもあるし、慈しみの心でもあるし、乾いた諦めのようでもあるのだけど、それを否定も肯定もせず、ただ在るがままに受け入れた雰囲気(つまり何が良い事で、何が悪い事なのかを敢えて明確にしない)が、どこか物悲しく、同時にふてぶてしいまでの強さを作品から感じるのだ。

その単純に物語を”割り切らない”スタンスがとても心地よい読書であった。

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西尾維新チルドレンの精髄

はい、また脊髄反射的に何にも考えないでタイトルを決めていますよこの人(他人事のよーに…)。

1.『僕と魔女式アポカリプス』 水瀬葉月 電撃文庫

例によって突如として鬱々とした気持ちになったので、気分を無理矢理変えるために買ってみた。こう言う時の処方箋は、ひたすら無惨で軽薄でハイテンションなやつが良いのでちょうど本屋に置いてあって助かった。まさに天の助け。
内容は普通である事を嫌悪する主人公が、非日常に巻き込まれるのだけど、一度巻き込まれた非日常はいつしか常態となり、ついには普通となった非日常の中で生きていかなければならない。その命を賭けて、って感じか。えーと…終り無き日常を生きろ?違うか。でも、なんかやたらと僕好みの軽佻浮薄で残酷無惨な話で大変に楽しかったなあ。

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2006.02.13

…主人公って完全に蚊帳の外だったような…

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レスキューウイングス ファイナルシーカー』(小川一水/MF文庫J)読了。

ん?…なんかよくわからないなこれ。

要するに自衛隊レスキュー隊を舞台にしたドラマなんだけど、一体何をやろうとしたのか、僕にはよく読み取れなかった。結局、主人公にとってこの事件はなんだったんでしょーか…。

そもそも幽霊の少女の存在がすっきりしないんだよなー。主人公に取り憑いて、誰かを『助ける』と言うことにのみ執着をする少女なんだけど、それが主人公にとってどう言う存在なのか、ってことがはっきりと分からなくて気持ち悪く感じてしまった。畜生、読解力ねーなー俺。

主人公自身は彼女の存在に対して、その能力を借りてレスキューをしている事に対して引け目とコンプレックスを感じているんだけど、てっきりそのコンプレックスが軸になるのかと思ったら、実は幽霊少女の”執着”そのものがクローズアップされていって、最終的に(ネタバレなんで反転)少女が成仏すると言うことが最終的なクライマックスになっていると言うのはなんかよくわかんねえ…。これだと主人公がそれまで悩んでいた事が全然ラストに反映されていないような気がするんだけど。

そんなことに引っかかっていたので、最後を読んでも唐突に感動的なイベントを持って来ました、と言うような印象を受けてしまった。うーん、僕が理解出来ていないだけで、何かすっきりした読み方があるのかなあ…。

そう言うわけで、なんだか納得の行かない読書でした。感想終り。

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電撃大賞ファーストインプレッション

電撃文庫の新人賞である電撃小説大賞の大賞、金賞、銀賞受賞作を読んだ。印象を忘れないうちに書いておく(2/13に追記をしたので上に持って来ました)。

『お留守バンシー』
大賞受賞作。
さすがに大賞だけあって小説としての完成度は4作品のうちダントツ。良くも悪くも新人らしくない内容で、受賞作の中では唯一”商品”としての価値がある(言葉は悪いが)。言い換えればプロの作品と言える。これがデビュー作と考えればすごいものだけど、ただ、きちんとまとまりすぎていて将来性についてはなんとも言えない。向上の余地があるのか?

『哀しみキメラ』
金賞受賞作。
大賞に比較すると明らかに作品としての完成度で一段も二段も下がる。やりたいことは分かるのだが、明らかに描写が届いていない感じだ。バランスが悪いと言うか。ただ、それは作者の理想像が非常に高いと言うことを意味しているので、今後の成長次第では凄いものを書くかもしれない。帯にもコメントがある有川浩のデビュー作『塩の町』を読んだ時とよく似た印象を受けたな。ハードカバー向けかも。

『火目の巫女』
銀賞受賞作。
好きか嫌いかで判断すれば、『狼と香辛料』を除いた3作品の中では一番好きかもしれない。ただ、やっぱり描写が足りてないのは金賞と同様で、主人公たちの物語が書き込み不足のまま終わってしまった印象を受けた。でも、単純な成長物、あるいは擬似家族ものに終わらせない作者の物語に対する哲学は非常に気に入った。うん、やっぱけっこう好きかも。

えーと、あと銀賞受賞作がもう一つあるんだけど…買い忘れていたので明日買ってきます。

(2006/2/13追記分)
で買ってきました。
『狼と香辛料』
これは凄く好きなタイプの作品だな。実はこれは一番好き。こう言う何にも起こらない話をきちんと描けるところに作者の並々ならぬ力量を感じさせる。正直に言って、あんまりケチをつけるところが見当たらないんですが…まあ電撃文庫的にはややマイナーな流れか(七姫物語とかの系譜か?)。やや異世界の風土、文化の描写が中途半端なところがマイナスかもしれないが、主人公とヒロインの会話だけで十分に楽しいので問題ないな。
 
 
しかし、今回の電撃文庫はレベルたけーな…。どれを読んでも外れが無いと言うのは素直に感服。読み手の好みの差こそあれ、どれも凄く高度な事をやっている(あるいはやろうとしている)し、続きが非常に楽しみな話ばかりだ。素晴らしい。

どれも面白かったけど敢えて順位をつけるとするなら、単品作品としての完成度(読んでいてどれだけ不満を感じなかったか)で言えば『お留守バンシー』-『狼と香辛料』-『火目の巫女』-『哀しみキメラ』。
将来凄いものを書きそうな予感をさせられた順番では『哀しみキメラ』-『狼と香辛料』-『火目の巫女』-『お留守バンシー』。
今後、もっとも売れそうな作者の順番では『火目の巫女』-『お留守バンシー』-『狼と香辛料』-『哀しみキメラ』。
個人的に自分が好きな順番は『狼と香辛料』-『火目の巫女』-『哀しみキメラ』-『お留守バンシー』。

と言うところか。
『狼と香辛料』が強いなー。

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体に力が入らない

なんか調子悪いなあ。最近、こう言うのが増えてきたのはなんでだろう。既に若くないと言うことか。

1.『どうにかなる日々(1)』 志村貴子 太田出版
2.『どうにかなる日々(2)』 志村貴子 太田出版
3.『図書館戦争』 有川浩 メディアワークス
4.『流血女神伝 喪の女王(3)』 須賀しのぶ コバルト文庫
5.『狼と香辛料』 支倉凍砂 電撃文庫
6.『幻想に生きる親子たち』 岸田秀 文藝春秋

1,2.志村貴子は素晴らしいなあ、面白いなあ、と。他に言う事はありません。
3.表紙がやたら格好良いんですが、さすがメディアワークスはこう言うのをやらせたら上手いね。つい手が伸びそう。内容は、設定の荒唐無稽にそぐわない熱い人間ドラマっぽいが、きっと下手な恋愛小説よりも恋愛小説しちゃっているんだろうなあ。
4.バンディーカ女王編らしいけど、まさかそこまで重要人物だったとは。ラクリゼとはまた異なった強靱な女性像を描き出してくれると期待したいところ。
5.買ってきました。実は既に読み終わっている。やべー、これ凄い面白いよ!
6.”家族”とは幻想だ!という話。まったくおっしゃるとおりなんですが、勘違いしてはいけないのは、この作者はだからこそ家族は努力しなくてはいけないのだってことであり、別にペニシズムに走っているはわけではないのだ。たぶん。

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2006.02.11

オタク的俗悪さに対するドンキホーテ

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A君(17)の戦争(9) われらがすばらしきとき』(豪屋大介/富士見ファンタジア文庫)読了。

この作品を一言で言うとすると、とても”下品”な作品であると言うことが出来る。ここで言う下品とは、別段下ネタがどうとか、そう言う意味での下品さではない。それは例えば、オタク的な文化とか、エロゲー的な展開とか、漫画的なお約束とか、そう言うものに対する取り扱い方に対して感じるのだ。つまり、それらの文化を批判し、風刺すると言う方法は別段珍しくないのだが、その見せ方や説教の仕方が非常に俗っぽい、言い換えればストレートすぎると言う事でもある。

ここで一つ表明しておきたいのだが、僕は、その下品さこそがこの作品の肝であり、もっとも魅力的な部分であると思っているのだ。その部分をのぞいてしまっては、この作品は単なるライトノベル戦記に成り下がってしまうだろう。そのあまりにも分かり安すぎる部分は、むしろ作者の持つ問題提起の真摯さの表れであって、現在”アキバ系”などという呼ばれ方をしている(特に自己批判をしない)オタクに対して、強い苛立ちと嫌悪を隠さない作者のスタンスは、非常にあくは強いものの格好良いと思う。

オタクってなんだかんだと言われているけど、本質的なところでは、やっぱりどうしようもない生き物なんだよ。そこのところはきちんと認識した上で、オタクを肯定するか否定するかを考えていかなければならないのだろうなあ。

僕にとって、この作品はそーゆー作品なのだ。

あ、作品自体は、ひたすら防衛戦に次ぐ防衛戦で圧倒的な負け戦の中、ついに反撃を開始した魔王軍と、戦争をさらに泥沼化させようとする存在が暗躍をはじめており、緊迫は最高潮に達しつつある、んだけど…もうちょっと刊行ペースを早くしてくれねーかなー…。全然話が進まないよ…。あー続きが読みてー。

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2006.02.10

納得しがたい明朗快活さ

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バレンタイン上等。』(三浦勇雄/MF文庫J)読了。

つまらなくは無い、と思う。むしろ面白い方の部類に入る作品であるとは思う。

だが、作品を流れる熱血で前向きな基調を支えるものが、単に「根性を見せろ」とか「がんばれ」とかで済ませられる程度の強度しかないのには、正直なところがっかりだ。

頑張れを言われて頑張った。根性を見せろと言われて根性を出した。それだけで一体何が解決すると言うのだ?そんな言葉だけで、人は簡単に救われるのか?

これは個人的な意見になってしまうのだが、僕は頑張れと言われて頑張る話にはどうにも不信感を覚えてしまう。

なぜなら、頑張れ、根性を見せろと言う言葉は、非常に口当たりが良い反面、相手がどのような問題を抱えているのかをまったく無視している傲慢さがあると思うからだ。例えば、頑張っても上手くいかない、あるいはそもそも頑張ることすら出来ない(剥奪された)人間は全然救われないと言うことにはならないのか。

そもそも頑張れと言われて頑張れるのならば、そこには何一つ問題は無いではないか。真の問題とは、頑張ってもどうにもならない問題を前にした時、人はいかなる態度で望むべきかと言う事であり、どうにもならない問題と人は格闘していかなければならないのだと思う。

その意味では、この作品はあまりに能天気にすぎ、僕の現実感とそぐわなすぎる。作品自体には罪はないが、それにしても単純明快すぎる前向きさは、僕には受け入れがたいものであった。前作にも同じようなところはあったのだが、いささか今回は鼻につきすぎたかな。読むタイミングが悪かったのかもしれない。

作品自体は面白いだけに、残念な読書になってしまった。あーあ。

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2006.02.09

この作者は個人的な物語の方が僕の肌に合う

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銃姫(6) The Lady Canary』(高殿円/MF文庫J)読了。

相変わらず面白い。しかし、同じ作者の少女小説のレーベル作品を読んだ時に感じた違和感というか、なんともいえない感じがほとんど感じられないのは不思議なことだと思う。その違いは、思うに視点の違いなのではないかと思った。あくまでも印象論なのだが、この作者の少女小説の方だと、実は視点は主人公の視点ではなく、作者の視点(とも言い切れないが…)から語られているのに対し、こちらは、きちんと主人公の視点から語られているように感じた…のだが、これはまたそうとも言い切れないような…。まあいいや、保留。

内容については、現時点では前振りの段階なので特に語ることが少ないけど、次の巻での期待と不安が高まる展開でよいのではないかな。”竜王”の設定については、いかにもあざといなあと思ったものの、セドリックと関係させるために必要なことだったのかーと感心。また主人公たちが身を寄せるゲリラでの生活が非常に穏やかであるのが、いずれ訪れる破局が迫ることを考えるとなかなかヘビーだなあ、と思った。今後、登場人物たちのエゴとエゴがぶつかり合う展開になると思うのだが、結局、”宿命の敵”である竜王に対しても、戦争の元凶と言う”悪”ではなく、セドリックにとって、アンと幸福になるための障害と言う個人的な意味での”敵”という意味なんだろーな。戦争を描きながら、あくまでも個人の物語になっているのが面白い。個人的には、作者が「大きな物語」を書こうとすると迂遠で平坦な印象を受けるので、出来るだけ個人の物語に留めておいて頂けると助かりますね(どうも遠征王シリーズとかは感心出来ないんだよな)。

以上です。あとは速いところ続きを…。

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考える事は多い。しかし、考えてもしょうがないことはもっと多い。

それでも考える事は止められないし、考え続けている内はまだ生きていられるのだと思う。考えるのを止めてしまった時の曖昧な焦燥感は、何度味わっても苦々しく、それでも考える事から逃れられない苦しさは果てしない。そう言う苦しみは一生続くのだろう。

戯言だけど。

1.『火目の巫女』 杉井光 電撃文庫
2.『お留守バンシー』 小河正岳 電撃文庫
3.『半分の月がのぼる空(6)』 橋本紡 電撃文庫
4.『哀しみキメラ』 来楽零 電撃文庫
5.『座敷童に出来るコト(4)』 七飯宏隆 電撃文庫
6.『奇蹟の表現Ⅲ 竜<ドラゴン>』 結城充孝 電撃文庫
7.『遠く6マイルの彼女』 ヤマグチノボル 富士見ミステリー文庫
8.『夢見る宝石』 シオドア・スタージョン ハヤカワ文庫SF

今日は電撃文庫が大漁であった。そうか、もう新人が出てくる季節になったのか、と月日の流れるのは速いものだ、と実感する。年寄り臭いことこの上ない。
1.電撃大賞銀賞。”かわぎしけいたろう”(表記がひらがなになっている…)が電撃文庫の挿絵を描くような時代になったんだなあ、と感心する。最近の美少女ゲームとライトノベルの越境(と言うより境がなくなりつつある)の影響かね。
2.電撃大賞大賞。あまりにくだらないタイトルには脱力の念を禁じえないのだが、あえてこのタイトルを持って来るところに作者と編集者の気概を感じる(んな大袈裟な)。アグレッシブな内容を期待しよう。
3.10年くらい前『猫目狩り』を読んだ時に「ハッタリが下手な作家だなあ」とか「文章がぎこちないなあ」とか思ってすいませんでした。そのあと『バトルシップガール』で「なんてくだらない展開だ」とか「キャラクターが変」とか言って本を放り投げてごめんなさい。昔の僕の目は節穴でした。小説を見る目なんざかけらも持ち合わせていない生意気なガキでした。正直すいません。……とりあえず、それだけを述べておきます。
4.電撃大賞金賞。高畑京一郎と有川浩が褒めている時点で一般的な電撃文庫のカラーでは無さそうだ。見た目では一番ぱっとしないのが可哀想だと思う。僕は期待したいところ。
5.なんか挿絵の人がどんどん上手くなっているような気がしますが、作品としてはどこまでSF的な大風呂敷を広げられるのかが肝だな。既に萌えとかは関係なくなっているし。でも4作目が出たと言う事は人気はあるのか、ひょっとして。
6.ライトノベルハードボイルドと言うなかなか意欲的な事をやっているシリーズではあるが、ついに節目の三作目か。此処が正念場だと思うので、頑張って欲しい。
7.僕はヤマグチノボルが大好きなのだ(開き直った)。ヤマグチノボルが書いているのであれば買わないわけには行かないだろう?…と言う事にしておこう。
8.スタージョンの新刊が出たと言うのであれば買わないわけには行かない。と言いつつ『一角獣・多角獣』を買うのを忘れているのが現状だ。忘れないようにメモをしておこう…。

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2006.02.07

すべてのものは移り行く

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フルメタル・パニック! 燃えるワン・マン・フォース』(賀東招二/富士見ファンタジア文庫)読了。

これまた数年ぶりになる新刊であります(最近多いな)。アニメの方が絶好調でありますが、小説の方も大変にエンターテインメントしていて面白かった。しかし、前にも書いたけど、物語の舞台が日本を離れ、血と鋼が響き渡る戦場が舞台のためあまりにも今までの”フルメタ”とは異なる印象を受ける。もっともヒロインがさらわれ、自らの所属する居場所と仲間を奪われた男が今までどおりでいられても困ってしまうし、そもそも、作者は物語を動かすことを選んだようだ。誰もがなかよしで平和なユートピアと言うのは確かに快いものだが、それだけでは何一つ生み出す事が無いのであって、失うこと、変化する事はオタク的な感覚からすると(僕も含めて)恐ろしくはあるが、だからと言って逃げ続けていくわけには行かないのだ。主人公たちにとっての理想郷の崩壊を描いた前巻から引き続きと、色々なものが移り行き、移ろう心を描きはじめたこの巻を含めて、僕は支持して行きたいですね。

すべては移り行くのか、それとも変わらないものもあるのか。作者の落としどころはどこにあるのか…期待したい。

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忙しい時に限って仕事が増える

良くある事ではある。しょうがねーけど、とりあえず眠くてしょうがないのでとっとと寝よう(と言いつつちゃんと寝た事はあまり無い)。

1.『ゾンビ屋れい子(5) イーヒン編』 三家本礼 ぶんか社
2.『ゾンビ屋れい子(6) カーミラ編』 三家本礼 ぶんか社
3.『アモンサーガ』 夢枕漠+天野喜考 ジャイブ

1・2.何故自分がこの作品に対して冷静な判断が出来ないのか、その理由についてはうすうす気が付いてはいたものだが、ついにそれが確信に変わった。てゆーかなんだよこのジョジョは!もうこれまでの「ゾンビ召喚術はスタンドだよね~」なんてレベルの話じゃねーぞ!!気の狂った台詞回し、構図、残虐にしてグロテスクな悪、心震える熱い展開といい見事なまでにジョジョの奇妙な冒険の”第一部”じゃねーか…。最高!!!もはや遺伝子レベルでジョジョの血を引いている作品であり、ジョジョ好きには必読の書といえましょう。
3.この頃の天野喜考はまだアニメーターっぽい絵を書いていたんだなあ、となんとなく感無量だった。

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2006.02.06

余裕なし

時間と気持ちの余裕が足りないので購入報告のみ。あー上手くいかねえ。

1.『レキオス』 池上永一 文藝春秋

1.とりあえず『シャングリ・ラにの想像を絶するエネルギーに呆れ感心したので買ってみた。あらすじを見た限りだと相変わらずな感じだな。

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2006.02.05

まさか第二次世界大戦下のドイツにフィギュアショップがあるとは…

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凶鳥<フッケバイン>-ヒトラー最終指令』(佐藤大輔/角川文庫)読了。

第二次世界大戦下における架空戦記ものかと思って読んでいたらSFだった。腰が抜けるほど驚いた、と言いたいところだが、さすがにそこまでではない。せいぜい椅子からずり落ちるくらいである。偉大なる先行作品を積極的に肯定と言う言葉にたがわず、過去のあらゆるエイリアン侵略もの(ああ、言っちゃった)を踏まえつつ、架空戦記ものの世界にSFホラーを展開している。ナチス・ドイツ下でありながら、真の軍人としての心を失わぬ主人公を配し、圧倒的な恐怖に対して、雄々しくも勇敢に立ち向かうと言う話になっているのが面白かったですよ。ちょっと主人公が格好良すぎるし、ヒロインとのロマンスもかなり付けたし感が強いけど、”夜の行進”をはじめとしたSFホラーテンプレート(普通にお約束って言えよ)の使い方も良いし、ついでに言えば佐藤大輔作品にはつきものの(いや、僕が読んでいる作品に偏りがあるのかもしれないが)幼女キャラがかーいらしくて良いんじゃないでしょうか。むしろ本題とか言うな。

さまざまな小ネタを挟みつつ、サスペンスフルなエンターテインメントになっているので、分量としては短いけれど退屈しないで読めた。色々な過去作品を下敷きにしているので、元ネタを探してみるのも面白いかも。UFOものはあんまり詳しくないし、探してみようかな。とりあえず作品中で言われていた”日本での事件”を読んでみようと思う。

補足
主人公が格好良すぎるとさっきは書いたが、悩み苦しむ現実的な理想主義者と言ったキャラクターは非常に等身大に格好良いし、やっぱり”誇り”と言うものは、人間が生きる上で必要なものなんだよな…と思ったんですが、内容には関係ありません。

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2006.02.04

何も起こらない日

取り立てて言うべき事は無い。いつもどーりのルーティンです。

1.『銀魂(11)』 空知英秋 集英社
2.『DEATH NOTE(10)』 原作:大場つぐみ 絵:小畑健 集英社
3.『ストロベリーシェイクSWEET(1)』 林家志弦 一迅社

1.バカ話をやりながらもきっちり人情で落とす、と見せかけてやっぱりバカ話を描いたと思いきやその次には超ド級のシリアス話が来る絶妙のバランスが素敵だが、ページの合間にある作者への質問コーナーにおいて、返事が初期に比べてすごく真面目になっているところに作者の本質的な誠実さを感じた。
2.ほぼ完全にライトVSニアになって、メロは蚊帳の外かなあ、と思っていたら魅上などというキラよりでありながら、キラを上回る過激さを持つキャラを投入したりして、作品の暴走は留まるところを知らない。この調子でどんどんやって欲しいなあ。
3.四コマと普通の漫画が一緒になって物語の流れになっているのって凄く珍しいなあ、と思ったのだけど、細かいネタを四コマで見せつつ、きちんとストーリーを追ったつくりになっているあたりは上手いなあ、と思った。内容?いつもの林家志弦でしたよ(つまり完璧)。

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指輪物語の子供たち

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ダークタワーⅠ-ガンスリンガー-』『ダークタワーⅡ(上)(下)-運命の三人-』(スティーヴン・キング/新潮文庫)を読了。

ありえないほどに面白い。キングの流れるように滑らかな語り口が最大の魅力であると思うのだが、ファンタジーとしてのイメージもなかなか悪くは無いと思う。でも、やっぱりこれは限りなくキャラクター小説に近いと思うし、あんまり深いことを考えないで、主人公ローランドの冒険行を楽しんでいくべきなんじゃないのかな。主人公たちを取り巻く変転する魅力的な世界、立ちふさがるさまざまな試練を乗り越えていく主人公たちと、まさしく指輪物語的な異世界幻想譚であるのと同時に、ただただ楽しい娯楽作品でもある。やっぱ、キングはすげーや。ただただ圧倒的な技量を見せつけられてしまっては、まさしく脱帽としか言いようがないですよ。

一巻を読んだ時は、主人公にして最後のガンスリンガー(この世界における騎士のようなもの)であるローランドの冒険と言っても、主人公はいかにも冒険小説的、あるいはハードボイルド的なタフガイであり、異世界のイメージにしても、細部には違いこそあれ指輪物語的な想像力を乗り越えてはいなかったのだけど、二巻を読み始めたらこれが全然読むのが止められない。おんもしれー。最初にも書いたけど、これは限りなくキャラクター小説に近いファンタジーなんだけど、主人公のローランドがたまらなく格好いい。何しろ二巻の冒頭で、なんと銃使いとしては致命的なことに右手の人差し指と中指を失い、しかも、病に倒れてしまう。もはや二挺拳銃を持つこともできず、ただ地べたを這いずるしか出来ないローランドだが、しかし、ここからが真骨頂。もはや立つ事で出来ないくらいに弱りながらも、その鋼鉄のごとき不屈の精神は折れる事無く、ギリギリの状況で駆け引きを繰り広げるあたりたまらんものがあります。

既に三巻も発売されているし、これを完結まで読めると言う幸せを噛み締めつつ続きを読みます。ああ楽しいなあ。

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2006.02.02

『オリガ・モリソヴナの反語法』読了

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オリガ・モリソヴナの反語法』(米村万里/集英社文庫)読了。

小説とはディティールが命だと常々思っているのだが、この作品は、まさに圧倒的なディティールに支配されたディティール小説と言えよう。ディティールに拘ると言うのは、つまるところ小説世界のリアリティの追求であって、そのリアリティと言うのは作品のタイプによって変わってくるものではあるけれど、結局のところは、その世界の中で生きている登場人物たちの息遣いが聞こえるかどうか、ということではないか。

語り手である女性翻訳家が、数十年前にバレエのレッスンを受けていた教師、オリガ・モリソヴナの謎めいた過去に魅せられ、その半生を追うという物語なのだが、何より感心したのが時間の流れの描写である。数十年、と一言で言うのは簡単だが、実際にその時間を費やした事実と言うのはなかなか直截には伝わってこないものなのだが、しかし、ここでは数十年前、子供の視点からみたある事件が、現在の視点から見るとまったく違う側面を見せていったり、また、オリガ・モリソヴナの過去を追う過程で、さまざまに人物にその消息を尋ねていくのだけど、しかし、その過程において、それぞれの人物はそれぞれが自分の人生、自分の過去を持ち、生きているのだ、と言う描写によって確かに時間が流転し続けているのだ、ということが実感として分かるところが素晴らしい。

ただ、ある一人のバレエ教師の人生を追うだけの物語が、何でこんなに面白いのだろう、と考えるとそれこそがディティールの力であって、単にバレエ教師のそれだけではなく、それ以外のすべての登場人物たちが生きている”人生”が、読み手に想起させるためなのだろう。ディティールの圧倒的な力強さで語られるのは、多くの人間たちが懸命に”生きた”というただそれだけの物語なのだが、それゆえに生きるということの美しさが、ただ存在するだけで輝いてみえる。

その美しさに、単純な意味で感動した。とても面白い本だと思った。

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蟲師のDVDが見つからない

予約をしておけばよかったですよ…。買うタイミングを逃しました。大失敗。

1.『ダークタワーⅢ(上)(下) 荒地』 スティーブン・キング 新潮文庫
2.『家族八景』 筒井康隆 新潮文庫
3、『七瀬ふたたび』 筒井康隆 新潮文庫

1.スティーブン・キングはすごいというかむしろえらい。もはや巨匠と言ってもおかしくないキャリアでありながらこんなにエンターテインメントな作品を出して良いんでしょうか。ま、この本自体は何年も前に書かれたものではあるのですが。
2、3.最近になってようやく筒井康隆の面白さに目覚めました。遅いよ!とか言わないで欲しい。日本SFにはとんと疎くて…少年期にはファンタジーばかり読んでいたんですよ…。

 

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2006.02.01

エンターテインメントとしては明らかにバランスを欠いた狂熱こそが最大の魅力

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シャングリ・ラ』(池上永一/角川書店)読了。

あまりも泥臭く、あまりにも精緻で、あまりにも大胆なエンターテインメント巨編と言うしかない。池上永一を読むのは初めてなんですが、これが実に泥臭い、あるいはお約束に忠実でありながら、要所要所で噴出してくる異様なエネルギーには圧倒されてしまった。これは並大抵の作家ではない。良くも悪くもまともではない。大体資本主義に変わる新たな経済として炭素経済なんてものを発明してしまったあたりですでに気が狂っているが(この経済の妥当性については保留。というか良く分からん)、水蛭子が出てきたあたりからなんだかまともなエンターテインメントを踏み外し、ついには超巨大積層都市アトラス建設の真実が明らかにされたあたりではもはや呆然自失で開いた口が塞がらないアホ展開(超褒めています)であり、作者のシグルイぶりが伺えます。こんなわけの分からない作品を書いてしまう作者の脳味噌には真剣に心配になりますが、とにかく死ぬほど面白いので読んでみれ。もう心底アホですから(くどいようですが褒めています)。

補足
当初は「自然の脅威」とか「人間の愚かさ」みたいなまるで宮崎駿のふりをしていますが、みんな騙されるな!この小説はそんな作品じゃねー。そんなあまっちょろいもんじゃねー。大自然の脅威なんかミサイル100発ぶち込んで一掃ですよ。人間の愚かさ?そんなもんブーメランで戦車をぶった切る女子高生と最強のニューハーフと母性本能の豊かなサディスト女と天然自然の超天才が揃って全部粉砕してくれます。なんですかこのゴジラどもは。

補足2
この作品にただ一つの難点があるとすれば、ニュータイプに連載していた当初はあった吉田健一氏のイラストが付いていないというところだ。ありえねーガッテム!本人のHPで見れるのでリンクしておく。

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イライラが積み重なってもムカムカにはならない

ただ果てしなくイライラが積み重なっていくので、発散させる余地がなくて非常に気力・体力を消耗するのだと言う事にようやく気が付いた。これは手の施しようが無い。

1.『タマラセ ボンクラたちのララバイ』 六塚光 角川スニーカー文庫
2.『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』 東亮太 角川スニーカー文庫
3.『レモネードBOOKS』 山名沢湖 竹書房

1.タマラセの短編集。まあ本編に比べると比較的ほのぼの…とはしていないが、相変わらずとぼけた感じが良い感じ。
2.記号とか言っちゃっているあたりに若さが見えるが、けっこう面白いような気がするよ。途中までは大変に面白かったがラストの処理がスマートでないのが惜しいなあ。
3.イライラ、ムカムカしているときに読んだら見事に気持ちが落ち着いた。20数年生きてきて初めて癒し系という言葉を実感する。素直に驚いた。

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