いたましいいきもの
『荒野の恋 第二部』(桜庭一樹/ファミ通文庫)読了。
これは日常の話だ。一人の少女の、13歳から14歳にさしかかった少女の、平凡な日常の話だ。
少女が少年を好きになり、少年が少女を好きになる。別の誰かが誰かを好きになる。
それは当たり前で、しかし、とても凄い事なんだと、この小説を読むと思い出す。
でも、それは綺麗なだけの物じゃなくて。むしろしんどくて、汚らわしくて、厭わしくものある。
そう感じてしまう”いたましいいきもの”である少女が、傷つき、傷つけられる。
でもその感情は正しい。幼く、脆く、醜くすらあり、そしてすぐに失われてしまうけれど、その傷を受けた心は圧倒的に正しい。
そう思う気持ちが僕の中にある。僕の中の大人になりきれない部分がそう思う。”いたましいいきもの”では無くなった自分がそう思う。
この本には、そう言う正しさがある。
悩む事。思う事。考える事。それが正義である時間と言うのは、なんて残酷で幸福なんだろう。
そう思った。
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コメント
オレも『桜庭一樹はとりあえず買っておく会』として買っておいたぜ。
このシリーズは繊細な魅力があっていいよなあ。Gosickのあざとさも好きだが。
投稿: 背徳志願 | 2006.01.31 23:55
一見穏やかに見えますが、これは戦いの話であって、相当に戦闘的な話だと思うんですよ、これ。
つーか、桜庭一樹の『少女』シリーズはみんなそうなんでけど。
投稿: 吉兆 | 2006.02.01 23:18