« 復調の兆し | トップページ | 新幹線のアナウンスが流れるたびに「メーテル~」と思ってしまう自分がいる »

2006.01.25

最良のノベライズ

475772490X
『エマ(2)』(久美沙織/ファミ通文庫)を読了した。

久美沙織は相変わらず上手いのだが、あまりにも上手すぎてもはやノベライズとしては逸脱を始めている。あくまでも原作とほぼ同じストーリーでありながら、それでもここまで作品として異なってしまうと言うのは面白いものだね。色々とすでに書評もあるのでわざわざ書くまでも無いけど、小説の有利な点である”文章の密度”を生かした圧倒的な情報(知識)量でもってビクトリア朝の世界を再現度合いが違いますね。特にクリスタルパレスが素晴らしかった。ウイリアムの薀蓄も素晴らしかったが、そこにきちんとした存在感、あるいは生活感と言い換えても良い地に足のついた描写が良かったと思う。

同時に小説としての限界も露呈していて、ケリーの死のシーンは、原作においてはそのあっけなさ、空虚さを描写した見事であったが、小説においては、無論、既に結末を知っていると言う事を差し引いたとしても、原作のような虚脱を示してはしなかったような気がする。まあ、これは小説と漫画の表現の差や、久美沙織と森薫の視点の差とかに帰するべき問題のかもしれないけど。そのあたりについてはあんまり良く分からないのでつっこみませんが、とにかく、小説と漫画の違いをいちいち見ているだけでも個性が出ていて楽しかったし、そもそも小説としても大変に出来が良いので、ぜひとも続きを書いて欲しいなあ、と。これで終りにしたら暴動を起きますよ。どこかの国で(そりゃまあ…)。

|

« 復調の兆し | トップページ | 新幹線のアナウンスが流れるたびに「メーテル~」と思ってしまう自分がいる »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/7879735

この記事へのトラックバック一覧です: 最良のノベライズ:

« 復調の兆し | トップページ | 新幹線のアナウンスが流れるたびに「メーテル~」と思ってしまう自分がいる »