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2006.01.24

「感情」と「論理」のミステリ

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心のなかの冷たい何か』(若竹七海/創元推理文庫)を読了。

ああ、これは面白いですね。ミステリとしての趣向はふんだんに、同時に人間の暗黒面をこれでもかと描きまくる作風は前作同様です。若竹七海の方向性っつーのものがようやく分かってきたような気がする。

思うにこの人は、サプライズをたんなるサプライズで終わらせるのではなくて、その驚きがそれ以外の感情、時に怒りや悲しみ、虚無感などを伴っているという見せ方が非常に巧みであると思う。そもそもミステリと言う形式そのものが人間ドラマを描くのには不向きな形式であると思うのだが(それは読者にとって意外性のある結末と言うのが、必ずしも感情的に筋道が通っているとは限らないためか)、若竹七海の作品のなかでは、犯人たちが行うトリックそのものの意外性と同時に、それに至る”動機”が明らかになることで、なぜそのようなトリックを用いたのかと言う事が”感情的”に理解できると言う事なのかもしれない。すなわち、トリック(行為)の側面と動機(感情)の側面の擦り合わせが上手いので、読者に対して”意外な真相”を納得させ易いのだろうね。

非常に特異な作家だと思うので、今後も読み続けると思う。とりあえず、既刊を買っておこうかな。

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