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2006.01.31

いたましいいきもの

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荒野の恋 第二部』(桜庭一樹/ファミ通文庫)読了。

これは日常の話だ。一人の少女の、13歳から14歳にさしかかった少女の、平凡な日常の話だ。

少女が少年を好きになり、少年が少女を好きになる。別の誰かが誰かを好きになる。

それは当たり前で、しかし、とても凄い事なんだと、この小説を読むと思い出す。

でも、それは綺麗なだけの物じゃなくて。むしろしんどくて、汚らわしくて、厭わしくものある。

そう感じてしまう”いたましいいきもの”である少女が、傷つき、傷つけられる。

でもその感情は正しい。幼く、脆く、醜くすらあり、そしてすぐに失われてしまうけれど、その傷を受けた心は圧倒的に正しい。

そう思う気持ちが僕の中にある。僕の中の大人になりきれない部分がそう思う。”いたましいいきもの”では無くなった自分がそう思う。

この本には、そう言う正しさがある。

悩む事。思う事。考える事。それが正義である時間と言うのは、なんて残酷で幸福なんだろう。

そう思った。

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2006.01.30

これ、きちんと終わらせたらライトノベル史に残る奇書になると思うよ(個人的には)

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バイトでウィザード 沈めよ恋心、と雨は舞い降りた』(椎野美由貴/角川スニーカー文庫)読了。

相変わらず容赦が無い話なんだけど、これちゃんと話を終わらせられるのか?なんか『ダブルブリッド』と同じ轍を踏んでいるような気がするのだが。と言うのは、この作品は悲劇的でどこにも救いがないんだけど、だんだん悲劇がエスカレートを始めていて、前回よりもさらにインパクトのある悲劇、つまり、単に悲劇的であるというだけの悲劇でしかなくなりつつある。それでなくても話が進むにつれて、話が広がるのではなくどんどん狭まっていく(このあたりは感覚的で抽象的な表現になってしまっているが、要するに物語が行き詰まりを始めているというように感じている、ということ)というのに、この調子で終りを描けるのだろうか。うーん、ここまで来てめでたしめでたしなんてのは物語をぶっ壊しでもしない限り無理だし…。作者は一体どうするつもりなんだろう…。着地点は考えているのか?

おーい、だれかケン・イシカワをつれて来い(それは最終手段だ)。

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馬力の不足は精神力で補う…つもりだった

根性論は苦手なんですよ。最初から気付け、という話ですね。

1.『怪物王女(1)』 光永泰則 講談社
2.『惑星のさみだれ(1)』 水上悟志 少年画報社

図らずも今日買った漫画は、どちらも強くて冷徹なヒロインの下僕にされてしまった(なった)男の子の話。
1.まだ絵はあんまり上手くないけれど、気品と高貴さを兼ね備え、高慢でありながらも家来には思いやりのあるヒロインが魅力的です。僕は好きですよ、この漫画。
2.地球を救うプリンセスにして地球を破壊する魔王である少女と、彼女に忠誠を誓った世界を憎悪する少年のボーイミーツガールである。この漫画は凄く面白いと思うなあ。

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2006.01.29

男も女もたらしこむ魔性の男?女?(主人公のことです)

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薔薇のマリアⅣ LOVE'N'KILL』(十文字青/角川スニーカー文庫)を読了。あーもうなんて面白いんだろう。恋愛物としてきちんと成立している。

前回の事件を通じて確かな手応えを得たマリアローズは、仲間のために、そして自分のために出来る事を模索し続けるのだけど、それは仲間たちに対する強い仲間意識を表しているのと同時に、大切な仲間たちに対する劣等感の裏返しでもある。自分の居場所の喪失に怯え、何とかして自分は役に立つのだ、と言う事を証明したいという焦りを抱いているのだ。今回は、マリアを常に見守る(ストーキングしている)アジアンとの関係を通じてマリアローズが抱え込んでいる焦りを吹っ切るまでを描いている。内容としては番外編と言える内容で、常に圧倒的な存在力でもって物語を引っ張るトマトクンひたすら寝ているし、サフィニアもほとんど出番はないと、ZOO全体の活躍はお休みだ。代わりに、SIX編(と呼ばせていただきたい)では敵対関係にあった面々がクローズアップされている。アジアンのあらたな(恋の)ライバルとして荊王が名乗りをあげ、ユリカとほのかなやり取りがあった飛燕など、悪党は悪党でも随分ZOO側に近い立場として存在するようになったように見える。アジアンと同じような立場ですね。

そんな風にみんなが楽しくやっている裏では、キング・グッターを始めとした奴輩がなにやら陰謀をたくらんでいたりして、第二部の開始を予感させる。なにやら目的があるようではあるものの、一体何を考えているのかが良く分からない。悪党と言うわけではなく、よりスケールの大きい問題に取り組んでいるようにも見えるが…さて。

待て!次巻!と言ったところですね。

それにしてもこの主人公はもてるなあ…変態に。

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田中芳樹のヒロインは無敵すぎる。だがそこがいい。

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キングコング』(田中芳樹/集英社)を読了。

事前情報がまったく無かったもので、本屋で見かけてた時は何事かと思った。なんでキングコングのリメイクのノベライズなんてやっているんだろう、と不思議でしょうが無かったけど、読んでみて納得。そうか、これは秘境冒険物にして怪獣小説だったのか。それなら田中芳樹の得意分野だな、確かに。

内容については、しかし、まあこんなものかなあ。前半の、金剛(キングコング)を捜し求めるパートは、田中芳樹の筆が思う存分に乗っていてなかなか面白いのだけど(特に鄭和の大航海に触れるあたりなんか楽しそうだなあ。伝奇的大法螺とハッタリが満載だ)、キングコングのヨーロッパに来てからがなあ…すげー適当。ろくに暴れることもなく、あっさりと終わってしまう。なんだそりゃ!怪獣小説じゃなかったのかこれは!怪獣小説ならば圧倒的な暴力と破壊を描かなきゃだめだろーが!と思ったけど、多分田中芳樹が書きたかったのはロストワールド的な秘境冒険ものであり、あまり暴れるだけの小説には興味がなかったんだろうな。しょうがない。そもそも、田中芳樹がちゃんと小説を書いているだけでもよしとしよう。

それはともかく、ヒロインのイケイケぶりと言うか、すさまじいたくましさがいかにも田中芳樹的なヒロインになっていてすげー笑った。なんだこりゃ!原作はちゃんと読んでいないけど、絶対に原作通りじゃねーな、これ…。あまりにもたくましすぎて、主人公たちが助ける前にあらゆる苦難を自力で乗り越えているよ!

主人公たち、いらねー。全然いらねー。

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2006.01.28

「表現」というものへの圧倒的な取り組み

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インストール』(綿矢りさ/河出文庫)を読んだ。

この人はデビュー当初から持ち上げられすぎていて、また最年少で芥川賞を受賞などと話題性も十分だったためもあって、逆に、いかにも現代の若者文化をそれっぽくブンガクにしただけなんだろーとかひねくれた印象を抱いていて、ついつい遠ざけてしまっていたのだが、今回、一念発起して読んでみた。やっぱり読まないで判断を下していてはいけないな、と。

で、結論は…やっぱり食わず嫌いはするもんじゃ無いってことを実感しましたね。大変に面白かったですよ。

解説の高橋源一郎は綿矢りさに対する思い入れが強すぎて筆が滑っている印象があるけど、概ねそのとおり。本来であれば句読点を打つべきタイミングではないのに句読点を入れる、改行もほとんど無い文章には驚いたけど、これがかなり良い。と言うか素晴らしい。主人公の心の動き、機微のタイミングの表し方に嘘が無いとでも言うのか、主人公が日々の日常で感じだ無力感と焦燥感が、ダイレクトに、かつ、ストレートに表出していて、それが非常に個性的な表現で描かれているのが凄く面白いと思った。たぶん、これはセンスだけで書いていると思うので、今後、同じように面白いものが書けるのかどうかは分からないけど、とにかくこの一作に限っては、綿矢りさの「表現」をする力の圧倒的な正しさを認識した。

最近話題の「ブンガク」と言うやつをもっと積極的に読んで見なくては…と思いました。

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うわあ!びっくりした!

吃驚した。びっくりした。ビックリしたよう!(三回も言うな)。

塵骸魔京が小説に!?それもオリジナルストーリーで!?ヒロインが彼女だと!!

やー驚いた。ノベライズならともかく、別ルート(それも本編未採用)を小説にするとは…。こう言う展開の仕方もあったのか。

書いている人も同じだし、内容もそれなりに期待できるんじゃないかと思うんだが、しかし、塵骸魔京は音楽と絵と演出と文章がかっちりと噛み合った総合エンターテインメントであると思っているので、小説だけではどんなものになるのかは実は微妙(ゲームとしての完成度は、PCゲーム(エロあり伝奇)としては奇跡的な作品だと思う)。

んー…まああんまり期待はしないでおこう。

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新幹線のアナウンスが流れるたびに「メーテル~」と思ってしまう自分がいる

ごくごく当たり前で誰もが思うふつーの気持ちだよね、ね?(必死)

とゆーわけで、突発的事態で帰宅したら日付が変わっていたり、その翌日は出張したりしていましたが、ようやく日記に復帰でござる。目出度い。別に誰が目出度いわけでもないが、僕は目出度い。

1.『御緩漫玉日記(2)』 桜玉吉 エンターブレイン
2.『うしおととら(17)』 藤田和日郎 小学館
3.『はやて×ブレード(4)』 林家志弦 メディアワークス
4.『荒野の恋 第二部』 桜庭一樹 ファミ通文庫
5.『射雕英雄伝(5) サマルカンドの攻防』 金庸 徳間書店

1.なんかとても楽しい。なんだろう、なんでこの人の漫画はこんなにツボに嵌るのか。理由はわからんが、とにかく、妄想に満ち満ちた粗い(ように見える)線には不思議な味わいがあるのだが、この作品の面白いところは、作者の(どこまでが本当なのかわからない)ぶっちゃけ具合にあるのではないかと思うのだ。
2.やっぱ、うしとらを描いているころの藤田和日郎って天才の仕事だなあ。「四分二十七秒」なんて読んでいて未だに鳥肌が立つよ。
3.く、くだらねー(大笑い)。相変わらずバカども(褒めている)の饗宴と言った感じで大変に楽しいのだが、一応主人公はやての姉ナギについての伏線が張られてきたりと少しずつ本編も動いてきているようだ。面白いな、これ。
4.来た!僕の一番好きな桜庭一樹だ!ようするに少女漫画風なんだけど、少女vs世界の戦いを淡々とした筆致で描いているところが凄い好き。頑張れ少女。
5.買い忘れ~。これで完結ですか。あっという間だったなあ。

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2006.01.25

最良のノベライズ

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『エマ(2)』(久美沙織/ファミ通文庫)を読了した。

久美沙織は相変わらず上手いのだが、あまりにも上手すぎてもはやノベライズとしては逸脱を始めている。あくまでも原作とほぼ同じストーリーでありながら、それでもここまで作品として異なってしまうと言うのは面白いものだね。色々とすでに書評もあるのでわざわざ書くまでも無いけど、小説の有利な点である”文章の密度”を生かした圧倒的な情報(知識)量でもってビクトリア朝の世界を再現度合いが違いますね。特にクリスタルパレスが素晴らしかった。ウイリアムの薀蓄も素晴らしかったが、そこにきちんとした存在感、あるいは生活感と言い換えても良い地に足のついた描写が良かったと思う。

同時に小説としての限界も露呈していて、ケリーの死のシーンは、原作においてはそのあっけなさ、空虚さを描写した見事であったが、小説においては、無論、既に結末を知っていると言う事を差し引いたとしても、原作のような虚脱を示してはしなかったような気がする。まあ、これは小説と漫画の表現の差や、久美沙織と森薫の視点の差とかに帰するべき問題のかもしれないけど。そのあたりについてはあんまり良く分からないのでつっこみませんが、とにかく、小説と漫画の違いをいちいち見ているだけでも個性が出ていて楽しかったし、そもそも小説としても大変に出来が良いので、ぜひとも続きを書いて欲しいなあ、と。これで終りにしたら暴動を起きますよ。どこかの国で(そりゃまあ…)。

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復調の兆し

体調の方も少しづつ回復に向かっており、ようやくまともな生活を遅れそうだ。良かった良かった。

そんなこととは関係なく本は買っているのだけどね。本を買うと言う行為は、僕自身はそこに無い。自動的なんだよ…(格好よく言ってみた)。

1.『戦う司書と雷の愚者』 山形石雄 スーパーダッシュ文庫
2.『陰陽師は式神をつかわない 陰陽道馬神流初伝・入門編』 藤原京 スーパーダッシュ文庫
3.『乱世の英雄』 海音寺潮五郎 文集文庫
4.『タイタス・クロウ・サーガ 地を穿つ魔』 ブライアン・ラムレイ』 創元推理文庫
5.『ドラグネット・ミラージュ』 きぬたさとし Z文庫

1.この作者は冷静な筆致と驚嘆するアイディアの奇跡的な共存を体現している人だと思うのだが、それはある程度は読んでみないと確かなことは言えず、その意味では2作目でるこの作品については期待と不安が交錯する。個人的な意味では不安は無いのだけどね。僕は絶対楽しめるタイプの作家なのは間違い無いが、一般受けするかどうかは微妙なところか。
2.やりやがったっ!!!まだ半分くらいしか読んでいないのだが、これは凄い!凄すぎる!半分まで読むまでまったく気が付かなかった自分も大概どうかと思うが、それにしたってスーパーファンタジー文庫でこんな作品を出すなんてっ!!すげー。いやはや、ちょっとこれは素晴らしすぎですよ。多分もう一回読みます。そもそもこれはライトノベルじゃないと言うより小説じゃな…いやなんでもない。うん。まあ、最近の流行ですね、ええ(嘘は言っていないぜ!)
4.こう言うエピソード集みたいなの好きなんですよ。冒頭を立ち読みしたら、「日本の数ある流派のうち最強はどれか?という問いには意味は無い。なぜならどれも対して変わらないからだ(意訳)」というような文章があって痺れた。
5.邪神と戦ったりしちゃう探偵、タイタス・クロウシリーズの初めての長編。…まあなんとなく。短編集の方もそのうち買います。
6.ふはは。表紙買いって奴をやっちまったぜ。まあ師匠の感想を見て買ったわけだから、厳密な意味では表紙買いではないのだが。まーでも、篠房六郎のイラストが付いてくるなら買わなきゃなるまいて。ねえ?

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2006.01.24

起き上がれねえ…

あー…絶不調。完全に腹を壊してトイレとベットを往復する一日でしたよ。胃も荒れているらしくてひどく痛むし、頭痛までしてくるし…一体どうすりゃいいんだ。と言いつつ、ようやくこの時間になって動けるようになった。この調子ならば明日はなんとかなるかしら。

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「感情」と「論理」のミステリ

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心のなかの冷たい何か』(若竹七海/創元推理文庫)を読了。

ああ、これは面白いですね。ミステリとしての趣向はふんだんに、同時に人間の暗黒面をこれでもかと描きまくる作風は前作同様です。若竹七海の方向性っつーのものがようやく分かってきたような気がする。

思うにこの人は、サプライズをたんなるサプライズで終わらせるのではなくて、その驚きがそれ以外の感情、時に怒りや悲しみ、虚無感などを伴っているという見せ方が非常に巧みであると思う。そもそもミステリと言う形式そのものが人間ドラマを描くのには不向きな形式であると思うのだが(それは読者にとって意外性のある結末と言うのが、必ずしも感情的に筋道が通っているとは限らないためか)、若竹七海の作品のなかでは、犯人たちが行うトリックそのものの意外性と同時に、それに至る”動機”が明らかになることで、なぜそのようなトリックを用いたのかと言う事が”感情的”に理解できると言う事なのかもしれない。すなわち、トリック(行為)の側面と動機(感情)の側面の擦り合わせが上手いので、読者に対して”意外な真相”を納得させ易いのだろうね。

非常に特異な作家だと思うので、今後も読み続けると思う。とりあえず、既刊を買っておこうかな。

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2006.01.23

ちょっとまずいかも

なんか体調がまずい。それもかなり。インフルエンザの前触れかなあ…。具体的に言えば頭痛がして吐き気がして腹が痛くて寒くてたまらないわけだが(前触れかなあ、何て言っている場合ではない)。

とりあえず購入報告だけして、今日は早く寝ます。

1.『スパイラル~推理の絆~(15)』 作:城平京 絵:水野英多 スクウェア・エニックス
2.『荒野に獣、慟哭す(3)』 原作:夢枕漠 漫画:伊藤勢 講談社

1.もはや推理とは関係の無い地平にたどり着いた今作だが、結局のところ、人は絶望と直面した時、どのような選択をすべきなのか、と言うのを延々と積み重ねた対話漫画でしたね。最終的には感情の入る余地が無いまでに論理で敷き詰められた展開の中で、最後に残されたものが「想い」であると言う作者の結論は、15巻も描き続けたがゆえに説得力を得たように思う。
2.もはや原作とはまったく関係の無い所に来ているようで、それでも意外と原作をなぞっているようだ。一応原作どうりの展開にするつもりがあるのか。しかし、御門のキャラクターも含めて大幅な伊藤勢カラーが付け加わっているので(特に夢枕漠先生が異常にキャラが立っている)、原作同様の結末にはなりそうも無い。さて、どんな終わらせ方を示してくれるのかな…ってまだ気が早いか。

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2006.01.22

妄想も想像も本質的には同じことなのかね

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マリア様がみてる 未来の白地図』(今野緒雪/コバルト文庫)を読みました。

まだ妹問題で引っ張るのか!?と思ったが、どうやらこのシリーズは祐巳の妹問題と言う大きな問題を設置して、その余波で周囲に巻き起こる出来事を描くと言う構成をとっているのか。じゃあ妹問題が終わったら一区切りになるのかね。以下雑感。

・毎回思うのだけど、登場する人たちはなんでこんなに大人なんだ。きちんと他人に配慮すると言うことを、ごく自然に実践している!すげえ!何かをする時にもきちんと根回しもとしているしな…。

・時々、今が何冊目なのかわからなくなる。というか既に分からない。えーと17冊目くらいか?

・ていうか、これは一体いつまで続くんだ?少なくとも祥子様方の卒業が一区切りだけど、そこで終わらせられる感じじゃないもんなあ。ここまで長く続いてしまうと(人気がありすぎると)終わらせ方が難しいね。

・ここまで来たら綺麗に終わって欲しいものです。祐巳が赤薔薇を継いだところで終わらせるのも一興ではあるよね。

・ところで、何で箇条書きにしたのかと言うと、全然感想を書く事が思いつかないからです。マリみては、基本的にキャラクター達の行動と反応を楽しむ作品で、極論を言えば”お嬢様たちを眺めて楽しむ”小説だと思っているので、内容自体はあんまり重要ではない、と言うと語弊があるけど、重要度は低いからねえ…。

・なんかマリみてを読むと言うのは、ある種ストーカー的な楽しみ方なんじゃないかと思った。行動を眺めてその心理を想像して楽しんでいると言う意味において。…え?僕だけ?

・やべえ。

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ちと毒されすぎ

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バッテリーⅣ』(あさのあつこ/角川文庫)を読了。

この作品の最大の注目点は、巧と豪のすれ違いを描いているところであると言うのが定説ですが、今回もやっぱり熱かった。巧に対して熱烈なアプローチをかける門脇を前に、自らの無力さに打ちのめされた豪。自分は巧の相方として相応しくないのではないか?という疑問を抱き、豪は巧を拒絶する。一方、「豪じゃなきゃ駄目なんだ!」とばかりに他の相手など考えられない巧であったが、しかし、生来の性格ゆえに豪に対して素直になる事が出来ないでいる。周囲は二人を心配するが、監督である戸村は、巧に新たな相手役を抜擢するのであった。二人の関係の行方は!?という展開である。固有名詞を省くと一体どこのボーイズラブかと言わんばかりに熱い愛情が迸っております。もーこの巧がクールで無表情で天才の、しかし不器用すぎる態度しか取れない有様は生粋のツンデレですな。あー萌えとけ萌えとけ。野球ものなのに全然暑苦しくない感じで、非常に婦女子的な思考回路に基いた作品である。

などど言う読み方は極めて邪推であるので本気にしないで下さい。
 
 
あー実際には凄く面白かったけど、上記の邪念が溢れ出して全然まともに読めませんでしたよ。お、オレは既に穢れているっ…!もうどうしようもないと思った(僕の頭が)。

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ただ世界はあるがままそこにある

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ぺとぺとさんV』(木村航/MF文庫J)を読んだ。

短編集であるが、実質は掌編と呼ぶべき作品が多く収録されているのが興味深い。ショートショートと言うほど短くは無いけど。

その作品もぺと子たちの日常を描いた作品で、本編ではスポットのあたり難い脇役陣をのフォローをとなっている話が多いようで、今まで見えない側面とかが明らかになっている。

まあ、面白いことは間違い無いのだが、正直これは何が面白いのかが説明出来ない。単に思い入れの問題?かもしれん。

ただまあ、登場人物たちの悩みを、悩みとして描いているところ(「ややこしなー」とか)がやっぱり好きで、また鮎川町の不思議な風習”歳取りさん”などの幻想的なイメージなども大変好みであり、結局、自分が好きなのは、作者の見ている世界が好きなのかな。

自分でも良く分からんです。

何のオチも付かないけど終り。

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自然は美しい、などと言うのは自然を知らないから言える事なんだろうな

自分は昔から雪が降ったり嵐が来たりすると興奮する性質なのだが、それは窓ガラス越しのエンターテインメントであるからで、実際に雪の中に放りだされたらそんなことは言っていられないはずで、それを人間の進歩と見るか退化と見るかで価値がまったく変わってしまう。こんな事を考えている時点で、既に傍観者としての立場を取ろうとしているのだけど。

1.『バレンタイン上等』 三浦勇雄 MF文庫J
2.『ファイナルシーカー』 小川一水 MF文庫J
3.『銃姫(6)』 高殿円 MF文庫J
4.『A君(17)の戦争(9)』 豪屋大介 富士見ファンタジア文庫
5.『フルメタルパニック! 燃えるワン・マン・フォース』 賀東招二 富士見ファンタジア文庫

1.頑張れ、根性を見せろ、という言葉は、非常に分かりやすい価値を持っているけど、あまりにも連呼されすぎるゆえにもっとも価値が減じている言葉でもある。もしそれを一定以上の説得力を持たせようとするならば、それを裏付けるだけの背景と、共感されるべき感情が無くてはいけない。それを欠いてはただの言葉に成り下がる、と思った。
2.アニメを見ていないのに作者名を見て買ってしまったのだが、仕事と任務と組織に生きる人々を格好良く描ける作者は、航空レスキュー隊が舞台のこの作品にはまさにうってつけの人材と言える。問題は、プロジェクトX的な感動育成装置になりかねないというところなのだけど(悪いわけではない)。
3.ここに来て分かり易い”宿命の敵”を出してきたのは、そもそも前回までで倒すべき悪というものが存在しないのだ、と言う事を繰り返し言ってきたことと矛盾するように思える。それでもなお”敵”を特定させてしまったのはなぜなのだろう。単に物語を終わらせるためだとは思えないのだが。
4.この作品の持っている根本的な”下品”さは、言うなれば工具の金槌にも似ている。無骨で分かりやすく、しかも効果的だ。このあからさまな分かりやすさは、読者に対する(負の)刺激となって、某かの反発を起こさせる事を期待しているのだろうが、しかし、そのような分かりやすさに対して、分かり難く反応してしまうところに今のオタクのどうしようもないところがある。自分のことです。
5.自らの組織を潰され、愛する女性を奪われた主人公が、強大な敵に対して孤独な復讐を開始する、と書くと冒険小説となってしまうのだが、実はまったくそのとおりな内容である。フルメタの特異なところは、そう言う冒険小説的主人公が高校生として生活するシチュエーションコメディなわけで、舞台が変わればこう言う展開になるのは当然ではあるのだ。

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2006.01.21

それは妹と呼ぶにはあまりにも異形だった。

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超妹大戦シスマゲドン(1)』(古橋秀之/ファミ通文庫)を読了。

…これはひどい、ひどすぎる(褒め言葉)。

タイトルのとおり、”超熱血SF伝奇アクション”のあらゆる要素を”妹”に置き換えたあまりにもあんまりな実験作。

その”ひどさ”は、古橋御大のセンスが遺憾なく発揮された造語にもよく表れている。

すなわち「妹コントローラー」、「妹闘気(オーラ)」、「可変航空妹」、「邪神妹」、「ドリル妹」、ええと他にも沢山。

あんた、「妹」をつければ何をやってもいいと思っているだろう。

素晴らしい。

しかし、用語と世界を構成する要素がすべて妹に置き換えられているが、小説としては熱血伝奇アクションであるのがまた異様。

この異様さは、確かに『ブラックロッド』の異形さに近い。

『ブラックロッド』はサイバーパンクを、ハードボイルドとオカルトと血塗れスプラッタアクションとリリカルラブストーリーに置き換えた奇怪な傑作であった。

異形は異形だけど、語られる物語はむしろシンプルで力強い。

この作品は、その系譜に連なる作品群の一つと位置付けられることになるのだろう。

異形作家、古橋秀之の活躍を喜びつつ、次の巻を待ち遠しく思う次第である。

追伸。古橋秀之自作の、高橋メソッドによる『超妹大戦シスマゲドン』の宣伝があるので、興味のある人も無い人も見てみるが吉だと思います。見れ。

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2006.01.19

早く宿題を終わらせたい(本の感想が溜まり過ぎ)

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』(片山憲太郎/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。

すげえぜ!なんだこの超ド級の幼女小説は!とにかく片山憲太郎のヒロイン(7歳)に対する描写の細やかさを見るに本気でロリコン小説を描こうとしているとしか思えない。こんなにか弱くて綺麗で気高い存在を目の当たりにしたら男なんざ腑抜けも同然でありますな。それこそが幼女と言う属性のもつどうしようもなさで、そこには男の『守ってやりたい』というどーしよーもないくそ戯けた願望があるわけですが、まーそういうのは本能に近いものがあるのでしょうがないのかね。そんなことはどうでも良いのだけど、『電波的な彼女』の、おそらく数年前の世界で、あの世界でどうしようもない違和感としてあった世界の裏側の話になっていて、その意味ではあちらのシリーズと表裏一体の裏付けなのかもしれないと思いました。主人公は高校生でありながら世界の裏側に足をつっこんだ存在で、世界を構成するシステムの一つと対決していく展開になるのだろう。その意味ではこの小説は古きよき伝奇小説としての正しき末裔であって、逆に『電波的な彼女』と比べると荒唐無稽の度合いが増している。例えば御三家とかなんとかの異能の力を持った家系の存在が明らかになっているのだが、しかし、そのような物語のインフレを楽しむのが伝奇小説の醍醐味ではないかと思う。『紅』で明らかになった設定は、『電波的な彼女』での知られざる設定が開示されたことにもなるのだが、おそらく、このようにして一つの世界の裏(『紅』世界背景)と表(『電波的な彼女』日常)を交互に描いていくのかもしれない。そして、おそらく表裏の作品世界を繋げる役割を果たしているので、柔沢親子であり、この二人は世界の表と裏を象徴する存在である。この二人を起点にして、物語が反転しているように感じられるのだが、しかし、それが何を意味するのかは全然わからないので単なる妄想なんですけどね。書くなよ、妄想。でも妄想は楽しいぜ(役に立たないがな)。まあ、そのあたりはそのうち分かってくるだろうからとりあえず今は大変面白がっていれば良いと思いましたよ。でも、基本は伝奇小説なんで、『電波的な少女」の続編のつもりで読むのは、作品にも読者にとっても不幸だと思うぜい。全部忘れて読むがよろしかろう。あと、どうでも良いけど、今回、紅香さんが子育てをしなかった理由が明らかになる訳ですが、この人、基本的に子煩悩なんだよね。コミュニケートのやり方が鉄拳しか知らないだけで。まあ上手くいっている親子ではある。

そんなところです。

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2006.01.18

ヤマグチノボルのセンスは少年マンガの世界に酷似している

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サンタ・クラリス・クライシス』(ヤマグチノボル/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

まあやっていることはいつも通りのヤマグチノボル。世間知らずのお嬢様の無表情系のしかし実は気が強い隠れツンデレという属性てんこもりなヒロインが空から落ちてくるという典型も極めれば立派なものだというしかない設定ですが、実はラブコメに見えながら主人公の成長物語であるという、まあひねりと言うほどじゃないんですがアクセントとして面白くなっている。まあ属性てんこもりと書いたヒロインのキャラクターの見せ方が非常に上手くて萌えーとした感じでいいんじゃねーの(投げやり)。そのあたりの素直になれなさっぷりを楽しむ作品としても読んでもいいと思ったけど、主人公の失恋と成長を描いている部分にヤマグチノボルの実は少年のロマンティズム好きな一面が出ているんじゃないかと思ったが、正直この作者の主義主張が良くわからないので保留。まあどうでもいいっちゃどうでもいい。何にも考えずに読めて楽しいことには間違い無いしな。ただし知能が下がりそうなくらいに(良い意味でも悪い意味でも)頭の悪い作品なので、使い方を間違えるともたれる可能性があるので注意が必要だ。ま、個人的には他人には進めないけど、ヒロインに萌え萌えしたい人は読むがよろし。

以上。

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ネタを思いつく端から忘れてしまう

老化現象だろうか…。

1.『魔法先生ネギま!(13)』 赤松健 講談社
2.『史上最強の弟子 ケンイチ(19)』 松江名俊 小学館

1.バトルものになっているはずなのに、熱血には決して触れず、むしろ冷静な計算が(目立たないように)際立つのがさすがであります。ネギよりもはるかに実力が上の人たちが相手でも、ちゃんと『何故勝てるのか?』の論理が緻密なので無理が無いのが偉い。刹那との勝負などはまさにそれ。向かい合っての一撃勝負ならばネギにもなんとか勝ち目が出てくるわけですよ(プロである刹那に戦いの組み立てまでされてしまっては絶対に勝てない)。その他にも伏線とキャラクターの噛み合わせ、世界観のすり合わせなどを超人的な演出でやっています。改めて思うが赤松健は化け物か。
2.ケンイチがどんなに強くなっても、師匠たちのスペックがあまりにも高すぎて笑ってしまう。言うなればクリリンとスーパーサイヤ人3ぐらいに戦闘力が違いすぎて、師匠が出てくると別の漫画になってしまうのが特徴なんだよな。ていうかなんだこのゴジラ。ありえねえ。

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第一印象が『やっとかよ…』

芥川賞と直木賞の決まった見たいですが、東野圭吾氏についてはタイトルの通り。まあ今回落としたら、選考委員は東野圭吾を受賞させたくないんだろ、とか思ってしまうところですが。ていうか既に思っているけど。

しかし、今回の候補作はどっちの賞もほとんど読んでいないので、今一つ楽しみどころが無かったですよ。残念。

あ、恩田陸は早く読まねば…。

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2006.01.17

のんびりした超人バトルを楽しみましょー

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滅びのマヤウェル この愛がナイフでも』(岡崎裕信/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。

面白かった。しかし、他に感想が全然書けないタイプの話である。テンポの良いというかハイテンションな文体は心地よいし、主人公は好感が持てるし、ヒロインたちは魅力的と、はっきり言って貶す方が難しいのだけど、逆に言えばそれだけの話であると言える。勿論、「それだけ」がとても難しいことであるけれどもね。

これは個人的な意見ではあるけど、この作品は極めて低い階層の物語なのだと思う。これは作品のレベルが低いという意味ではなく、物語の動機となる部分、言うなればテーマとでもいうべき部分が、極めて個人的な感情に基いているということだ(つまり、物語のきっかけが単なる偶然であったり、バトルの理由が単なる仲たがいだったりする)。そこには客観的に深刻な動機は無く(個人的には重要ではある)、超常的な要素を抜かせば、本当に単なる恋愛ものレベルの個人的、あるいは日常的なものになるのだ。

現代の伝奇小説は、押しなべて超越的な広がりが無くなって来ていて、どんどん個人の物語になって来ていると言うことを指摘したのは笠井潔であったと記憶しているが(別に批判的な意味じゃなかったはず)、その意味ではこれはまさしく現代の伝奇小説のある種の極みであるといえるかも知れない。つまり伝奇小説日常系、あるいはオカルト日常小説。超常的な現象と超人たちがまったりと日常を過ごしつつ殺し合いをする話になるわけだ。そのミスマッチ感がけっこう斬新なことをやっているのかなあ、と思わなくも無かったりもしなかったりしましたが、まあ結局のところはそんなことはどうでも良く、魅力的な登場人物たちが織り成すキャラクター小説して絶品なのでとにかく面白いなあ、と。

とにかく書く事が無いので、我ながらどうでもいい事を書いているな…。

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2006.01.16

友情も愛情も根っ子は同じなんだよ、多分

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The MANZAI(1)』(あさのあつこ/ピュアフル文庫)読了。

あさのあつこが少年ものを書くと、そんじょそこらのボーイズラブ小説など目じゃないってくらいの男同士の友情が描かれていて圧倒される。もはや愛とかそう言う関係の一歩手前というか、女子が介入出来ない熱い魂のぶつかり合いと言うか、まあとにかくそう言うもの。

例によってこれもそんな話。「当たり前」であることに腐心する主人公が、無理矢理漫才の相方にさせられてしまった事から生じるドタバタと友情と成長が描かれる。なぜか恋愛が描かれないのだが、そこは友情が勝つわけですよ。女なんかいらねー、という世界。ありえねえ!こんな爽やかな中学生がいて良いのか!?まあ、あさのあつこの世界では良いのだ。

どいつもこいつも初々しくって可愛らしい奴らよ。飴玉をやろう。自分でも何を言っているのか意味不明だが、まあとにかく楽しかったことには間違いが無い。いつも陰惨でグロテスクな作品ばかり読んでいるので、たまにこう言う作品を読むと心が洗われる。

中学生という夢とか希望とか友情とかが本当に存在していると信じることが出来る黄金のように美しい期間を切り取った作品だと思う。

自分にはこう言う期間は無かったなあ。

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絶賛不調中

あまりにも調子が悪くて思考がまとまらない。というより物事が上手く考えられない。普段からとっちらかった思考しか出来ないのに、これでは支離滅裂な文章しか書けそうも無い。しかしそれすらもいつも通りのことであるといえばいつも通りのことだ。

1.『絶対可憐チルドレン(3)』 椎名高志 小学館
2.『ハヤテのごとく!(5)』 畑 健二郎 小学館
3.『のだめカンタービレ(14)』 二ノ宮和子 講談社
4.『忍法忠臣蔵 山田風太郎全集2』 山田風太郎 講談社文庫

1.まあ相変わらず。兵部少佐がなかなかいやらしい悪役っぷりで悪くないんじゃないでしょうか。しかし今にも石田彰の声で喋りだしそうなキャラではあるな…。
2.まあ相変わらず少年マンガとしてソツがなくて良いんじゃないでしょうか。駄目なご主人様とその従者って、性別を入れ替えれば普通のメイドさん漫画だよな。
3.お、ようやくお話が動き出したぞ。千秋とのだめの関係も着実に進展しながらも(もはやデレ期)相変わらずな関係が心地よかったけど、松田さんのオレ様ぶりがさらに面白かった。こんなに愉快な人だったのか。
4.なんか持っていなかった本が売っていたので買っちゃったよ。山田風太郎の本はもはや買わないという選択肢は無いのだ。

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2006.01.15

嫌い嫌いも好きのうち?

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蟲と眼球と殺菌消毒』(日日日/MF文庫J)を読んだ。

面白いか面白くないかで言えば、面白いけれど気に入らないな、これ。

別にヒロインが可哀想な目にあうのが許せないとか、登場人物が気に入らないとかそーゆー問題ではなくて、作者が言いたい事が気に入らない。

それは、一言で言うと、ぐだぐだぐだ言い訳ばかりしてんじゃねーよ、という感じの苛立ちに似ている。考えてみたら日日日の作品にはこの類いの苛立ちがいつも付きまとっていて、そのあたりが日日日作品を素直に褒められない部分なんだけど、その気に入らない部分が何かといえば、それは日日日の持つ”世界に阻害された事に対する理論武装”のやり方とか”盲目的な擬似家族関係への依存”とかがそれだ。そのあたりがいちいち癇に障る。

こう言うのは、多分に同時代、同世代的な問題であって、そうではない僕がどうこう言うのは非常に危ういことではあるのだけど、それでも、世界ってのはそんなに甘いもんじゃないし、あるいはそこまで無味乾燥では無いと、僕は思う。まあ「これが若さと言うものか」と言う事なのかもしれないけどね。

要するに日日日のリアルと僕のリアルが噛みあわないというだけだけど、そこに無視できないのは、やはり自分がかつてやって来た自己欺瞞と韜晦がそこにあるからなんだろう。つまり過去の悔やんだ失敗を、再び突きつけられていると言う事。だからそんな不愉快さを感じるのだろう。

ダッセエな、俺。

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誤解だっていいじゃない

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あらしのよるに(1)』(文:きむらゆういち 絵:あべ弘士/講談社文庫)を読んだ。

絵本として出ていた『あらしのよるに』シリーズの内、第三部までを収録。最近では映画にもなりましたね、見てないけど。

内容については散々語られているので省略。経緯は詳しくないのだけど、もしかしたらこの作品、シリーズ化は考えていなかったんじゃないかと言う気がする。第一部に当たる『あらしのよるに』は、お互いの顔を見えないまますれ違い続けるコミュニケーションがなぜか噛み合ってしまう緊張感が素晴らしい傑作であり、何より深く読もうと思えばいくらでも深読みできそうな奥行きが感じられるのだけど、第二部が始まるとテーマが変わっちゃっているような気がした。まあ、考えようによっては第一部のテーマを拡大、発展させたものと捉える事も出来るので、不自然とまでは言わないけれど。

この作品で一環して語られているのは、要するにコミュニケーションの問題なんだと思う。人と人は(ここでは狼と山羊だけど)わかりあう事が出来るのか、と言う事。相手には決して教えられない、あるいは教えたくない自分と言う仮面を被りながら、それでも関わりを求める事の意義を見出していく事なのではないか、と思った。

まあ、ぶっちゃけて言えば、コミュニケーションの本質と言うのは”誤解”なんだよ、ということなんじゃなかろーか。それは誤解と勘違いと思い込みを経て、相手のことを”理解”したと”誤解”するということでもある。その誤解を積み重ねる事で、人と人ははじめて繋がり合うことが出来るのだ。

んで、その誤解がこの先どうなるのか、誤解をさらに強固なものとしていくのか、あるいは脆くも崩壊するのか、あるいは崩壊から新たな概念を再構築するのか、どう言う結果になるのか非常に興味深いところなのだけど、どうやら二巻までお預けと言う事らしい。

…正直、まいった。先が滅茶苦茶気になるので、速く続きをお願いいたします。

終り。

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過ぎ去りし日々の後悔

ひぐらしのなく頃に 皆殺し編』を読了した。

……あー……(絶句)。

…まったくこの作品は、「あの時、ああしておけばよかった」とか「もっと上手いやり方があったんじゃないか」とかそう言う”悔い”をもつ人間の胸中にピンポイントで切り込んで来る。

何一つ上手くいかない、なんども失敗を繰り返す内に、少しずつ失敗を諦め、妥協し、無感動になって行く。そんな体裁の良い諦めに対して、実は全然納得していない自分を思い出す。

「何をやっても上手くいかない」事実を延々と積み重ねてきた”人生”の中で、初めて掴んだ果実。たとえそれが幻で終わろうとも、それでも掴んだという事実は変わらない。

はっ!前向きで健全で、全力を出して悔いは残さないってか?

素晴らしいじゃねえかよ。

畜生。

「生きる事に誠実であれ」って事、時々忘れそうになる。

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2006.01.14

評価と言うのは千差万別。だからこそ面白い。

世界史上の人物をコーエー数値化するスレまとめを読んでいたら時間を立つのを忘れる。歴史上人物を数値化するなんて簡単に出来るもんじゃないと言う意見もあるだろうけど、評者それぞれによって人物の事績の解釈に差があって、その違いを比べてみるのがめっぽう楽しい。

でも注意しなければならないのは、これはあくまでも評者の視点を通してみた判断であると言うところ。あまり鵜呑みにはしないで、自分で調べてみないとね。

でも、世界史に興味を持たせるという意味ではこれ以上のものは無さそうだ。こーゆーのを学校の教材にしてみたら面白いんじゃないかな、と思った。

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2006.01.13

ただひたすらにSFを愛す

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現代SF1500冊 回転編 1995-2005』(大森望/太田出版)を読んだ。大分前に読んでいたのに書き忘れていたぞ、と。

一応書評本に対して言うのが適切かどうか分からないけど、ぶっちゃけ面白かった。明らかに分かるやつだけ分れと言った書き方をされていて(まあ連載していた媒体が媒体だから当然ですが)、書評と言うにはあまりにも短すぎるため、SFに対して知識のない人が読むのにはまったく適さないけれども、知っていると、大森望の独断と偏見に基いた本の紹介や、SF内輪ネタなどが大変に楽しく読めるエンターテインメントとなって、単純に楽しく読めた。まあどっちにしろ書評としてはあんまり役に立たないけどな。

書評としてはともかく、とにかく膨大な量の作品(中にはSFじゃないのも入っている)が紹介されていて、中には凄く興味を引かれる本もあるものの、既に絶版だったりして非常にもどかしい。過去の名作も大分復刊されているけど、一体どうやって読めばいいんだよ…と思うようなものもある。

あーマジで読みてー、すげー読みてー。

これはアレだな。どんなに美味しそうでも写真は食えないと言うやつで、その意味では大変危険な本であると言う言い方も出来るでしょう。困ったもんだ(自業自得だ)。

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2006.01.12

『人形つかい』読了

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人形つかい』(ロバート・A・ハインライン/ハヤカワ文庫SF)を読んだ。

なんだこの表紙の精悍な男は。全然主人公のイメージとちがうじゃないか。だーまーさーれーたー。

と言うのはまあどうでも良いです。とにかく、名作を読もう活動の一環として読んでみた。いや、これがびっくりするぐらいに面白かった。まあやっている事は異星人侵略ものの王道なんですが、やっぱり自分達の周囲で、誰も気がつかないうちに入れ替っているかもしれない、と言うイメージは怖いよなあ。なんと言うか、未知と言うものの恐怖がある。スパイ小説の王道を行くような登場人物たちがSFパニックホラーに巻き込まれていくあたりなんか、なかなかにジャンル横断的な面白さもありましたね。

しかし、物語が後半になるとサスペンス的な部分がなくなって異星人と地球人のガチンコバトルと言う感じになっていて大笑いしてしまった。人間とは地球上でもっとも殺しの上手い生き物なんだぜ…って感じ。地球人が本気になりゃあ、異星人なんて目じゃねーよ、みたいな。まあバランスが悪いっちゃ悪いんですが、大らかな感じがして僕は嫌いじゃないですね。退屈だけはしない読書でした。

そういえば、今気がついたけど、この作品内では登場人物たちはほとんど裸で行動しているんだよな…。全然絵的に映えねえなあ…。

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2006.01.11

買わずに死ぬか、読めずに死ぬか、それが問題だ

買っても読めない本(どこに行ったか分からん)と言う本の存在意義は何か?という問題(単に積読ですよ)。

1.『ゾンビ屋れい子(3)』 三家本礼 ぶんか社
2.『ゾンビ屋れい子(4)』 三家本礼 ぶんか社
3.『ヨッパ谷谷への降下 自選ファンタジー傑作集』 筒井康隆 新潮社
4.『2002年のスロウ・ボート』 古川日出男 文藝春秋

1と2.前巻で暴虐の限りを尽くしたリルカがあっさりと復活したかと思いきや、いきなり奈落の底の突き落とされてボロボロになるが、そこから執念で這い上がり、人間的弱さを見せつつ大暴れをし、最期の時に地獄を目の前にしながらも不敵に笑って身を投じるリルカの姿に女王としてのプライドを見た。というか3巻と4巻はリルカが主人公ですねえ。
3.なんか筒井康隆が読みたくなった。何で?と聞かれると困る。聞かないで下さい。まったく予備知識無く買ってしまったが、もうちょっと選ぶべきだったろうか。まあいいか。
4.古川日出男の村上春樹トリビュート作品(だったっけ?)。なぜか単行本の時に買っていなかったので購入。しかし、原作の方は読んでいないのであった。買おう。

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2006.01.10

強いは正義(はあと)

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板垣恵介の激闘達人烈伝』(板垣恵介/徳間文庫)を読んだ。

人間って…鍛えれば素手で垂木を”切る”事が出来るようになるんだなあ…(本当)。

この世には本当に”達人”と呼べる人がいて、同じ空気を吸っていると言う事実だけで感動的ですな。垂木を素手で”切る”達人の他にも、都会のアンダーグラウンドで用心棒をやりながら、50対1を切る抜ける格闘家、年商数十億の企業の常務をつとめながら武術の達人とか忍者の末裔とか。ちょっとまて、冗談だろ?…え、本当?という驚きがある。ゴイスー。

なんつーか、板垣恵介は、本当に”強い”って事に魅せられているんだな。でも強いものに対して、恐怖しながらも賛美する平凡な人間としての視点を忘れないもの偉い。強さに対して嫉妬せず、無用に恐れず、卑屈にもならないというのは案外難しいものだと思う。

とにかく、達人たちのエピソードが余りにも面白すぎる。垂木を切るための秘訣は?と聞かれて、こともなげに「1500キロの速度で振りぬけばよい」(細部はうろ覚え)とか返してくるんだよ!達人は!どこの漫画だよ!

まあ、概ねそんな調子で、しかもこれが全部事実と言うんだから…達人と言うのは本当に凄い存在なんだなあ。人間である気がしないよ。

すげー面白かった!以上。

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2006.01.09

始まりは一つの絶望

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神栖麗奈は此処にいる』『神栖麗奈は此処に散る』(御影瑛路/電撃文庫)を読んだ。うーん、作者名を一発変換出来るうちのマシンは優秀だなあ(心底どうでもいい)。

ああ、これはなかなかちょうど良く分かり難くて良いのではないでしょうか。と言うわけで前作の”衝撃の”と言う形容詞とは関係なく、ふつーに面白い作品を書きそうな作家の二作目、三作目であります。うかうかとしている内に三作目までちゃったので、ついでなので両方併せての感想です。

前作はミステリーとして書かれていたが、今回はミステリ的なものから離れて、よりジュブナイル的な青春悲劇となっています。『神栖麗奈は此処にいる』においては、”神栖麗奈”と呼ばれる”親友”を巡って生まれるいくつもの悲劇を描き、最終的に”神栖麗奈”とは一体なんなのかと描いている。『神栖麗奈は此処に散る』においては、そのそも”神栖麗奈”が生まれるきっかけ(すなわち神栖麗奈の死)を巡る物語になっている。

これはそれぞれが密接に関係はしているものの、物語的にはむしろ切り離されている。続編と言うよりも姉妹作といった方が良いのかな(姉妹作…言っていてなんだが凄くしっくりくるなあ…内容的にも)。

どちらも不安定な時期における死への希求を扱った作品になっている。一人の少女の想念が、あるいは悪意、あるいは怒りが周囲に伝播していく様を描き、今此処にある現実からの逃避を促す存在として、それを肯定する神栖麗奈いる。

神栖麗奈をめぐり、多くの人間が自分自身の弱さに直面し、そしてほとんどの人間が敗れ去っていく。それは作者自身の意図と言うものが見え隠れするが、結局は、不安定な時にはすがるものが必要であり、それによって人間は容易く揺り動かされると言う事を描いているのだろう。現時点での作者は、現実よりも幻想を肯定する側面に傾いているけれども、それ自体は悪い事でもなんでもない。むしろ、その弱さを押し隠そうとする歪みが、これら事件の発端となっている、と言う事をなのだろうな。

それは、僕にとっては非常に納得の行くものであり、それならば人間はどのように生きていくべきなのか?というところが問題になるのだろうけど、今回の作品では語られていない。ただ、作者がこのようなテーマを描き続けるとするならば、その部分にも触れることになるのかも知れない。

この作家は、今どき珍しいくらいに自分の書く物語の”テーマ”を持っていると思う。こう言う題材に拘っているのって…電撃文庫は上遠野浩平以来かもしれない(いわゆる”青春”ってやつか。…ちょっと恥ずかしいなあ…と思う気持ちが恥ずかしいのだ!たぶん)。このあたりのテーマを突き詰めていけば、もっと凄いものを書いてくれそうな気がするので、個人的には応援していきたいと思う。

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エウレカセブンが素晴らしすぎる点について

や、安いなあ…。デューイの悪党っぷりが実に安くて小物で、それゆえに性質が悪くてたまりません。こう言う頭が悪くて分かり易い事を言えば言うほどに政治的なリアリティを増すと言う事を良く分かっていらっしゃる。あまりにもグロテスクな三流茶番には、その裏腹の説得力が素晴らしかったです。思うに悪党のアジテートアニメとしてはギレン・ザビの演説があまりにも有名ですが、エウレカセブンはその歴史に新たな一ページを付け加えたかな、と。単に演説だけじゃなくて、大衆の反応や映像的な演出、しかも終りの締めまで見事にアジテートを行っているのが画期的でした。すばらしい。

念のため言っておきますが、心の底から褒めています。

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2006.01.08

狂っているのはお前か俺か

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発狂した宇宙』(フレドリック・ブラウン/ハヤカワ文庫)を読みました。

やっぱり名作と呼ばれる作品は、名作と呼ばれるだけのものはありますね。とても面白かった。

SF雑誌の編集者をしている主人公が、月ロケットの爆発に巻き込まれてもう一つの地球に飛ばされてしまう事から物語は始まる。そこは、異星人と戦争との戦争が勃発し、何もかもが変貌した世界だった…という話。

要するにパラレルワールドものの元祖ですね。”もしも”1940年代に人類が宇宙へ進出が可能となったなら…?というIFから始まるもう一つの世界の描写が、実に微に入り細に渡って行われているのはさすが。たった一つの”もしも”から生じる齟齬は大きく、主人公は似ているようでまったく異なる常識を前に、幾度の無く命の危険に晒されてしまうというところはまさしくパラレルワールドものの醍醐味と言えましょう。

クスリとするようなユーモアも素晴らしく、常識の違いから生じるトラブルに右往左往する主人公の姿は、かなり状況的に絶体絶命のはずなのに、なぜか可笑しみが感じられるのも良い。

しかし、最後の結末は都合が良すぎるよ。さすがにそれは…と呆れるが、そういうぬけぬけとした所も好ましく感じられてしまった。なんか騙されている?まあいいか。

とにかく、緻密かつ強引な世界観、緊迫しながらも奇妙に愉快な冒険譚、宇宙規模の大法螺に騙される快感を存分に味わえました。しかし、50年以上も前にこんな完成度でパラレルワールドものを書いてしまったフレドリック・ブラウンとは、本当に凄い作家だったんだな…。けっこう好きな作家なわりに、全然知らなかった。この調子で他の本も…と言いたいところだが、ほとんど絶版なんだよな。

ハヤカワさん、よろしくお願いしますよ。

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歴史はロックンロールで出来ている

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ロックンロール7部作』(古川日出男/集英社)を読んだ。

20世紀のロックンロールを中心に語り(騙り)直した作品。『ベルカ~』に比べると、大法螺の割合が飛躍的に上昇していて、非常に寓話的な印象を受けた。また語り手である女性の軽妙な語り口も含めて、相変わらず騙り(語り)たいことのために、非常に多くの言葉を費やし、工夫を凝らしているように感じられた。

古川日出男は、昔から音楽をテーマに小説を書いている。純粋なる”悪”とすべてを流転させる”音楽”の対決を描いた『沈黙』、ヒートアイランドと化した東京を舞台に”生存”する少年と少女を描いた『サウンドトラック』など、古川日出男は音楽のもたらす力を描き続けている。古川日出男の言う音楽とは、決して特定のジャンルを意味するものではなく、人間が”生きる”時に生じるなんらかのエネルギーの発露、つまりは生きていくと言う行為そのもの(つまりは生存、サバイバル)に付随するもののように思える。それは楽器を持つ必要さえ無く、ただ、人間が生きていこうとするときに、そこに音楽は立ち現れると言う事なのだろう。

この作品も、まさしくその”音楽”の物語だ。謎の語り手”あたし”が雑多な知識と豊かな想像力で、過ぎ去りし20世紀をロックンロール=音楽=生存の世紀として語り尽くす。それは、とあるポップ・スターの音楽がアフリカ大陸の、ラジオすらない土地に届く物語であり、ブルースの魔力が人から人へ繋がり行く物語であり、バラバラになったロックバンドと50年前の故郷の味が結びつく物語であり、無限に彷徨を続ける少年の物語があり、エルヴィス・プレスリーとヒーローについての物語もあり、連綿と続く戦いと音楽の物語だって、20世紀の最後の生まれた少女と自我を表現したい少年の物語だってある。

そこに在るものは、繋がりゆく人と人の生存であり、それぞれの生存が別の人の生存に繋がり行く。その意味を表すものが音楽であり、その音楽は、実の所、実態として存在するものではなく、個人の内部の中で生まれ、誰かに繋がり、それぞれが名付けるのだ。自分達が生きた証として。あるいは過去、あるいは未来に生きた(生きる)誰かの証として。

いつか出会う未来の誰かのために、”彼女”は語り、音楽を流す。

これはただそれだけの話なんだろう。

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2006.01.07

見えそうで見えない日本的エロス

かどうかはわかんねーけどさ。

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ROOM NO.1301(7) シーナはサーカスティック』を読んだ。

”その後”の展開はともかく、”現在”での姉上様としては最後の出番っぽいなあ…。この巻で、ほぼ”その後”に繋がる背景は出揃った感があるので、これ以上は大きな波乱は無いように思われる。ここ数巻のプッシュはそう言うわけか。

その一方で、シーナを中心とした物語はどのような終りを見せるのかが今一つ見えてこない。前回の終わり方では全然相互の関係に決着も結末も無かったので、まさか終りではないだろうと思ってはいたが、何事もなかったようにシーナが戻って来たと言うのは、これは今まで佳奈に対してのみ意識が向かっていた日奈が、ついに健一と向き合う事になったと言うことなのだろうな。佳奈の心を射止めたい、しかし、そのために健一を切り捨てられるのか、という葛藤を抱え込むことになる…のか?まだそこまで行ってはいないかな。

健一は健一で千夜子と曖昧な関係が、少しづつ明確になりつつあるような感じもあるし、重複する三角、四角関係は、蛍子がいなくなったとは言え、まだまだ続きそうだ。

ただ、それぞれが、少しづづ、本当に少しづつ答えを見つけつつあると思うので、間違いなくこの物語は終りへ向けて動き出してはいる。まあ、あくまでもシーナ編が、と言う事ではあるけれど。今後は、冴子や刻也の物語へと続いていくものと思われるので、そうするとあと5巻ぐらいは終わりそうも無いな。まあ、のんびりと続きを待つことにしよう。

しかし、そんなにのんびりとしか進まない話なのに、ちっともマンネリ感を感じさせないのは本当に凄いな、この作品。多分それは、ゆっくりとではあるが、物語そのものはまったく”停滞”をしていないということなのだろう。時間の流れは平等に、そして無慈悲に流れていく。彼らの現在は、否応なしに未来へと押し流されていく。問題はいつまでも保留には出来ず、いつかは結論を出さなくてはならない。猶予期間はいつかは終わる。

その事実を踏まえているからこそこの物語は緊張感を失わないのだろう。

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ライトノベル的なお約束の高度な結実

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さよならトロイメライ(5) ノエル・アンサンブル』(壱乗寺かるた/富士見ミステリー文庫)を読んだ。タイトルに意味は無い。なんか「読了」と言うのに飽きただけです。

しかし、エロい表紙だなあ、と(最初からそれか)。時節柄クリスマスを意識しているんでしょうが、こんなサンタさんはいねー。絶対いねー。

そんなことはどうでも良いんですが、ようやく主人公の出生の秘密が明らかにされて、彼自身の物語が始まってきたのかなと言う印象ですね。しかし、この主人公の脳内は早とちりと空回りで構成されているらしくて、あっちこっち走り周り空回りで全然話がすすまない。ただ、この話が進まない理由の一つとして、そもそもこの作品は異常に登場人物たちが多い上に、それぞれが独自の思惑をもち、しかもその思惑が明らかにされない(あるいは分かり難い)ために、それぞれが勝手に主人公を助けたり、妨害したりするので、主人公の全然預かり知らぬところで(主人公のために)バトルが繰り広げられたり、主人公に関係の無いところで(主人公を巡る)駆け引きが行われたりと、まったく主人公が物語に関われない、あるいは排除されているためではないかと思う。

ヒロインは可愛いし、男たちは格好良いのだけど、そう言うところがなんと言うか不思議と言うか、あまりに類を見ないライトノベルのような気がしました。

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2006.01.06

意識が時おり断絶するような日々

いや、単に眠いだけですが。とっとと寝ます。

1.『神栖麗奈は此処に散る』 御影瑛路 電撃文庫

なんかごちゃごちゃと新刊が出ていたけど、とりあえずはこれだけ。電撃文庫、富士見ミステリー文庫のその他新刊については、他の方の感想を見てから考えます。他力本願?まあ、そうですね。

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2006.01.05

『GOSICK(5) -ベルゼブブの頭蓋-』読了

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GOSICK(5) -ベルゼブブの頭蓋-』(桜庭一樹/角川ミステリー文庫)を読了。

あー…なんも感想が出てこない。無理矢理感想を言うならば、ヴィクトリカは相変わらず可愛らしいですなあ、と言う事と、一弥は着実にヒーロー(ヴィクトリカ限定)の道を歩み始めているなあ、と言う事なんですが。他に何を言えばいいんだ?

これは別に貶しているつもりは全然無くて、桜庭一樹はキャラクターの描写が大変上手くて、特に主人公の二人の関係が、これまでの物語を通じて少しづつ素直になって、歩み寄っている姿をきちんと描いているのが大変の好もしいと感じるわけです。そこがこの作品の肝であると思うのですが、じゃあミステリはどこ行った?しらねーよ。作者に訊いてくれ。

ただ、この作品は、ヴィクトリカの父親を始めとして、ただそこに在ることのみを求め続けられる彼女の、その運命から逃れることの試みを続けていくと言う事がひょっとしたらテーマなんじゃないかと言う気がしてきました。いつもの桜庭一樹のテーマの変奏曲とでも言いますか(しかしそうすると、我々オタクがヴィクトリカ萌え~とか言っている行為は、まさしく彼女のキャラクター性を消費し、欲望の玩具にしているわけであり、少女を巡るテーマと見事にぶつかり合うわけですが、作者はそのあたりどこまで自覚的なんだろう。んー…単に仕事として割り切って書いているのだろーか。それはそれでイヤだなあ)

それはともかくとして、ついにヴィクトリカの父親、母親が出てきたり、なんだが物語は着実に動いているとは思うのだけど、さて、どこに着地するのかちっとも見えてこないなあ。多分、これからヴィクトリカの母親が握る秘密が中核になるのだろうけど。さて。以上。

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『シナオシ』読了

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シナオシ』(田代裕彦/富士見ミステリー文庫)読了した。

相変わらず富士見ミステリー文庫で一人で気を吐いている田代裕彦の新刊でございますよ。論理的に正しいのか、と言う点にはちょっと判断が出来ない。だって、今回の出来事でループを否定してしまったわけだけど、そうすると前回の『キリサキ』の話はなんだったんだ、と言う事にならないか?『キリサキ』のようには展開しえないと言う事にならないのか?なんか要素を見落としているのかなあ。

あるいは、それすらも続き(あればだけど)で回収される伏線であると言う可能性は否定出来ないところが、かの作者の可能性ではないかと思う。戯言だけどね(いつもそうだが)。

過去に遡り別人となって蘇った主人公が、自らが犯してしまった犯罪を未然に防ぐため、すなわち”為直す”ために奔走をするのがこの物語なのだけど、別人の体を長く使いすぎたせいで、以前の自分の記憶をほとんど忘れてしまう事から話がややこしくなる。断片的な記憶を頼りに捜査を進める主人公と、時おり断片的に挿入される”僕”の視点を交互に見せていくことで、読者の最後のラストシーンに繋げていくという展開なんだけど、いやいや、見事に騙されたよ。

トリック自体は説明されれば、前述のとおりそれで良いのかという気もするのだが、まあ納得は出来る。それよりも作者は読者をミスリードさせるのが上手いなあ、と思った。僕のパートなどみえみえの伏線だったのだけど、予想の斜め上をいかれた。これは前作を読んでいるほど引っかかりやすいので、その意味でも上手い。続き物の利点を上手に使っていますね。

と言うわけで今回も楽しめた。次も楽しみであります(オチは無い)。

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何とかしたい日々

結局、楽に生きるためには楽に生きるための努力が必要なんだよなあ。

1.『アイシールド21(17)』 原作:稲垣理一郎 漫画:村田雄介 集英社
2.『魔人探偵 脳噛ネウロ(4)』 松井優征 集英社

1.例によってアイシールド21。熱いなあ…あまりににも熱いジャンプ漫画で、なんかもう登場人物たちが立ちまくりのかっこよすぎ。なんなんですか、この漫画は。少年漫画的な過剰さだけでなく、勝負事の理を大事にしているバランスも素敵だ。
2.……あー……なんていうかそのー…ぶっちゃけ過ぎですよ…。ヒステリアのもはや推理物の皮すら脱ぎ捨てたぶっちゃけぶりもさることながら(しかも、なんか格好良さげに締めているし!)、まあ、その、「僕の国」を連呼しすぎな某外国人については、何といったら良いのか途方にくれると言うのか、そもそもなんと言う概念なのかを激しく問い詰めたいと言うか…えーと、とにかくこの作者はすげえなあ、と。

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2006.01.04

『鴉-KARASU-』を見た

テレビ神奈川でやっていた『鴉-KARASU-』を見たんですが…なに、このシグルイ。

ヒーローアニメの格好良さを極限まで突き詰めた結果生まれるありえないほどのバカ格好良さ!クール&スタイリッシュを極めすぎて、半ばバカ(それも超ド級の)の領域に足を突っ込んでおります。

もうね、ありえねっつの。ストーリーはわけわかんねっつの。わからなすぎて三回も見ちゃったよ(バカだよ)。見ている最中もあまりに作画が動きすぎで脳内から変な汁が出そう。アドレナリンとか。
 
 
もう、スタッフはすでに正気の沙汰ではありませんね(超褒めています)。

DVDも買います。

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生きるという事を苦痛としか受け取れない精神構造

僕は、あらゆる現象を己の苦痛として受け取ってしまう自分自身の怠惰を憎悪する。

すべては自業自得なんだよね。

1.『ダークタワーⅠ -ガンスリンガー-』 スティーブン・キング 新潮文庫
2.『ダークタワーⅡ -運命の三人-(上)(下)』 スティーブン・キング 新潮文庫

今日はスティーブン・キングの日だ。今決めた。
キングのファンタジーの方向に振れた作品らしいのだけど、西部劇でダークファンタジーなんて、執筆当時としてはあまりに新しすぎます。さすがキング。ライトノベルみたいだ(こっそり)。

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2006.01.03

『がるぐる!(上)』読了

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がるぐる!(上)』(成田良悟/電撃文庫)読了。テンションたけーなー。

と言うわけで『島』シリーズ三作目にして完結編。犬たちが、猫が、殺人鬼が集いて最後のお祭騒ぎの幕開けですな。今まで出てきた登場人物たちが総出演の大活躍…とまではこの巻では行かないんだけれども。今回はまずは舞台づくりで、登場人物と舞台が設定され、さあいよいよ!というところまで。まあ成田良悟の作品はみんなこんなもんだ。言うなれば、お祭とはお祭の前日までが一番面白く、そしてわくわくするようなもので、この作者の作品では、その部分の描写に長い長い時間を割くのは特徴的かもしれない。勿論その判断は正しいわけで、お祭が始まってしまったら後は終わるだけな分けだから、まずはその準備を楽しみましょー、というわけ。続きが気になって仕方がないけど、それを待つ楽しみも含めて成田良悟の作家性といえるのかも知れないなあ。

とは言え、祭の前日まででストップさせすぎ。確か『デュラララ!』も『ヴぁんぷ!』も”祭の前日”でストップしているんですが。ちゃんとお祭を書こうよー。

ん?今、ふと思ったが、ひょっとして成田良悟って、”お祭の前日”が書きたい作家なのか?いつまでたってもお祭にたどり着かない、あるいはお祭が終わったらすぐに新しいお祭の準備をする、みたいな。この人の作品は、次から次に伏線が張られて終りがないもんなあ、そういえば。

うーん…この人、きちんと物語を終わらせられることができるんだろーか…。その意味でも次の巻は興味深い。

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『ガンパレード・マーチ 5121小隊の日常(2)』読了

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ガンパレード・マーチ 5121小隊の日常(2)』(榊涼介/電撃文庫)読了。あー…おもしれえなあ。

ノベライズ云々としてより、純粋に小説として面白いんじゃないかと思っている榊涼介のガンパレ小説、まさかの続刊であります。てっきり完結したのかと思っていたけど、まさか日常編の続きが出るとはなあ。多分、ゲームの続編が出たことが主な理由であるのだろうけど、そうすると続編のノベライズも榊涼介がやってくれるってこと?それは嬉しいなあ。ゲームの方は買うかどうか分からないけど、小説は絶対買うよ!(ん?)

で、まあ内容について。特に言う事がない(えー)。まあ大体にしてゲームの設定をこれでもかと流用し(ノベライズだから当然だけど)、キャラクターも異常に多い作品なんで、一見さんには踏み込めない領域になっております。もし興味がおありであれば、『ガンパレード・マーチ エピソード1』からどうぞ。ゲームを知らないても面白い。
ついうっかり宣伝してしまった(別に電撃文庫の回し者と言うわけではない)が、結局のところ、絶望的な戦場に兵氏として配属されてしまった少年少女たちの、お気楽で極楽で絶望的な日常を描いた作品なんで、そーゆーのが好きな人のは楽しめるんじゃなかろーか。ノベライズの宿命ゆえに、説明的な描写が多かったり、キャラクターの描写が一部ぎこちなかったりする事はあるけど、個人的には概ね許容範囲か。

今回もなかなか楽しくて良かったと思う。本当に一見さんには向かないけど。

そんな感じ。

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『座敷童にできるコト(3)』読了

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座敷童にできるコト(3)』(七飯宏隆/電撃文庫)読了。ふつーに面白い。

と言うか良くも悪くも普通の作品だよなあ。ライトノベル的にもSF的にも普通になっちゃって、今のところどちらにも振り切れていない印象がある。というか、ライトノベル的には大分後退していて、登場人物たちは(行動も考え方も)どんどん普通になっていて、一見、いかにもライトノベル的過剰さにまみれたキャラクターが、その実、その奇矯さのうらにあまりに人間的な葛藤や、思いやりを隠し持っていたりするので、そのあたりはラノベ的ギャグとしては弱点なのだけど、作者の書きたい事と言うのはそう言う”人情”の世界なんだなあ、と言う事を感じた。やっぱりこの人ライトノベルに向いてなくね?僕は嫌いじゃないけど。

期待のSF的展開は、古事記の国造りを踏まえたうえでのSF的な宇宙創造に向かいそうな気配はあるが、どーもこの調子だとどえらい大風呂敷までは行かなさそうな気もする。どちらかと言うと神話的人物たちの愛憎劇に展開していくのかな?いや、それはそれで面白そうな気もするけど。まあ今後の期待って所ですかね。

なんだかんだと言って、けっこう嫌いじゃなかったりするこのシリーズ。主人公がまったく動かないのだけど、そろそろ真面目に動かないとどうにもならなくなりそうな気がするぞ。頑張れ。以上。

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2006.01.02

『春待ちの姫君たち』読了

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春待ちの姫君たち』(友桐夏/コバルト文庫)を読了。

『白い花の舞い散る時間』で大方の読者の度肝を抜いた作家のデビュー二作目ですね。あんな作品がコバルト文庫で出たと言う事がまず事件だったわけですが、この作品を読んで、どうやらこの作者は一発屋ではなかったことがわかって一安心。というか意外と堅実な作風の持ち主のような気がしてきた。

例によって最初は普通の少女小説のような印象から始まるけど、段々と「あれ?」と言う違和感を与えながら、しかし、最初はその謎を明らかにされる事無くあっさりと終わったように見える。だが、舞台が変わって新たな人物が配されるやまたしても違和感、不信感を感じはじめ、色々と予想をさせながらも結局は僅かに予想を交わして物語は決着する。

まさしくこれは一作目で見せた”少女小説”と”ミステリ”の良質な融合であり、また”それ以外の何か”が含まれた不思議な作風であるように思った。

ミステリである事と、少女小説であることがまったく相反していないと言うところでこの作者の重要なところであり、ミステリとしての謎と少女たちの葛藤の結びつけ方が抜群に上手い作家だと思う。多分、ライトノベル全体(コバルト文庫をライトノベルの中に含めるならばだが)を見ても、これほどのレベルで実現している人はいないんじゃないかと思う。

何はともあれ、今後の活躍が楽しみであり、名前だけで買う作家が増えたなあ。

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なんで本屋はバーゲンをやんないんだよ

この辺をなんとかしないと新古書店が流行るのはしょうがないだろうなあ。

1.『シャングリ・ラ』 池上永一 角川書店
2.『蒲公英草紙 常野物語』 恩田陸 集英社
3.『エンドゲーム 常野物語』 恩田陸 集英社
4.『どんがらがん』 アヴラム・デイヴィッドスン 殊能将之:編 河出書房新社(奇想コレクション)
5.『へうげもの(1)』 山田芳裕 講談社
6.『Poca felicita'』 Revo(Sound Horizon) マーベラスエンターテインメント

さて今年の初買いは上記のとおり。ハードカバーが多くて高いわ重いわで大変だ。
1.世の中には読む前から傑作だとわかっている作品があるのだけど、これなんかまさにそんな作品。あらすじと設定だけで激烈に面白そう。ヒートアイランドが進んで森林化した東京に建設されている超々積層都市<アトラス>のイメージだけで御飯3杯はいけます。これでつまらなかったら犯罪だと思う。
2.久しぶりに恩田陸を買った。3が出ていたもので、なんとなく常野物語が読みたくなっため。これは生まれながらに超能力の持った一族、常野の人々を主人公にしたシリーズで、恩田陸を『常野物語』を知った人間ゆえに思い入れは強い。
3.2と同じ理由で買いました。
4.あちこちで褒められていたもので興味を持ったもので購入。基本的に、僕が好きな作家が好きな作家と言うのは大抵僕自身も好きになれることが多いため、内容については全然不安は無いね。
5.織田信長の配下でありながら”美”を賛否する数寄者である古田左介の、美と武に翻弄される日々を描いた異色戦国漫画。超おもろい。なんか異様にクールでスタイリッシュな漫画で、とても戦国ものとは思えません。
6.ガンスリンガーガールのイメージアルバム。あー…正直に言って良い?いい加減、Sound Horaizonには飽きた。毎回毎回同じ音楽しかつくらねーんだもんなー…。どれもこれも似たり寄ったりの印象で、正直音楽ごとの区別がつかない。んー…どんなもんだ、これ。

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2006.01.01

あけましておめでとうございます

さて、今年の目標は…『全力で取り組む』と言う事にする。「これでいいや」じゃ駄目なんだよ、やっぱり。

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『つきのふね』読了

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つきのふね』(森絵都/角川文庫)を読了した。

いいな、この本。これはとても良い本だよ。

これはどうしようもなく生きることに困難を抱えている人たちが、その困難さを抱え込んだままで生きて行くことを選んでいくと言う話で、結局はつらい事ばかりの人生で、この物語が終わったところで何一つ事態は好転せず、結局は生きることの困難は続いていくのだけど、それでも、もしかしたら生きることは、なんとかなるのかも知れないという希望、あるいは祈りがこの本にはある。しかしそれは、単独で、個として生きることの困難さを物語っており、たとえ自分がつらくても、そのつらさを救い上げるのは本人には難しいと言うことにもなっている。ならば他人ならば救えるのかと言えば、これがまた誰かを救うと言う事は、他の誰かが出来る事などはほとんどなく、結局のところ救う事などは出来ないということも物語っている。それでもなお、他の誰かを救う事が出来るのか?出来るとするならばどうすれば良いのか?と言う事が述べられているのだけど、結局は、これは”言葉”であるということなのだろうか。人は一人で生きることは困難で、しかし、人は誰かを助けることも困難で、そもそも自分すらも救うことは難しいのだけど、一人ではないと言う事をせめて伝えるために”言葉”によって”意志”を伝えようとする。意志をもって語ると言う事のみが、自分と、そして他人を結びつける事に繋がるのではないか。

読みながらそんなことを考えた。

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