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2006.01.08

狂っているのはお前か俺か

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発狂した宇宙』(フレドリック・ブラウン/ハヤカワ文庫)を読みました。

やっぱり名作と呼ばれる作品は、名作と呼ばれるだけのものはありますね。とても面白かった。

SF雑誌の編集者をしている主人公が、月ロケットの爆発に巻き込まれてもう一つの地球に飛ばされてしまう事から物語は始まる。そこは、異星人と戦争との戦争が勃発し、何もかもが変貌した世界だった…という話。

要するにパラレルワールドものの元祖ですね。”もしも”1940年代に人類が宇宙へ進出が可能となったなら…?というIFから始まるもう一つの世界の描写が、実に微に入り細に渡って行われているのはさすが。たった一つの”もしも”から生じる齟齬は大きく、主人公は似ているようでまったく異なる常識を前に、幾度の無く命の危険に晒されてしまうというところはまさしくパラレルワールドものの醍醐味と言えましょう。

クスリとするようなユーモアも素晴らしく、常識の違いから生じるトラブルに右往左往する主人公の姿は、かなり状況的に絶体絶命のはずなのに、なぜか可笑しみが感じられるのも良い。

しかし、最後の結末は都合が良すぎるよ。さすがにそれは…と呆れるが、そういうぬけぬけとした所も好ましく感じられてしまった。なんか騙されている?まあいいか。

とにかく、緻密かつ強引な世界観、緊迫しながらも奇妙に愉快な冒険譚、宇宙規模の大法螺に騙される快感を存分に味わえました。しかし、50年以上も前にこんな完成度でパラレルワールドものを書いてしまったフレドリック・ブラウンとは、本当に凄い作家だったんだな…。けっこう好きな作家なわりに、全然知らなかった。この調子で他の本も…と言いたいところだが、ほとんど絶版なんだよな。

ハヤカワさん、よろしくお願いしますよ。

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