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2005.12.17

『十兵衛両断』読了

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十兵衛両断』(荒山徹/新潮文庫)を読んだんですよ。普通に伝奇時代小説としても面白いけど、柳生と朝鮮にたいする有り余るほどの愛が大変面白いにゃー(語尾を付与する事により安易かつ手抜きなキャラ立てを行おうとするも、そもそも発想自体が安易なので効果は見込めず。シット!いや、それはともかく)。

まあ実のところ愛と言っても良いものか…。とにかくあまりにタイムリーな、タイムリーすぎる内容となっておりますので、下手な紹介をすると政治的な意図に取られかねないのだが、僕にはそのような意図はまったくございませんのであしからず。新潮社よ、しかし、よりにもよってこんな作品を平然と、いかにも時代小説でござい、と売り出すとはなかなか懐の深い出版社だと思ったことよ。

各話感想
「十兵衛両断」
表題作からこんなんか。
柳生の麒麟児、十兵衛が韓人の妖術の罠に落ち、肉体を奪われると言うのも大概だが、そこから起死回生の復活を賭けのた打ち回る十兵衛の底なしの絶望が冷静な筆致で描かれている。その意味ではドシリアスな話なんですが、十兵衛の肉体の方の話とかよくよく読んでみるとなんだかおかしい。韓国の大学教授の文献だとかを詳細に取り上げ、いかにも信憑性ありげに語っておいて全部嘘かよ!「講釈師、見てきたように嘘を言い」とはまさにこの事だ!!萌えー。

「柳生外道剣」
ある意味朝鮮に対する愛が炸裂している冒頭から(しかし…この作者は韓国が好きなのか嫌いなのか?)剣術、妖術が入り乱れてひたすらチャンチャンバラバラやっているだけの作品で大変頭が悪いです(褒め言葉)。相変わらずどこまでが本当なのか分からないもっともらしさがあまりにも可笑し過ぎる。バーカバーカ(大絶賛)。

「陰陽師・坂崎出羽守」
大阪城より家康の娘、千姫を救出した坂崎出羽守は韓人だった!!で始まる素晴らしき宗矩萌え話。すげー、全編宗矩、とにかく宗矩。しかも、この宗矩が腹黒くで陰険で計算高くて、しかし、ここぞと言うところで失敗すると言う世間一般における宗矩像(スタンダード宗矩)であり、そのあまりの純粋宗矩ぶりには全国100万の宗矩ファンにとっては垂涎と言っても良いお話といえるでしょう!ちなみにこの短い文章の中で宗矩と言う単語が出てきたのは8回(いや9回)です。どうでも良いけど。

「太閤呪殺陣」
恨の力でもって豊臣秀吉を呪殺する!と言う話。一体朝鮮とはどう言う国だ…。荒山徹の話を全部信じると、妖術、妖物が渦巻く人外魔京としか考えられないんですが…。とにかく朝鮮新陰流というキーワードがすべて。あと父と子の対立とか。とにかく、父と子の対立がいつのまにか日本の存亡をかけた戦いに発展してしまっているスケールのインフレがたまらない。凄いよ。

「剣法正宗遡源」
うひゃひゃひゃひゃ。すげー、すげーよ。日本の剣法の源流は、すなわち朝鮮にあり!日本の文化のすべては朝鮮が発祥であり、すなわち朝鮮の文化は世界一ィィィィィー!!できんことは無いイイィィィ!!!(途中でジョジョが入った…)という朝鮮大使。勿論プッツン切れた宗冬達と、朝鮮柳生との間で血で血を洗う戦いが始まった!!という話か思ったら違って、僕の予想の斜め上を越えてすっとんで行ったよ!マジで?何でこんな話書けるの?もー作者は馬鹿か天才のどちらかですな。どっちも似たようなものだけど。
これしかし、これやばくね?見る人が見たら怒らね?面白いからいーけど。

あー面白い。こんなに血沸き肉踊る伝奇小説を読んだのも久しぶりだし、ここまでぶっとんだアイディアを惜しげもなく使い倒す作者の姿勢もすげえ。さすが大森望と北上次郎が面白いと言っただけのことはある…(「読むのが怖い!」で言っていたような気がする。気がするのかよ!と自己ツッコミ)

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