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2005.12.15

『蠱猫 人工憑霊蠱猫01』読了

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蠱猫 人工憑霊蠱猫01』(化野燐/講談社ノベルス)を本の山の中から発掘したので読んでみた。

なかなか面白い。作者と作品の間に距離を感じる文体といい、結構僕の好みな作品。文体にもおよそ遊びが少なく硬質な印象を与えるけれども、僕の嗜好からするとむしろ好ましいぐらい。やっぱり幻想を描こうと言うからには、なるべく媚の少ない文章が良いと思う。ま、簡単に言えば分かり難い文章の方が良いということだけど。分かり易いものにはやっぱり神秘は宿らないと思うのが僕の持論ではあるけれど、一般的な意見ではないは承知している。悪かったな偏屈で(虚空に向かって悪態をつく)。

話が壮絶にずれた。

01と振られているだけあって、一冊では話が全然終わっていないのはなんとも評価に困るなあ。また一見キャラクター小説風の体裁を整えている割には中身は全然そんなことがなくて、アクションとか伝奇的な展開も無いことも無いけど、なぜか奇譚集とでも言うような雰囲気になっているのはこの文体のなせる技なのかな。また読書とファンタジーに対する愛着が感じられて、その意味でも個人的には嬉しい。本に囲まれた幸せと言うのは、ジャンルは違えども確かに僕の中にあるし、それらの幻想が僕のどこかにあるということも確かな事だ。本と言うものは、ただ存在するだけで異界への扉となりうると考えは、決して珍しい発想ではないけれども、この世ならぬどこかに繋がって欲しいという読み手の感傷(そう、感傷)を誘うものだ。

この作品は正しい意味で幻想小説だと思うのは、そうした幻想に憧れる感情が、読者である僕の感情と地続きであり、僕の幻想もまたその中に含まれているというところである。まあ回顧趣味と言われればそれまでの事だけど。

と言うわけで、個人的には大変良い作品だと思います。続きも早く読もう(また発掘しなくては…)。

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