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2005.11.09

『少女には向かない職業』読了

さて久しぶりに感想を書きます。ちょっと簡易更新が続くかも。


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少女には向かない職業』(桜庭一樹/ミステリ・フロンティア)を読んだ。

正直、感想を書くのに困っている。桜庭一樹の地方都市を舞台にした「少女」のお話なのだが、今回描いている少女の問題について、どう言語化すればよいのか戸惑っている。

桜庭一樹の描く少女の話はいつも同じで、現実と言うあまりに理不尽な障害に対し、砂糖菓子の弾丸しか持ち得ぬ少女たちが、それでも現実に銃を突きつける話だ。

なるほど、主人公の少女には飲んだくれの義理の父がいる。かつて優しかったそれは、少女に降りかかる理不尽そのものであろう。主人公は、それに怒り、憎悪し、殺意を抱く。どうしようもない現実に抗おうとする。そこまでは桜庭一樹の描くいつものネガティブライトノベルである。

しかしこの物語では、主人公はあっさりとこの障害を乗り越えてしまう。砂糖菓子の弾丸が現実の壁を打ち破ってしまう。なんて薄弱な現実か。主人公でなくてもこんなにあっさりと、と感じてしまう。正直呆気に取られてしまった。何にもペナルティもなく、何一つ理解される事もなく。

ところが。ところがである。あっさり乗り越えたはずの主人公の元に、更なる障害が現れるのである。新たな現実が。新たな理不尽が。

そして、少女はそれにも立ち向かっていくのだ。乗り越えれば乗り越えるだけ高くなる壁に対して、砂糖菓子の弾丸ではなく、現実の凶器で、鉄で。必死で。

そうしていつかは力尽きる。果てしなく高くなる壁に対するドン・キホーテたる少女は、壁を乗り越えて自由に羽ばたこうとする少女たちは、必ず途中で矢折れ力尽きる。なぜならば少女の手には鉄の凶器は重すぎる。少女の手には向かない。

この物語は、あと一歩ですべてから抜け出せた少女たちの、墜落の物語なのだろう。二重三重に拘束された少女たちの戦いと挫折の物語であるのだろう。ただ、僕には、少女たちの閉塞が、どこか曖昧で捉えられない存在であるかのように思えるのだが…。

結局、少女たちが目指したものはなんだったのだろう。

そんなことを考えた。

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コメント

「読了」キター!

実はやっと島原半島の端っこにも
PHSのアンテナが建ちまして。

圏内フォー

というわけでお待ちしていたのでございます。

転校の多かった私も、高校(だけ)は
島原地方の実家(から歩いて5分)のガッコに
通っていたのでなんか閉塞感に親近感というか…
あと力尽きるとことかもわかりすぎる;;
悲しいっス…うわあん

投稿: もりもり | 2005.11.11 03:42

どうもご無沙汰でした。ようやく仕事が暇に…はなっていませんが、まあ気分は楽になったかな。

まあ、個人的には、これは本来は挫折の話ではなくて、たとえ挫折するので合っても、それでもなお世界に憎悪を叩きつける少女たちの話なんだろうと思っているんですが…。ちょっと良く分からないんですわ、この話。

投稿: 吉兆 | 2005.11.12 01:00

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