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2005.10.22

『滅びのマヤウェル その仮面をはずして』読了

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滅びのマヤウェル その仮面をはずして』(岡崎裕信/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。

これは大変良い奈須きのこ系小説ですね。大変楽しめました。

つくづく奈須きのこがライトノベル業界に与えた影響と言うのは大きいと思う。奈須きのこ以前、以後と言うのは確かに存在するようで、奈須きのこの出現以降では、その独特な言い回し、拘りまくった造語、隅々まで構築された世界法則などが目立つようになったと思う。それが単純に奈須きのこの模倣なのか、あるいは地下に潜っていたのが表に出てきたのか、それとも読み手が何でも奈須きのこに結び付けたがるようになったのかは分からないけれども。多分全部かな。なんにせよ、奈須きのこの系譜(と言ってしまうのは本当は乱暴にすぎるのだが、便宜上こう呼ぶ)作品には実のところあまり感心はしないのである。奈須きのこの文章と言うのは、実のところ悪文すれすれと言うかそのものであり、洗練には程遠い。また造語や世界観の設定は、かなりの自己満足性というか、いわゆる設定そのものに溺れる傾向があってあまり感心出来ない。ただ僕が奈須きのこを高く評価するのは、基本となる「おはなし」の部分に対する愚直なまでの拘り(主人公のテーマ、その葛藤、克服、周囲にいる人々、それぞれの人生)にすさまじい労力を傾け、しかもその組み合わせ方が絶品であるのだ。僕は奈須きのこの魅力と言うのはそう言うところにあると思っている。だから文章とか、世界観とか真似をしても駄目なんだと思うのです。

この『滅びのマヤウェル』は確かに文体、言い回しなどの部分で奈須きのこの影響がある(ように僕には思わされる)。しかし、単に上辺だけの模倣に終わるのではなく、主人公に課せられたテーマ、葛藤がきちんと機能していて、(まあ、やや軽薄過ぎるが)キャラクター間の関係と闘争がテーマを結びつきあっているところに、奈須きのこの正しい影響が見られると思った。同時に奈須きのこの抱える弱点である「物語を描く事の下手さ」が出てしまっていているように思う(…本質的には物語が下手なんだよな、奈須きのこって)。とは言えそれほど気になるところではなく、読み進めていくうちにむしろ味になっていくので問題はない(これも奈須きのこと似ているなあ…)。

まあ、これで作者が奈須きのこの文章に触れた事がないって話になったら恥ずかしいがね。まあそんなことは無いかな。
 
 
 
 
は!?感想を書こうと思ったのにいつのまにか奈須きのこ論になっている!?内容を全然書いていないよ!えーとえーと、上では奈須きのこの模倣だ、と言っているみたいだけど、実際にはそんな事はありません。僕はラストバトルに入るまで、奈須きのこの影響があるなんて気が付きもしなかったので。表面的な部分は上手く自分なりの文体に消化させているということなんだろうな。上のは全部後で思い返してみれば、ということですので、そのあたり誤解なきよう。
この作品にはこの作品の個性と言うか独自性はきちんとあり、何が言いたいかと言えばタマと真綾のどっちが好きーと聞かれたら力強く「両方!」と答える準備があり、あとユーキも大変に良いのでむしろ三人でっ!すいません、ローキックで沈めないでくださいごめんなさい作者様。

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コメント

3通りの推測。たぶん全部該当ってトコ(論調)に
すごく共感しました……
今回のがamazonの書評に載ったりしたら[参考になった]連打しますよw

まるできのこ先生への恋文のようです。

(恥ずかしいセリフ禁止!? Σ( ̄□ ̄

投稿: もりもり | 2005.10.22 21:45

奈須きのこ論としてはともかくこの本の書評としては全然参考にならないと思いますが…と思わず苦笑。

しかし、奈須きのこへの恋文…いやほんまや。自分の文章を読み返してみて、あまりの気恥ずかしさに悶え苦しんでおります。今更消せねー。はずかちー。
 

投稿: 吉兆 | 2005.10.22 23:51

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