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2005.10.28

報告と本日の購入物

最近仕事がどうしようもないほどに追い詰められているのでしばらく潜伏します。やるべき事、やらざるを得ない事が山ほどあってどうしようもない。精神的にも大分切羽詰っているので。決して『Fate/hollow ataraxia』を買ったからだとか『ワンダと巨像』を買ったからとかそう言う理由ではなく。いや本当に。買ったけど。
まあ、息抜きに更新する事もあるかもしれないが、基本的には不定期で。まあ一週間くらいでなんとなると思うけど。

1.『20世紀少年(20)』 浦沢直樹 小学館
2.『最強伝説黒沢(7)』 福本伸行 小学館
3.『ホーリーランド(11)』 森恒二 白泉社
4.『プリンセスの義勇海賊』 秋山完 朝日ソノラマ

1~3はいつもの奴。1.浦沢直樹は本当に伏線の張り方が格好いいなあ。2.黒沢さんはある意味ヒーロー過ぎるので読んでいるこっちがハラハラしますよ。もうちょっと落ち着きなよ…無理か。3.男にばかりもてる(いや変な意味じゃなく)主人公にようやく春が。しかしちと唐突な気もする…。
4.懐かしき未来を描くSF作家、秋山完の久しぶりの新作であるが、相変わらず本を読める精神状態ではないので積みっぱなし。ちょっと深刻だなあ…。

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2005.10.25

『本日の購入物』

体調絶賛不良中。眩暈と吐き気の大盤振る舞いでコーヒーも飲めないどうしようもなさ。酒すら飲めん。

1.『平成武装正義団』 山口貴由 リィド社
2.『アンダー ザ ローズ』 船戸明里 幻冬舎

1.まったくもう山口貴由は…。あまりにも臓物とフリークスと機械を反骨剥き出しに描くものだから、やっぱりすぐに打ち切られたようです。こーゆー昔の作品を読んでいると、最近は山口貴由も巧妙になったものだなあと思う。炸裂するロック魂を上手く漫画的なお約束に落とし込めるようになったというか(まあそれでも十分異常な作品なんだけど)。
2.ヴィクトリア朝のとある貴族の家庭を舞台にしたお話。優しい父、厳格な母、そしてその子供達のお話なんだけど、とにかくこの漫画が凄いのは、穏やかで優しい光に満ちた暖かい家庭を描いたと思えば、その裏腹に暗黒の深遠に満ちた孤独と憎悪を描いていると言う点である。光が強ければ強いほど、影もまた濃いものなのだ。とにかく超オススメ。

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2005.10.24

本日の購入物

今日は体調が最悪なので簡単に。

1.『ピルグリムイェーガー(5)』 作:冲方丁 絵:伊藤真美 少年画報社
2.『いばらの王(6)』 岩原裕二 エンターブレイン
3.『うしおととら(14)』 藤田和日郎 小学館文庫

1.久しぶりに見たなこれ…。一体5巻を出すまでに何年かかっているんだと言う以前に、何年もかけているのに未だに一話冒頭に話が戻らないと言う構成は…。ようやく次の巻くらいで一話に届きそうではあるが。ながかったぜ…。
2.どこまでもB級テイストを保ち続けたまま、テンションを落とさずに物語を終わらせた手腕は見事。つーか、これは一巻からまとめて読むべき作品だよなー。
3.特に言う事はありませんが、このあたりの話は全部好きだなー。つか標が出てくる話は全部好きなんだけどさ。

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『椿山課長の七日間』読了

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椿山課長の七日間』(浅田次郎/朝日文庫)を読んだ。

浅田次郎らしい実にソツのない面白さだなあ。中年の哀愁に義理人情の浪花節、挙句の果てには健気な子供の話までぶち込んだ泣かせ技の百貨店ぶりはさすがです。そのくせ泣き小説特有の押し付けがましさが無くて、からりと爽やか、適度に下品とまったく骨の髄までの大衆作家ぶりがクレバーだ(褒めています)。

ただまあ、僕の趣味からすると、小説の楽しむポイントでちょっとジェネレーションギャップを感じるかな。なんつーか、全体的に漂うおっさん的な下品さが、びみょーに気になると言うか。つか、主人公の目線は実にいやらしいよね。オヤジだね。あと子供の描き方が、あまりに幻想が入りすぎていてくらくらします。なんですかこのピュアドリーム・マイサン(適当)な感じのお子様たちは…。こんな子供いねーよ。

まあ、そう言うところをスルー出来れば大変面白い作品ではあるかな。

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2005.10.23

久しぶりにエウレカセブン

折り返し地点も回ったと言う事で、ひさしぶりに『交響詩篇エウレカセブン』について書いてみる。

結論から言うと現時点では傑作じゃないかと思うし、今後においても傑作になりうる作品だと思う。

注意しないといけないのは、これは全50話を通してみてからでないと評価するわけにはいかない作品であると言う事かな。各話は、主人公のレントンというどうしようもないまでに子供である主人公の少年期を描いているのであって、少年期であるからには、むやみな憧れや失敗やときどきの成功と多くの挫折を味わうのは当然なのだが、この作品は視聴者に対しても、レントンの愚かさや誤りを、それを乗り越えられると言うカタルシスを約束する事無く描いていると言う点で贅沢な作品であると思う。人間なんて不合理の塊みたいなもので、精神状態によってそれまで出来ていた事が出来なかったり、その反対があったりして、必ずしも真っ直ぐ成長できるかと言えばそんなんじゃないわけで。むしろ一歩進んで二歩下がる、みたいな事を繰り返して生きているわけですよ。落ち込むのに理由は要らないんです。もしかすると成長するのにも理由なんて要らないんです。ビルドゥンクス・ロマンと言うのは、そう言う説明できない過程を単純化して普遍的にしているわけで、実のところ現実的ではない(いや、嫌いじゃないんですが)。エウレカセブンでは、そう言うお約束事を出来うる限り廃して、本来語り尽くせない部分と言うものに対して真摯に取り組んでいるように感じられます。だから物語が進むのに延々と時間がかかる、と。

まあ、レントンとエウレカが仲良くなるまでに26話かけたっつーところがすげえよ、単純に。喧嘩をして仲直りするのに10話以上かけているしな…。この迂遠さこそがまったく実にたまらなく面白いと思います。彼らの関係を描くのにはこれくらいの時間が必要だったんだろうなあ。

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2005.10.22

『滅びのマヤウェル その仮面をはずして』読了

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滅びのマヤウェル その仮面をはずして』(岡崎裕信/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。

これは大変良い奈須きのこ系小説ですね。大変楽しめました。

つくづく奈須きのこがライトノベル業界に与えた影響と言うのは大きいと思う。奈須きのこ以前、以後と言うのは確かに存在するようで、奈須きのこの出現以降では、その独特な言い回し、拘りまくった造語、隅々まで構築された世界法則などが目立つようになったと思う。それが単純に奈須きのこの模倣なのか、あるいは地下に潜っていたのが表に出てきたのか、それとも読み手が何でも奈須きのこに結び付けたがるようになったのかは分からないけれども。多分全部かな。なんにせよ、奈須きのこの系譜(と言ってしまうのは本当は乱暴にすぎるのだが、便宜上こう呼ぶ)作品には実のところあまり感心はしないのである。奈須きのこの文章と言うのは、実のところ悪文すれすれと言うかそのものであり、洗練には程遠い。また造語や世界観の設定は、かなりの自己満足性というか、いわゆる設定そのものに溺れる傾向があってあまり感心出来ない。ただ僕が奈須きのこを高く評価するのは、基本となる「おはなし」の部分に対する愚直なまでの拘り(主人公のテーマ、その葛藤、克服、周囲にいる人々、それぞれの人生)にすさまじい労力を傾け、しかもその組み合わせ方が絶品であるのだ。僕は奈須きのこの魅力と言うのはそう言うところにあると思っている。だから文章とか、世界観とか真似をしても駄目なんだと思うのです。

この『滅びのマヤウェル』は確かに文体、言い回しなどの部分で奈須きのこの影響がある(ように僕には思わされる)。しかし、単に上辺だけの模倣に終わるのではなく、主人公に課せられたテーマ、葛藤がきちんと機能していて、(まあ、やや軽薄過ぎるが)キャラクター間の関係と闘争がテーマを結びつきあっているところに、奈須きのこの正しい影響が見られると思った。同時に奈須きのこの抱える弱点である「物語を描く事の下手さ」が出てしまっていているように思う(…本質的には物語が下手なんだよな、奈須きのこって)。とは言えそれほど気になるところではなく、読み進めていくうちにむしろ味になっていくので問題はない(これも奈須きのこと似ているなあ…)。

まあ、これで作者が奈須きのこの文章に触れた事がないって話になったら恥ずかしいがね。まあそんなことは無いかな。
 
 
 
 
は!?感想を書こうと思ったのにいつのまにか奈須きのこ論になっている!?内容を全然書いていないよ!えーとえーと、上では奈須きのこの模倣だ、と言っているみたいだけど、実際にはそんな事はありません。僕はラストバトルに入るまで、奈須きのこの影響があるなんて気が付きもしなかったので。表面的な部分は上手く自分なりの文体に消化させているということなんだろうな。上のは全部後で思い返してみれば、ということですので、そのあたり誤解なきよう。
この作品にはこの作品の個性と言うか独自性はきちんとあり、何が言いたいかと言えばタマと真綾のどっちが好きーと聞かれたら力強く「両方!」と答える準備があり、あとユーキも大変に良いのでむしろ三人でっ!すいません、ローキックで沈めないでくださいごめんなさい作者様。

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『ノエイン』第2話を見た。

ノエイン もうひとりの君へ』の第2話を見たんだけど、2話目にして余りに絵が違うのには思わず笑ってしまった。びっくりしたなあ、もう。あと前回の予告でやってたシーンが無かったような気がするんだけど…(「右腕を持っていかれた!」ってやつ)なんかの記憶ちがいか?

<追記>
ビデオに録画していたのを見返したらちゃんとシーンがあった。一番最初だったのか…ちょうど見逃していたようだ。とりあえず絵が違いすぎて別のアニメになっているところはかわらんな。次回予告では元に戻っているようだけど。

ま、まさか隔週で絵が入れ変わるとか!?それはないか。

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2005.10.21

本日の購入物

なんかここ最近の自分の日記を見ていたら、異様に「、」が多くてびっくりした。自分で書いていてなんだがもの凄く読みにくくて、読み手の事をまったく考えていない文章だなあと思った。どうやら僕は体調が悪かったり精神的に追い詰められていると文章にすぐに反映するらしく(しかもそれを自覚していない)、過去の文章を読んでいると当時の精神状態がすぐに分かるので、その意味では本の感想ばかり書いているこのブログも日記の役割は果たしているのだなあ。役に立つのは僕限定ですが。

1.『もやしもん(2)』 石川雅之 講談社
2.『シュヴァリエⅠ』 原作:冲方丁 漫画:夢路キリコ 講談社
3.『パラケルススの娘(2) 地下迷宮の王女』 五代ゆう MF文庫J
4.『ゴーレム×ガールズ』 大凹友数 MF文庫J

1.なんか一巻目と全然違うな…表紙が。思わずスルーするところでした。あぶないあぶない。内容についてはいつものとおり、とある農大での変人たちの日常が描かれているのだが、主人公が基本的にまともな奴なのでどんどん影が薄くなる。まあ真の主役は”菌”なのだが(相変わらずA・オリゼーはかわええのう…)。
2.冲方丁関連の本も久しぶりに出たような気がします。『蒼穹のファフナー』以来か(早くアニメもちゃんと見よう…)。ところで女装の騎士、デモン・ド・ボーモンを主人公にすると言うのは結構面白いところを突いてくるよなあ。ゴシック趣味なところや、冲方氏特有の科白回しを除くと至極当たり前の変身ヒーロー(ヒロインか?)漫画になるわけですな。ところで敵対するのが「詩人」と言うのが最初は良く分からなかったけど、風刺詩人と言うところで納得した。己の偏った思想=毒を撒き散らす存在としての詩人なわけですか…微妙に危険なネタのような気もする。ところで表紙のシュヴァリエを良く見てみる違和感が…。…あ!胸がある!!…と言う事は、つまりこれはシュバリエ=スフィンクスじゃなくて、リア本人なわけですね?
3.五代ゆうがわずか5ヶ月で新刊を出すだと!?ありえねえ!!!…と言うのはお約束のツッコミ。まあ相変わらず本が読めないのだがとりあえず買っておく事にする。しかし、謎なのは表紙の女の子は誰だってことなんだが…。
4.MF文庫Jの新人の中であえてこれだけ買ってきた理由は、なんとなく駄目人間小説の香りがしたためである。僕は昔から駄目人間小説が好きで、とりあえず滝本竜彦の『NHKにようこそ』は傑作だと思っている類なので、こーゆー雰囲気に弱いのであった。そういや中島らもの小説もそうだな…。

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2005.10.20

『戦う司書と恋する爆弾』読了

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戦う司書と恋する爆弾』(山形石雄/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。

うーむ…これは…凄いよなあ…(絶句)。読んでいる最中に吠え声を上げた小説は久しぶりでございます。マジで凄いぜ、この本は。

物語を構成する世界から要素までが読者の予想をひっくり返す爆弾のようなもので、出てくるアイディアからストーリーまでが鮮烈なイメージを残している。キーワードを上げてみても「神立パンドーラ図書館」「爆弾人間」「世界最強の武装司書」「神溺教団」「すべての死者が本になる」「射程距離30kmの投石器」「半径50kmの触覚糸」「数百年の時を隔てた純愛」「1000年先までの予知能力」…。もうキーワードだけでも魅力的なこと極まりないのだが、こんなキーワードを組み合わせて、この作者はとんでもない物語を紡いで見せる。遠い夕日の中で出会った(出会わなかった)恋人達の、お互い思う心だけが生み出した物語であり、恋人達の物語が武装司書たるハミュッツ=メセタを巡る闘争に取り込まれ、あるいは食い破るその物語は、単なる成長小説でもなく伝奇小説とも言えず、純愛物語であるとも言い難く、しかもそのすべてであるという予測もつかない内容になっている。

久しぶりに『衝撃のデビュー作!』と言う形容が相応しいライトノベルに出会いました。はっきりに言って、僕が付け加えるべき内容など何もないし、何も語れないのだが、ただただ、これは僕の好きな作品であるという事だけも述べる事にしてこの感想を終わりたい。

実を言うと、この倍くらいの意味不明な電波文を書いたのだけど、さすがに意味不明な感情が暴走し過ぎているので没にした。ちょっと、この作品は僕の嗜好にヒットしすぎる。冷静になれねえなあ。

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本日の購入物と…

ここしばらく小説を読む気が起こらない。これは凄く珍しいことで、小説を読まずに電車に乗るなんて何年ぶりだろうというぐらいに珍しい。まあ、小説以外の本は読んでいるのだけれども。

1.『野獣は眠らず(1)』 高橋秀武 集英社
2.『発狂した宇宙』 フレドリック・ブラウン ハヤカワ文庫SF
3.『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原万理 集英社文庫

1.やべえ、凄く面白い。この作者は荒木飛呂彦のアシスタントか何かかな?絵がとてもよく似ているのだけど、それだけでなく、サスペンスを基調にしたストーリーテリング、奇妙に芸術的な構図、不気味なユーモラスさなど見事に荒木飛呂彦の魂を受け継いでる。読んでいて久しぶりにわくわくした漫画だ。
2.小説を読む気が湧かないってのに買ってしまう。フレデリック・ブラウンは星進一と並んでショートショートのすばらしさを僕に教えてくれた作家で、非常に愛着がある。小学生の時に読んだ『さあ、気ちがいになりなさい』とか大好きだったなあ…。
3.あらすじと冒頭を眺めた時点で妙に面白そうだったので買ってしまった。小説を読む気が(以下略)。まあ、いつまでこの状態が続くのか分からないけど、そのうち読むと思う。

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2005.10.19

『今夜、すべてのバーで』読了

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今夜、すべてのバーで』(中島らも/講談社文庫)を読んだ。

アルコール中毒と薬にやたらと詳しくなれる一冊である。内容はほとんど中島らもの実話であって、小説と言うのはフィクションのフィルターがかかっておらず剥き出しの印象がある。また、アルコール中毒者のある種凄惨な日常を描いているものの、渇いたユーモアがあるのはいかにも中島らもらしいところだ。おかげで厳しくもつらいリアルな入院生活がなぜかエンターテインメントになってしまうところに不思議な面白さがあるように思った。なんかこのあたり吾妻ひでおの『失踪日記』に似たところがあるなあ。

その分、小説としての意味合いが薄くて、延々とアル中についての薀蓄が語られ続けるというだけの事もあり、小説と読むとさっぱりなのだが、逆にノンフィクションとして読めば大層面白いので、その部分、読み手に左右されるかもしれない、と思った。

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『狂乱家族日記 参さつめ』読了

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狂乱家族日記 参さつめ』(日日日/ファミ通文庫)を読んだ。

面白いが相変わらず評価が難しい。
この本一冊だけならば何の問題も無く楽しめるのだが、前巻からの続き物として読むといきなりおかしくなる。この巻に入って、いきなり鳳火が凶華に対して「愛している」とか言い出すのは一体何事かと思った。前巻までそんな素振りはまったく無かったよなあ…。まあ、設定的な面では鳳火が凶華を気に入っており、凶華はツンデレだというのは理解できるのだが、それをはぐぐむ過程が完璧に抜け落ちているので唐突な印象があるのだが、日日日作品において、その類の説明不足(多分、日日日の中では自明なのだろう)は今に始まったことではないのでつっこむべきでは無いのかもしれない。が、プロなら読者を想定して欲しいなあ…。

まあ面白かったが。実は単品としては2回も読み直してしまうほど気に入っている作品ではあるのだ。それだけに惜しいと思う。

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2005.10.18

感想について

しばらく読んだ本の感想が貯まりに貯まっているので(20冊ぐらい)、特筆して語りたい作品以外は骨子のみで済ませようと思う。別に読んだ本の感想を全部書く必要はないのだが、なんかどの本についても喋りたいことと言うのはあるのだよな…(だから本当は不本意だ)。まあ、とりあえず宿題が無くなるまでそんな感じで。

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『池袋ウエストゲートパークⅣ 電子の星』読了

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池袋ウエストゲートパークⅣ 電子の星』(石田衣良/文春文庫)を引き続き読む。

相変わらず恐ろしいまでの読みやすさ。ありえねえ。その代わり、読んだあとで内容が全然思い出せないのは僕の記憶力の減退したせいだけとは思えないところもある。まあ良いけど。

特に語るべきことも無いけど、中でも「ワルツ・フォー・ベイビー」がなんか好きだった。息子が死んだ原因を探ってくれ、と頼まれたマコトが暴いてしまったやりきれない現実、というのは良くあるネタなんだが、それをライトハードボイルドにまとめて人情話にまで持っていったところに作者の器用なところが出ていると思った。

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『池袋ウエストゲートパークⅢ 骨音』読了

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池袋ウエストゲートパークⅢ 骨音』(石田衣良/文春文庫)を読んだ。

一、二巻を読んだものの、その上手さは認めるものの今一つ物足りない感があって読んでいなかったのであるが、妹に貸してもらったのをきっかけで読んでみた。まったく流行に流され追ってしょうがないなあああ面白い。

まったく相変わらずいやらしいくらいに上手くて、おしゃれかつクールな内容になっている。主人公たちの問題はあまり現実には密着しているのかよくわからんが(少なくとも僕とは無縁だな)、しかし、この世のどこかでは存在しているような適度の距離感が絶妙で、読者のわけ隔てなく感情移入させられるところが石田布良の強みか。

ただ事件そのものは実にシンプルかつ単純で、ひねりはあまりない。まあひねりすぎてはミステリになってしまうので、このあたりのさじ加減がちょうど良いのだろう。ただ、骨音なんて、タイトルでネタバレしている上に、3分の1を読んだ時点で真相から結末まで大体読めるのには閉口した。まあ、そう言うところを読む話じゃないんだろうな…。

面白かったけど、後には何ものこらないという意味では、見事な意味でライトノベルだと思った。

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『本日の購入物』

世間では『萌え』やら『オタク』やらが市民権を得つつあるようでもあり、テレビをつけても萌えがあり、Webを見てもオタクがあるのだが、とりあえず見ていて痛々しいというか居たたまれないというか、お前ら、本当は萌えもオタクも嫌いなんだろ、な?みたいな感情が透けて見えるので(まあ、僕の被害妄想かもしれないが)本当に勘弁して欲しいというかとにかくうぜえ。

1.『魔法先生ネギま!(12)』 赤松健 講談社
2.『からくりサーカス(39)』 藤田和日郎 小学館

1.女子中学生!パンツ!拘束!スク水!(は実現しなかったが)とサービス過剰なネギまですが、そう言う萌え要素というかサービスを除けばごくまっとうな(しかし職人芸の)成長物語であり、しかも群像劇であるのだが、特筆すべきはそれすらも一要素にすぎないと言う事だろう。巨大かつ高密度のキャラクター漫画ってことなんだろーな。とにかくパンツだらけだった。それはそれでよし。
2.すさまじい豪腕と言うか、もはや矛盾も無理もすべてをねじ伏せクライマックスに持っていくのは長年の漫画家生活の賜物と言うか、長編漫画を書き続けてきた百戦錬磨ぶりが現れているように思ったが、とにかく勝くんと鳴海が出会うまでいつまでかかるんだと思うのはなぜかというと、3巻で分かれて以来一度も再会していない二人が出会うのが真のクライマックスであって、現在のフェイスレスはただのかませ犬に過ぎないというのは物語上の必然なのだが、それでもなお圧倒的なクライマックスを手加減なしに紡ぎ上げる藤田和日郎と言う作家には畏敬の念を禁じえない。常に全力だな…。

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2005.10.16

見ているアニメ

我輩も世間一般で呼ばれるところのオタクであるからして、それなりにアニメも見ているわけですが、最近のアニメの氾濫ぶりにはもはや置いてきぼりにされている感が強く、時代は変わったなあと思う次第である。新時代のオタクにはHDレコーダは必須だな…(まだ持っていません)。

そんなわけで、僕が今期見ているやつ。

ノエイン もう一人の君へ
第一話から(ゆえにか)すさまじい映像。動きも凄いが世界が変わる瞬間のビジュアルのイメージか格好良い。どこまで続くのかはわかんねーけど。

BLOOD+
プロダクションIGらしく、実に手堅い印象。映画版、小説版(両方とも観たし読んだ)と違って実に一般受けしそうな内容になっている。ゲームに近い内容かなあ(持っています)。藤咲純一氏らしい、非常にウェットな話になっていきそうだ。

現時点ではこの二つだけ。他になんか面白そうなのあるかな。

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『アルスラーン戦記(11) 魔軍襲来』読了

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アルスラーン戦記(11) 魔軍襲来』(田中芳樹/洋伝社)を読了。

まちにまった6年ぶりの新作。もはや待っていることさえ忘れていたよ…。
とは言え、久しぶりに読んだアルスラーン戦記は、相変わらず面白かった。これだけ時間が空いていれば、作者、も読者の変質は避けられないところであるのに、以前と変わらないで楽しめるというのは一体どういう事なのかと思えば、それは僕の一部にアルスラーン戦記という領域が常にあって、僕の一部と分かちがたく結びついているせいであろうと思う。

と言うのは、僕が『アルスラーン戦記』を読み出したのは小学生が中学生のころだったと思うのだけど、読んだその時の印象が強烈で、一時期は何を読んでも田中芳樹と比べてしまうという時期があって、今ではそれほどでは無いけれども、田中芳樹と言う作家が僕にとって非常に重要な存在である事は間違い無い。未だに心のどこかには田中芳樹の小説を、繰り返し思い描いているような部分があるので、たとえ間が空いたとしても、さほどのギャップを感じる事も無いのだろう、と思う。

まあ、一時、田中芳樹が全然新作を書かなくなって、薬師寺涼子シリーズしか書かなくなってから、しばらく読むのを止めていた時期があったけど。ちょっとあのシリーズは肩の力を抜きすぎで(あと、知ってか知らずが科白回しがわざとらしいので)あんまり好きではなかったのですなあ。まあ、今読むと結構高度な事をしているのが分かるのでそんなに嫌いでもないのですが。

全然感想を書いていなかった。簡単に書く。
磐石な治世を送るパルスと反比例して、動乱に揺れ動く周辺の国々の権力闘争が前巻に引き続き描かれている。ギスカールやヒルメスなど、今までアルスラーンの敵役として描かれていた人物達が、それぞれの野心を果たすために不敵に、かつ華麗に活躍するところがたまらなく格好いい。特にギスカールが君主としての冷酷さ、人間的な野望、欲望が入り混じっているあたりがいい。しかも、生き残りフラグも立ったようだし、結構作者に愛されているような…。ヒルメスも、とある美女との出会いから野望を実現させていくところなど、お前はどこの英雄譚の主人公か、と言わんばかりの活躍ぶり。なんかヒルメス、一皮剥けましたね。
そんなことよりも大変に読者として結構なのは、エステル嬢の再登場ですか。次巻はパルスに向かうようで、アルスラーンとの再開が期待されるところであります。

とまあ、相変わらず登場人物が魅力的で、その活躍を楽しむだけでも楽しいのだけど、とうとう(ようやくか)蛇王ザッハークの復活が間近に迫っているようで、一体物語としてはどのように決着をつけるのかが気になるところです。まさか蛇王が復活して、それをアルスラーンが退治して終わり、何て事にはならないだろうしなあ。…いや、なりかねんか?

正直に言って、蛇王ザッハークとその一党たちと言うのは、本当に今更というか場違いなやつらだと思う。人間の時代が紡がれているそのときに、魔道の時代に引き戻してどうするんだっつーの。混乱はさせることが出来ても、この一党には新たな時代を作るような器量は無いな。だってただのテロリストだもん。というわけで、蛇王自体はあっさり退場するに一票。わからんが。

まあ、なんにせよ次巻に期待だ。また6年後とかにならなければいいが…。

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2005.10.14

『橋をわたる』読了

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橋をわたる』(伊鳥りすと/角川ホラー文庫)を読んだ。

去年だか一昨年だかに購入にして、それっきり存在を忘れていた本を、つい最近発掘したので読んでみた。なんでこれを買ったのかすら覚えていないのだけど、読んだあとも何で買ったのか理解できなかった。ねえ、何で?(しらねえよ)

つまり、何が面白いのかが良く分からなかったと言う事なんだけど、まあ内容について話すとすると、血を舐めるとその血の持ち主の記憶が垣間見えるという能力を持った主人公が、とある事件を解き明かすという話なのだが、結局、作者が何がいいたいのかわからない内に読了してしまったというのが正直なところ。そもそも変に語尾を延ばす良く分からない文体に引っかかってしまったところから、ちょっと読めないかもとは危惧していたのだけどね(文章が気に入らないとそれだけで内容に興味がなくなってしまうところが、僕にはある)。

結局、クライマックスシーンにおけるベッドにしても、被害者の少女の過去にしても、それが演出的にピンと来なくて明かされたところで「ふーん」としか思えないのは読み方を間違えたって事なのか。むう。

ただ気になるのは、この物語は、主人公の回想として語られていて、しかも、主人公はその時点で後戻りの効かない世界に踏み込んでいるらしいという事、そして、誰かに語りかけるように物語を紡いでいるらしいという事か。結局、それがいかなる意味を持つのかが最後まで明らかにされなかったけど、果たして伏線として機能しているものなのかなあ。続きが出ているという話しは聞かないが…。

まあ、そんな感じです。正直に言って、あまりに良く分からないのだけど、まあそう言う本もあるということで。一つよろしく(誰に言っている)。

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2005.10.13

『銀盤カレイドスコープ Vol.5 ルーキープログラム:Candy candy all my rules』読了

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銀盤カレイドスコープ Vol.5 ルーキープログラム:Candy candy all my rules』を読んだ。なかなか面白かった。

ヒロインのタズサは、よく性格最悪のヒロインと(作中でも書評でも)呼ばれる事が多いけど、実は今まで、タズサの性格が悪いと言うのがどうにもピンと来なかったというのが正直なところだった。確かに口は悪いが言っていることはまともだし、他人を中傷する事もないし、自負は強いが実力あってのことだし、むしろ結構バランスが取れた人格だと思っていたのだけど、この巻を読んでタズサが何で作中で嫌われているのか理解できたように思う。同時に、そう言うところこそがタズサの魅力であると言うのも再認識した。

タズサと言うヒロインは、自分の目指すもの、自分が人生の中で可能性を追い求めていくべきものがはっきりと見えてしまっているのだろうと思う。自分の中で価値観が完成されているから他人の意見にも左右されないし、他人の価値観についても、尊重はするけれども干渉はしない。そのあたりは当たり前の事だと思うのだけど、ただ、彼女は、本人も言っているように実力も美貌も兼ね備えているある種の超人であって、それ以外の人々はそうではないと言うのが問題なんだろうな。
平凡な人間(例えば僕)が他人の価値観を無視して、自分の価値観のみで行動を起こしたら単に排斥されるだけだが、彼女のように非凡すぎる存在が自分の価値観で行動したら、それだけで凡人は自己を否定されてしまうように感じるし、そりゃ嫌われもするよな。まあ、彼女自身は別に他人の価値観に興味は無いのだけど、周囲の人間はタズサの価値観を無視できないというのが最大の不幸といえましょう。

内容についても、価値観の対立から生じて、最終的に、桜野タズサ容赦せん!とばかりにルーキーを本気で叩き潰すタズサが最高に冷酷非情でたまりません。この調子で世間に喧嘩を売りまくり、凡俗な小人の嫉妬を蹂躙していって欲しいと思います。やっぱりタズサはこうじゃないとなー。と言うわけで、大変楽しかったです。まる。

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本日の購入物

1.『決定版 カムイ伝全集(1) 誕生の巻』 白戸三平 小学館
2.『決定版 カムイ伝全集(2) 斬首の巻』 白戸三平 小学館
3.『ソウルドロップ奇音録 メモリアノイズの流転現象』 上遠野浩平 洋伝社

1と2はなんとなく買ってしまった。読んだ。いや、すげえな白戸三平は…。圧倒的なまでに理不尽な差別、憎しみが憎しみを呼ぶ殺し合いの螺旋をすさまじい密度で描いている。かと思えばおよそありえない超展開があったり(二巻の首切りだよ…)、とにかく常人のなしえる業ではない。まあ、天才と言うよりも、非常に頭の良いクールな印象がありますね。
3.まあ、例によって上遠野浩平。出版者は違っても、ブギーポップの共通する世界観は同じのようで。ついに共通したキャラクターも出てきた。寺月恭一郎は、どこにでも出てくるなあ。

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2005.10.12

『光≒影 シャドウライト』

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光≒影 シャドウライト』(影名浅海/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。

うーん、キャラクターと言い、物語の展開といい、100%普通のライトノベル。特に物語の紡ぎ方がぎこちなくて、こう言う小説はあんまり評価できませんね。と言うわけで、以下あまり褒めていないので、好きな人には申し訳ない。

主人公である双子の姉弟のキャラクターそのものは別にかまわないのだけど、それぞれが抱える葛藤とその乗り越え方があまりにもぎこちなく感じてしまった。結局、弟の光輝の目的と言うのは父親に対する意趣返しであるはずなのに、それにたいしてちっとも真剣に取り組まないので物語がまったくしまりが無い。また途中で出てくる黒幕っぽいやつも、主人公の葛藤になんら寄与していないので、お前は一体何しに出てきたんだとツッコミたくてしょうがないし。結局、なんやかんやで光輝が頑張って何とかなんてしまうんだけど、なんでそうなったのか全然納得いきません。

結局、物語が物語として機能していなくて、単に場面毎に繋ぎ合わせただけに留まっているのが最大の問題なんだろうなあ。一つの場面(一幕)があって、さらに別の場面があって、それぞれの場面が繋がりが感じられない、と言うのは我ながら抽象的過ぎるな…。上手い言い方が思いつかないのだけど、つまり、伏線とかそう言うものを大事にして欲しいぜってことで。

ただ、主人公である双子のラブラブ姉弟愛ぶりは、結構悪くないような気もする。場面の繋ぎ方とかが気にならないで、甘々カップルぶりに萌えられる人は楽しめるんじゃないでしょうか。僕の場合、それだけでは足りないのですよね…。

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2005.10.11

『銃姫(5)』読了

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銃姫(5)』(高殿円/MF文庫J)を読みました。

本編を補完するという意味で正しく番外編な短編集といえるのかな。今まで出てきた登場人物たちの日常が描かれているので、キャラクターに思い入れがある人へのご褒美と言ったところでしょうね。

「絢爛豪華武闘祭」(なんかアルファシステム的センス…)についてはひたすらにバカを極めた内容になっております。とりあえず暁帝国の社会制度に驚愕いたしました。多夫多妻婚で血族婚も有りとは…もはや禁忌が禁忌として成立しえません。だけどある意味合理的のような気もする。少なくとも後継ぎ問題でもめる事は無かろう。暁帝国もスラファト軍も幹部がどいつもこいつも愉快な奴らばかりなんだけど、本編が緊迫していたものだから全然気が付いていなかったので、改めて驚愕。そういやギース(眼鏡)もバロット(乳)もおかしな奴だったんだな…。本編では格好良かったものだから気が付かなかったよ…。

「星の数は数えられない」は、ほろ苦いっていうか、凄くリアルでシビアな話。夢を見ることは若者の特権だし、また素晴らしいことだといわれているけど、どうあっても諦めなくてはならない事もある。でも、それでも人生は続いていくし、自分の分を知ることは不幸な事ではないって言う話だと読んだ。ちょっと泣いた。

「ホームスイートホーム」…これは、セドリックとアンのカップルが、お互いを意識し始めると言うエピソードなんだけど、どう考えてもこれは今更だよなあ…。一応、メインとなるカップルを主人公たちとは別に存在させているけど、そのカップルの結末から主人公たちの将来を暗示させている内容と言い、主人公たちのロマンスといい、明らかにこれは二巻の前に入れるべきエピソードだと思った。人間関係をいきなり巻き戻されても戸惑いが強いように感じる。まあ、きっと事情があったんだろう。大人の。

全体的に肩の力が抜けた物語だけど(でも奥の方ではかなり冷たい物が流れている)、前巻までが緊張した雰囲気だったし、ちょうど良い作品だったと言えるんじゃないだろうか。人間関係を整理しなおすと言う効果もあったように思う。以上。

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本日の購入物

グレッグ・イーガンの『ディアスポラ』に悪戦苦闘の毎日をを食っている吉兆です。くそー凄い未来イメージが描写されているような気がするのだけど、それを構築する理論が良く分からないのでお話に集中できん。頭が悪いなあ…自分。ぬぬぬう。煮詰まってくると、つい『キノの旅』なんか読んでしまったりする軟弱ぶりに我ながら憎悪しました。

1.『ROOM NO.1310 #6 お姉さまはストイック!』 新井輝 富士見ミステリー文庫

1.存在自体がミステリーな『ROOM NO.1310』シリーズの最新巻でございます。ストイックって誰のことやねんとか思ったが、まあ窪塚姉の事かしら。絹川姉のはストイックじゃねえもんな。

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2005.10.09

『刃鳴散らす』クリア

感想を書くのをすっかり忘れていたんだが、ニトロプラス『刃鳴散らす』をクリアしていたのだった…ってたった今、公式を見たら大変なネタバレフラッシュをかましていて驚いた。何のゲームだよこれ。

それはともかく、相変わらずニトロプラス以外では絶対作られない内容のゲーム。特に刀関係の薀蓄が面白かったんだけど、はて、値段分は楽しめたのかと言うと…うーむ。

本当に、刀、剣術関係の薀蓄は実に楽しめました。ためにもなったし。良い刀は折れずに曲がる。曲がった刀を無理やりまっすぐにして応急処置とか、そういう細部の詰め込みが実に面白い。また、剣術とは完全な理であるというスタンスも良かった。単に凄腕とか必殺技とかで勝負が付くのではなく、一瞬の読み合い、駆け引き、それぞれの戦いのスタンスなどを総合的に判断し、すべてが理詰めで勝敗が付く部分なんかも大変に感心したし、面白かった。戦いってのは、腕が優れている方が勝つと言うような単純なものではない、と言う事だね。

ただ、そういう細部は良かったのだけど、果たして全体として見た時、面白いと言えるかどうかは難しいな。まあ、これは剣術勝負こそが肝であるといわれればそりゃそーなんだけど、一応復讐劇(正確にはされる方)なんだから、もうちょっと、こう、宿命の対決、と言う部分を強調しても良かったんではなかろうか。主人公の赤音はともかく、復讐者である井烏の描写がほとんど無いというのは、問題有りだと思うな。赤音の描写についても、突然出てきたおっさんがぺらぺらと赤音の内面を語り倒すという実にエレガントじゃ無いしさ…。もうちょっと何とかしてくれりゃーな。

もしかすると、この作品は物語としての部分はあまり重要ではなくて、剣術勝負エピソード集として捉えるべきなのかも知れない。剣術にすべてを捧げた剣鬼たちの、精魂を傾けた勝負の合間に物語を挟みました、みたいな(別に貶しているわけではないです)。

面白いことは面白いけど、これなら「剣術何番勝負」とかやって本格的に対決エピソードにした方が良かったんじゃないかな。

PS.それはそれとして、クリア後に出てくる選択肢を選ぶと出てくる”アレ”には驚愕したよ。刃鳴散らすの世界観をすべて崩壊させるが如き所業で、呆然とした後、怒りが込み上げ、しかし、最終的には大笑いだった。まあ、笑えるかどうかはかなりギリギリの線だとは思う。
ついでに言えば最後に出てくる”彼女”はなんか萌ゆる。北斗南の無駄遣いをしてやがんなあ…とか思った。以上。

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興味深かったこと

ああ、いたわしいこの世界。独り言以外の何か経由)。
なんつー異常な業界だ…。まあ、僕もエロいだけのゲームには既に飽きていて、ゲームを選ぶ基準はシナリオだけになっているなあ。他の人はそうでもないのかな。

・ruf 『ユメミルクスリ』のOPテーマ『せかいにさよなら』の替え歌が凄い(おなじく独り言以外の何か経由)
上の「ああ、いたわしいこの世界。」とも関連しているのかも知れないが、とにかくすげえな。これが一般論なのか…。

・大変に感銘を受けた『わたしたちの田村くん』の感想RE V の日記経由)。
「走る」と言う主題の解釈の仕方が目から鱗。成る程なあ。

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2005.10.08

『ぴよぴよキングダム(3)』読了

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ぴよぴよキングダム(3)』(木村航/MF文庫J)を読んだ。ブ、ブラボー!

どんどんライトノベルの範疇から外れて行っている作品だと思う。児童文学ファンタジーを思わせるやわらかい幻想を描くとともに、その幻想を支えるものは愛と憎悪、すなわち情念そのものである事を描いている。実はこれ、凄い実験作なんじゃないかと思っているのだが…果たして。

あかりの世界よりキャプテン・ジュリアーノが現れ、彼女によって祐とお姫様が”あかりの国”に連れ去られる部分なんか完全にファンタジーの世界になっていて最高だなあ。繰り返される言葉遊び、見る人の認識を狂わせるような不条理を読んでいると、不思議の国のアリスを読んだ時の感覚を思い出されます。というか、このあたりは完全にルイス・キャロルやディケンズとかの英文学の世界ですね。連れ去られた祐とお姫様を助けるために”あかりの国”へ向かうあかりたちが、冒険に向かうあたりなんてまさに異世界への冒険譚だし、”あかりの国”で日常を過ごす祐たちの不条理な描写も実に幻想に満ちた不条理感があるように思う。

しかし、そのどこか牧歌的な幻想文学的な展開は、物語中盤においてあかりとお姫様の情念を受けてすさまじい勢いで変質してしまう。その情念は、おそらくお互いに対する嫉妬と憧憬、自分の恋する相手に対する引け目のようなものであろうかと思んだけど、その感情が物語を支配し、あらゆる登場人物を巻き込み崩壊を始める。それは物語そのものの反乱であって、それが最終的に崩壊に向かう物語に立ち向かう少女を助けようとする少年の、そして少年を助けようとする少女の成長物語に消化される展開は圧巻の一言ですね。このあたりにライトノベル的な部分と英文学的な部分が混在した極めてカオティックな酩酊感があるように思った…って書いてて自分でもよくわからんのだが。

『Forest』(ライアーソフトのゲームね)の時も思ったけど、この作者は英文学に強い愛着があるのは間違いないのだろう。おそらく、作品に対する作者の意図は、アニメ、ゲーム的なキャラクターを配置したライトノベルとしての側面と、幻想と不条理と風刺に満ち満ちた英文学の側面を意図的に融合を目指している事なのではないかと思う。しかも、それを高いレベルで成功させているところがすげえよなあ(この点については今後も注目していきたいが話が逸れるので後日としておこうかな)。

前作あたりから、既にライトノベルとしての枠を壊し始めていたとは思っていたが、完全に吹っ切れていますね!ブラボー!おおブラボー!


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2005.10.07

『黄昏の刻(3) 赤熱の巨竜』読了

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黄昏の刻(3) 赤熱の巨竜』(吉村夜/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

菊地秀行の魔人学園を思わせる学園伝奇アクションの系譜を受け継ぎながらも、萌えや燃えなどライトノベル的なお約束も忘れない旺盛なサービス精神で読者を飽きさせないのがこの作品の面白いところだと思う。まあ、ちょっと僕の好みからするとまとも過ぎるんだけどね。

世界の命運を左右する”円盤”を持つ最強の念動力者でありながら心臓に爆弾を抱えた銀嶺の最強と最弱が同居するキャラクター設定など、設定からして激烈に熱い。超能力(この世界では”綾”と呼ぶ)を駆使した最強クラスの能力者に対して、銀嶺と、優秀ではあるが未熟な仲間たちがギリギリの戦いを繰り広げるところなどは、否応なしに面白い。また、脇役や敵がこれまた格好良くて、味方である無双八剣、敵側の竜爪八傑にしろ、雄々しく誇り高くてたまらんなあ。竜爪八傑の不知火の敵の敵は味方と言わんばかりの大胆不敵な裏切りぶりが格好良かった。

一方、バトル以外のところがあまあまなラブコメテイストなのがまた面白い。兄に対して恋愛感情を抱いている銀嶺の実の妹である夕姫を始めとして、ラブラブいちゃいちゃぶりが三巻目にしてさらに加速していて、すみ兵氏のかわいやらしいイラストともあいまって、なんとも性欲を持て余します(最悪…)。とりあえず、この兄妹はマジで恋愛に突入しているので、こっちはこっちで展開が非常に気になるところですね。

ただ、僕としては、やや登場人物たちに”闇”が足りないかな、という印象がある。みんな前向きで心正しく、誇り高いのだけど、僕の興味は人間の弱さにこそ心引かれるところなので、ここまで清廉潔白な人物ばかり出てくると、そんな人間ばかりじゃねえだろ?とばかりに捻くれたくなってきてしまうんだな。

無論、それはこの作品の欠点ではないけど。むしろ、非常に窓口が広い作品で、普通の萌え小説系を読んでいる人にも、一昔前の伝奇小説好きの人にもオススメできる良い作品である事は間違い無い。実際、とても面白かったしね。

でも、これ、あと何巻ぐらい続くのだろう。この引きだと、長くても2、3巻ってところか…風雲急を告げる、という奴だよなあ…。続きが気になるぜ!

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そういえば

『機神咆哮デモンベイン』のアニメ化だそーですな。こりゃ、スーパーロボット大戦に登場するのも夢じゃなくなって来ましたなあ。

しかし、黒田洋介がシリーズ構成との事だが、快楽原則重視のパターンとお約束のかたまりであるこの作品にはある意味ベストスタッフやも知れん。シナリオに原作者も関わるようだし、かなり期待出来るかもしれんなあ。

普段と言っていることが違うのは自分でも理解しているが、デモンベインに関しては例外。もともと難しい事を考えないでハイテンションでロボット物のお約束をぶちまけている作品なので、アニメ化をするのは難しいことは無いだろうと思う。なぜなら、お約束を踏襲すればよいからだ。……と言うのは表向きの理由で、要するに僕はこの作品が好き過ぎるので何やっても受け入れられる覚悟があるだけなんだけどねー。

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本日の購入物

最近になって、ようやく調子を取り戻せてきたような気がする。まあ、相変わらずドタバタやっているんだけど、それほど精神的にはきつくない。いや、大変は大変なんだけど。

1.『キノの旅 Ⅸ』 時雨沢恵一 電撃文庫
2.『インサイドワールド』 周防ツカサ 電撃文庫
3.『電撃!!イージス5 Act.Ⅱ』 谷川流 電撃文庫
4.『我が家のお稲荷さま。(5)』 芝村仁 電撃文庫
5.『世界の中心、針山さん』 成田良悟 電撃文庫
6.『ある日、爆弾がおちてきて』 古橋秀之 電撃文庫
7.『ブルースカイ』 桜庭一樹 ハヤカワ文庫JA
8.『サンドキングス』 ジョージ・R・R・マーティン ハヤカワ文庫SF
9.『啓示空間』 アレステア・レナルズ ハヤカワ文庫SF

しまった、買いすぎた。グレッグ・イーガンと格闘していて他に本を読んでいる暇が無いというのに、こんなに買ってどーすんだ。いつ読むんだ。どこで読むんだ。
1~6は電撃文庫の新刊。久しぶりだな、こんなに買うの。『キノの旅』は相変わらず表紙のセンスが抜群ですねー。見た瞬間に強く印象付けられるなあ。『インサイドワールド』についてはコメントは保留。『イージス5』はキノとは別の意味で印象深い。背景が白とは…。『世界の中心、針山さん』はタイトルからして例の作品のパロディだが内容はなんも関係なさそう。『ある日爆弾がおちてきて』は久しぶりの古橋秀之の新刊。ノウェムの続きはまだー?7.桜庭一樹は買わなきゃならんのだ、僕は。しかし凄い表紙だ。全然目立たないが。8.凄いぜ、まさか再販するとは!全然チェックしてなかった。不覚。時代は今はマーティンなのか。9.いやだから本当にグレッグ・イーガンに苦労している身でなんでこんな極厚本を買っちゃうかな僕は。面白そうだったからに決まっているだろうが!(逆切れ。しかも自分に)

今日はダイジェスト版でお送りしました(手抜きとも言う)。

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2005.10.06

『煉獄のエスクード(2) The Song Remains The Same』読了

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煉獄のエスクード(2) The Song Remains The Same』(貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

任務によって赴いた村で外道祈祷書を巡る争いに巻き込まれた薫の戦いを描いた基本かつ王道な伝奇小説ですね。まあ、正直、文章とか描写とかが薄いところがあるのが惜しいが、それでもきっちりと面白い。

いくつもの死線を潜り抜け、戦士として格段に成長した薫が繰り広げるアクションは、伝奇小説を愛好してきたこの身には単純に燃えるものがある。前作ではまだまだ甘いところを残していた薫が、容赦なく魔族を滅する狩人になっているギャップが大変に心地よいと思った。そのくせアイリスに振り回されては野良仕事に明け暮れたり、アダルティな魔術師クラウディアに対してうろたえたりとなんだこの萌えキャラは!?と言わんばかりの主人公ではあるのだが。

そんな風に薫が強くなったためか、あるいは出てくる魔族が小物だったせいか、前作に感じられたような絶望的な内容とはかけ離れていて、むしろ残虐無比であるように思われた魔族のあまりの人間臭さや情愛が強調されているのがなんとも不思議だ。前作のキャラクター(特にレイニー)がほとんど出てきていない事を考えると、今回の話はインターバルと言うか、薫の成長を見せることと、新キャラ紹介の話だったのかな。やたらエロティックな大人の女性であるクラウディア(貴子潤一郎は本当に妖艶なおねいさんが好きだね)とか、イノセンスな魅力を振りまくアイリス(貴子潤一郎は本当に無垢な少女が好きだね)とか、今後も登場しそうな感じだし。そんなキャラクターに引きずられてか、物語が、なんかほのぼのしているような気さえする。

とは言え、魔族と人間の関係が、マーガレットとミラベル、ロクサーヌとフィギンズの二人の関係を通じて表されている部分は、いわゆるメロドラマ的ではあるのだけど、愛情と殺戮の間で揺れ動く関係と言う感じで、良い意味で富士見っぽくなくてよかったと思う。貴子潤一郎には、やっぱり愛と憎悪と裏切りと殺戮がよく似合うと思うっすよ、うん。あ、あとエロスも。うむ、まさに伝奇小説の申し子だ。

そんな感じで大変に楽しかったです。これで文章と描写がより細かくなれば無敵だよなあ、この人は。

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2005.10.05

『疾走!千マイル急行(下)』読了

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疾走!千マイル急行(下)』(小川一水/ソノラマ文庫)を読んだ。

ロマンあり冒険あり成長ありと文句なしに面白かった。面白かったけど、毎回褒め称えるのもあれなので、今回は小川一水の弱点と思うところを述べてみようと思う。

端的に言ってしまうと、小川一水の弱点は、悪と悲劇を描けないところである。単に書けないというだけならばまだ救いがあるのだが、問題はこの作者は分かっていて書かないところだ。と言うのは、小川一水は強烈なまでのハッピーエンドへの志向があり、ハッピーエンドのためならば物語を捻じ曲げ、キャラクターを操り、都合の悪いところを隠蔽するからだ。この話で言えば、この列車の旅において多くの人々が犠牲になったはずなのに(戦闘の最中、多くの人々が傷つき死んでいるはずなのに)、まったく血生臭さを感じさせない所だし、また、物語の裏では多くの悪辣で無残な陰謀が張り巡らされてるのに、物語の表面にはほとんど出てこなかったりするのだが、出てこないだけできちんと存在しているのがまたいやらしい。つまり、小川一水は、このような冒険ロマンが成立するには、多くの無残な現実が存在する事を知っていながら、その上でその事実を隠蔽する。少なくとも、主人公たちとは関わらない、どこか遠くの世界の出来事に留めてしまう(例えばドラグストン機関の話なんかいい例だ。主人公とは関係ないところで暗躍し、主人公とは関係の無いところで滅びて、結局、残党に対してすら主人公たちは手を汚さない)。小川一水の世界の中では、人々はすべからく善性を備えており、悪役として登場した人物とて善良な精神を隠し持っている。また物語上、どうしても悪として断罪されなければならないキャラクターは、人物描写を巧妙に避けて読者の共感を呼ばないようにされ、神(作者)の手によって自業自得的に天罰を受け、物語から退場するのである。

前に本で読んだのだが、小川一水は笹本佑一の『妖精作戦』の悲劇性に対するアンチテーゼが小説を書く原点だと言う。アンハッピーエンドを回避するためにさまざまな手段を尽くすのは、おそらくそのためなのだろう。しかし、悲劇性を回避するために悪と悲劇を排除する事で、作品が非常に表層的で書き割りめいた、言い換えればご都合主義的に過ぎると感じることは確かだ。どこか高みから見下ろす作者の視点を意識せずにいられないと感じるのは、やはり、僕は弱点だと思う。

ただ作者もそれはわかっているようで、近年の作品には悪と悲劇を描こうと格闘している印象もあるが、まだ上手く言っていないような気がする。ただ、小川一水は、それが出来る作家だと思うので、今後にも期待していきたいところかな。

まあ、余計なお世話だと思うのだけど。

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2005.10.04

『琥珀の心臓』読了

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琥珀の心臓』(瀬尾つかさ/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。す、素晴らしい。

ディティールの話をしてしまえば、異世界に召還された高校生たちが、巨大ロボットに乗って竜と戦うと言うアニメやゲームにいくらでもある話に過ぎない。しかし、その平凡とさえ言える設定を越えて強烈な印象を与えるのは、圧倒的な密度で構築された異世界と、悠久を感じさせる幻想、見えないものを語ろうとする観念のせいだろうと思う。すさまじい密度で注ぎ込まれたそれらは、「漂流物」としての物語を半ば破綻させながらも強引とさえ言える力技で結末を叩きつける。やりたい事、語りたい事をひたすらにぶち込み、それでいながら冷めた計算を感じさせるあたりに作者のクールさが感じられる。だが、何より僕が良いと思ったのは、この作品は『物語』が主役であると言う点だ。

「漂流物」として破綻しているのは、そもそも一クラス全部が異世界に召還された時点でまとめきれるはずも無い構成上の破綻であって(富士見の版一冊でまとめられるわけがない)、むしろそれを日記と言う形で処理したのは発想の転換と言うかとにかく感心した。そうして人間関係を整理して、主人公の遙、親友の優子、幼馴染の敦也に凝縮させている。彼らの間のドラマが中心にある。その周囲に”彼方のものたち”、”九人委員会”、”クエルト族”、”龍”、”巨人”と言うファンタジー好きなら背筋がゾクゾクしてくるような設定があるが、しかし、それらは(この物語外の広がりを感じさせる役割は果たしているものの)重要なものでは無い。

繰り返し語られるのは、遙と優子の友情と葛藤であり、遙と敦也の無私な愛であり、見捨てられたものたちの怨嗟であり、何より前へ進もうと言う意志である。つまり、意志が生み出す葛藤が根底にあり、その葛藤が徹底的に突き詰められているところにこの作品の骨子であるように思う。無論、主人公三人に対する描写の徹底のため、世界観の説明、キャラクター描写の省略をもたらし、そもそも表向きのストーリーである龍との戦いすら重要ではなくなってしまっている。本来ならば、これは欠点かも知れない。

だが、この物語はこれでいいのだ。そもそも、これは遙という存在の(勿論、優子と敦也、その他の人達にとっての)長い長い物語の内、ほんの一瞬とさえ言える時間を切り取ったに過ぎない物語だからだ。この物語が始まる前に遙は生きて来たのだし、この物語が終わったあとでも彼女の存在は続くのだ。ほんの一瞬の、出会いと別れ、悲しみと怒り、友情と憎悪。それらを切り取ったと思えるこの作品は、十全に彼女らの物語を描ききっている。

ロボットとか、敵とか、異世界と言うのは、思うに単なる舞台設定に過ぎず、この作品ではあまり重要視されてはいないようなのだが、だからと言ってこの作品を否定するのはあまりに安易ではなかろうか、と思う次第である。

この作者には、今後も大いに期待していきたい。出来れば大長編でお願いします(多分、この作者はある程度の長さが無いとディティールがディティールのままで終わってしまいそうだ。この作品のように)。

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本日の購入物

精神的に鬱期に入ってしまった。何にも手につかねー。そろそろ精神的に立て直さなきゃならないのだが、仕事が忙しくてそう言う余裕があまり無い。帰って来ては寝ることを繰り返します。うーん、鬱っぽくなるのは珍しくないが、文章を書く気力がまったく沸かなくなるのは困ったものだ。

1.『疾走!千マイル急行(下)』 小川一水 ソノラマ文庫
2.『D.Gray-man(6)』 星野桂 集英社
3.『銀魂(9)』 空知英秋 集英社
4.『さよなら絶望先生(1)』 久米田康治 小学館

全然、本日の購入物ではないですが。
1.まあいつもの小川一水。これから読みます。
2.主人公のアレン君の正義はあまりにも純粋すぎるなあ…野蛮なまでに。仲間を殺し、人間を殺した相手に対して「それでもあなたの幸せを望みます」と言い切るのは倫理的にかなりグレーゾーンじゃないか?…ああ、だからグレイマンなのか…。とにかく、この作品が一般的なジャンプ漫画と一線を隔するところがあるとすれば、このような倫理に対する言及であるように思う。このように「弱さ」そのものを主題にした少年漫画を、僕は寡聞にして知らない。それはそれとしてリナリーは可愛いよな。
3.うーむ…なんなんだこの漫画は…。毎回読むたびに唸らされる。もう言う事はありません。ただただ面白い漫画である。とは言え一つだけ言いたい事があるのだが、連載当時でも話題を読んだ人気投票をはじめて読んだのだが、確かに変だ。高杉っておめー一話しか出て無いじゃんなのに4位だよありえねえ。
4.書き忘れていた。絶望した!実は初久米田だったりするのだが、なんだか他人事とは思えない鬱っぷりで妙にハマってしまった。面白い、と言うほど積極的なものではないのだが…。

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2005.10.02

『LOVE』読了

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LOVE』(古川日出男/洋伝社)を読んだ。

いつもの通りに古川日出男は素晴らしい。
今回はタイトルの通り、愛にまつわる物語だ。古川日出男の描く愛は強靭で情熱的でロマンティズムに満ち満ちている。それは無論ファンタジーの領域に属するのかもしれないが、古川日出男の描く愛は、単に個人に属する愛だけではなく、『生きる』と言う行為に対する圧倒的な肯定を意味している。そのメッセージのシンプルさと強靭さに(何より、それを語る古川日出男の文章に)、僕はいつも揺さぶられる。

古川日出男の言っていることは、実はかなり単純なんじゃないかと思うのだが、そのメッセージを支える説得力となっているのは、おそらくはその語り口ではないかと思っている。おそらく(あくまでも個人的な考えだが)古川日出男にとって、小説と言う媒体は、表現したいことを実現するためにはあまりに不自由な媒体であって、しかし、小説以上の媒体も見つからないのでやむなく使用しているとでも言うようなところがあって、毎回、果てしなく饒舌な文体を駆使しながら、その饒舌さの中から本のわずかな真実を浮かび上がらせようと四苦八苦しているように思う。

例えばこの『LOVE』と言う物語は、東京を舞台にした連作短編集なのだが、この作品は、どの作品も究極的に「俺たちは(私たちは)生きて、そして愛している!」と言うただそれだけに集約されうると思う。最後の一文のために存在するような一片である「ハート/ハーツ」のように。だが、そこに至るまでの過程に生じる何かを伝えたいと言う情熱、生きることに対する闘志、野蛮なまでの愛こそが、最後の一文に説得力を与えている。否、むしろそこには主従の関係は逆転し、過程こそが本来の主なのかも知れない。ただ生きること。ただそれだけが。

僕は、小説と言う媒体を通して、圧倒的な肯定(ただしそれは自己満足と自己完結とは結びつかない。生きることの困難さから逃げ出すのではなく、自ら立つ事、誰かを愛する事、息尽きるまで走る事への肯定だ)について語る古川日出男に対して、そしてその作品を読むたびに、美しさに涙する。その強靭さに感動する。

それが、僕が古川日出男の小説を読む理由なんじゃないかと思う。

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