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2005.10.06

『煉獄のエスクード(2) The Song Remains The Same』読了

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煉獄のエスクード(2) The Song Remains The Same』(貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

任務によって赴いた村で外道祈祷書を巡る争いに巻き込まれた薫の戦いを描いた基本かつ王道な伝奇小説ですね。まあ、正直、文章とか描写とかが薄いところがあるのが惜しいが、それでもきっちりと面白い。

いくつもの死線を潜り抜け、戦士として格段に成長した薫が繰り広げるアクションは、伝奇小説を愛好してきたこの身には単純に燃えるものがある。前作ではまだまだ甘いところを残していた薫が、容赦なく魔族を滅する狩人になっているギャップが大変に心地よいと思った。そのくせアイリスに振り回されては野良仕事に明け暮れたり、アダルティな魔術師クラウディアに対してうろたえたりとなんだこの萌えキャラは!?と言わんばかりの主人公ではあるのだが。

そんな風に薫が強くなったためか、あるいは出てくる魔族が小物だったせいか、前作に感じられたような絶望的な内容とはかけ離れていて、むしろ残虐無比であるように思われた魔族のあまりの人間臭さや情愛が強調されているのがなんとも不思議だ。前作のキャラクター(特にレイニー)がほとんど出てきていない事を考えると、今回の話はインターバルと言うか、薫の成長を見せることと、新キャラ紹介の話だったのかな。やたらエロティックな大人の女性であるクラウディア(貴子潤一郎は本当に妖艶なおねいさんが好きだね)とか、イノセンスな魅力を振りまくアイリス(貴子潤一郎は本当に無垢な少女が好きだね)とか、今後も登場しそうな感じだし。そんなキャラクターに引きずられてか、物語が、なんかほのぼのしているような気さえする。

とは言え、魔族と人間の関係が、マーガレットとミラベル、ロクサーヌとフィギンズの二人の関係を通じて表されている部分は、いわゆるメロドラマ的ではあるのだけど、愛情と殺戮の間で揺れ動く関係と言う感じで、良い意味で富士見っぽくなくてよかったと思う。貴子潤一郎には、やっぱり愛と憎悪と裏切りと殺戮がよく似合うと思うっすよ、うん。あ、あとエロスも。うむ、まさに伝奇小説の申し子だ。

そんな感じで大変に楽しかったです。これで文章と描写がより細かくなれば無敵だよなあ、この人は。

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