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2005.09.27

『白い花の舞い散る時間 ~ガールズレビュー~』読了

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白い花の舞い散る時間 ~ガールズレビュー~』(友桐夏/コバルト文庫)を読みました。

こ、これはすごいんじゃあないかひょっとして。絶賛するべきか?よし、絶賛しよう。素晴らしい。

ロマン大賞佳作受賞作。少女小説系の新人賞についてはあまり詳しくないのだが、どうやらコバルト系の長編小説部門らしい。ノベル大賞の方は中編らしいけど、中編の新人賞って珍しいよな…。

とにかく文章が美しい。一見して技巧的ではなく、平易な言いまわしでさえある文章なのだけど、よくよく読んでみると文章の一節ごとに神経が行き届いた非常に丁寧な文体であるのが分かる。自己主張は強くなく、僕は詳しくないが、どちらかと言えば古典的な少女小説的な印象を受けたのだけど、良くは分からない。これがデビュー作(か、あるいはデビュー後第一作か)である事を考えれば、その完成度は驚くべきところだ。これだけでも十分に注目に値すると思った。

しかし、この作品の真に驚くべきところは、ストーリーそのものにある。一見して単なる少女たちの一夏の物語のように見せながら、謎めいた舞台設定、個人を特定できない偽名でのオフ会などスリリングな設定が美しく、その文体もあいまって非常に幻想的な印象さえ与えられる。そのまま穏やかに、そしてどこかに緊張感をたたえたまま過ぎてゆく少女たちの時間を、彼女らの抱えた秘密が少しずつ侵食を始めていく。

これ以上はとても言えないのだが、どこまでも幻想的でありながら、読者の想像もつかないようもつかない驚愕の展開が待ち受けている。いや、まさかコバルトでこんな展開になるとは…と意表を突かれたのだが、そこに至る少女たちの描写がすばらしく、やがて生臭い世界が表出して少女たちの幻想が崩壊する過程も含めて大変素晴らしい作品だと思った。これは紛れもない少女小説の系譜でありながら、ライトノベル的なキャラクター小説であり、ミステリでありサスペンスでもあり、何よりもファンタジーであるのだ…ってのは褒めすぎかな。

この作品の文章は僕の好きなタイプなので、ちょっと贔屓が入っていないとは言い切れないが、これは万人にオススメできる作品だと思う。コバルト文庫は普段読まない人でも読んでみても良いのではないかな。

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コメント

白い花キター!
吉兆先生もしかしたらと思ってたんですw

私も立ち読みでしたが(←殺ってよしw
かなりドキリときました。
しおりもたくさんもち帰って(用途不明
「少女もの」の本懐ってカンジですね。
子供の頃から少女漫画とか恐い思い出しか
ありませんからねw
女の子の精神世界っていつもこんなんが
常駐してんだろかとかガクガクブルブルしてました。

投稿: もりもり | 2005.09.29 00:59

いや、これはなかなか凄いですね。少女漫画を読みふけった人間としては(姉と妹の本をこっそり読んでいました)見事にツボを突かれました。馴染む馴染む~。

まったく女性の内面ほど計り知れぬものはありませんなあ、なんて事を考えますね。こう言う本を読むと。

投稿: 吉兆 | 2005.09.29 23:33

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 友桐夏(ともぎり・なつ)『白い花の舞い散る時間 〜ガールズレビュー〜』(ISBN:4086006472)読了。  「うたたねこや」における微妙な物言いが気に掛かっていたところに,「積読を重ねる日々」での絶賛が加わったので,興味を持って買ってきました。 http://utata.s18.xrea.com/200509.html#09_t1 (うたたねこ) http://kiicho.txt-nifty.com/tundoku/2005/09/post_1370.html (吉兆)  今日はいつに... [続きを読む]

受信: 2005.10.14 05:34

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