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2005.09.05

『バイトでウィザード 響けよ我が祈り、と少女は笑った』読了

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バイトでウィザード 響けよ我が祈り、と少女は笑った』(椎野美由貴/角川スニーカー文庫)を読んだ。…なんて気持ち悪い話だ…。

前々から邪悪極まりない作品だとは思っていたけど、まだまだ過小評価していたらしい。既にエンターテインメントなどかなぐり捨てて、ひたすらに人間のダークサイドをえぐりにえぐり抜いている。登場人物の誰一人として幸せになれない展開は、作者の反骨精神の賜物か綿密な計算に基くものものかは分からないが(反骨に1000点…個人的には)、とにかく良くも悪くもひどい話で、その容赦無さこそが大変に面白い。

相変わらず組織の駒として利用され尽くす主人公と、前向きに生きようとするも何一つ上手くいかない主人公の妹をはじめ、とにかく前に進めない停滞感と絶望感に満ちている内容である。特に主人公の、つらい決断を下す事がいつまでも出来ず、ひたすら懊悩している様は、その葛藤の身近さのためもあって、実に嫌な気分になれる事請け合いである。

しかし、この作品の凄いところは、いつまでも成長の出来ない、試練を乗り越えられないキャラクターを主人公にしたアンチビルドゥンクスロマンとなっているとこじゃないかと思う。何しろこの悩みすぎる主人公はクライマックス部分に至るまで、結局、決断を回避してしまうのだ!(結局外部からの操作によってその葛藤を解消されてしまう)そんなわけで、決断を回避してしまった主人公だが、勿論そんなことで事態が好転するわけも無い。決断をしなかったことで、さらに苦しい状況に陥ることは間違いなく、いつまでも態度をはっきりしないせいでますます組織に絡めとられてしま宇野である。

はっきり言って、主人公を駒として利用する組織の長の方が、余程苦しい決断を行っているあたり、作者のアンチビルドゥンクスロマンとしての構図に自覚的な事が伺える。本当に、作者は人間が嫌いなんだろうなあ…。

この作品、もしかしたらライトノベル史上に残る怪作になるかも。続刊も絶対に買うので、作者がどのような結末を作るのか付き合っていこうと思います。打ち切られなきゃいいのだが…。

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