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2005.09.10

『薔薇のマリア Ⅲ.荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐』読了

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薔薇のマリア Ⅲ.荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐』(十文字青/角川スニーカー文庫)を読了。

S.M.Cよりベアトリーチェを取り戻したマリアローズたちだったが、そのために払った犠牲は大きかった。打ちのめされるベアトリーチェを前にマリアは立ち尽くす。悲しみにくれる人々へ向けて、しかし、S.M.Cは更なる牙を剥き出しにする。大切な人達を守るため、マリアは必死に走り続ける。

愚直。まさにその一言に尽きる作品だ。目新しい要素など何一つ無い。ウィザードリィ風のゲームファンタジー世界の中で繰り広げられる、正統かつ王道な成長物語である。

捻くれてハリネズミのようになっていた主人公のマリアが、信頼できる仲間を得て再生すると言うストーリー…だったのは前巻まで。今回は、マリアの大切な人達に降りかかる災厄と、それから守ろうとするマリアの苦闘が描かれる。信頼、友情の物語と言う口に出すと気恥ずかしいことこの上ないテーマを、十文字青は照れず逃げずに真正面から描いてみせる。しかも、その描き方を骨太な事といったら無い。仲間を信頼し、信頼され、自分の居場所を探していくと言うただそれだけの事を貫き通す事のなんと難しい事か。守りたいと言うマリアの願いと裏腹に、この世はあまりにも理不尽で、マリアの力は絶望的なまでに足りない。しかし、一人では出来ない事も、誰かと一緒ならば、そして誰かのためならば。誰かを信頼を受けながら、その信頼に答えるために自分のできる事をさがして。そんな平凡な不安と喜びの日々を描いている。この巻に至っては、今まで自分のことだけで精一杯だったマリアが、他人を慈しみ守りたいと言う積極的な願いのためにひたすらに走りぬく。ときどきくじけそうになりながらも、仲間の助けを借りて走る。

ああ、何て青臭くって、なんて魅力的な物語である事か。理想主義といわば言え。子供の妄想と捨てるならば好きにするといい。だがこの物語は、そう言う分かった風に諦めた主人公が、世界の残酷さを知りながらも、世界に対する信頼を取り戻していくと言うファンタジーなのだ。現実逃避とは言わせないぜ!
 
 
まあそれはそれとして、SIXが超素敵。卑怯で卑劣、残忍で残酷、無情で無敵なすさまじい悪党ですよ。その一片の曇りも無い邪悪ぶりには怒りを通り越してすがすがしさしか感じない。もはやこれは人間ですらなく、ただSIXと言う生命体としか言いようが無く、人間的な好悪の対象にはならないような気さえしてくる。SIX様と呼ばせてください。

(なんか…色々と台無しだなあ…)

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