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2005.08.07

『飛鳥井全死は間違えない』読了

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飛鳥井全死は間違えない』(元長柾木/角川書店)を読了。すげー…。

かつて美少女ゲームの名作、『Sence Off』によって極一部の熱狂的な支持を受けている元長柾木の初めての長編作品になる。と言っても『新現実』に掲載された短編に書下ろしを追加して一冊にまとめた連絡短編集という形式なので、厳密な意味での長編ではないけど。いつかちゃんとした長編も読みたいものですが…。

とは言え、十分に元長分を堪能出来たので大変に満足しているのは間違い無いところです。物語の中に居るキャラクター達が、自らの存在する世界についての考察を繰り返し繰り返し語るメタな部分のカオスっぷりが素晴らしく、読んでいて頭がくらくらしてくるのはさすがの元長。読んでいる内に読者の認識やら現実やらまで解体を目論んでいるかのような酩酊感までもたらしてくれる…とまでは行かないが、ああ、まったく楽しいなあ。

この楽しさは、キャラクターが…とか、物語が…とかそう言うものではなく、ガチャガチャにアニメやゲームから抽出された要素を用いた作者の思考実験とでも言うかのような所だと思う。そこでは過剰なまでにキャラクター達の存在意義は強化され、戯画化される(通常よりも一層緒戯画化されている)。戯画をさらに戯画するような歪さはいかにも美少女ゲームのシナリオライターらしい切れ味ではあるが、それだけに認識を留めてしまうのは危険であろう。その戯画はいわゆる萌えを誘発する事を目的としているのでなく、キャラクターの動きを固定化し、作者の望むテーマを繰り返させる事を目的としているように思える(つまりフラグを設置している)。その構造を理解している飛鳥井全死は、いわばゲームのキャラクターでありながらクリエイターの領域まで首を突っ込んでいるのだけど、しかし、彼女のそれらの行為ですら本来のシナリオライター(元長柾木)の掌中でしかない(それを彼女も気が付いている)。だからこそ彼女は間違い無いのだし、それから逃れようと画策する。

元長柾木は、ゲームのキャラクターである飛鳥井全死に人格を与え、彼の箱庭なかで遊ばせる。それは神の視点か別のものなのかは判らない。ただ、作者の生み出そうとしてる世界がひどく歪で狂ったものであり、それを飛鳥井全死を通じて生み出そうとしているのではないか、と感じられるのである。
 
 
 
 
 
 
すいません、自分でもなにを言っているのかよくわかりません。

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