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2005.08.14

『疾走!千マイル急行(上)』読了

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疾走!千マイル急行(上)』(小川一水/ソノラマ文庫)を読んだ。面白ーい。

ひさびさにソノラマ文庫からの出版…でもないか。とにかく小川一水の新刊である。今回は鉄道冒険物だ!

贅を凝らした内装と強力無比な蒸気機関車によって大陸を横断する千マイル急行。それに乗り込む少年少女たち。彼らは夢と希望に胸を膨らませながら、これからの旅路に心を躍らせている。しかし、そんな彼らをよそに、きな臭い戦争の火花は大きく燃え広がろうとしていた…。

僕は鉄道についてはほとんど知識は無いのだけど、細部に拘る作者にるよる機関車の解説シーンなんかは実に面白く読める。多分、小川一水による作品は、技術に対する明確な信頼があって、その信頼が物語を支える(時には主役となって)重要な役割を果たしているためではないか、と思われるのだが一般的にはどうだか知らない。

まあそれはそれとして、小川一水も随分キャラクター小説としての水準の高さは驚くべき事で、相変わらず悪人と決定的な悲劇は書かない作風ながら、キャラクターの説得力が桁違いである。昔はあまりに善人たちが善人過ぎて、少しだけ居心地の悪さを感じてしまったものだが(ユートピアすぎる)、現在の小川一水を読んでいても、何故そこまで崇高な行為を行えるのかと言う、作者の答えに納得出来てしまう。不思議だなあ。

まあ、そんなことは『導きの星』を読んだ時から分かりきっていた事ではあるんですけどね。

今回は上巻と言う事なので、内容については後日。ただ、現時点では主人公のテオがまったく物語の駆動に関わっていなかったり、そもそも子供視点でありながら大人たちの話になっていたりするので、カタルシスがこれっぽっちも無い話になっている。それどころか、基本的に子供たちは無力を味わわされるばかりで、非常につらい話とさえいえる。ここで撓められたものが下巻で爆発するのか、あるいは重く苦しい展開のまま進むのかは分からないが、どちらにせよ楽しみにしていようと思う。

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