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2005.08.10

『たったひとつの冴えたやりかた』読了

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たったひとつの冴えたやりかた』(ジェイムズ・ディプトリー・ジュニア/ハヤカワ文庫SF)を今更読んだ。どう言うわけかアマゾンで書影がなかったもので、bk1でリンクをしている。まあ、そんなことはどうでもいい。延々と名作と呼ばれ続ける作品だけあって、いやこれ本当に素晴らしい作品集でした。凄く面白いです。

実はディプトリーを読むのが初めてだったので、一番読みやすそうな作品から読んでみたらこれがすげーのなんの。ウェットでユーモアがあってセンチメンタルな筆致で見せるSFでありました。川原由美子の美しい表紙もよくあっていますね(と言うかライトノベルもかくやとばかりに挿絵までつけられているのにはびっくりした。本当にライトノベルみたい)。

収録された三作は、どれも甲乙つけがたいくらいに良かったのだけど、やっぱり表題作が一番判りやすいし素直に読める。ちょっと泣かせに入っているのは個人的には気に食わないのだが(女の子のかわいそうな話は嫌いだ)、主人公のコーティーが余りにも気高く可愛らしすぎるのでガード不能。お、おのれー。ラストの展開に至っては、分かっちゃいるのだけどグッと胸に迫るものがある…つーか泣いたよ。悪いか。
次の「グッドナイト、スイートハーツ」はディプトリーの上手さが光ります。一見普通のSF活劇に見えるのだけど、主人公の愛と目的に引き裂かれる葛藤の意地悪さ、そして決断後の描写の美しさには一読の価値あり。これも「たったひとつの~」と同様、決断し難い決断を迫られた人間の物語と言えるのだなあ。
で、最後の「衝突」だけど、これはいわゆるファーストコンタクトものなわけだが、それを地球人類と異星人類の双方からの視点、また、探索隊の描写と基地側の描写を交互に行う事で、単なるファーストコンタクトではない人間ドラマになっている。異星人(と言うのは本当は正しくはないわけだけど…)の生態の凝り様も楽しいが、人間の気高さを高らかに歌い上げていると言う意味で、大変にモラルの高いお話である。でも全然説教臭くねえんだなあ。素晴らしいです。

こんな良いお話を全然手をつけていなかったわが身を恥じるばかりだが、まあ物は考えよう。これからまだまだ読んだ事の無いディプトリーがあるかと思うと…ぐふふ(不気味)。
そんなわけで他の本も読むつもりです(ちょうど買ってきたことだし)。

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コメント

コチラではお久しぶりのヤマヂンです。

『たったひとつの冴えたやりかた』を読んだならトム・ゴドウィンの『冷たい方程式』も是非とも読んで貰いたいと思います。(既読だったならご容赦下さい。)タイトルの認知度はどちらも引けを取らない作品ですよね。

先日は『サーラの冒険』を扱われていて私も富士見文庫のSWシリーズにどっぷりだったクチなので、思わず懐かしさにひたらせて貰ったり。私は水野良の羽頭冒険譚シリーズがお気に入りでした。

投稿: ヤマヂン | 2005.08.11 21:19

どうもお久しぶり(…でもないですね)。

『冷たい方程式』はタイトルにはなんとなく覚えがありますが、まだ読んでいません。そうですか…その内読んで見ます。

羽頭シリーズは密かな佳作だと思っているのですが(実はリウイより面白いと思う)、続きが出ませんねえ…。最近はチェックしていないのでどうなのか分かりませんが。

サーラの冒険の余勢を駆って復活したら富士見ファンタジア文庫は神(まず無い…)だと思います。

投稿: 吉兆 | 2005.08.11 22:45

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