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2005.08.21

『われら九人の戦鬼(上)(下)』読了

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われら九人の戦鬼(上)(下)』(柴田錬三郎/集英社文庫)を読んだ。うむ、面白い。

タイトルから連想される通り、これは「七人の侍」の変奏曲ですね。と言っても共通するのは困窮する農民たちを見かねて立ち上がる武士達というモチーフだけなんですが。そのモチーフに柴田錬三郎的な虚無的な主人公を据えてしまったせいで、まずもって主人公を動かすのに苦労しているような気がする。何しろ話が全然進まなくて、いつまでたっても”戦鬼”が集まらないものだから、読んでいてどうなるのかと思ったよ。何しろラスト数十ページぐらいだもんなー…戦鬼たちが活躍するの…。その代わりに、戦鬼たちが集まるまでの過程がひたすら綴られている。そしてその部分こそがこの作品のもっとも面白いところだと思った。

主人公の多門夜八郎を始めとして、夜八郎を付け狙う兵法者の九十九谷左近、夜八郎を慕い後を追う梨花、無私の精神で梨花の手助けをする柿丸、飄々とした中に凄絶な知略を隠し持つ天満坊など、数多くの人間が出会ったり別れたりしながら圧政を働く暴君を打ち倒すと言うのは、セオリーつーかパターンと言われようとも面白いものは面白いものだなあ。

問題は、先ほども書いたけれども、”われら九人の戦鬼”というくせに戦鬼が活躍するシーンがほとんどない上にすさまじい省略っぷりで、壮絶な死闘を繰り広げるわりに戦鬼たちがゴミのように殺されていってしまうのはなんとかして欲しいと思った。見せ場とかへったくれも無く、一行で死亡を明記されてしまったりするので不憫としか言いようがない。なんかジャンプの打ち切りみたいなダイジェストぶりなのが惜しまれます。なんかあったのかな…この辺。

まあ基本は勧善懲悪の、実に安心感のある物語ですので、面白いことは間違い無いんですけどね。

そんな感じです。

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