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2005.08.23

『奇蹟の表現Ⅱ 雨の役割』読了

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奇蹟の表現Ⅱ 雨の役割』(結城充孝/電撃文庫)を読了。着実に前巻より面白くなっているなあ。

元ヤクザで心に傷を抱え込んだ中年のシマが主人公と言う、電撃文庫では異色では無いかと思われる作品である。いやあ、実に面白い。お話自体も面白いのだけど、何より面白いのがこんな作品が電撃文庫から出てくるということだなあ。電撃文庫って懐が深いなあ、と思うのはそんなところなのだが、しかし、これは電撃文庫読者的にはうけるのかなあ、と言う疑問を感じないでも無いのですが。いいけど。

かつてすべてを失って絶望した男が、新たに守るべき存在を見出す事で再生する話であった前回から、お互いを信頼するに至ったシマとナツ。この関係がまずもって心地よい。シマはナツにかつての娘の面影を見て、ナツはただ一人信頼できる大人としてシマに接しているのだけど、そこには勿論恋愛感情なんてものは無く、人間と人間の関係があるだけであって、そう言うストイックさはいかにもハードボイルドの香りがする。というか、この作品は、言うなればハードボイルドのライトノベル版とでも言うべきもので、作品のあらゆるところにハードボイルド的な要素(うらぶれた中年の主人公、汚れた町の汚れたやつらなど)がつまっているのに、それでもシマにヒーロー性をわずかに付与する事で(しかし、ヒーローになり過ぎない絶妙なさじ加減で)ライトノベル的な範疇の収まらせているのは素直に上手いと言っておきたい。そこのところが独特な味にになっているように感じますね。

ただ、ハードボイルドに慣れていない人には、えらく地味な話に見えるんだろうなー…とは思う。世の中にはこう言う物語があるんだよ、という紹介の意味でも意義ある作品…のような気がしないでもない。

まあ、僕はとても気に入っているシリーズなので、素直に続きを楽しみにしたいと思います。

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