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2005.08.28

『天国に涙はいらない(11) メイドの道の一里塚』読了

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天国に涙はいらない(11) メイドの道の一里塚』(佐藤ケイ/電撃文庫)を読みました。相変わらずソツが無い作家だなー。

過去、自分の力を制御することが出来ずに、無意識に流れ出した妖気によって10万人以上の被害者を出してしまった悪魔少女(別名、悪魔っ娘)たまは、自らの罪を償うため、高校生霊能者である賀茂とその守護天使アブデルとともに、自分の妖気を浄化することをその身に課していた。浄化のためやってきた所、奇妙な屋敷を見つけてしまう。そこにはなんと、からくり仕掛けの”メイド”さんがいのだたった…。

あらすじを書いていても思ったのだけど、すっかり主人公がたまちゃんになっておりますなあ。本来の主人公である賀茂は、成長して人格的に揺らぎが少ないらしくて葛藤があんまり無いからかな。一時期はたまちゃんについて悩んでいたけど、今ではたまを守るという決意を固めているし、もともと霊能力もあるし、しかもアブデルの力まで借りているから、強すぎてピンチになら無いんだな、基本的に。で、スポットが当たるのがたまちゃん。自分の強大すぎる力の意味に悩み、過去の罪に怯え、賀茂への思いに戸惑いながら一歩一歩成長していくと言う構図になる。まさに主人公に相応しい。ていうか、すでに主人公ですな。

大体、この作品の基本コンセプトであるハーレムラブコメ(っぽい)部分は早い内に崩壊してしまったし、そもそもラブコメというよりは人情噺の側面の強い作品であるので妥当な展開なんじゃないかと思った。

さて、内容についてですが、収まるべきところに収まったと言う印象かな。メイドさんの扱いとしては、彼女の思いから考えればこれ以外にあるまいなあ。萌え作品としてテコ入れの場合は、何とかアブデルの言うとおりになった方が良いのかもしれないが、キャラクターを色々捻じ曲げないといけなくなるしな。それはともかくとして、珍しく正統派なヒーローっぽいことをやっている賀茂と、なんとかその力になりたいたまちゃんのすれ違いや和解まで描いていて大変素晴らしかった。らぶーとかそう言うんじゃなくて、人間として信頼しあっている二人の描写が大変気持ちいいと思う。あと、みきの嫉妬とか、キャラクターの設定をきちんと生かしているあたり本当にソツが無い。

ただ、人情噺としての側面が強くなっていて、萌えとかラブとかコメディ的な要素は大分薄くなっている気はする。しかし、作者の本来の資質はまさにそれであると思うので、僕は問題だとは思わないけど。見た目に反して、凄くまっとうなお話なんだよなあ…。物語のお手本にしたいくらいだ、と思いました。

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