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2005.07.14

『されど罪人は竜と踊るⅦ まどろむように君と』読了

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されど罪人は竜と踊るⅦ まどろむように君と』(浅井ラボ/角川スニーカー文庫)読了。また短編集かあ、と思った。すでに長編がどんな展開になっていたのか忘れそうだ。本を探そうにもダンボールの山の中にはまり込んでいて見つからず。一体どうしろと(別に…)。

このシリーズは、ガユスのギギナな相性最悪で常に相手を罵倒しあう二人のもはや芸(あるいはマンネリズム)の極地に到達しつつあるどつき漫才と、そして一流の実力をもつ二人が巨大な機構(もはやそれは組織のレベルではなくシステム)にとっては単なる駒でしかなく、徹底的に利用され尽くされる絶望的な理不尽さが特徴といえば特徴。これが普通に暗黒小説であればまだ良かったのだろうけど…。問題は、この作品は紛れも無くライトノベルであると言う事実だろうな。きちんとしたキャラクター小説でありながら、それらの体裁を嘲笑い、踏み砕く悪意が、刺のように読者に突き刺さる。

まあそんなことはどうでも良いけど、このシリーズは短編集も嫌いじゃない。どこにも出口が見えない長編のような救いようの無い展開も悪くは無いけど、短編の、思わず唇の端をゆがめてしまうような展開も嫌いじゃない。ただ、どうも、面白かった以外の感想が出てき難いなあ。

以下各話感想。

「黄金と泥の辺」
自らの大切なもののために命を賭けた男の、そのあまりに報われない結末に到達する時までを描いた作品。親友を救うために稼いだ金が、逆に復讐の対象となる結末はやるせない。本当に誰も救われてねえ。

「しあわせの後ろ姿」
男と女の話を真面目にやったらそりゃドロドロするのも当たり前なんだが、しかもそれが夫婦の別れ話で妻に愛人が(夫の後輩)出来て離婚の調停なんて話をやっているのは一体どこの昼メロかと。しかも下手に戦闘力が高いものだから危険極まりねえな、夫。しかし、男女の愛憎に落とさず、あえて組織に踏み潰される男という落とし方をするのは浅井ラボだよなあ。女にも組織にも見捨てられる哀れな男に自分を見るガユスの感傷を見るに、つくづくこのシリーズの『駄目人間小説』としての側面を感じました。

「三本脚の椅子」
面白いんだが、この人の物語の作り方において、最初にどうしようもないくそったれな現実があって、その中でほんのわずかに希望を見出すもののそれらはその後の破局の前段階に過ぎないと言うルーチンが確立しつつあるのが気になる。とは言え、今回のこれは、才能の有無というこれまた如何ともし難いものを描いているだけあって、逆に最後の悲しみは、結論を見出せない事への安堵を見せているように感じたのだがきっとこれは僕の個人的な感覚なのだろう。分析とかするなや。

「優しく悲しいくちびる」
久しぶりの馬鹿話。本当にすべてが馬鹿でくだらなくて最高なんだけど、時系列がすでに過去の出来事となっているために、それらすべてが悲劇に転換されてしまうのは上手い(と言ってもよいのか…)と思う。ラストのやり取りなんてあざとすぎて逆に感心してしまう。

「翼の在り処」
なんだこの奇人変人びっくり集団は。翼将ってのはみんなこんなのばかりなのか。その代わりに能力面においても本当に人知を超越していて、何これ、こんなのにガユスたちは勝てるの?とかほんの少し思ってしまったが、そもそもまともに勝敗が決まる(決められる)ような素直なシリーズではないのでこれでいいのだと思う。そもそもこのシリーズに勝者はいない。長い目で見ればすべてが敗者でしかないのだ。勝利する事の不毛さと、運命と言うものの無慈悲を描いたこのシリーズは、本当に少年漫画的なものへの憎悪があると思う。

そこがこのシリーズそのものの魅力であるのだろうなあ。

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