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2005.07.24

『シフト-世界はクリアを待っている-』読了

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シフト-世界はクリアを待っている-』(うえお久光/メディアワークス)を読んだ。メディアワークスのハードカバーへの殴りこみ計画の一環、なのだろう、多分。有川浩と違うのは、おそらくはファンタジー小説として売り出そうと言う姿勢が見受けられるところかな。大きさとかもそんな感じだし。

内容については僕は結構面白かったと思う。ただ、普段から電撃文庫などで読んでいる人からすると値段との兼ね合いから不満点もあるかもしれない。ただまあ、ハードカバーってのは高いものだし、同じような本を見渡せば妥当なところではないかと思う。

”夢の中のもう一つの世界”と言うのは、佐々木淳子の『ダークグリーン』(名作!)の設定を思い起こされるが、その夢を見るのが十代の少年少女たちだけに限られていると言う点が、この作品の特徴と言えば特徴か。その分、その世界は青臭く混沌としていて渇いた印象があるように思う。『ダークグリーン』では”敵”という存在は正体不明の、人間とは異なる存在であったのだが、こちらではその”敵”と”味方”という割り振りですら夢を見る子供たちの”役割”として演じられている。つまり、これはRPG、それもTRPGの延長にある世界観なのだろう。

その役割の中で迫害される事を運命付けられてしまった異形を抱えた”怪物系”である主人公たちが、ただ迫害され続ける世界に対してどのように対峙していくのか(好きで怪物系になったわけではなく、好きで人を害するわけでもない)と言う所がこの作品のテーマになってくるのだろうか。まあ、そう考えてみるとこれは正しい意味でのジュブナイルファンタジーと言えなくも無いのかも知れない(それにしては直接的過ぎるかなあ…)。ほとんど現実サイドの描写が無いのも、”夢の世界”がそのまま現実の反映になっているせいなのだろうね…って事はあまりこの設定は機能していないと言う事だよな。”夢”と”現実”を対比構造にしていくわけじゃないのかな?どちらも現実である、と言うことか。さすが、うえお久光。実にドライだ。彼にとっては幻想すらも逃避の場所にはなりえないのか(考えすぎです)。

さて、今回では結局完結しなかったんですが、これは続きは出てくれるんでしょうか。また、この作品構造をきちんとした形で物語に取り込むことができるのかどうかも凄く気になるので、なにとぞ、続きをお願いいたします。

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