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2005.07.31

『GOSICKs 春来る死神』読了

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GOSICKs 春来る死神』(桜庭一樹/富士見ミステリー文庫)を読んだ。相変わらず完璧な仕事だな…作者もイラストレーターも…。

とはいえ、完璧と言うのは、あくまでも萌えミステリとしてはと言う事ではあるけど、と言うとまるで貶しているみたいだが、実際には実に面白かったのでありました。ただし、多少ミステリに慣れていれば大体判るトリックになっているので、謎解き部分には過度の期待は禁物です。その分、ミステリに慣れていない人、例えば本来の富士ミス読者に向けて本格ミステリの面白さを布教すると言う意味では適切ではないかと思いました。うろ覚えだけど、作者も小中学生向けのトリックにしたとか、そんなような事をどこかで書いていたような気もする。記憶違いかもしれないが。

話が逸れました(いつもの事です)。

今回は本編のプレストーリーなる位置付けとなる、ヴィクトリカと一弥の出会いの物語。聖マルグリット学園で起こった事件を通じて、不器用なヴィクトリカと鈍感な一弥が拙いながらも交流を深めていく過程が描かれている。他人を拒否しながらも一弥からプレゼントされるお菓子だけは食べたり、つっけんどんな態度を怒られて目を白黒させるヴィクトリカの様子や、ヴィクトリカの振り回される一弥の活躍(?)などを眺めているだけでも大変にに楽しく、武田日向の細密極まりないイラストと相まってとても面白かった。本編では暗雲を立ち込めつつある二人の未来をよそに、まだまだお互いへの興味だけでおそるおそる近づきあう二人の関係が、キャラクター小説的に大変に良いと思いました。

桜庭一樹は、このような”萌え”に特化したキャラクター描写が大変に上手くて、きちんとエピソードを組み立てての描写を行うところがとても良いと思うな。
そして、その描写をする対象を思春期の痛みや苛立ちに向けると、途端にすさまじい切れ味を発することになるあたりに、桜庭一樹の非凡な部分があるのだと思う。

つまり、キャラクター描写とは要するに調理技術であって、そこで料理する素材を選ばないで料理出来ると言う事、とも言い換える事ができるのではないかなあ…とか。そんな事を妄想しました。

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