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2005.06.06

『よく分かる現代魔法 TMTOWTDI たったひとつじゃない冴えたやりかた』読了

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よく分かる現代魔法 TMTOWTDI たったひとつじゃない冴えたやりかた』(桜坂洋/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。ふう、ようやくこの感想が書けるよ。

どうやらこの『現代魔法』シリーズも一区切りと言う事らしい。まあ、ここで終わっても大丈夫と言うだけであって、勿論このまま続いても問題ないわけだが。そろそろ別の話も書いてみるのかな、と思ったら早川文庫から新刊が出るはずだったなこの人。買わねば。

いきなり脱線してしまったけど、それはさておき、と無理矢理に方向転換。
相変わらず面白かった。当初は森下こよみの成長物語としての側面から始まったこの話も、最終的には弓子の物語に帰結する形で一応は終わる。これは、こよみの成長物語としては、一巻で既に終了しているためであろうね。おそらくこよみというキャラクターは、この物語でもっとも安定しているキャラクターである。そのため二巻以降は彼女に周囲の人間が影響されていく事で物語が進んでいくしかないと言うところか。おそらく、主要な登場人物である4人の少女の中で、もっとも不安定なのは弓子だったろうから、最終的に彼女の成長物語として展開させるのは自然なことであったかもしれないな。嘉穂は決して安定しているわけではないが、その自分を自覚し対処をしている。美鎖は既に自らを鍛え上げ完成されているし。

さて内容について語ってみようと思うのだが、つくづく桜坂洋と言う作家は説明をしないと言う事を実感した。まったく説明が不十分すぎますよ。美鎖が弓子と戦った理由もそれだけかよって感じだし、ジキタリスがいきなり世界を滅ぼすのを止めるのもいきなりだし、一読して理解が追いつきません。物語の裏でなんらかの”流れ”が存在していて、それに則った展開になっているのは分かるんだけどね。まあ、殺すぐらいだったら殺された方が良いっての言うのはそうなんだろうし、ジギタリスの転向は弓子のパーソナリティによるところが多いのかもしれないかな。そう言う風に解釈はいくらでも出来るので、問題は無いか。

ただ、作者のタイプとしてはあまりライトノベル的な作風ではないように思う。説明するべきところを最小限で済ませるところもそうだけど、何よりこの人が書いているのは「キャラクター小説」ではなく、常にアイディアの人であり、もっと言えば「状況」を作る事が巧みな作家なのではないかと言う気がする。特殊な状況の上に事件を起こし、その上で物語を動かすと言う小説であった『All You Need is Kill』なんかその良い例なので無いかな。
勿論「よくわかる~」はきちんと成長物語として成立しているし、それが十分に面白いのは認めるが、作品の肝は呪文をコンピュータによって記述する”現代魔法”というアイディアそのものであろうと思し、それによって、この作品はSFとファンタジーの境界線にありながら、そのどちらでもあると言う稀有な作品であるのだと思う。

ともあれ、次の早川から出る新刊は、おそらく本気のSFを仕掛けてくるだろうと思うので、今から楽しみにしているのである。まる。

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