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2005.06.12

『子供たち怒る怒る怒る』読了

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子供たち怒る怒る怒る』(佐藤友哉/新潮社)を読んだ。面白い…よな?

しかし、一応文学関係の方で書いていた短編集ということであるけど、いつもとほとんど変わらないなあ。精々シリーズものではないと言うぐらいしか差異は無いか。まあそんなに書き分けができるほど器用な作家ではないから予測の範囲ではある。

以下各話感想

「大洪水の小さな家」
一話目のタイトルからパクリか。…や、冗談ですはい。
もー佐藤友哉の駄目っぷりが遺憾なく発揮される一作。ひたすらに閉塞していこうとする兄弟の傲慢さにはいっそ恐れ入るほどで、しかし、それを否定することは僕には出来ない。途中で主人公のあまりの無自覚さに腹が立ったが、最後にすべてを悟ったところで納得。つーか、この主人公、僕と同じ事を考えているな…。でもそれでも人は生きていけるんだぜ?

「死体と、」
これって消費される少女性を巡るお話だよね?少女性を語るために死体を使ってしまう佐藤友哉の趣味の悪さが光っているように思います。

「欲望」
刹那的過ぎて何にも残るものがない。そりゃまあ、マスメディアにおける少年少女の犯罪について理由付けには見ていて気持ちよいものは感じないけど、だからと言って理解と考察を全部投げ出しちゃいけないだろう。単にそれでは怠惰なだけだ。

「子供たち怒る怒る怒る」
なんか舞城みたい…と言うのは禁句か。
世界には悪意が満ち満ちていて、安心の中で生きていきたいと望む子供たちが、しかしその安心を得る事が出来ない世界に対する呪詛を撒き散らすと言う話。一番普通に面白かった。まあ、しかし、安心を求める気持ちと諦めの気持ちが相反する心理は良いと思うけど、これ何の解決にもなって無いよね?ただ、虐げるものへの怒りだけがあるような気がする。

「生まれてきてくれてありがとう!」
一見爽やかに見えて、実はどうしようもなく歪んでる。爽やかって言うのも嘘だな。人間の勇気と尊厳を描いている…ように見せかけて、どうしようもなく不条理で優しくない世界とそれに対する怒りと憎悪を描いている。まあ、今までの作品と一緒だな。しかし、それらと対峙する武器と言うのが人形(フィギュア)とは…そのまんま過ぎるよ佐藤友哉!

「リカちゃん人間」
つーか、本当に佐藤友哉は同じ話しか書かないな…。佐藤友哉の作品は、結局のところ勝つか負けるかの2択でしか世界を語っていないので、なんとも脆弱で薄っぺらい物になってしまうように感じる。自分が負け続けていたというコンプレックスと罪悪感、それらが反転した形での勝利に対する憧れとなっているのかなあ(勝手な想像です)。どうも、佐藤友哉の短編だとその構図がはっきりと出すぎてしまうのが気になる。物語を楽しむところまで作品の密度が足りず、本当に佐藤友哉の骨格だけ読まされているような気になってしまう。長編の方が佐藤友哉は面白いような気がするなあ…。

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