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2005.06.23

『海の底』読了

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海の底』(有川浩/メディアワークス)を読んだ。とても面白かった。

前作『空の中』に引き続き、怪獣物+青春物と言う、相変わらずこの作者しか書かないであろうライトノベル。相変わらず軍事関係の熱心な描写には、大変に勉強をしているようで頭が下がります。というか本当に好きなんでしょうね。僕は全然詳しくないのでどこまで正確なのかはわからないけど…。

まあそれはそれとして。
メディアワークスの一般小説への殴りこみの切り込み隊長としての有川浩ですが、ハードカバーで書いていてもライトノベルであることを忘れていないのは偉いなあ。きちんと勉強しながらも、こっぱずかしい恋愛模様を描けるって言うのはすごいなあ。

今回はあまり怪獣は中心じゃないですね。どちらかと言うと、突然現れた天災を巡るお話です。右往左往するしかない上層部に対して、現場の人間たちは自らの職務にプライドを持って立ち向かう。不平を言う事しか知らない無責任な愚物と気高い人間性がきっちりと善と悪に振り分けられているあたり、実にすがすがしいですな。リアリティなんて全然無いけど、何、小説にはリアリティなんてものは刺身のツマのようなものさ(極論です)。これは現代を舞台にしたファンタジーであり、有川浩は毎回そう言う話を書き続けているように思う。

作者の視点が大人と子供の視点を無理に書き分けていないのも良いね。子供の視点からも大人の視点からも、無理なく(無闇に差異化するのではなく)書いているのはなんとも不思議な読み心地だ。なんと説明したらよいものか分からないのだけど、例えばライトノベルの多くは大人の世界を拒絶の対象にしたり、大人の論理を非難したりすると思うのだけど、この作品にはそれはない。誇りを持って職務を遂行する大人たちが描かれている。逆に大人の小説(と言うと変な感じだが、ここではライトノベルと対比する普通の小説の事と捉えてください)では逆に子供はまったくの無力で保護される対象でしかなく、作品の中核を担う事など出来ない。しかし、この作品では怪獣と警察が戦っている傍らで、子供の世界における対立がクローズアップされていたりする。そして作者はそれらを無理に引き離そうとはせず自然に書き分けているように思う。なんとも不思議な読み心地だと思った。

なんか言いたい事の半分も言えていないけど、とにかくそんな感じだ。本当、変な小説だよなあ…。

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