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2005.06.01

『パラケルススの娘』読了

本当にライトノベルばかり読んでいるな…。ちょっと危機感を感じてきたぞ。そろそろ他の本を読んでみるか。

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それはともかく『パラケルススの娘』(五代ゆう/MF文庫J)を読んだ。まさか五代ゆうの本で文庫一冊でまとまる作品を読む日が来るなんてっ…(驚くポイントがそこか)。

久しぶりの五代ゆうのライトノベル作品は、19世紀末の倫敦が舞台。いわゆるビクトリア朝と呼ばれる、大雑把に言って『エマ』と同じような時代でありますが、こちらは上流階級の間では交霊術が流行し、オカルトが蔓延る世界。そんなところに巻き込まれてしまった主人公、日本からはるばるやって来た遼太郎くんは、傲慢で不遜な男装の麗人クリスティーナとメイドのレギーネと出会う…という話。

これは遼太郎が、とっても強くておっかない魔術師クリスティーナにこき使われる毎日を描いた物語…では無く、一族から見放され自身に対する拭い去れぬ劣等感を抱えた遼太郎が、様々な事件を通じて自らが自らである由縁を求めていく。そして同時に冷たく凍えたクリスティーナとの関係を変化させていく話…になるのかも知れない。まだまだどういう展開になるのか分からないけど、でも久しぶりの五代ゆうはやっぱり面白かった。

まあとりあえず、この作品の肝はクリスティーナと遼太郎くんということになるのだけど、正直に言ってこの二人の関係性についてはあまり描写がされていなかったような。ある事件を通じて対立する二人なわけだけど、クリスティーナが遼太郎を気にするそぶりを見せ始めた過程が良く分からなかったな…。ああ、そうか、誰にもはばかることなく自分を押し通すクリスティーナに昂然と(と言うほど格好良くは無い)反抗した遼太郎にちょっと感情を(苛立ちであれ)動かされたと言う事実。それ自体が理由なわけですか。孤高な彼女は、彼女を動揺させる可能性のあるものに対して忌避し嫌悪する。それは期待の裏返しと言うわけだな。書いていて納得。

まあそれは一方の極としてクリスティーナの物語であって、それと対比されるのが遼太郎サイドの物語。退魔を生業とする一族に生まれながら、無能者として蔑まれ続けた彼は、拭い難い無力感に苛まれ続けている。彼が事件を通じて自分の足で立ち上がろうとするまでを描かれている。勿論、そのモチベーションとなるのは少女を助けるためと言うボーイミーツガールが盛り込まれていて良い感じ。まあ、男って言うのは少女を守るためでもなければ一人で立ち上がることも出来ねえ生き物なんだよなあ、とか思った。ま、頑張れ、少年。

まだまだ話は始まったばかりだけど、大変正統派な少年の物語に、強い女性の物語が交錯する構成になりそうで面白くなっていきそうだ。オカルティックな雰囲気も悪くないしね。これで五代ゆうの幻想を描写する筆腕が全開になったらすごい事になりそうだ。素直に続きを期待しようと思う。

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