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2005.06.30

『トリックスターズ』読了

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トリックスターズ』(久住四季/電撃文庫)読了。あー2週間早く感想を書いていりゃあなあ。祭にリアルタイムで参加出来たのに…と言ってもまさしく後の祭り。今からでは何を書いても後付だな。詳しくはBUD_TRIPの6/16から6/25までの日記を参照の事。

それはともかく大変面白かった。僕は本格も新本格も古典についても良くわからない程度の浅いミステリ読者に過ぎないのだが(だって難しいだもん)、これは実にまともでよく出来たミステリだと思う。ここまで真面目なミステリが電撃文庫から発売されたのだと言う事実が何よりも素晴らしい。ついに電撃文庫も本格的な攻勢を仕掛けてきたのかなあ。この調子でミステリもSFも取り込んで怪物的進化を遂げてくれる事を期待します。まあ無理か。

また話が逸れてしまった。
魔術と魔術師が存在する現代に似た世界で行われる密室殺人。果たして犯人は世界で数人しかいないといわれる魔術師なのか?その魔術師である佐杏冴奈とそのゼミ生である天ノ原周は、犯行予告から始まる一連の事件に巻き込まれる。犯人はすでに”わかっている”。では一体誰が犯人なのか?

いやあ、楽しいねえ。最初に読者の挑戦状があったり、きちんとルールに則った魔術トリックと言い、まさに本格とでも言うべき作品で、謎が大変に魅力的。犯人と犯行に使用した手段は早いうちに分かるのに、それではそれをどのように使ったのか、そしてその犯人は今は誰なのか?という趣向。それに世界に6人しかいないといわれる魔術師たちの闘争が繰り広げられると言う伝奇的な設定も含めて楽しい楽しい。
7つの謎は全部は分からなかったのは残念だが(3つしか分からなかった…。ただし、7つ目は早いうちに分かった。なぜかと言えば同じネタを最近読んだからなあ)、その謎の散りばめ方もきちんとしているように思うし、魔術にも厳密なルールが存在していてトリックとして成立している…んじゃないかなあ(このくらいで勘弁してくれ)。キャラクター的には記号以上のものではないが、その辺はミステリだし問題はないだろうね。

まあ、まとまりがない文章になってしまうけど、あまり内容について書きすぎるのもどうかと思うので(もう遅いか)こんなところで。いやあ、すごく面白かった。ミステリを読みたいという人は読んでみてもよいのでは、ってところか。

およそ電撃文庫の普通の読者層に向けて書かれているとは思えないのが、なんなんだけどねー。

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本日の購入物

早く『塵骸魔京』の続きがやりたいのに、敢えて終末まで封印する。週末になれば一日中やってられるぜ!という楽しみで一週間を過ごしてしまった。なんだかそれは、どことなく気分が浮き立つような気持ちで、我ながらゲーム如きで幸せになれる自分の安さってものをつくづく実感するけど、それはそれとして人間にとって一番幸せな状態と言うのは、自分の幸福が叶えられる寸前で留め置かれる状態の事を指すのではないかな、何て事を思った。勿論、その幸福は必ず叶えられる事が前提としてある事が必要だけど。おそらく、幸せとは概念として存在するものではなくて、あくまでも過程として存在するものなのだろう。本を読むことで最大の幸福とは、本を読む寸前であるように、ゲームをやっていて一番楽しいのはどうしても勝てないラスボス前で延々とレベル上げをしている時のように。

1.『Landreaall(6)』 おがきちか 一迅社
2.『モーティブ-原動機- リフュールド』 一色登希彦 少年画報社
3.『20世紀少年(19)』 浦沢直樹 小学館
4.『キカイ探偵』 福原鉄平 幻冬舎
5.『ランクマーの二剣士』 フリッツ・ライバー 創元推理文庫

1.し、幸せだ…。僕はもう、おがきちかと山口貴由の漫画が読めるだけで人生の0.数%は取り返しがつくような気がしてくる。つーか、漫画を読んでて良かったなあ。
2.……すげえ。やばやばい。主人公と僕はほとんど同年代なんだけど、まさしくそんな感じ。ヤバイ。大人になっちまうぜ!?それで良いのか!?
3.浦沢直樹もここまで長い作品をよく一定以上の品質で書き続けられるなあ。浦沢的ハッタリズムがたまらねえ。
4.むむ~…古い漫画だ。描かれたのは最近なのだが、なぜか古さを感じてしまう。別にノスタルジーを刺激されるわけではないけど、妙に新鮮だなあ。
5.積みっぱなしだな拙いぜ。早く既刊を発掘せねば…。

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2005.06.29

本日の購入物

最近、全然空腹感を感じなくなってきた。なにしろ一食ぐらい抜いても全然腹が減らない。困った事だ。

1.『ロクメンダイス』 中村九郎 富士見ミステリー文庫
2.『されど罪人は竜と踊るⅦ まどろむように君と』 浅井ラボ 角川スニーカー文庫
3.『もてね!?』 甘詰留太 白泉社

おかしいなあ…『Landreaall』の6巻が全然見つからない…。売り切れか?
1.HentaiJapanimation4seasonsの夏葉薫さんからのトラックバックで、この本が発売されていた事に気が付く。そういや売っていたなと思いつつ本屋に行ったら一冊だけ置いてあった。むう。とりあえず読んでみます。
2.されど~の新刊。短編集だけど。相変わらず陰々滅々な展開に投げやりで自暴自棄的なギャグが混在する作品だなあ。
3.甘詰留太のエロラブコメディ。主人公には普通にむかつく。特に自分が好かれていると思い込んでいて勝手に独占欲を保持して勝手に裏切られたと思って切れてそのくせ未練たらたらのまま側にいるあたりが。痛え。僕の胸が。

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2005.06.28

『スラムオンライン』読了

なんか久しぶりに感想を書くような気がするなあ…。ずっと『塵骸魔京』をやっていたせいだけど。感想の書き方、はっきり言って忘れました。

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スラムオンライン』(桜坂洋/ハヤカワ文庫JA)を読んだ。不思議だ…なんだろうこの話は。

世にバーチャルネット小説は数多くあるけれど、それは大抵は現実と見紛うばかりのバーチャルの世界を描いていることが多い。それはネットゲーマーの願望であり、今ここにはないどこかを追い求める気持ちの発露なのだろうと思う。さて、そこでこの『スラムオンライン』はどうなのかといえば、これはほとんど現在のネットゲームの範疇に入る世界だ。ポリゴンで描かれたキャラクターを操った3Dオンライン格闘ゲーム。それが『スラムオンライン』の世界だ。

したがって、必然的にその物語では、現実とバーチャルの世界は対立構造として描かれることはなく、現実は現実として厳然と存在しており、バーチャルの世界はあくまでも現実の延長上にある。いかに主人公がバーチャルに憧れ没入しようとしたとしても、そこへ至るインターフェイスは十字レバーと数個のボタンでしかないのだ。

だが、だからこそこの物語にはバーチャルへの、否、ゲームと言う幻想に対する強い憧れが迸っている。憎悪にも似た深い愛情が、乾いた描写の中にもぐりこんでいる。否、否、愛情とか憧れとか、そういう表現では追いつかない。むしろ、今までゲームとともに過ごしてきたことが当たり前であった世代の、ゲームに対して身も心も捧げてきた若者の、それによって現実を生きてきた人間の感情があるように感じる。

我々は(と敢えて言ってしまおう)、現実を生きる事にそれほど興味は持っておらず、しかし、ゲームをする事の不毛さ心の底から理解している。だが、その世界から抜け出す事などはまったく考えられない。なぜならそれは自分が選び取ってきたすべてだからだ。他人から、たかがゲーム、と言われながらそれでも選び取ってきたものだからだ。現実と隣り合わせる地続きのバーチャルの世界で、自分なりの価値観を求めてきた行為を、否定する事など出来よう筈もないのだ。

僕たちは電気信号に意味を見出せる事が出来た世代であり、自分のこれからも価値を求めてゲームをやっていくのだろう。その行為は決して現実から遊離する事と同義ではない。現実に足る何かを求めているだけなのだ、と僕は思う。
 
 
さて、ここまで書いてきて、何一つ本の内容について書いていないことに気が付いた。とは言え今更どうしようもないのでここで終わろう。

しかし、それだけではあまりになんなので一言だけ。僕のように青春の何割かをゲームに費やしてきた人々に読んで欲しい作品だと思う。現実に対する不器用さとその不器用さへの劣等と誇りと言うアンビバレントなものを抱え込んでいる人は特に必読(と、あえて言ってしまおう)。

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本日の購入物

『塵骸魔京』は少しお休み…というより続きを急いでクリアするのが勿体無いのでちょっと時間を置くつもりです。つーか、ヤバイね。このゲーム、テキストを思い浮かべるだけで感情がぶわっって感じて揺れてしまうのだが。どうなっているんだ?

1.『フラクタルの女神』 アン・ハリス 創元SF文庫
2.『白痴』 坂口安吾 新潮社

1.…最近は創元もライトノベル風味のイラストを使うようになったのな。まあ、良いのだけど。どっかの書評サイトで褒められていたような気がしないでもなかったような、と言う曖昧な根拠を元に購入。理由はどうでもいい。面白ければ。
2.またしても変な電波を受信したのか、坂口安吾を読まなければいけないような熱情が沸いてきた。自分でも何故だかわからぬ。おそらくUFOか毒電波か前世の仲間からのメッセージだろう(うわ、何て適当なコメント)。

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2005.06.27

『塵骸魔京』プレイ中(4)

はいはい続きです。風のうしろを歩むものルート。

こ、これは…人間と人間外のまったく異なる種同士のコミュニケーションを描いたラブストーリーだったのか!すごい、真面目にこのテーマで恋愛を掘り下げているエロゲーをやったのは初めてだぜ…。まあ僕が勉強不足なだけかもしれないけど…。

イグニスルートとうって変わっていつまで経っても主人公が異能を身に付けないのが面白い。あくまでも人間として人外と相対している。人間にとっては、いかなる人外に対しても無力であり、捕食の対象でしかない。人間である主人公が、人外である風のうしろを歩むものと出会う事で、食うものと食われるものとの間に友愛は生まれえるのか?というのがテーマ。まあそのあたりの障害はなんとかクリア出来るとしても、二人の世界観の違いと言うのは決して埋められない溝があるのですね。その相違が、しかし、単なるネタに終わらずにクライマックスの伏線に危機を乗り越える伏線になっているのには感服した。

障害のある二人の恋愛を描いたと言う事で、要するにロミオとジュリエットになるわけだが…いや、もう本当に参る。決して同じ世界を生きる事が許されない二人の物語。育んだ二人の関係が引き裂かれる時、主人公の採る選択は。その選択と言うのはプレイヤーに委ねられるのだけど、どの選択を選んだとしても、与えられた運命を受け入れ、精一杯を生きようとする姿に感情が激しく揺さぶられてしまう。うー本当に涙もろくなったな、自分…。僕も年をとったものだ。

イグニスルートもそうだったけど、非日常をくぐりぬけ日常に帰ったとしても、その日常を必死に生きる続ける決意は涙が出るぐらいに美しい。

続きも近いうちにクリアする予定です。

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2005.06.26

『塵骸魔京』プレイ中(3)

いや、別にゲームしかやってないわけじゃないよ?ただ、文章を書くモチベーションがゲーム以外のことに向かわないだけで(僕は一端集中すると視野が狭くなってしまうタイプなのだ)。

とりあえず、イグニスルート終了。伝奇物として大変良い出来だと思う。異能を得た主人公が自分が生き延びるために戦いに身を投じるという正統派な伝奇アクションものでありながら、他人への共感能力を欠いていた主人公がが、他人との交流によって変容していく過程を描いた成長物語でもある。主人公の感情を介さない理屈っぽさは、逆に成長の過程をひとつづつ積み上げていく様子と、主人公の行動原理を明確にしているように感じる。
まあ、やや後半のどんどん力のインフレが起こっていくあたり、既存の伝奇小説の類型に流されてしまった印象もあるが…しかし、新しいタイプの作品である事は間違いない。

それにしても、アジのお茶漬けから人類の興亡にまで想起出来る主人公の思考回路は最高だな!こーゆー理屈っぽさ大好きだ。

さて、続いては風のうしろを歩むもの(長い…)ルートです。

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2005.06.25

『塵骸魔京』プレイ中(2)

延々と『塵骸魔京』をやっている。や、やめられん…。

しかし、素晴らしい。何が素晴らしいって、主人公の成長と決断が感情に任せた勢いではなく、それまでの主人公の選択とすごした日々を踏まえて展開されているのが最高に良い。いわゆる熱血ではなく、むしろ冷たく論理的な思考を積み重ねて事件解決に乗り出す場面がクールでかっこいい。

ああ、続きをやろーっと。

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2005.06.24

『塵骸魔京』プレイ中

いかん、『塵骸魔京』が面白すぎる。主人公と周囲の人間とのディスコミュニケーションぶりが大変にツボに嵌った。とりわけ人間関係を構築する上で生じる迂遠さと、やり取りされる情報の緻密さに戸惑う主人公と、その周囲の反応のギャップが面白い。もっともあんまり笑い事じゃないブラックな滑稽さと言うべきものかもしれないけど。

それにしても、この主人公は『絶望系~』のカミナを丸くしたようなキャラクターだよなあ。他者と共有するものを持たない一本足の蛸ってやつだ。多分、自分が人間であるという自覚が多少自己肯定に役立っているのだろうけど。

まあ、まだまだ序盤だけど、そんな感じ。

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2005.06.23

本日の購入物

時間が無いので簡単に。そろそろ別なやり方を考えるか…。

1.『げんしけん(6)』 木尾士目 講談社
2.『蟲師(6)』 漆原友紀 講談社
3.『荒野に獣慟哭す(2)』 原作:夢枕漠 漫画:伊藤勢 講談社
4.『無限の住人(18)』 沙村広明 講談社
5.『蟲と眼球とテディベア』 日日日 MF文庫J
6.『殿が来る!~ニッポン最後の日!?~』 福田政雄 相楽ヒロカズ スーパーダッシュ文庫
7.『時を編む者』 澤見彰 光文社
8.『奇怪動物百科』 ジョン・アシュトン ハヤカワ文庫

1~4.までは講談社の新刊です。1.は特装版じゃないよ。2.はアニメ化らしいけど、期待と不安が3対7と言ったところ。3.もう好き勝手やっているな…。もっとやれ。4.なんか最近の迷走が嘘のように面白い。昔のような面白さではないんだが…。
5.また日日日。もうなんでもありだな。つーか、大体日日日は分かったので、もうちょっと落ち着いて書いてください。
6.こーゆーライトノベルは今時貴重だと思う。
7.買った理由は田中芳樹がコメントを書いていたから。本当。
8.もう想像力がビシバシ刺激される。最高。

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『海の底』読了

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海の底』(有川浩/メディアワークス)を読んだ。とても面白かった。

前作『空の中』に引き続き、怪獣物+青春物と言う、相変わらずこの作者しか書かないであろうライトノベル。相変わらず軍事関係の熱心な描写には、大変に勉強をしているようで頭が下がります。というか本当に好きなんでしょうね。僕は全然詳しくないのでどこまで正確なのかはわからないけど…。

まあそれはそれとして。
メディアワークスの一般小説への殴りこみの切り込み隊長としての有川浩ですが、ハードカバーで書いていてもライトノベルであることを忘れていないのは偉いなあ。きちんと勉強しながらも、こっぱずかしい恋愛模様を描けるって言うのはすごいなあ。

今回はあまり怪獣は中心じゃないですね。どちらかと言うと、突然現れた天災を巡るお話です。右往左往するしかない上層部に対して、現場の人間たちは自らの職務にプライドを持って立ち向かう。不平を言う事しか知らない無責任な愚物と気高い人間性がきっちりと善と悪に振り分けられているあたり、実にすがすがしいですな。リアリティなんて全然無いけど、何、小説にはリアリティなんてものは刺身のツマのようなものさ(極論です)。これは現代を舞台にしたファンタジーであり、有川浩は毎回そう言う話を書き続けているように思う。

作者の視点が大人と子供の視点を無理に書き分けていないのも良いね。子供の視点からも大人の視点からも、無理なく(無闇に差異化するのではなく)書いているのはなんとも不思議な読み心地だ。なんと説明したらよいものか分からないのだけど、例えばライトノベルの多くは大人の世界を拒絶の対象にしたり、大人の論理を非難したりすると思うのだけど、この作品にはそれはない。誇りを持って職務を遂行する大人たちが描かれている。逆に大人の小説(と言うと変な感じだが、ここではライトノベルと対比する普通の小説の事と捉えてください)では逆に子供はまったくの無力で保護される対象でしかなく、作品の中核を担う事など出来ない。しかし、この作品では怪獣と警察が戦っている傍らで、子供の世界における対立がクローズアップされていたりする。そして作者はそれらを無理に引き離そうとはせず自然に書き分けているように思う。なんとも不思議な読み心地だと思った。

なんか言いたい事の半分も言えていないけど、とにかくそんな感じだ。本当、変な小説だよなあ…。

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2005.06.22

『D.Gray-man reverse1』読了

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D.Gray-man reverse1』(城崎火也/ジャンプJブックス)を読んだ。

本来、僕はこの手のファンアイテム的な本は買わないようにしているのだけど、作者が『鬼刻』の人だということに気がついたので、気まぐれで買ってみた。まあ、大体想像通りの内容だった。やっぱりファンしか楽しめないところも多々あって、まあ普通のマンガのノベライズ作品だと思う。よく知らんけど。ただ、こーゆーのは僕は小説とは呼びたくないなあ。

ノベライズと言うのは、読者は既に原作を読んでいるという前提がまずあるので、世界観やキャラクターの説明をしなくても良いという稀有なジャンルなのだけど、同時に既存のキャラクターに縛られたものになりやすく単品では成立できない弱点を持っているのが傾向としてある。また、原作がマンガだと言う事は、想定される読者はほとんど小説と呼ばれるものを読んだ事が無い可能性もあると言う事で、書き手としては色々難しい条件がつけられてしまっていると思う(余談だが、ここで作者に求められているのは、いかに”キャラ萌え”をしている読者に対して、満足しうる材料を提供出来るのか、と言う事にあると思う。二次創作的なスタンスと言うべきか)。この作品は、その厳しい制約の中では頑張っている方だと思う。思うけどやっぱり小説としての評価は出来ねえわな…。

まー『鬼刻』の三巻には期待しております。

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2005.06.21

『リメイク』読了

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リメイク』(コニー・ウィリス/ハヤカワ文庫SF)を読了。やっべ、すげー面白いのに映画に詳しくないせいでネタがほとんど分からない。勿体ない事をしたなあ…。

とはいえ、大変面白かった事には代わりが無いので満足はしている。さすがコニー・ウィリスと言ったところかな。

舞台は近未来のハリウッド。そこでは新しい映画を撮られること事は廃れ、もっぱら顔だけをコピーしたデジタル俳優がもてはやされ、生身の俳優の出番などはなくなってしまっている。映画を愛し、愛しすぎるが故に映画を冒涜をする「リメイク」の仕事を請け負う学生トムは、パーティで美しい女子学生アリスと出会う。彼女はなんとミュージカル映画でダンスを踊るという夢を抱いていたのだ…と言うあらすじ。

リメイクしかされなくなったハリウッドと言うのは、続編、リメイクがもてはやされる昨今を皮肉っているようで面白い。このままデジタル技術が発達していけば、ここで描かれている事は決して絵空事ではなくような気がするけど、まあ、そこは置いておこう。

重厚長大の印象(注…勝手なイメージです)があるコニー・ウィリスの作品にしては、とても軽くておしゃれでロマンティックな物語。ロマンティックなのはいつもの事だけど、映画とダンスと言うモチーフがそれをより強めているように感じられる。全編に映画の薀蓄が散りばめられ、絶え間なく台詞が引用される所には映画が好きな人ほど楽しめるんじゃないかなあ。僕は前述の通り詳しくは無いので、引用の9割は分からなかったけど、何、気にする事は無い。はるか過去の映画に突然現れたアリスの姿、デジタル技術でリメイクされたものではない彼女の姿の謎。その謎を牽引力として、映画を愛して夢敗れた男と夢を信じて追いかけ続ける女の恋を描いた作品は下手なサスペンスよりもスリリングだ。さらにしかも、しっかりとSFであるというなんとも贅沢極まりないおはなしである。

ああ、面白かった。
短い分、コニー・ウィリスを読んだ事の無い人にも抵抗無く読めるのではないだろうか。オススメです。

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本日の購入物

自分が取り返しのつかない領域まで到達してしまった事に気がついた瞬間。

夕食を食いながら『シグルイ』をへーぜんと読んでいる自分に気が付いたとき。
 
それは人として駄目だろう。

1.『午後の国物語 REMIX』 富士宏 まんがの森
2.『デビル17(6) 鮮血の学園祭(中)』 豪屋大介 富士見ファンタジア文庫
3.『快速!FREE NOTE Book!!』 すがわらくにゆき ワニブックス

1.『ワレキューレの降臨(1)』のあまりの高品位ぶり驚かされた富士宏の作品。これまた実にハイレベルな一品で読んでいて嬉しくなってしまう。富士宏にはある種の”空間”を作り出す力があるなあ。どこか懐かしくも穏やかな、そんな何かがあるように思う。
2.やれやれ、やっと見つかったよ。なんだか滅茶苦茶薄いんだが…やってくれたな富士見ファンタジア。
3.ははは、買っちゃった。本当は一巻を探していたんだけど売っていねえし。『魔術っ子!海堂くん!!』も持っているはずだが、はてどこにやったか…。

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2005.06.20

『座敷童にできるコト』読了

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座敷童にできるコト』(七飯宏隆/電撃文庫)を読んだ。まあまあ面白い。

終末SFものでビルドゥンクスロマンというかなり変わった事をやっていた『ルカ 楽園の囚われ人たち』で電撃大賞で大賞を受賞した作家の受賞後第一作になる。

まあ堅実と言うか、相当に売れる要素(セーラー服、(見た目)同年齢の少女と同居、戦闘美少女)を突き詰めていったのだろうと言う事は理解できるのだが、どうも見事なまでに滑っているような…。つか、作者、実は萌えを全然理解していないね?ま、僕も理解できているわけではないのだが、あれはひたすらに過剰に過剰を重ねていくのが一つの方法論であって、この作者の良さと言うのはそう言う部分には無いと思うだが。何でこういう作品を書かせるかな電撃文庫…。

いや、ごく普通のジュブナイルとして読めば、なかなか良く出来ているとは思うのだけど。はっきり言って座敷童と言う設定は意味があるのか無いのか良く分からないのだけど、人間の見えないところで少しづつ侵略されている場面とか、人間の精神が自覚の無いままに何者かに操られ、敵に取り込まれてしまう恐怖など、実にノスタルジックな(眉村卓とかあの辺の)侵略もの様相さえ呈しているように感じられるジュブナイルであると思う。クライマックス付近における”敵”の片鱗が明らかにされるところなんか背筋がゾクゾクするぐらいにSF的な設定が垣間見られて僕は良いと思う。

問題は、変にライトノベルを意識した人物描写や、妙にライトノベルを意識したドタバタ劇や、無意味にライトノベルを意識したバトルやらが面白くないんだよね…。何て言うか普通。良くも悪くも普通。この作者はあんまり頭のネジが外れたものは書けないのは分かりきっているのだから、真面目に叙情的な感性に任せて書かせれば良いのになあ。とりあえず、キャラをもっと普通にしてくれ。ドタバタもいらん。バトルもどうでもいい。普通に書いてくれれば素晴らしいジュブナイルSFになるのに…と思ったがそれじゃ売れないんだろうなあ、やっぱり。

よし、ハヤカワよ、今のうちに七飯宏隆に唾をつけておくんだ!この人はSFのフィールドだったらすごいものを買くぞ、きっと。たぶん。

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本日の購入物

なんか仕事に追われてるなあ…。全然日常で面白いことが起こらないよ。仕事して帰るだけの生活にはまったく劇的な展開はありませんね。まああっても困るが。

まあネタ系日記サイトは早々に諦めて正解だったな(たとえネタがあっても書ける技量はありません)。

1.『殺×愛 0‐きるらぶZERO』 風見周 富士見ファンタジア文庫
2.『メフィストの魔弾』 嬉野秋彦 トクマノベルズEDGE
3.『シグルイ(4)』 原作:南條範夫 漫画:山口貴由 秋田書店

ありゃ、デビル17が売ってねえぞ…。おかしいなあ、売り切れちゃったのかなあ。
1.それはそれとして富士見の新シリーズ。この作者の日記が結構好きで前々から読んでいたんだけど、富士見ファンタジアで作品を書いている人だと知ったのは最近です。ひでえ。作品自体についてはどうやらゴイスーなセカイ系っぽいあらすじで、見事なまでにわけがわからん。でも買う自分は偉いと思った。
2.徳間書店からのライトノベルレーベルの第二弾。もう本当にどこもかしこもライトノベルだな…。まあ様子見と思って買ってみた。この作者の本を買うのも久しぶりだな…。
3.なんていうか、『シグルイ』を読めただけで僕の人生の0.数%ぐらいは報われたって言っても良いんじゃないかなあ、何てことを思った。きっと錯覚だがな。

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2005.06.19

『流血女神伝 喪の女王(1)』読了

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流血女神伝 喪の女王(1)』(須賀しのぶ/コバルト文庫)を読了した。うおお、面白れえ~。

長期シリーズとなった流血女神伝もついに最終章となった。前章の終わり方がまたすごいところで終わったので一体どうなる事やらと思ったけど、イーダル王子ののほほんとしたキャラクターゆえか、久しぶりに穏やかな始まり方でちょっと安心するやら逆に不安になるやら…。カリエとエドと言う久しぶりの(ファンには垂涎の)コンビが復活して、色々なものから解き放たれたような日々はいいのだけど、この作者の事だからその後に奈落の底に突き落とされる事は間違いないところなので、戦々恐々です(ところで、カリエとエドがまともに揃い踏みしたのって実は『帝国の娘』以来なのかな。およそ十数巻ぶりですか…作中時間的にも10年近くが経っているのかな?)。既に一巻の段階でいくつもの火種は巻かれており、これからどんどん大変になるんだろうなあ。バルアンの非情な決断、トリ・スカナ王宮の不穏な動向と言い、まったくサバイバル大河ロマンの名は伊達じゃないね!大体結婚して妊娠、出産を経験したあと、誘拐されレイプされた挙句また父無し児を生む少女小説のヒロインなんて見た事ねーよ!これがコバルト文庫だってんだから…(いや、だからこそ、か?)。

カリエの事を大切に思っていながら、国のために容易くカリエ切り捨ててしまう(切り捨てる事が出来る)バルアンの、その大切なものを全部切り捨ててしかも自分に後悔すら許さないその精神は、あまりにも強固であまりにも哀しい。バルアンに対する感情と、その非情さも含めて理解しているカリエの慟哭との対比がどこまでも残酷な展開だ。まったく、ここでカリエにそんなことを自覚させるなんて…作者は鬼か。

ラストもまたとんでもないところで終わっているので、普通に続きが気になりますなあ。
 
 
それにしてもサルベーンはエドが絡むと精神年齢が低くなるな…。とても三十路を越えているとは思えないぐらいのガキっぷりであります。まったくバカを言い合える友達もろくにいなかったんだろうなあ…不憫なやつ。あ、サルベーンのことは嫌いじゃないですよ?あのヘタレっぷりが。ええ。

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『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・わん』読了

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ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・わん』(新井輝/富士見ミステリー文庫)を読んだ。とても面白い。というか、実はこの短編集はすばらしい出来なのではないかと言う思いが、読み返すたびに沸いてきた。

今回はタイトルの通り短編集となっていて、もっとも掲載紙はあまりよくわからない。ドラマガ連載なのかもしれないが、ドラマガを買わなくなってから既に十数年の年寄りからしては未知の世界である。というか、考えてみたらこの作品は、そのあたりが対象となる小説なのか…というのは脱線が過ぎるのでここで止める。

しかし、つくづく不思議な話だと思う。この話が不思議なのは、見た目には凡百の萌え小説そのものであり、出てくる要素そのものは漫画やゲームの影響の下から一歩も抜け出てはいないのにもかかわらず、キャラクターの造型、物語の展開に決定的なズレがある所だと思う。たとえば冒頭作の「僕と綾さんと素敵な思い出」については、ヒロインの一人である綾さんが頭を打って人格が変わると言うところから始まる(これもまたアニメやゲームの要素そのものである)。ところが、本来ならば彼女の人格転換が話の肝になるのがセオリーである所なのに、この話はそれ自体はまったく本題ではないのである。むしろ変わってしまった綾さんを巡って、キャラクターそれぞれが、自分と綾さんと、そしてそれらを含めた人間関係の因果に思いを巡らせると言うのが主題なのだ。綾さんの別人格(綾夜さんと言う)が起こす行動が、逆にそれぞれの綾さんに対する感情を再度問い掛ける役目を果たしているのだろう。そして、主人公の健一は、そんな綾夜の行動から、逆に綾さん自身の抱える哀しみについて思いを巡らせる。その意味ではこれは綾さんの物語とも言えるのだが、本当のところは、彼らの”関係”の移り変わりこそが主人公そのものだと言えるのだろう。変わらない関係などなく、終わらない関係などもない。それをそれぞれに自覚させると言うところで物語りは終わるのだ。だから、綺夜さん自身についての言及は少なく、彼女はほとんど物語に波乱を起こさずひっそりと消えてしまう。しかし、それでありながら綺夜さんの食事の支度を見た健一が、「少し哀しく」感じるシーンを挿入するところがこの作者の非凡なところであると思う。淡々とした健一の心の動きが、極めて繊細で良いと思うのだ。

その点を考えてみるならば、このシリーズそのものが主人公達の”関係性”を巡る問題であると言えるだろう。今更言うまでもないが、このシリーズは第一巻の冒頭にてすでに彼らの関係は「終わってしまった」事が明言されている。その終着へ向けて少しずつ日常と思い出を積み上げ、彼らの関係は移ろい行く過程を描き続けている。それはいつか終わる事が決定された日々であり、別れを前提にした出会いである。だからこそその物語はどこか緊張感を孕んでいるのであろう。

この作者の特異な点は、そうした繊細と言っても良い人々の心情を、ギャルゲー的、エロゲー的なモチーフの裏に隠したまま(あるいは積極的に比喩として)語る部分なのではないかと感じるのである。

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2005.06.18

『本日の購入物

つーかーれーたー。もう駄目だ。死んだ。目がかすむし頭まで痛む。足までガタガタ。
もう寝ます。

1.『ZETMAN(5)』 桂正和 集英社
2.『かえってきた、ぺとぺとさん(1)』 木村航 MF文庫J

1.昨日の購入報告に書き忘れ。いや、まっとうに面白いなあ。純粋で未熟な正義の味方を追い求める少年が、少しずつヒーローの階段を上っていく過程がなかなか丁寧に書かれていて良い。なんせ、単行本2巻分かけてるもんなあ…主人公そっちのけで。まあ、コウガ君はもう一人の主人公と言う役回りなんだろうけどね。
2.やった、やった。ぺとぺとさんが復活したよ~…ん?(1)?ま、まあそれは良いとして、アニメ化にあわせての復活と言う事で、まあとにかくめでたい。この調子で続いてくれい。

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2005.06.17

本日の購入物

やれやれ、明日も仕事だ。たまらんぜ。ゲームをやっている暇も無いので積みゲーがたまる事たまる事。いや、買わなければ良いんだけどね…。

1.『サマー/タイム/トラベラー(1)』 新城カズマ ハヤカワ文庫JA
2.『士道(1)』 高橋ツトム 集英社
3.『ひかりのまち』 浅野にいお 小学館
4.『翡翠峡奇譚(2)』 広井礼威 小学館
5.『スクールランブル(9)』 小林尽 講談社

本もどんどん買っている。読んでもいるけど。
1.『スラムオンライン』に続く今月のハヤカワ文庫の目玉。しかし、新世代リアルフィクションと言うのは一体なんなのだろうか…。何でも名前を付ければ良いと言うものではない。これは新伝綺にも言える事だが、無理矢理ムーブメントを作ろうとしても中味が変わらなければ意味がない。どれも新しい流れを作ろうとするのではなく、既存のものをどっかから持ってきただけで「新しい!」とか言っているだけに過ぎないと思うなあ。
2.なんか久しぶりに高橋ツトムの本を買うなあ。スカイハイはなんだか途中で買うのを止めてしまったし。これは結構面白そうな気がする。
3.僕は浅野にいおの突き放した感じがすごく好きだ。冷たくて乾いた感じが良いと思う。
4.つくづく広井礼威って色々な作品で打ち切りを食らいまくっている作家なんだなあ。これなんかもっともっと長く続けばすごく面白い作品になったかもしれないのに…勿体ねーなー。何で途中で終わっちゃったんだろうな…なんてな。ブラックラグーンからしか広井礼威を知らない人間が偉そうな事はいえないよな・
5.なんつーか、学園祭が延々と続くな。一体サバゲーはなんだったんだ?という突っ込みは厳禁か。だんだん話の展開が苦しくなって来たような気がするのだが…まあ、面白いんだけどさあ。

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2005.06.16

『わたしたちの田村くん』読了

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わたしたちの田村くん』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)読了。参った。僕の弱いツボを見事に突かれた。僕はこういうおかしみで彩られた哀しみに弱いのです。僕の中にある気高く生きたいと言う憧れ。そう言うところに直撃。主人公はバカで空回って軽率で無神経で非モテ系で、でもお節介でお人好しな田村くん。彼は本当に格好良くって切ない男。ついつい格好つけて痩せ我慢をしてしまう。そんな少年の青臭い心をユーモアに包んで描いている。やっべ。ファンになりそう。
 
 
秀才の兄、スポーツ万能の弟に挟まれた平々凡々なる田村くん。そんな彼が恋人を作ろうと一念発起して見初めた相手が松澤小巻。電波を愛する不思議ちゃん。勿論クラスから浮いているし、みんな遠巻きにして過ごしている。でも田村くんはそんな事は気にしやしない。ストーカーもかくやとばかりにアタックアタックアタック。すげえ。そして彼は彼女の深いところの問題に触れてしまう。それでも田村くんは媚びぬ屈せぬ顧みぬ。実はちょっとへこみながらも必死になって手を伸ばす。それが届くのかどうかは電波だけが知る。

そして時は流れて高校生。いつも通りのほほんと過ごしていた田村くん。そこで出会ったのは”ツンドラ”系の女の子、相馬広香。周囲に向かって威嚇して、刺を張り巡らせてバリヤーを張る。しかし、しかしだ。我らが田村くんにはそんな刺なんざ紙切れみたいなもので。ずかずか相馬の間合いに踏み込んで、どかどかやりたい放題し放題。そんでやっぱり空回って失敗して。それでも媚びに屈せぬ顧みぬ。それは嘘で、実は相当にへこんでいるのだけど、それでもやっぱり田村くんで。調子の狂う相手の態度に戸惑いながらも、やっぱり彼女の奥深いところに踏み込んで手を伸ばす。それが届くかどうかは、まあ見てのお楽しみ。

そんなことをやっているから困った事になるんだよ、田村くん。でも彼はそんな後先考えて無かったんだろうな。だって田村くんだし。

これからどうなる事やら。田村くんの行く末は何処?彼は要領の良い立ち回りなんて出来ないし、きっとまた空回るんだろうな。

ほどほどにね、田村くん。

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本日の購入物

1.『タイタンの妖女』 カート・ヴォガネット・ジュニア ハヤカワ文庫SF
2.『キリンヤガ』 マイク・レズニック ハヤカワ文庫SF
3.『たったひとつの冴えたやり方』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ハヤカワ文庫SF
4.『トリックッスターズ』 久住四季 電撃文庫
5.『うしおととら(10)』 藤田和日郎 小学館文庫
6.『鉄腕バーディー(9)』 ゆうきまさみ 小学館
7.『ハヤテのごとく!(2)』 畑健二郎 小学館
8.『史上最強の弟子ケンイチ』 松江名俊 小学館
9.『D.Gray-man reverse1』 城崎火也 原作:星野桂 ジャンプJブックス
10.『The Birth of Walkure ワルキューレの降誕(1)』 富士宏 マックガーデン

1~3.本屋でハヤカワ文庫フェアをやっていたものでつい…。名作の誉れ高い作品ばかりですが、実はまともに読んだ事は無かったり。すまぬ(どことも知れぬ虚空に謝罪)。3.のやつは、『よく分かる現代魔法』ではタイトルでオマージュになっていましたね。
4.なんだかんだと電撃文庫を買ってしまう。これも例によって書評サイトで褒められていたので。どうやら真面目なミステリらしい。
5.うしおととらの文庫版である。まる。つーか、この巻あたりの藤田和日郎は本当に神がかっているなー。少年漫画として完璧ですわ。
6.買い洩らしていたので購入。いや、実に面白い。さまざまな思惑が入り乱れている混乱した状況をクールに裁く作者の円熟したストーリーテリングがたまらない。
7.一部でハヤテ萌え~を巻き起こしたニクイやつ。ごめん、意味が良く分からない。なんか普通に少年漫画として面白いなあ。
8.これまた好きな漫画。つーか、主人公のケンイチはモテモテだなあ。主に男に(否、漢に)。特に師匠連中はみんなケンイチにラブなのな。もうラブラブ。ゴツイ男が。女もいるが。関係ないが、美羽としぐれ師匠のエロスは徐々に少年誌的なものを逸脱してきているような…。
9.実のところ買うつもりは無かったのだけど、城崎火也が書いているのでちょっと興味が沸いたので買ってみました。その後、どうやら女性ファンに大人気らしいと言う話を聞いたのだけど、確かにこれ第2版だ…すげーな。
10.ナムコの名作、ワレキューレの冒険のプレストーリー。いや、びっくり。これは凄い面白い。細かい説明から神話的な世界観を立ち上がらせる手腕は見事の一言。美しい台詞回しだ…。

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2005.06.15

『夏と冬の奏鳴曲』読了

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夏と冬の奏鳴曲』(麻耶雄嵩/講談社文庫)を読んだ……読んだのだが…。

ぐはー…分からん!なにがなんだか…。読者に対してすらすべてを韜晦する作者のわけわからなさが僕の脳髄を直撃する。読者に対してエンターテインメントと言うものを一切無視した作品だなあ。これは一体どういう小説なんだ?

あまりに奇抜な主人公とヒロインの名前(如月烏宥、桐原桐璃)やあまりに記号的なヒロインの造型など、おそらくはその後の新本格(と言うより清涼院流水)の流れの走りだか原点だがの作品である事は間違いないものと思われる(違ったら恥ずかしいが)。そして、このわけわからん衝撃は、現在のあらゆるミステリと比較してもまったく遜色がないと言えよう。いや、参りました。

謎に対する姿勢は、敢えて言うならオーソドックスに近いような気がする。でっかい謎を最初に提示して、徐々に明らかになっていく真相と言う流れは、現在のミステリと比較すれば古典的と表する事もできるだろう。ただ問題は(いや、問題じゃないのか)、そこで明らかにされる真相が、生半可な想像を絶して予想をはるかに上回っているという事だけだ。いや、既に上回っていると言うより”異質”な発想というべきか。とにかくわかんねーよこんなの。

まずもって明らかにされる動機に唖然とし、ついで明かされるトリックに呆然とし、真犯人の登場に思考が停止する。動機とトリックは、まあ良いとしよう。理解できなくも無いし、可能不可能で言えば可能の部類に入るのだろう。問題は真犯人についてだが…えっと、これはどう解釈すれば良いのかなあ。最後の最後まで混沌とした状態を維持したまま放り投げてしまったラストシーンは、もはや”物語”というものに対する挑発とも思える。主人公なんて言っても、それは本人にとっての物語でしかないのだよなあ、何てことを思いました。何を言っているんですかね、自分…。

とにかくなんだかよくわからない奇天烈な作品でありました。こんな本を読んでしまうなんて、これだから本を読むのは止められないなあ。

今気が付いたのだが、これ「夏と冬のソナタ」なのか。冬の…いやなんでもない(すげー蛇足)。

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2005.06.14

『ぼくのミステリな日常』読了

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ぼくのミステリな日常』(若竹七海/創元推理文庫)を読んだ。面白いなあ。

生涯初の若竹七海。とても温度が低い文章を書く人で、とても僕好み。何度も書いているような気がするけど、僕は書き手と文章の距離感が離れている作品を贔屓にする傾向があって、ぶっちゃけそう言う文章に憧れているのだ。まあ、これは傾向の問題であって、書き手と文章が撞着している文章も面白いと思う事もあるので、実際のところ自分でも好みは良く分から無いのだけれども。ちなみに僕の文章が思い切り距離が短いです。書けねえなあ。

これはとある会社の社内報に掲載されている作者匿名の短編という体裁をとっていて、これがきちんとミステリとして機能しているのはさすがだと思った。毎月一作が掲載されて良くのだけど、色々レパートリーに富んでいる。大掛かりなトリックではなくて、いわゆる”日常の謎”系のミステリなんだけど、日常の中でほんの少し不思議な出来事を、ちょっと視点を変えることでまったく別の物語が生まれる所がとても良いと思った。また、人間の背筋の凍るような悪意が恐ろしいも哀しい「鬼」や、謎が解決した後にさらに一ひねりする(というか、この作品にはそう言う話が多いな。しかし、すべて予想もしない死角からひねられるので毎回騙されてしまうのであった。僕だけだろうか?)「バレンタイン・バレンタイン」など内容はバラエティに富んでいて面白かった。

しかし、何よりこの作者に感心するのは、読者を驚かせようと言う情熱と技法を駆使しながらミステリにありがちなパズラーにならず、”物語”をおろそかにしないと言う事だ。不思議な謎が提示され、その謎が解決されたかと思うとさらに一ひねりされて驚いたところに落とし穴。その過程には人間の愚かさや悪意、あるいはちょっとした善意、偶然があり、そう言ったものを救い上げてなんとも不思議な物語となっている。いや、凄いな、この作者。

そしてそれぞれの短編を最後まで読み終えると…まあ、これ以上は言えないけど、それまでの世界が一変する感触が味わえた。うーむ、良い。

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2005.06.13

『ヴぁんぷ!Ⅱ』読了

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ヴぁんぷ!Ⅱ』(成田良悟/電撃文庫)を読んだ。相変わらず安定して面白い。

このシリーズは、成田良悟にしてはそれほど視点移動が頻繁ではないので、非常に安心感のある話だと思う。普段のガチャガチャぶりも魅力ではあるのだけど、そう言うのばかりではさすがに飽きるしね。今回の主人公(と言っても良いのだけど)は一人は前作で敵側として登場したヴァル君。結局明かされないまま終わった彼の正体も、今回は話の冒頭にてあっさり暴露されています。そういえばそんな設定もあったっけ…(忘れていました)。そんな彼がいきなり自分の実存について悩みだして子爵に相談したり、城の住人に相談したり、突然恋に落ちたりする。

そしてもう一人の主人公が、バルシュタインに復讐の念を燃やす”食鬼人”<イーター>であるルーティ。家族を殺した吸血鬼であるテオドシウス・M・バルシュタインを捜し求めて人間を止めてしまったハンターたる彼が、「組織」の命によってやってきたのは、ゲルハルト・F・バルシュタイン子爵の治めるグローワース島にやってきて、まあ復讐鬼と化す。

まあその他、小悪党にして市長のヴォッドとかヴォッドに憎悪を燃やす”食鬼人”とか子爵の子供たちとかその恋人とかが入り乱れてごちゃごちゃやっているわけだがごめんやっぱり成田良悟だったな。

ともあれ、その特異性によって「組織」から狙われるヴァルと、憎悪に燃えるルーティがやってくる事で、次巻以降(そう、これはまだ前編なのでした)ではさぞかし屍山血河が繰り広げられるのだろうと思うと楽しみです。舞台は着々と整いつつあり、人外どもの競演も近い。後は早く続きをお願いします。

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2005.06.12

やりすぎた…

一日に感想を八冊分も書いてしまった…。推敲、改稿一切為し(誤字等は除く)でノンストップで書き続けたので内容は酷いものだが…いや、あまり変わらないか…?ちょっと書き始めたら感想を書くのが楽しくなって来たので、もうちょっと、もうちょっとやっているうちに新記録を大幅に更新。やりすぎた。

まあでも楽しいなあ文章を書き散らすのって(ゴミを撒き散らす行為に近いが)。

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『子供たち怒る怒る怒る』読了

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子供たち怒る怒る怒る』(佐藤友哉/新潮社)を読んだ。面白い…よな?

しかし、一応文学関係の方で書いていた短編集ということであるけど、いつもとほとんど変わらないなあ。精々シリーズものではないと言うぐらいしか差異は無いか。まあそんなに書き分けができるほど器用な作家ではないから予測の範囲ではある。

以下各話感想

「大洪水の小さな家」
一話目のタイトルからパクリか。…や、冗談ですはい。
もー佐藤友哉の駄目っぷりが遺憾なく発揮される一作。ひたすらに閉塞していこうとする兄弟の傲慢さにはいっそ恐れ入るほどで、しかし、それを否定することは僕には出来ない。途中で主人公のあまりの無自覚さに腹が立ったが、最後にすべてを悟ったところで納得。つーか、この主人公、僕と同じ事を考えているな…。でもそれでも人は生きていけるんだぜ?

「死体と、」
これって消費される少女性を巡るお話だよね?少女性を語るために死体を使ってしまう佐藤友哉の趣味の悪さが光っているように思います。

「欲望」
刹那的過ぎて何にも残るものがない。そりゃまあ、マスメディアにおける少年少女の犯罪について理由付けには見ていて気持ちよいものは感じないけど、だからと言って理解と考察を全部投げ出しちゃいけないだろう。単にそれでは怠惰なだけだ。

「子供たち怒る怒る怒る」
なんか舞城みたい…と言うのは禁句か。
世界には悪意が満ち満ちていて、安心の中で生きていきたいと望む子供たちが、しかしその安心を得る事が出来ない世界に対する呪詛を撒き散らすと言う話。一番普通に面白かった。まあ、しかし、安心を求める気持ちと諦めの気持ちが相反する心理は良いと思うけど、これ何の解決にもなって無いよね?ただ、虐げるものへの怒りだけがあるような気がする。

「生まれてきてくれてありがとう!」
一見爽やかに見えて、実はどうしようもなく歪んでる。爽やかって言うのも嘘だな。人間の勇気と尊厳を描いている…ように見せかけて、どうしようもなく不条理で優しくない世界とそれに対する怒りと憎悪を描いている。まあ、今までの作品と一緒だな。しかし、それらと対峙する武器と言うのが人形(フィギュア)とは…そのまんま過ぎるよ佐藤友哉!

「リカちゃん人間」
つーか、本当に佐藤友哉は同じ話しか書かないな…。佐藤友哉の作品は、結局のところ勝つか負けるかの2択でしか世界を語っていないので、なんとも脆弱で薄っぺらい物になってしまうように感じる。自分が負け続けていたというコンプレックスと罪悪感、それらが反転した形での勝利に対する憧れとなっているのかなあ(勝手な想像です)。どうも、佐藤友哉の短編だとその構図がはっきりと出すぎてしまうのが気になる。物語を楽しむところまで作品の密度が足りず、本当に佐藤友哉の骨格だけ読まされているような気になってしまう。長編の方が佐藤友哉は面白いような気がするなあ…。

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『ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 VS 橙なる種』読了

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ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 VS 橙なる種』(西尾維新/講談社ノベルス)を読んだ。まあ、いつもの西尾維新…で済ませてもいいのだが…。

物語を加速させるを合言葉にドンパチやっていらっしゃるわけですが、それ以前に明らかに物語が拙速すぎますな。大事なところを全部すっ飛ばしている感覚、あるいは色々なストーリー的な課題を棚上げにしたまま突っ走っている展開とでも言いますか。

思うに西尾維新はちょっとやりすぎた、ということなのかもしれない。過剰に過剰を重ねていくのがこのシリーズの特色であったわけだが、そのような方法論ではいずれ破綻するのは目に見えているわな。ここまでシリーズが続かなければまだ良かったのだろうが、ここまで続けてしまうとさすがに処理しきれなくなっているように思う。結果、物語を無理矢理終わらせるためにここまでの力技になってしまっているのではないかな。

まあ、しかし、そう言った事を気にせず楽しむ事は相変わらず可能だ。特に狐さんが後半に行うあまりにあんまりな判断には大爆笑と言うしかなく、こんなラスボス見た事ねー!と驚愕する事、間違いない。いやいや、これはマジでスゴイ。確かにこいつは最悪の男だよ…(褒め言葉)。

まあ、この迷走(と言っても良いよね?)する物語にいかなる決着もつけるのか、作者の豪腕に期待したい。

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『阿修羅ガール』読了

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阿修羅ガール』(舞城王太郎/新潮社)読了。まあ再読なんで特に言う事は無いけど、同時収録の「川を泳いで渡る蛇」が大変素晴らしかったので満足している。

三島由紀夫賞受賞作品ではあるが、別段舞城王太郎的にはそれほどの内容ではないよなあ。まあ、普通。
グルグル魔人を中心に巻き起こるハルマゲンドンから生じるむちゃくちゃ加減、”魔界”に落ちたアイコが象徴的な冒険を行うあたりはいかにも舞城風味だが、このあたりの密度の話をするなら『九十九十九』を読んだ方が良いと思う。ちょっとこっちは普遍に流れすぎだよなあ…。とは言え、おかげで非常に分かりやすい作品になっているので舞城初心者にはちょうど良い作品と言えるのかもしれない。これを読んで舞城に興味を持った人は覚悟したほーがいいよ?みんなすごいから。

「川を泳いで渡る蛇」
短い。短いのだけどこれは良いなあ。やっている事は単純で、主人公である”僕”が恋人を自転車で迎えに駅まで行って、しかし、乗せずに帰ってきて、やっぱりまた戻ると言う話に過ぎない。これがなあ…主人公が空を仰いで夢想する際のイメージの広がり方が雄大でとても美しくて好きなのだ。まあ、いきなり”神”にまで飛躍されるのは驚いたが、それすらもイメージの飛躍を表している感じするので肯定したいなあ。

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『タフの方舟(2) 天の果実』読了 

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タフの方舟(2) 天の果実』(J・R・R・マーティン/ハヤカワ文庫SF)を読んだ。面白すぎる…。

「宇宙一あこぎな商人」と言うコピーが意外な感じがした前作に比べると、大分タフも経験を積んだのか本当にあこぎな商人になっているのは意外だった。どちらかと言えばピカレスクのような雰囲気ももち始めた作品群はこれはこれで非常に楽しい。でも、発表順からすると結構最初の方の作品も多いんだよな…。

以下各話感想。

「タフ再臨」
前巻で借金を背負ったタフが、返済のためにス=ウスラムへやってくると言う話。ほろ苦いと言うか、かなり社会問題的にも踏み込んだ内容になっている。前回は騙されるばかりだったタフも相当にあくどく強引な手腕で解決を図ると言うところなのだが、しかし、結局、問題点は何一つ解決されていない。と言うよりも、もはや解決のできる問題ではないあたり、いままでも作品と異なっている。ヘヴィだ…。

「魔獣売ります」
こ、これはヒドイ。目の前の利益に目が眩んだ愚か者たちに対して、その愚かさにつけ込んで破滅させると言う見事なまでにピカレスクSFになっている。でも、出てくる男たちはすべて自業自得で滅んでいくので別に陰惨ではないのです。まあ、オチは早い段階で読めたが、語り口がブラックでユーモアなので面白い。結局、かなり痛快な話…なんだけどちょっと気になる事が。これ、どう考えても一つの星の生態系をむちゃくちゃにしているよね?力の意義と言うものも考えさせられるなあ(なにそれ)。

「我が名はモーセ」
こ、これまたヒドイ。トリックによって他者を虐げる人間にも、自分の無知に安住する人間にも、タフは平等に破滅させると言うあたり、タフの公正さを感じた。そうなんだよなーこのシリーズに期待していたのはこういう善にも悪にも縛られない公正さ、残酷なる慈悲をもたらす存在としてのタフなんだよなー。で、タフはやっぱり相当にひどい事をしているんだけど(生態系は破壊しているし、人も相当に苦しめていますよ…)、確固たる信念と公正さ、誠実さ(あとユーモアも)があるために冷酷な印象を受けないのは不思議なところだと思う。

「天の果実」
ぐはあ…これはスゴイ。タフのタフらしさが絶頂に達するピカレスクロマンと同時に今までほとんど語られた事のなかったタフの心情の一端が垣間見られる秀作。また、ス=ウスラム三部作のトリを努める作品でもあり、決して答えの出せない問題に大して、タフのすさまじい解決策(神か悪魔か、少なくとも人間のそれではない)が示される。マジでー、そう言う落とし方するのかー。また、トリー・ミューンとタフとの緊張感に満ちた、それでいてどこか心を許しあっているようなやり取りがまた絶品。猫を渡す時のタフの態度とかもうッ…やべえ、涙がとまらねえ…。
そ、そうか、これはマジでタフとトリーの恋愛物語でもあったのか!(いや、それは言い過ぎ)

 
 
あーもうこの作者面白すぎだよ。同一世界観の他の作品も凄く読みたいので再販されてくれないかなあ。復刊ドットコムに依頼でもするか…。

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『ロマンス小説の七日間』読了

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ロマンス小説の七日間』(三浦しをん/角川文庫)を読んだ。結構面白い。

突然ファンタジーロマンス風に始まるこの話だけど、それだけでは終わらないのが三浦しをん。ここで主に焦点になるのは、一人の女性の視点から綴られる何でも無い日常の話だ。その日常で無くしり逆に何かを得たりした生活を描いている。

彼女が翻訳しているロマンス小説を翻訳している内に、日々の日常からうける苛立ちもあって、ストーリーを改変してしまう。彼女の生活の中でも色々な出来事が起こっていて…というあらすじ。

面白いのは女性の日常で受けた体験が、ロマンス小説パートに反映され、そこで書かれた内容がまたさらに現実にフィードバックされるという構図であろう。ただ女性が受け身のまま愛を享受するだけのロマンス小説が、だんだん自分の力で何事かを為すというもの物語になっていくのと、女性が半同棲をしている男性との間で交わされるのんびりとしたやり取りとちょっとしたすれ違いがリンクしていくあたりが面白かった。

単純にフェミニズムに還元させる事の無い展開には作者のバランス感覚には脱帽の思いだ。まあ、男としての視点から見た読書なので、理解できていないところも多いかもしれないが…。
軽く読めて、しかも元気が出る作品である。面白かった。

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『永遠はわが王のために ミゼリコルドの聖杖』読了

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永遠はわが王のために ミゼリコルドの聖杖』(高殿円/角川ビーンズ文庫)を読んだ。うははは面白い。

細かいところでギャグが散りばめられていて、まあしょーもねーとか思ったりもしたけど、実際のところは実に真面目な群像劇であるね。主人公アルフォンスがなかなかけなげな感じで良い。いやまったく実に読んでいて恥ずかしくなるほどに純愛っぷりでびっくりです。ドロドロ愛憎渦巻く遠征王シリーズを書いた人とはとても思えん。まあそれをおいといても、様々な思惑が絡み合い、もつれ合う物語はなかなか見事であります。簒奪者でありながら良き王たらんとするキースや、独自の意思を持って反乱を企てるジャスター(なんかこいつ好きだなあ)など、それぞれ魅力的に描かれているのが良いね。まーみんな美男子として描写されているのは、まあレーベルがレーベルだし…。

あと、相変わらず説明不足なところもあるし、キャラクターの感情の流れに違和感を感じないでもないところもあるけれども、まあおおむねその辺は些細な問題といえるでしょう。大変楽しめた。

しかし、一番腹黒いのは、アルフォンスの侍従長(にしてラバー)であるマウシリオのような気がするのだが…。全部の事態がこいつの手の平の上で踊っていたような気がする…。

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『【冲方式】ストーリー創作塾』読了

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【冲方式】ストーリー創作塾』(冲方丁/宝島社)を読んだ。なかなか面白かった。

まず始めに、これは創作塾と書いてあるけれども、一般的な創作技法とか実践的な小説の書き方とかはまったく書かれていないと言う事は述べておきたい。じゃあ何が書かれているのかと言えば、「冲方丁が今までいかにして小説を書いてきたのか」を当時のメモを見ながら書き連ねていくと言う、いわば、創作裏話である。まあ、エッセイに近いけれども、それよりもさらに小説家のプライベートな部分に踏み込んでいますね(創作の部分で)。

なので、これを読んでも小説の書き方は分からないけど、冲方丁がどうやって「『マルドゥック・スクランブル』を書いたのか」と言う事は分かるので、これはこれで大層面白い。冲方丁の創作に対する姿勢の変化も見受けられて、情熱だけで書き連ねていた10代から、技術を磨いた20代への変遷も見受けられる部分も興味深い。それと同時に、今の冲方丁には『バイバイ、アース』や『マルドゥック・スクランブル』のような作品は二度と書けないのだろうなあ、と思うとちょっと寂しい気持ちになる。だが、作品と言うのはそう言うものであって、一度書かれた作品と言うのは二度と生まれなおす事は出来ないのだな、ということが実感として分かった。人間は変わるものだし、その作者の情熱や考え方の違いが、作品を代替のないものとしているのだろう。

なんか、内容について全然書いていないが…まあ良いか。
まあ、とてもリラックスした書き方をしているので、非常に気軽に読めます。エッセイとして読んだ方が良いのでしょうね。冲方ファンには必読、かも知れない。

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『狂乱家族日記 壱さつめ』読了

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狂乱家族日記 壱さつめ』(日日日/ファミ通文庫)を読んだ。なかなか面白い。

まあ正直に言って、全体的に荒いとというか言葉足らずな場面が多くて、日日日作品としてもあまり出来の良い方じゃないと思うのだけど、しかしまあ、やたら面白い事は面白い。キャラクターが実に立ちまくっているのも良いし、萌えにも燃えにも万全な体制が整えられていて、いやいや器用な作家であります。

ただ、現時点での日日日の限界というものも如実に表れていて、家族が成立していく過程に説得力がまるで無く、ただの烏合の衆であったはずの乱崎家が、一つの家族となるはずのエピソードが欠落している。そのため全体的に恐ろしくご都合主義的な印象を与えられてしまう。勿体無いなあ。

ただ、ひたすらに”書く”という行為に対する無闇な情熱は伝わってくるので、もっと成長したらとてつもない作品を書くかも知れないという可能性は十分に感じた。結論としては、今後も日日日とは付き合っていこうと思う次第である。

全然関係は無いけど、一見一般人であり、主視点である鳳火(父役)が一番の人外じゃねーの?という気がするのだが…。続編に明らかになるのだろうか。

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2005.06.11

本日の購入物

今日は「戦国自衛隊1549」を鑑賞してきた。まあギミックは面白かったな。無駄かつ無意味なからくり仕掛け満載のハイテク城とかもわけがわからんところとかニヤニヤしながら見ていた。……他に語るべきところは何一つないが。ああ、なんか取り返しの付かないものを見ちまった気分だ…。

1.『平井骸惚此中ニ在リ 其四』 田代裕彦 富士見ミステリー文庫
2.『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・わん』 新井輝 富士見ミステリー文庫
3.『わたしたちの田村くん』 竹宮ゆゆこ 電撃文庫
4.『座敷童ができるコト』 七飯宏隆 電撃文庫
5.『海の底』 有川浩 メディアワークス
6.『戒』 小川歩 新潮社
7.『折れた魔剣』 ポール・アンダースン ハヤカワ文庫SF
8.『スラムオンライン』 桜坂洋 ハヤカワ文庫JA
9.『流血女神伝 喪の女王』 須賀しのぶ コバルト文庫

今日も今日とてライトノベル漁り。…こうやって書くと卑猥だ。
1.ライトノベルミステリでまさか関東大震災をネタにするとは。ある意味驚愕であるが、あとはどこまで史実に則っているかだよな。まあそのあたりは期待は出来ないかもしれない。だが、あえてやっちゃうその度胸は買いたい。
2.人気があるのか無いのか今ひとつ良く分からないシリーズの短編集。絶妙なエロ描写ばかりが話題になっているが、これはそんなレベルの作品ではない。多分作者は無自覚にやっているのだろうと思うが、単なるハーレム小説とは比較にならない作品だと思う。
3.新刊発売から数日経ってから購入。なんか評判が良さそうだったので買ってみた。まあこの手の風評はあてにならないのが基本だが(僕にとってはね)…なんとなく面白そうな気がしないでもない。
4.そうか『ルカ』の作者だったのか…と言う事実を思い出したので買ってみた。デビュー作は悪くは無かったので今後の購入判断の材料とすべく購入。まあ、これ次第かな。
5.メディアワークスハードカバー作品。タイトルがあまりに前作との対比されているなあ。よし、このシリーズを自然シリーズと命名しよう。もし三作目があったら次は”森”なんじゃないかと思うのだが…どうか(どうかといわれても)?
6.日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作。ちょっと前に出たものです。前はなぜかスルーしてしまったのだが、内容が僕好みの作品ぽかったこと、日本ファンタジーノベル大賞受賞作は、買える内に買っておかないと二度と買えなくなってしまうということを思い出したので買ってみました。
7.衝動買い。つーか、今頃「折れた魔剣」が復刻するとはなあ…地味に衝撃的だぞ…。中学生の頃に読みたくてしょうがなかったのに読めなかったこの作品が、今では普通に本屋においてあるとは、まあ良い時代になったのだろうな。
8.これは今日買ったものじゃないのだけど…まあ入れておこう。『よくわかる現代魔法』でおなじみの桜坂洋の新刊であります。タイトル通りオンラインゲームものであるようだ。
9.書き忘れていたので追記。流血女神伝も最終章らしく、なんとも感慨深なあ。既に総計20巻近く刊行されているシリーズで、まあすべての巻でそのテンションを維持出来ていたわけでもないけど、やっぱり好きなんだよな、このシリーズ。

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2005.06.10

『仄暗い水の底から』読了

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仄暗い水の底から』(鈴木光司/角川ホラー文庫)を読んだ。とても面白い。

角川ホラー文庫から発売された短編集。とは言え、いわゆるホラーと呼べるような、超自然的な現象が明確に描写されている作品はあまり多くなく、精々ちょっと不思議な出来事が起こったぐらいの話が多い。ホラーとは全然関係ない話も多いしね。というか、そもそも、鈴木光司と言う作家はあまりホラーを書いても怖くない作家であるのであまりホラーに拘らないのは正解であろう。大体人間の力で克服できる恐怖なんてどうやって怖がれば良いんだ?

各話感想
「浮遊する水」
一番ホラーっぽい話。焦点となる恐怖の実像がはっきりしないまま物語は終わるので、微妙なすわりの悪さが物語りに奇妙な味を残している。まあ、今となってさほど独創的な手法ではないが。

「孤島」
まあ、なんつーか良く分からんのだが、人類の種を残そうと言う要求には、個人の意志など問題にならんくらい小さいものなんだろうなあ。

「穴ぐら」
鈴木光司の書く物語には暴力的な男性原理と裏腹のロマンティズム、強い男の女々しさ見たいなところがあると思うけど、これなんかその典型かな。まあ、どっちかっつーと暴力性に溺れた男の顛末みたいな展開だけど。

「夢の島クルーズ」
やっぱり恐怖ってのは正体が未知だからこそ恐ろしいんだよな。はっきりの正体が現れない恐怖が良かった。どこか怖さの中にもユーモラスな感じも良い。しかし、そんな怪談であっても、自分の力で危機の乗り越えてしまう主人公(と言うよりはそんな話を書いてしまう作者)が面白いなあ。つくづくホラーの書けない作家だと思う。

「漂流船」
うわー、普通のホラーだ。怪談というよりはホラーという作品で、舞台が日本である必要もあまりないよなあ。でも怖さと言う意味では一番怖かった。じわじわと来るボディーブローのような怖さがたまらねえ。なんだよ、ちゃんと書けるじゃないか。

「ウォーター・カラー」
凄く上手い。いやいや、なるほどね、こうやって落とすわけですか。作品としては一番面白かった。作者のじわじわと来るホラー描写が続くうちに、恐怖が高まったそのオチのギャップは見事。ただ、地の文で嘘をついているわけだから、アンフェアではあるような気がしないでもない。

「海に沈む森」
もうホラー短編集に入れる必要は全然ないだろう、という気もしないでもない。極限状態に追い込まれた人間の尊厳と勇気を描く、という見事なまでに鈴木光司の小説。こういう作品を書かせると上手いですねえ。とても男性的な作品だと思います。

「プロローグ」と「エピローグ」
短編集の”箱”の部分であります。まあ、別段特に言う事はないのだけど、ちょっと気になるところがあった。と言うのは、もともと鈴木光司と言う作家は、僕にとってなんとも評価の困る作家であり、この人の書く作品はとても上手いと思うし実際面白いのだが、ところどころで表出してくる鈴木光司の生の部分が気に入らないと言うところがある。なんつーか、ポリシーと言うか、大袈裟に言えば生き方の指針の違いと言うか。男性的でマッチョな部分が無自覚に現れている感じが気になるのだよな…。ここで気になったのは、おばあさんが明日葉の葉をむしる事で生命力を確認する場面。何故葉っぱをちぎる事で生命力を確認する事になるのよ?んでまた明日も実に来てちぎりに来るって?

マッチョだなあ…。

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2005.06.09

『アンダカの怪造学Ⅰ ネームレス・フェニックス』読了

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アンダカの怪造学Ⅰネームレス・フェニックス』(日日日/角川スニーカー文庫)を読んだ。現在話題の日日日も読むのはこれで三冊目。まあまあ面白いかな。

ようやく日日日という作家の概観がつかめてきたような気がする。まあそんな大層なものでもないが。
日日日という作家は、家族と言うテーマに強い思い入れを持っているようだね。思い入れと言うのはちょっと違うのかもしれないけど、現実の家族に対する嫌悪感と裏腹の憧れとでも呼ぶべきものを毎回取り入れている。この話の中では、父親の亡霊に対する罵詈雑言が飛び交う関係と、”雪童”の桃子ちゃんとの擬似家族的な関係に現れていると思う。まあ、それが作者の深刻なテーマとして存在するのか、単に日日日のもつテーマの中でもっとも動かしやすいだけなのかは分からないけど。ただ、『ちーちゃんは悠久の向こう』で見せた徹底的に物語と言うものに対する冷淡さはこの作品の中からは見受けることは出来ない。ごく普通のライトノベルとなってしまっているのだが、しかし、作者の持つ饒舌な語り口を読んでいるだけでもけっこう楽しかったりするので問題はない。

僕はけっこう日日日の文章の流暢さが気に入っていたりする。この人はけっこう文章が上手くて、色々な本をきっと読んでいるんだろうなあ、と感じてしまう。過剰な饒舌さ(例えば西尾維新のような)は無いけれども、前後の文脈の流れが非常にスムーズで読んでいてとても心地よい。引っかかる描写がまったく無く、素晴らしく快適に最後まで読まされてしまうのである。きっと僕の文章の趣味と作者のそれは似ているんだろうな、と思う。

内容の方はといえば、これは前二作を読んだ時には感じなかった作者の青臭さを感じてしまった。登場人物たちの行動理念、原理、世界を律する知性など、作者の考えがダイレクトに反映されるところが非常に青臭い。少女たちの行動、考え自体が青臭いのは大変結構であり、それについては何の問題もないのだが(ちなみに作者の同世代を切り取る能力は特筆に価すると思う…大人から見た意見だけど)、子供達の周囲にいる大人たちの行動まで青臭い(あるいは未熟)のにはちょっと参ってしまう。例えば主人公、伊依の父、空井滅作(凄い名前だ。まあこの作品に出てくる人はみんなこんなもんだが)など、やる事為す事言う事が青臭く、おめー力に対して力で対抗するなんざ子供の発想だぞ、とか思う。とても伝説になるような人物には思えない。また、クライマックスに登場するアンダカの魔王も何でそこまでべらべらと喋り倒すのだお前は、とか。

まあ、そう言うところも含めて、全体的にちょっと若すぎる部分が目立つのが惜しいところである。ちょっとデビューは早すぎた、と言う所もあるのかも知れませんね。まあ、作品の傾向としてはまったく僕好みのものではあるので、今後の成長に期待、ということで(偉そうだなあ…)。

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『タマラセ サイボーグは果実を愛する』読了

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タマラセ サイボーグは果実を愛する』(六塚光/角川スニーカー文庫)を読んだ。相変わらず面白いなあ。

例によってある意味、正当な伝奇小説の系譜を受け継ぐこのシリーズも3冊目。相変わらず事実を外してはいないのに、まったく内容を反映していないタイトルが最高だ。全然意味がわからないあたり作者の性格か垣間見えて面白い。

無いようについてはいつも通りであんまり書くことが無いのだけど、ざっくざっくと無造作に人が死んでいくと言うかなり凄惨な物語なのに、キャラクター達のどこか暢気と言うか愛嬌のある性格のために、悪役たちですらなんか憎めないあたりかなりおかしな話である。でも別に作品内で倫理観が崩壊していると言うわけではなく、幼馴染が命を狙われていれば助けようとするし、知り合いが危害を加えられれば怒り狂う主人公達なんだけど、同時に不良たちが惨殺されていくのを(平然としてではないにしろ)見過ごしてしまうのも主人公達なんである。この割り切り方をドライさと言うのは、実のところ僕には良く分かる。正直、自分に大切なもの以外の存在は、そりゃ自分の力の及ぶ範囲では助けようとするだろうが、すべてを助けられるほどに博愛主義者ではないし、力もない。人間の出来る事に対する見切りがあるのがこの作品の特徴と言えるのかも知れない。

話が例によってずれたけど、物語的には結構大きな展開が起こった感じがする。戸有村の上層部たちの不穏な思惑と、それに対抗する反乱分子たちの間に駆け引きに巻き込まれる主人公、というのが今までの基本的な展開であったわけだけど、それは降りかかる火の粉を払うだけの行為であったのだろう。しかし、今回は明確に戸有村に反抗する行為を行ってしまったわけで、今後、戸有村と対決姿勢が強まっていくのではないかな、という気がする。新展開があるかなあ。

とにかく読んでいて楽しい事はこの上ないのだが、しかし、どこそこが面白いと言う事にあまり意味が無いような気がしてきた(なら書くなよ)。とにかく凄惨なわりどこかほんわか。程よく力の抜けたユーモアとシビアな超人バトルが融合した、けっこう他に同じような話が見かけないような奇妙な味がある作品である。なんか、”恐怖”を抜いた中島らものライトノベル版、みたいな感じかな?

(何でも最近読んだ本に結びつけるのは僕の悪い癖だ)

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2005.06.08

『バイトでウィザード 黄泉路へつらなる万国旗!』読了

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バイトでウィザード 黄泉路へつらなる万国旗!』(椎野美由貴/角川スニーカー文庫)を読んだ。なかなか良い。
長編では緊迫感が恐ろしい勢いで増しているこのシリーズだけど、今回は短編集となる。短編集だと主人公の京介の曖昧な性格が全面に出ているのでなんともおかしな味わいにあって嫌いじゃないです。一般的に見て面白いのか良く分からないけど。
あと、原田たけひとの絵は相変わらず良い。

以下各話感想。

「黄泉路へつらなる万国旗!」
表題作。
いやもうなんと言ったらよいのやら…。とにかく鉄アレイで殴ったら人は死にます。何でこんな当たり前の突っ込みを入れなきゃならんのだ。
一応コメディ調で話は展開しているのに、徹頭徹尾血塗れかつ殺伐としていてどこにも笑いどころがありません。むしろ人間性に対する底なしの憎悪を感じるような気がするんだが…気のせいか?まあそれがこの作品の面白い(おかしい)ところ。しかし、一般的にはどうなんだ、この話は。

「もどれない田舎道」
いわゆるタイムトラベルものであるのだが、まあそれは本題ではなかろう。時を越えているわりに別段理論があるわけではないので、SFと言うよりはジュブナイルの系統か。しかし、最大の焦点はやっぱり黒幕の底知れない荒廃した精神だろうな。乾いているのにどす黒い。そんな話。

「ヤマのキノコでハイトリップ!」
タイトルからは想像もつかないが、相変わらず救いの欠片も無い暗黒物語。個人的にはこれが一番好き。どちらかと言うと童話的な雰囲気に乗って描かれるテーマは凄いシンプルなんだけど、その分無駄ない。茸師と京介の虚無的な対話とラストのどうしようもない救われなさが良かった。この人の文章は冷静で客観的なので、こういう淡々とした物語を書くと非常にはまると思った。

「色を探す人々」
いがぐり頭で粗暴な宮沢君が、この作品世界にあるまじきほどに爽やかな存在でびっくり。相変わらず事件は人間のどうしようもない暗黒をカリカチュアライズした醜悪な展開なのだけど、彼の存在のせいで(せいでって…)けっこう良い話になっている。珍しく京介も(考えようによっては)前向きな発言をしているしね。しかし、こんなハッピーエンドはまるで『バイトで~』らしくねえなあ、とか言ってみる。

「鐘のひびきは澱みの音色!」
らしくねえなあ、なんて言っていたらさらにらしくないのが来てしまった!普通に良い話っぽいんだけど。
しかし、この話はどう評価したものか。作者の冷たく乾いた筆致は、どうにも心温まるストーリーと相性が悪く、どこを楽しめばよいのか分からないなあ。まあ、僕の読み方が間違っているかも知れない。

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『本日の購入物

何か書こうと思っていたのだが、なぜか書こうと思った瞬間に忘れてしまった。ぶっちゃけありえなーい(やっちまった)。最近の記憶力の減退ぶりには自分でも驚くほどで、自分の脳細胞の劣化進行度合いに戦々恐々する日々であるがそんな心配するぐらいだったらとっとと寝てしまえ。うん。

1.『ヴァンプ!Ⅱ』 成田良悟 電撃文庫

1.今日はこれだけ。最近の電撃文庫はいささか危険地帯になりつつあると言うのが個人的な見解である。つーか、エロゲーの影響受けすぎで、電撃文庫的にもそう言うタイプの作品を意識的に出しているように感じられるのだが、同じようなのばかりではちょっと参るよなあ。まあ、別に今月の新刊がそう言う傾向で、というわけではなくて、単に読むものがなくなって来たかなあ、と言う古いライトノベル読みの愚痴でございます。
話が壮絶にずれたけど、成田良悟は仕事をたくさんしているなあと言う印象です。次から次へと新しいシリーズを立ち上げているけど、まあ、正直シリーズごとの差異はあんまり感じないな。どれも成田良悟の小説と言うしかない作品で、それだけ独自色を出せていると言う意味ではすごい事なのかもしれない。新鮮味は足りないが、しかし、どれも問題なく面白いのだから文句をつける筋合いのものでもないよな。

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2005.06.06

『よく分かる現代魔法 TMTOWTDI たったひとつじゃない冴えたやりかた』読了

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よく分かる現代魔法 TMTOWTDI たったひとつじゃない冴えたやりかた』(桜坂洋/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。ふう、ようやくこの感想が書けるよ。

どうやらこの『現代魔法』シリーズも一区切りと言う事らしい。まあ、ここで終わっても大丈夫と言うだけであって、勿論このまま続いても問題ないわけだが。そろそろ別の話も書いてみるのかな、と思ったら早川文庫から新刊が出るはずだったなこの人。買わねば。

いきなり脱線してしまったけど、それはさておき、と無理矢理に方向転換。
相変わらず面白かった。当初は森下こよみの成長物語としての側面から始まったこの話も、最終的には弓子の物語に帰結する形で一応は終わる。これは、こよみの成長物語としては、一巻で既に終了しているためであろうね。おそらくこよみというキャラクターは、この物語でもっとも安定しているキャラクターである。そのため二巻以降は彼女に周囲の人間が影響されていく事で物語が進んでいくしかないと言うところか。おそらく、主要な登場人物である4人の少女の中で、もっとも不安定なのは弓子だったろうから、最終的に彼女の成長物語として展開させるのは自然なことであったかもしれないな。嘉穂は決して安定しているわけではないが、その自分を自覚し対処をしている。美鎖は既に自らを鍛え上げ完成されているし。

さて内容について語ってみようと思うのだが、つくづく桜坂洋と言う作家は説明をしないと言う事を実感した。まったく説明が不十分すぎますよ。美鎖が弓子と戦った理由もそれだけかよって感じだし、ジキタリスがいきなり世界を滅ぼすのを止めるのもいきなりだし、一読して理解が追いつきません。物語の裏でなんらかの”流れ”が存在していて、それに則った展開になっているのは分かるんだけどね。まあ、殺すぐらいだったら殺された方が良いっての言うのはそうなんだろうし、ジギタリスの転向は弓子のパーソナリティによるところが多いのかもしれないかな。そう言う風に解釈はいくらでも出来るので、問題は無いか。

ただ、作者のタイプとしてはあまりライトノベル的な作風ではないように思う。説明するべきところを最小限で済ませるところもそうだけど、何よりこの人が書いているのは「キャラクター小説」ではなく、常にアイディアの人であり、もっと言えば「状況」を作る事が巧みな作家なのではないかと言う気がする。特殊な状況の上に事件を起こし、その上で物語を動かすと言う小説であった『All You Need is Kill』なんかその良い例なので無いかな。
勿論「よくわかる~」はきちんと成長物語として成立しているし、それが十分に面白いのは認めるが、作品の肝は呪文をコンピュータによって記述する”現代魔法”というアイディアそのものであろうと思し、それによって、この作品はSFとファンタジーの境界線にありながら、そのどちらでもあると言う稀有な作品であるのだと思う。

ともあれ、次の早川から出る新刊は、おそらく本気のSFを仕掛けてくるだろうと思うので、今から楽しみにしているのである。まる。

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本日の購入物

なんつーか、本を読むスピードに感想を書くスピードが全然追いつけない状態で、感想を書く本が凄い勢いで貯まっている。こりゃどうしようもないので、諦めて感想はマイペースに勧めていくことにします。おっかしいなあ、バランスをとるために上下巻とか複数巻ある作品を間に挟んだり、同じ本を2回ずつ読んだり色々していたんだけどなあ(手段と目的が転倒しています)。

1.『SFマガジン 2005年7月号』 早川書房
2.『ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 VS 橙なる種』 西尾維新 講談社ノベルス
3.『子供たち怒る怒る怒る』 佐藤友哉 新潮社

1.ようやく買いました。バックナンバーも最近欲しくなったので買おうかな。マルドゥックスクランブルの短編と、桜坂洋の短編が載っていた号を買うの忘れていたんだよね。そのうち感想を書くかもしれないなあ。
2.ようやく出ていました。思ったより早かったなあ、という印象。それにしてもいーちゃんが真面目に成長しようとする事にとてつもない違和感を感じるのは僕だけだろうか。なんと言うか、作品全体が軋みを挙げているような不安感がある。おかしいなあ、こんな話だったかなあ。
3.ユヤタンの初めての文芸書。まあ、自分語りを過剰に行いすぎればそれは文学になってしまうと言う生きた見本ですな。最近の佐藤友哉は普通に面白い作品を書くようになっているので、ある意味安心、ある意味寂しい。まあ一般的に見ればまだまだ異様なんだろうけど、書くものが普通の現代の若者になっちゃっているからなあ。

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2005.06.05

『ローマ人の物語(6)(7)』読了

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ローマ人の物語(6) 勝者の混迷(上)』、『ローマ人の物語(7) 勝者の混迷(下)』(塩野七生/新潮文庫)を読んだ。相変わらず面白かった。まあ再読なんだから当たり前と言えば当たり前だけど…いやそうでもないか。

ところでこの作品の面白さと言うのは、ローマ人の生き生きとした生き様を描写するところにあると思うのだが、それと並んで作者の視点が常に存在しているところがあると思う。ローマの社会制度や人物のエピソードなどを躍動感たっぷりに描き出す筆致がとても楽しい。何より、塩野七生のローマが好きだと言う気持ちが文章のそこかしこに表れていて、例えばエピソードを紹介する時の、冷静なようでいて「カエサル萌え~」な熱情が溢れているところなんてついおかしくなる。もっともそう言う作者の内面は高い技法によって糊塗(っつーと表現が悪いが…上手くエンターテインメントに昇華していると言う事かな)され読者は不愉快な思いはさせられない。ただただローマに生きた人々のエピソードを楽しむことが出来るのだ。

まあそれは置いといて。この巻(面倒だから上下で一冊として扱います)ではカルタゴとの戦争、いわゆるポエニ戦争を勝ち抜き地中海の覇者となったローマ共和制全盛の、しかし、その体制が崩壊の兆しを見せ始めた頃の時代。あまりにも強大になりすぎたローマにも、歴史の常からは逃れられずゆっくりと腐敗の波が押し寄せる。そのローマの腐敗を正そうと立ち上がったのは名将スキピオの血に連なるティベリウスとガイウスのグラックス兄弟である。しかし、ローマの再生に賭けた二人の理想は、半ばにして推進者の横死という形によって幕を下ろすのであった…と言うところから始まる内乱の一世紀の物語。ローマへ反旗を翻した同盟国との戦争、奴隷の蜂起、混乱に付け込んでローマに挑む小アジアの王、ミトリダテス三世。それに対して勝利を重ねるマリウス、スッラ、ルキウス、ポンペイウスなどローマにおいても、否、地中海世界全体においても屈指と呼ばれるほどの名将たち。しかし、彼らにおいても混乱するローマを立て直す事は出来なかった。ローマは根本的な解決策を今なお見る事も出来ず、時代はカエサルの到来を待つ事になる…。

た、たまらん。駄目だ、あらすじを書くだけで楽しすぎる。数多く登場する英雄達(まあ中には独裁者として粛清を振るった人間もいるわけだが)が、その力を振り絞って運命に立ち向かおうとするも、その力が及ばす崩壊を続けるローマ。その悲劇性というか、人間の力ではどうにもならない流れに取り込まれる人々という、僕の大好きな物語だ。僕はそう言う人間が根本的にもつ悲劇性と言うものに非常に揺さぶられるものを感じるのである。
一般的にはこの巻はカエサル登場までのつなぎの物語でしかないのだが、僕はこの巻もとても好きなんだよな。

そして、ついに登場するのが「運命に愛された」英雄、カエサルの登場だ。どこまでも俗っぽく、しかし人間的魅力を秘めた、そして悲劇性も兼ね備えたこの人物は、色々毀誉褒貶も激しいけど、まあ、やっぱり面白いよね、物語として読んでいると。とゆーわけでその内読みます。

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2005.06.04

『Zガンダム 星を継ぐもの』を見てきた

タイトルの通り。

いやー凄いよ。面白かった。つか、新作カットの美麗さは偉い。他のサイトでもよく言われていたけどメカが熱すぎる。ギャブランが鼻血が出るほどかっこええ。あとエマさんがエロかった。なにこのエロス。

まあそんなこたどうでも良いんだ。良くないが。とにかく純度120%富野監督だったよ。繰り広げられるテンションテンションハイテンション!見ている最中に僕は時を越えたね。「俺の精神は今!放映当時のあの頃に戻っている!」ってやつだ(感銘をジョジョ的に表現してみました)。圧倒的な情報量で畳み込まれるトミノ台詞と圧倒的な映像に興奮の嵐。
とにかくトミノとメカが好きな人は必見。僕は両方とも大好きなので十全に楽しめました。つか、実は自分、ガンダムはどうでも良いのだけど、富野監督には強烈な思い入れを感じるタイプらしい。自分でも驚きです。

新作画と旧作画の違いについては、まあ正直最初は気にならなくも無かったけど、スムーズな場面展開もあってかだんだん気にならなくなってきた。もともと富野作品は映像美よりも演出で見せるタイプだしねー。

『教えて下さい。富野です』も早く読もう…。

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『ガダラの豚(上)(中)(下)』読了

『ガタラの豚(上)(中)(下)』を読み終わった。吃驚するぐらいに面白い。僕が今まで読んだ中島らも(空のオルゴールと酒気帯び車椅子)と比べると、作品の書き込み量が全然違うよ。それまでの砕けすぎなまでに砕けてグダグダすれすれの脱力ぶりも非凡なセンスだと思ったが、こちらはもっと真面目に、一つ一つ石を積み上げるが如くに堅実な描写を繰り返している。伊達に三冊も時間を費やしていねーなー。

僕の友人で、この本を読んだ人間の話を聞いてみたら、要するにこれは『空のオルゴール』でやっていた事を引き伸ばしただけじゃん、という言い方をしていたけど(無論、ガタラの豚もすごく面白かったと言う事は前提で)、僕としては、きちんと土台を汲み上げ、堅実に石を積み上げていくこの作品はとても良いと思うな。つかグレートですよ。

以下、各巻感想

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ガダラの豚Ⅰ
まあ導入編と言うか、登場人物の紹介編と言ったところ。主人公である大生部教授とその家族の現在と過去が語られる。一巻丸ごと費やして大生部一家の崩壊と再生を描いており、まあその過程は中島らもらしい軽妙な語り口が冴えていてなかなか面白い。一応ネタ的には新興宗教ものになっていて、それに嵌ってしまった奥さんのために新興宗教のトリックを暴くと言う話。書いていて思ったが、本当に『TRICK』みたいだな。
軽妙な語り口の中にも、人の心をじわじわと蝕んでいく悪意の描写が印象的だ。中島らもは、実のところ”恐怖”を描くのが非常に上手い作家と言う気がする。とある出来事を通して、その出来事を起こした人の冷たく凍えるような悪意。気付かないところから忍び寄る脅威。それがユーモアをたたえた描写に紛れ込んでいて、ある時を境にふいに顔を覗かせる瞬間がたまらなく恐ろしい。すげー作家だなあ…。
ところで、新興宗教関係の場面を呼んでいたら、中学生の頃(だったかな…)に読んだ『ザンヤルマの剣士』を思い出した。時期的にも同じ時期の作品だし、時事的な内容だったのかな…。この頃はオウムの事件はまだだったっけ…(既に記憶が…日本人の悪癖だ)。

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ガダラの豚Ⅱ
舞台はうって変わってアフリカへ。ようやく本編の始まりである。作者の勤勉さの賜物か、アフリカの”呪術”についての描写が非常に濃くて楽しい。ここで言う”呪術”と言うのは、いわゆる超常的な能力のことではなく、同一の文化を持つ共同体の中で機能するある種の概念の事だ…僕が理解している範囲では。つまり、共有する文化の中で起こる現象について、体系化された理論に基いた世界の解読する方法のことなのだろうと思う。これは迷信ではなく、その文化の中では真実なのだ。それを科学的ではないと一蹴することは簡単だが、それを言ったらそれだって科学と言う名の迷信を信じているに過ぎないのだから。
話が逸れた。
ついにこの物語中最大の敵であるパキリの登場である。このパキリの持つ悪のプレッシャーはもの凄く、彼の巻き起こす怖気を奮う恐怖は特筆に価すると思う。なんつーか。パキリ関係のエピソードは不安感と生理的嫌悪感をこの上なく刺激してくれるもので、読んでいるだけでこいつはやべえ、と思ってしまう。暢気な大生部教授たちの牧歌的な場面の正反対だ。こんなところも作者の恐怖の描き方の上手さを感じた。
今さて、今回株を上げたのはスプーン曲げの超能力者、清川君だろうな。Ⅰではなんて性格の悪いやつだろうと思ったものだけど、存外気の良い兄ちゃんの側面が現れてきて良いキャラクターだなあ。

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ガダラの豚Ⅲ
最終巻にしてクライマックス。これまでの堅実に積み上げてきた描写の上に、ついにどっかんと荒唐無稽度が炸裂し、しかし、それまで積み上げてきた土台がものを言っているので滑稽とも言える描写が緊迫感のあるものになっているのが良いよなあ。パキリの力が呪術だけではなく、東洋、西洋の様々な知識に裏打ちされたものだというのもⅡの呪術に関するエピソードがあったからこそ凄さが分かるんだよなー。
パキリの”キジーツ”を奪った大生部たちに恐るべき魔の手が迫るという描写は、一体どこのホラー映画かと思った。凄惨というか、もう、登場人物がゴミのように無意味に殺されていく展開は、そのあまりの唐突さ故のギャップが衝撃を強めている。決して派手ではない文章で、描写のギャップだけで恐怖を演出する中島らもは心底すげえと思う。…まあ、どこまで計算してやっているのか、実は良く分からなかったりするんだけどね。実は天然なのかもしれない。
ところでこの落とし方はありえねえ!最後にいきなり教授の覚醒はあまりもあんまりな唐突な展開に小生、不覚にも大笑い。降参。
ここまで堅実に進めてきたのに最後の最後にやってくれたなあ。やっぱり中島らもは中島らもだったという事を認識した。ああ、変な作家(褒め言葉)。

とても面白かったです。

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『銃姫(4)』読了

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銃姫(4)』(高殿円/MF文庫J)を読み終わった。まったく大変に面白い。巻を追う事に加速度的に深まっていく人間関係のもつれ、エゴと欲望と罪と罰が交錯する泥沼の人間劇。今回は高殿円にしてはめずらしく戦争を描いており、人がお互いを食らい合い、殺しあう戦場で、それまでごく当たり前に実践してきた善意、誠意がまったく通用しない現実を突きつけられて恐怖し、自らも戦争に飲み込まれていく主人公など高殿円、手加減無し!という感じ。眼鏡男もやたらと登場していてそっちの方向にも手加減がされていません。さすがである。

それはともかく、相変わらず大変僕好みの作品である。主人公達を取り巻く環境は加速度をあげて厳しさを増し続け、今回は主人公たち本人の欺瞞、エゴが暴かれていく。セドリックを始めとする若者達は、戦争と言う現実に直面し、それまで抱いていた夢、希望と呼ばれるものの崩壊を目の当たりにする。善意、やさしさではどうにもなら恐怖を目の当たりにし、自分の中の偽善を明らかにされるセドリック。国を滅ぼされた悲劇の王女という美しい幻想を剥ぎ取られ、自らの愚かさを突きつけられるアンブローシア。自らの才能の欠如に追い詰められるティモシー。純粋で無垢であることを強要されたキトリと彼女を利用する事で自らの価値を維持するキサラ。
それぞれが持つエゴに自己憐憫が組み合わさって生じる対立と葛藤。その過程であるものは乗り越え、あるものは傷つき、あるものは破滅していく。このあたり作者の意地の悪さよく見えていてとても良かったと思う…褒めていますよ?

まったく作者の容赦の無さには恐れ入ったとしか言いようが無い。人間関係の煮詰まり具合はさらに良い具合の濃縮還元ぶりで、更なる火種が投げ込まれている。もはや一触即発の段階であります。どうやら次の巻で一区切りらしいので、この混沌とした状況がどのような結末を迎えるのか楽しみにしたい。

それにしても、別の出版社でやっている話と全然違うな…。方向性もそうだけど、文体とか見せ方まで違うんだが…同じ人が書いているのか、本当に?

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2005.06.03

本日の購入物

作家がHPやブログを開設しているのを見かける事も珍しいことじゃなくなっているけど、個人的にはほどほどにしておいた方が良いと思うのだけど。読者の意見なんてそれこそ千差万別で、意見を取り入れたところで面白いものがかけるとは思えない。そう言うのではなく、ファンとの交流をという事だったとしても、何が出てくるかわからんWebではなかなか難しいのではないかなあ、なんて思ったけどそれこそ余計なお世話と言うものだよな。反省。

1.『NARUTO(28)』 岸本斉史 集英社

1.NARUTO第二部開始。でもあんまり変わらない。アニメの方もほぼ原作に追いついているけど、一体どうするつもりなんだろう…。

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2005.06.02

本日の購入物

おかしい…今日は本を買うつもりは無かったのだが…。何で5千円札が財布から消えているんだ(別に千円札になったとか言うオチではない)。

1.『【冲方式】ストーリー創作塾』 冲方丁 宝島社
2.『菊と刀 日本文化の型』 ルース・ベネディクト 講談社学術文庫
3.『永遠はわが王のために ミゼリコルドの聖杖』 高殿円 角川ビーンズ文庫
4.『いばらの王(5)』 岩原裕二 エンターブレイン
5.『骨の音』 岩明均 講談社

1.冲方丁の小説創作講座。この手の創作本が僕はけっこう好きなのだけれども、それを冲方丁が書いているのでは買わないわけにも行かないだろう。ところで、帯のどうしようもなく俗なキャッチはあえてやっているんですかね。「君にもマルドゥックスクランブルが書ける!」だとさ。…書けるわけが無いだろう。
2.発売されているのをすっかり忘れていた。5月刊行の本だけど、既に2版と言うのは、この手の学術本にしてはすごい事なのではないかと思う。名著だから無理も無いが。
3.高殿円の本は必ず買っているような気がしてきた。まあそれはどうでも良いのだが、銃姫の感想も書いていないや…。早く書こう。
4.買い忘れ。前から大分時間が空いてしまって、買ったのかどうか忘れていたよ。表紙を見ても買ったのかどうか思い出せないのは重症かも(僕の記憶力が)。
5.岩明均の本の中で、唯一僕が持っていなかった本。ぶっちゃけ、前に読んだ時に面白くなかったからなんだけど…まあ、持っていないのも気分が悪いという、マニア魂がちょっと疼いたと言うかなんと言うか。そんな感じ。

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2005.06.01

『パラケルススの娘』読了

本当にライトノベルばかり読んでいるな…。ちょっと危機感を感じてきたぞ。そろそろ他の本を読んでみるか。

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それはともかく『パラケルススの娘』(五代ゆう/MF文庫J)を読んだ。まさか五代ゆうの本で文庫一冊でまとまる作品を読む日が来るなんてっ…(驚くポイントがそこか)。

久しぶりの五代ゆうのライトノベル作品は、19世紀末の倫敦が舞台。いわゆるビクトリア朝と呼ばれる、大雑把に言って『エマ』と同じような時代でありますが、こちらは上流階級の間では交霊術が流行し、オカルトが蔓延る世界。そんなところに巻き込まれてしまった主人公、日本からはるばるやって来た遼太郎くんは、傲慢で不遜な男装の麗人クリスティーナとメイドのレギーネと出会う…という話。

これは遼太郎が、とっても強くておっかない魔術師クリスティーナにこき使われる毎日を描いた物語…では無く、一族から見放され自身に対する拭い去れぬ劣等感を抱えた遼太郎が、様々な事件を通じて自らが自らである由縁を求めていく。そして同時に冷たく凍えたクリスティーナとの関係を変化させていく話…になるのかも知れない。まだまだどういう展開になるのか分からないけど、でも久しぶりの五代ゆうはやっぱり面白かった。

まあとりあえず、この作品の肝はクリスティーナと遼太郎くんということになるのだけど、正直に言ってこの二人の関係性についてはあまり描写がされていなかったような。ある事件を通じて対立する二人なわけだけど、クリスティーナが遼太郎を気にするそぶりを見せ始めた過程が良く分からなかったな…。ああ、そうか、誰にもはばかることなく自分を押し通すクリスティーナに昂然と(と言うほど格好良くは無い)反抗した遼太郎にちょっと感情を(苛立ちであれ)動かされたと言う事実。それ自体が理由なわけですか。孤高な彼女は、彼女を動揺させる可能性のあるものに対して忌避し嫌悪する。それは期待の裏返しと言うわけだな。書いていて納得。

まあそれは一方の極としてクリスティーナの物語であって、それと対比されるのが遼太郎サイドの物語。退魔を生業とする一族に生まれながら、無能者として蔑まれ続けた彼は、拭い難い無力感に苛まれ続けている。彼が事件を通じて自分の足で立ち上がろうとするまでを描かれている。勿論、そのモチベーションとなるのは少女を助けるためと言うボーイミーツガールが盛り込まれていて良い感じ。まあ、男って言うのは少女を守るためでもなければ一人で立ち上がることも出来ねえ生き物なんだよなあ、とか思った。ま、頑張れ、少年。

まだまだ話は始まったばかりだけど、大変正統派な少年の物語に、強い女性の物語が交錯する構成になりそうで面白くなっていきそうだ。オカルティックな雰囲気も悪くないしね。これで五代ゆうの幻想を描写する筆腕が全開になったらすごい事になりそうだ。素直に続きを期待しようと思う。

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昨日の購入物

まったく自分は社会人として以前に人間として欠陥が多すぎる。どれぐらい欠陥があるかと言う事をあえて分かりやすく言えば、ひきこもり寸前の対人能力にナマケモノに匹敵するやる気、紙の様に薄い精神力と言った具合だ。何よりこんな発言を喜々として言っている時点で駄目だこいつは。自分だけどな。

1.『仮面のメイドガイ(1)』 赤衣丸歩郎 角川書店

1.昨日の購入物に書き忘れていたので追記。ある意味もっとも重要な本を…。いやしかしまったくこれは素晴らしい。腹を抱えて大笑いした漫画は久しぶり…でもないが、とにかくすごい漫画だ。メイドでガイと言うだけで既にキ○ガイじみた発想であるのに、繰り出すギャグを二転三転とひっくり返して読者に安心感を与えてくれない。ところでこの人の名前を「赤」以外をひらがなとカタカナに変換してみると…あらまびっくり。知っている人は知っているペンネームに。まあ、そう言うこった。

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