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2005.06.04

『銃姫(4)』読了

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銃姫(4)』(高殿円/MF文庫J)を読み終わった。まったく大変に面白い。巻を追う事に加速度的に深まっていく人間関係のもつれ、エゴと欲望と罪と罰が交錯する泥沼の人間劇。今回は高殿円にしてはめずらしく戦争を描いており、人がお互いを食らい合い、殺しあう戦場で、それまでごく当たり前に実践してきた善意、誠意がまったく通用しない現実を突きつけられて恐怖し、自らも戦争に飲み込まれていく主人公など高殿円、手加減無し!という感じ。眼鏡男もやたらと登場していてそっちの方向にも手加減がされていません。さすがである。

それはともかく、相変わらず大変僕好みの作品である。主人公達を取り巻く環境は加速度をあげて厳しさを増し続け、今回は主人公たち本人の欺瞞、エゴが暴かれていく。セドリックを始めとする若者達は、戦争と言う現実に直面し、それまで抱いていた夢、希望と呼ばれるものの崩壊を目の当たりにする。善意、やさしさではどうにもなら恐怖を目の当たりにし、自分の中の偽善を明らかにされるセドリック。国を滅ぼされた悲劇の王女という美しい幻想を剥ぎ取られ、自らの愚かさを突きつけられるアンブローシア。自らの才能の欠如に追い詰められるティモシー。純粋で無垢であることを強要されたキトリと彼女を利用する事で自らの価値を維持するキサラ。
それぞれが持つエゴに自己憐憫が組み合わさって生じる対立と葛藤。その過程であるものは乗り越え、あるものは傷つき、あるものは破滅していく。このあたり作者の意地の悪さよく見えていてとても良かったと思う…褒めていますよ?

まったく作者の容赦の無さには恐れ入ったとしか言いようが無い。人間関係の煮詰まり具合はさらに良い具合の濃縮還元ぶりで、更なる火種が投げ込まれている。もはや一触即発の段階であります。どうやら次の巻で一区切りらしいので、この混沌とした状況がどのような結末を迎えるのか楽しみにしたい。

それにしても、別の出版社でやっている話と全然違うな…。方向性もそうだけど、文体とか見せ方まで違うんだが…同じ人が書いているのか、本当に?

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