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2005.05.06

『電波男』読了

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電波男』(本田透/三才ブックス)を読了。…『電車男』じゃありません。

すごく面白い。
いわゆるオタクや萌えについての書籍には、オタクを外部から見たのものは多くあれど、きちんとオタク側の主張を行っているものはほとんど無いで、その意味では重要な本であるし、もっとこういう作品は出ても良いと思う。もっともこの本自体は文章に癖がありすぎるので、果たしてどこまで非オタクが手にとってくれるのか疑問ではあるのだけど。いや、むしろこの文章の方が食いつきが良いのかなあ?

恋愛資本主義についての考察は、なかなかの説得力があると思ったのだけど、だめんずあたりの言及についてはちょっと気にかかるところが無いではない。酒井順子がいわゆる「負け犬」を肯定しているのに対して、この作中ではオタクを肯定しているのに過ぎないので、つまるところ同レベルの論旨でしかないのである。また、「萌え」の神聖視についても個人的には疑問であって、恋愛を三次元的活動とし、萌えを二次元的活動としているのだけど、そもそも恋愛だって信仰の代替物として始まったものと言うのなら本来二次元活動であったはずなのだ。それが恋愛資本主義によって三次元活動に引き下げられてしまったのであるならば、それが萌えに対しても同様の事が起こりえないと、誰が保障できるのだろう?萌えとて資本主義に毒されれば三次元活動に堕する可能性は大いにあると思う。そしてその芽は既に蒔かれているように思うのだ。

あと、たぶんこれは作者も自覚的にやっている事だと思うけど、オタクを非常に持ち上げていて、オタクは将来の勝ち組とまで言い切っているのはさすがにどうかと思う。オタクにだってDQNはいるし、生理的に不愉快なオタクもやっぱりいっぱいいる思う。そりゃまあ、妄想の中に閉じこもっている本人は幸せだろうけど、果たしてその周囲の人は幸せかと言う問題もあるし(結局、たった一人だけで生きる事は出来ないし)、自己の中に埋没し続ける事は、どう足掻いても未来が無いと思う(いや、作者はそう言う事を言っているんじゃないのは分かっているんだけどね)。

まあ、かように語りだすと止まらない程に刺激的な本であります。けっこう偏った内容ではありますが、少なくともオタクの一側面を捉えている内容になっているので、オタクや萌えって何?と言う方も、どっぷり萌えに浸かっている方の双方にも一読をオススメいたします。

理解が深まるかますます拒絶されるのかは…難しいところですね。

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