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2005.05.01

『平井骸惚此中ニ有リ 其参』読了

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『平井骸惚此中ニ有リ 其参』の感想。

平井骸惚先生宅で居候のなっている河上太一君の元に、幼馴染である翠子がやって来た。子供の頃の結婚の約束を果たしてもらおうという言うのである。逆上する涼をよそに、骸惚宅に居座る翠子。戸惑いつつも翠子を受け入れる太一だったが、翠子の不審な行動に疑いを抱いた涼と喧嘩してしまう。そんなある日、翠子に誘拐事件の容疑がかけられてしまった。容疑を晴らすために、太一は行動を起こす…。

涼嬢のジェラシーが爆発し、撥子嬢のラブ度も急上昇でモテモテ状態の太一君だけど、主人公の特殊能力の鈍感さを高いレベルで所有しているために生じるドタバタ具合は、作者の油の乗った円熟の筆致の賜物か。良いですなあ。今回のヒロインは撥子嬢であると言い切ってしまってよいでしょう。人見知りが激しいが、芯が強い撥子嬢は実に魅力的なキャラクターで大変まったくもって素晴らしい……ロリコン言うな(言ってない)。名探偵としての素質の片鱗も見せてきて、涼嬢の立場も危うし、か?

今回は太一君がかなりがんばっているのが好印象。今まで骸惚先生が出てくるまでの繋ぎ役としての役割であり(ま、今回も同じなんだけど)活躍が出来ようも無い立場だったけど、今回の事件に関わっているのが自分の幼馴染であるということもあって事件の解決に奔走。骸惚先生の助言もあって事件の解決寸前までこぎつけたのは偉かった。やれば出来るじゃないか。まあ、結局最後は骸骨先生が持って言ってしまうわけだけど…。

それにしても、相変わらず骸惚先生は事件が煮詰まってどうにもならなくなるまで動かない。はっきり言って最初に先生が事件に関わっていれば被害や犠牲者はもっと少なく出来たと思わないでもない。でも、事件よりも、その事件を引き起こしてしまった人の心にこそ大切だと考える割り切り方はよく理解できるんだよなあ。
事件を解決したところで、何故その事件が起こったのかと言う事を解決しなければ同じような事件はいくらでも起こる。しかし、「探偵」には決して事件にまつわる人の心まで踏み込む事は物理的に不可能である。本当は、それが出来ないのであれば興味本位に事件に首を突っ込む事はするべきではない。そう言うことは、それが仕事の警察に任せておけばよいのだ。
だから骸惚先生が動くのは、自分の家族と親しい人の心に関わる問題になったときだけなのですね。自分の家族を守ること、そして責任を持つ事を、ごく自然に実践しているわけだ。こういう現実を見据えた冷静さは嫌いじゃないです。

ミステリとしてはちょっと甘いかな、という気もするけど(トリックはすぐに分かった)、人の心の不可解さと不条理さをきちんと書いているので差し引きちょっとプラス。ライトノベルとしてはとても面白かったので満足です。近いうちに4巻目が出るらしいので楽しみだなあ。

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