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2005.05.16

『リリアとトレイズⅡ そして二人は旅行へ行った(下)』読了

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リリアとトレイズⅡ そして二人は旅行へ行った(下)』(時雨沢恵一/電撃文庫)読了。面白い事は面白いんだけどねえ…。あんまりに上下巻にする必要があったとも思えないんだけど。上巻の感想はこちら

リリアとトレイズは親切なモリソーさんの勧めにしたがってチャリティーの飛空挺に便乗させてもらう事になった。しかし、その飛空挺に暗い陰謀の影が迫りつつあった。リリアとトレイズはその陰謀から逃れることが出来るのか?…と言うあらすじ。

起承転結で言うなら「結」だけが収録される形になっているので、今ひとつバランスに欠けているように感じてしまう下巻であります。上にも書いたけど、上下巻にする必要は本当に無いと思うのだが…大人の事情ってやつですか。まあ、色々事情があるんだろうし、しょうがないかな…なんていうわけが無いだろう。読者を舐めるな。

と言う愚痴はどうでも良いとして、中身はやっぱり面白い。国家的な陰謀に巻き込まれてしまった少年少女が知恵と勇気と技術(?)で立ち向かう正当な冒険物であり、そこに作者らしい毒をスパイスとして降りかけられていて、結末はほろ苦いどころかコールタールのように真っ黒け。作者は本当に性格が悪いね(褒め言葉)。子供の世界の冒険がすべて大人の計算に回収されてしまう結末は、それまできちんと爽やかな物語として展開している分破壊力は高い。まあ、それでも童話調というか、妙に現実感が喪失した印象を感じてしまうのは、良くも悪くも時雨沢恵一の作風です。毒を淡々としたユーモアで包むと言うのは誰にでも出来る事では無いのでこれはこれで良いものですね。

アリソンシリーズのファンには、ヴィルの変貌には結構ショックな人もいるのかもしれないけど、真面目に人々の幸福を追求していったああなるのは当然の事でしょうな。いつでも誰にでも慈悲深くあれるのは聖人が愚者だけであって、そうではない人は必ず選択をしなくてはならなくなってしまう。まあ、そーゆー事でしょう。

こういう視点は、下手するとただの皮肉屋になりかねないのだけど、時雨沢恵一はそこに乾いたユーモアを忘れないので陰湿にはならないのはたいしたものだと思った。

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1時間かけて書いたリリトレⅡの感想が一瞬にして飛びました。私の思考も飛びました。でももう一度書きます。気持ちを新たにがんばります。だってリリトレ愛してるからッッ(漢泣き) -以下ネタバレ注意の方向でお願い申し上げます- {/star/}「そして二人は旅行に行った(下)」{/star/} 「すべてがうまくいって終わったら,ご褒美にキスしてあげるわ。」 帯のあおりからとばしてますリリアーヌ嬢。 萌え燃え萌え�... [続きを読む]

受信: 2005.05.29 00:51

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