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2005.05.17

『七姫物語 第三章』読了

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七姫物語 第三章』(高野和/電撃文庫)を読み終わった。うお…話の方向性が変わっている…。面白いけど。

四宮ツヅミと七宮カセンの戦は、七宮の勝利に終わった。だが、四宮との関係が深い三宮ナツメとの間には緊張が渦を巻く。ツヅミを巡る駆け引きが続く中、ついに各々の宮の介入が行われ、七姫たちの物語は産声を上げる…というあらすじ。

いやはや…ここに来て思い切った路線の変更でありますね。今までの物語では、いわゆる群像劇的な設定のもので、あえて視点人物を七宮姫、空澄に固定して来たため、戦記物でありながら、どこか少女小説のような雰囲気を纏わせた不思議な物語になっておりました。しかし、今回は視点を少女の一人称から三人称に変更、それに伴ってカセンだけではなく七宮全体を俯瞰出来るようになったため、各国の宮姫、武将達まで視点が広がっています。これは少女小説から架空歴史物語(特に群像劇)への転向であって、かなりの思い切った方針変更だと言えるでしょう。

群像劇となると、数多くの登場人物たちの描写を行わなければならないため、職人的な技量が要求される事になりますが、現時点では極めて丁寧な描写がされていて良いのではないかな。ほんのちょっとしたエピソードでキャラクターを印象付けているのは偉い。これが出来ないと群像劇は面白くならないのですよね…(関係ないけど、僕が渡瀬草一郎の本を読んでも楽しめないのは、このキャラ立ての方法に萌えキャラ的な記号論を無造作にぶち込んでいるところが気に食わないせいなんだよなあ。けどこのあたりは感想に関係ないので省略)。

文章の隅々まで気持ちの行き届いた文章は、相変わらず端正で良いですな。叙情的な表現にも磨きがかかっていて、なるほどここまで丁寧に書いて入れば、刊行が遅くなるのも無理の無いところではあります。しかし、本当に文章が美しいので、この文体は変えないでほしいと思う。電撃文庫では受けが悪そうだけどね。もう諦めたから、ゆっくりとでかまわないのでちゃんと完結してほしいと思う。

ところで、2巻までで主人公格のキャラクター小説として展開させて、ある程度ファンも付いたところで大河ロマンへ、というのはなかなか巧みな戦略ですな。電撃文庫は群像劇は当たらないというジンクスがあるのだけど(渡瀬草一郎のあれは群像劇ではない)、このようにすれば案外抵抗がないかも知れないな、と思いました。

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