『ファントムの夜明け』読了
『ファントムの夜明け』(浦賀和宏/幻冬舎)を読み終わりました。これは…ミステリじゃないよなあ…。
幼い頃に双子の妹を亡くした過去を持つ真美は、一年前に別れた恋人が行方不明になった事を知る。時同じくして、真美にはある能力が目覚め始める。それは、死んだ妹が持っていたもの同じ能力だった…。
ぶっちゃけて言うと、超能力ミステリの範疇に入るのかもしれない。しかし、西澤保彦のような超能力パズラーを期待していると間違いなく肩透かしを食うでしょう。これは事件の謎を解くというよりも、事件に関わった人々の心理の暗がりを描いた作品であります。何もしなくても謎を解いてしまう能力を持ってしまった真美が、その力の意味を探す物語である。
能力の所為もあって、ちっとも謎が謎として生まれていないので(何しろ一瞬で犯人を見つけてしまう)、注目すべきはいかにして犯罪を立証するか、という話になってくるのが本来の路線だと思うのですが、ページ数が足りなかったのか、最初から計算どおりなのかは知らないけど、結局真美が自分の能力を自覚するところで終わってしまうのが残念無念。ここから超能力探偵の活躍の始まりだってのになあ。
やりたい事は分かるのだが、色々方向がとっちらかっている印象だ。真美の自らの能力に関する葛藤と、冒頭にあった行方不明の元恋人の物語が、まったく全然(二重否定だ…)リンクしていないので、ラストのサプライズがぽっかりと浮いてしまっている。うーん…あえて解釈をするのなら、未来へ一歩踏み出した主人公が、そもそもの始まりの出来事に決着をつけるという話なのかなあ…。分からん。
痛々しい浦賀節も今作では控えめで、まるで普通の小説のようになってしまっているのはウラガー(浦賀和宏が好きな人間)としてはやや残念。ただ”真犯人”の動機についてはいかにも未来が無い感じで、浦賀だったけど。こういう駄目なところに共感してしまうのがウラガーの証か…。
まあ悪くは無いと思うので、浦賀和宏が好きなら読んでも損は無いかな。
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コメント
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やっぱりウラガーにはこの程度ではまだまだヌルイのですね(笑)そうすると「松浦純菜」は甘甘といった感じでしょうか?
投稿: take_14 | 2005.04.14 22:21
初めまして。トラックバックありがとうございます。
「松浦純菜」はラストに主人公が”肯定”されてしまうあたり、確かに(浦賀小説としては)ヌルイ作品ではありますが、途中の八木少年の陰々滅々な内面などはいかにも浦賀という感じでけっこう悪くないんじゃないかと思っています。久しぶりの長編と言う事で、甘い評価になっているのかも知れませんけど(笑)。
少なくとも、あちらは八木少年の葛藤と、その八木に拘る純菜の関係を中心に描いていて、そこから外れていないように思うので読んでいて安定感があるような気がするのですよねー。
投稿: 吉兆 | 2005.04.16 00:35
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