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2005.04.28

本日の購入物

疲労困憊のあまり感想を書く気力が無い。マジで死にそう。そんな状況でも本を買う自分は偉いと思うが本屋によるだけでもヘトヘトになってしまうのだからどうしようもない。明日は早起きしないといけないのになあ。

1、『PLUTO(2)』 手塚治虫+浦沢直樹 小学館
2、『オルフィーナ(4)』 天王子きつね 角川書店
3、『同上(5)』 同上
4、『ホーリーランド(10)』 森恒ニ 白泉社
5、『ベルカ、吠えないのか?』 古川日出男 文藝春秋
6、『薔薇のマリア Ver0 僕の蹉跌と再生の日々』 十文字青 角川スニーカー文庫
7、『バルビザンテの宝冠 王の星を戴冠せよ』 高殿円 角川ビーンズ文庫
8、『カーマロカ 将門異聞』 三雲岳斗 双葉社


1、浦沢版鉄腕アトムの2巻目。プルートゥの姿をはっきり見せずに迫り来る脅威を描いているところはまさに浦沢サスペンス。鉄腕アトムをこんな風に出来るなんて、一体浦沢直樹ってどういう思考回路をしているんだ。謎。
2、3、新装版オルフィーナの4と5。オルフィーナってファンタジーの皮を被ったSFだったというような気がしてきた。こういう話だったとは全然知らなかったぜ…素で驚いています。
4、TVドラマは結局見れていないのだけど、なかなか評判みたいですね。ちょっと後悔。
5、本を読み始めるときに、期待に胸を躍らせてくれる作品を書いてくれる作家はそう多くは無い。僕にとって古川日出男はそう言う作家だ。目次を読んでいるだけでその言葉の力に痺れてしまう。
6、発表の順番を間違えているよーな。これは最初に本を出さないとまずかろう。面白いからいいけどね。他人を信じないハリネズミの如きマリアローズが見れる一作。
7、高殿円が角川ルビーで書いていた作品の、まあ再販でいいのかな。旧版はどこの古本屋にも置いていなくて諦めていたのでありがたい。これで高殿円はコンプリートした、はず。他に何かあったかな。
8、電撃文庫などでも活躍中の三雲岳斗の一般作。はっきり言ってこの人はライトノベルが面白くない。人気はあるようだけど、あまりに理知的に過ぎる文体が、ラノベ的キャラ立てと相性が良くなく、さらにハッタリの弱さを浮き彫りにしてしまうので僕の趣味ではないのである。逆にライトノベル的なキャラ立てから離れた作品は、非常に知性的で僕好みであったりするので、まったく人間の好みなんていい加減なものだと思う。

疲れたのでこんなもので。

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2005.04.26

『平井骸惚此中ニ有リ 其弐』読了

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平井骸惚此中ニ有リ 其弐』(田代裕彦/富士見ミステリ文庫)の感想です。ますますツンデレ具合がヒートアップしておる…。同時に撥子(はつこ)嬢のかわいらしさもバーストしており大変なことに。富士ミス的にもなかなかのものですな(偉そう)。

骸惚先生の担当編集者、朱音嬢の誘いに乗って平井一家+居候は山深い洋館に避暑へやってくる。ところで世の中はそうそう美味い話は転がっておらず、そこには跡目争いで険悪な華族、日下家兄弟がいた。日下家長男、直明氏により「私は命を狙はれている」という封書を受け取った事を皮切りに、一人また一人と命を失っていく日下家の跡取たち。怯える涼嬢と撥子嬢の前に、師の反対にもめげずに事件解決を目指す太一であったが…。

今回は嵐の中のホテル編。なんとまあ、お約束の舞台であることか。ここまでお約束の舞台でミステリをやるなんて、正統派ここに極まれるという感じだ。古き良き探偵小説への愛が溢れておりますなあ(実際のところは知らないけど)。

まあ事件そのものについては、前巻でもそうだったけど小粒といっても良いかもしれません。しかし、読者の思考の裏を書こうとする作者の意図が良くわかって楽しいなあ。色々考えては見るものの、どうも決め手が無いな~と思いつつ、解決編の直前で重大なヒントがッ!ってところでたちどころに理解できたのは、やはり伏線の貼り方がうまいのかな。重厚長大なミステリ作品が多い中、これほどの軽さを保ちながらきちんと意外性も確保しているあたり、実はけっこう希少価値のあるシリーズかも。ついでにLOVEもあるんだから対したものですな。

相変わらず人間臭い探偵役であるところの平井骸惚先生も、良いパパであり当たり前の人間である描写をきちんとしているのは良いところだと思う。時々語りだす骸惚先生の思想もなかなかバランス感覚に優れていて共感できる(独りよがりの思想ではない)。犯罪者を見つける事には興味は無いと言い切るあたりは、やっぱり京極夏彦の影響でしょうか。細かいところが好みなんですよね。

というわけで次は其参の感想です。

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『エウレカセブン ブルースカイ・フィッシュ』を見た。

いやはや、今期放映作品は面白いアニメが多いけれど、この作品は脚本レベルの桁が違う。少なくとも現時点ではの話になるけど、本当に隙がまったく無い。既にこの作品について何か言葉を発するのが勿体無いとさえ思う。全部胸の中で反芻していたい作品だな。

と言いつつも書いてしまうのだけど、今回も「信じる」という言葉がキーワードになっている。主人公のレントンが何かをひたむきに信じた時、応えてくれる相手がいるという幸福が感じられる。ただ、「信じる」という行為はけっこう危ういものがあって、現実には信じたとしても応えてくれる存在がいる事はまれである。神に祈っても、誰かを信じたとしても、その信仰(信頼)はしばしば裏切られるものだ。おそらく、信じるということへの信念の揺らぎのようなものが今後語られるのではないかと邪推しているのだが…どうなんだろうか。

とにかく次に期待だ。

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2005.04.25

『平井骸惚此中ニ有リ』読了

『平井骸惚此中ニ有リ』(田代裕彦/富士見ミステリー文庫)の其一、其弐、其参を読了。富士ミスってなんて読み易いんだろう…。本を読む気力が減退していると言うのに読み始めたら瞬読。素晴らしい。問題はコストパフォーマンスが悪すぎると言う事か。540円も払っているのに1時間も時間が潰せないってのはどうなのよ?

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平井骸惚此中ニ有リ

時は大正十二年。まだまだ世界には闇が完全に払拭されていなかった頃。天下の帝大生である河上太一は探偵小説家、平井骸惚に弟子入りを申し込む。あまりに奇矯なその行動に多いに渋る小説家だったが奥方の口添えもあり、居候とさせてもらうも、しかし弟子入りは認められず、また娘の涼嬢には頭が上がらず日々を過ごす。そんなある日、先生の恩人である池谷是人が不審な死を遂げた。「これは自殺ではない」という先生の言葉に触発され、謎を解けば弟子にしてもらう約束を取り付け、太一は意気揚揚と事件に取り組んだ…。

これは確かに本格ミステリの系譜に連なる作品であります。少なくとも、僕が読んできた富士見ミステリー文庫作品の中ではもっともミステリーとして面白かったですな。
探偵役である平井骸惚先生は、基本的には物語がクライマックスを迎えるまで座して動かず、基本は帝大生(現在は休学中)である河上太一君の視点で進められます。この骸惚先生は探偵小説家でありながら「素人探偵は現実の事件に首をつっこんではいけない」という信念を持っているため、太一君が事件に関わる事を、基本的には良しとしていない。とは言うものの、太一君が困った時には時々ヒントをくれたりしてくれるし、または事件が放置できない状況になると重い腰を上げてくるあたり、自分の言っている事を徹底しきれていないところがある。しかし、骸惚先生が動くのは、常に自分の周囲の人間が傷つきそうな時なのであり、こういう人間的なところがあるのが探偵役としての平井骸惚の特徴かな。探偵であるよりも何よりも”大人”なんだよなあ…ライトノベルにあるまじき程に。

現実的なトリックと、そのトリックが成立する状況を視点を変える事によって成立させる屁理屈ぶりは、なるほど京極夏彦の系統である事を思わせます。つまり物理的なトリックよりも、何故そのようなトリックが成立してしまうのかと言う事の理論武装が巧みで、読者を煙に巻くその手腕はなかなか良い感じ。京極夏彦の系統のミステリって富士ミスでは珍しいような気がするけど…どうなんでしょ?

もちろん富士ミスらしく、LOVEも忘れちゃいけねえ。ヒロインである涼(すず)嬢は、太一君との最悪の出会いを経た後、持ち前の面倒見のよさから事件解決に協力しつつ、だんだんと心を許していく過程は、うーん、見事なツンデレですね。田代裕彦のミステリだけではなく萌えもきちんと盛り込むあたり、ライトノベル作家としての手腕の確かさは知った次第であります。つか、キャラクターを立たせるのが普通に上手いよな。

ただ、ちょっと気になるところもないではない。三人称で講談調というライトノベルでは珍しい文体を採用しているのだけど、今ひとつ読み難い気がしてしまったのは残念だな。リズムがなかなか読み取れなくて最初は苦労しました。慣れれば大した事はないけど。この辺は好みの別れるところなのかも知れないかな。

細かいところには気になるところもあるけど、キャラ立ても上手いしミステリとしてもきちんと意外性のある結末を持ってきている(それも独自性のあるやり方で)あたり見事なミステリ作家ぶりである。萌えミステリ作家として是からの活躍に期待したいですね。

其弐、其参の感想は後日~。

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2005.04.23

『夏祭りに妖狐は踊れ』読了

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夏祭りに妖狐は踊れ』(飛田甲/ファミ通文庫)を読み終わった。前作の内容を大分忘れているな…。

論理的な思考を何よりも優先する真也と”未来視”の能力を持つ優希が通う高校で、狐の呪いが降りかかると言われる不幸の手紙が流行りだした。友人の赤城とその荒廃である涼子は、自らが調べている鎮守祭についての由縁と狐の呪いとにかかわりがあることを知る。真也の前にも狐の怪異が現れて…という青春ミステリー。

このシリーズ、ファミ通文庫で書いているのが不思議なくらいのバリバリライトノベルミステリ。講談社で書いていてもあんまり違和感が無いような気がするな。エンターブレインが角川傘下に入った今だったら、間違いなく富士見ミステリー文庫でデビューしていたんだろーな。。

超能力や幽霊など超常現象が存在する世界の中で、論理的思考によって事件を解決する主人公の真也くんは、まったく見事なまでに名探偵ぶりである。しかし、彼は謎を解くだけではなくて、解体した事実を元に悲劇を回避するために行動するところからすると、名探偵というよりヒーローなのかも知れない(本人の意向はともかく)。

今回は、どちらかと言えば真也の友人である赤城とその後輩である涼子にスポットが当たっている。論理的思考を最上位においている真也に比べると、分からないことは分からないままにしておく赤城は、大分ファジイな思考の持ち主と言えるだろう。真也はデータが揃わなければ決断を下す事は出来ないのに対して、赤城はけっこうフットワークも軽く行動的な印象ですね。うーむ、挿絵のイメージからは正反対だな。

それはさておき、前作に比べると主要な視点人物が、真也、優希だけでなく、赤城と涼子にも割り振られているのでちょっと散漫な印象を受けてしまった。真也と優希のすれ違いを描きつつ赤城と涼子のやり取りも描いていて、ちょっと欲張りすぎですよ!いっそのこと、赤城と涼子を主人公に絞っても良かったのではないかなあ、なんて事を思ってしまった。しかし、ミステリとして謎解きを進めながら、そこに青春物のフォーマットをぶち込む手腕はなかなか良いと思う。登場人物たちが論理的で感情に流されないせいもあってか、どこか冷静な展開になっているのは好みの別れるところだろうか。みんな頭が良くて大人だから、少なくとも連ドラのような修羅場にはなりそうも無い面子であります。でもこういう高校生がいたっていいじゃん、なあ?

ところで今回の謎解きには前作までの知識が要求されるのだけど、前作のトリックの理論を忘れてしまったので参ってしまった。まあ読んでいるうちに思い出したけど。というわけなので、この作品を読む時は前作を必読だと思いました。

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昨日と本日の購入物

最近購入報告をサボりがちになっているなあ。体調がいまいち良く無くてなんかブルー。疲れが溜まっていて、モチベーションが上がらないというのも間違いじゃないが、ひょっとして『ロマンシング・サガ ミストレルソング』を買ってしまったのがいけないのかしら。…うん、そうだね。

1、『不安の種(3)』 中山昌亮 秋田書店
2、『ラブロマ(4)』 とよ田みのる 講談社
3、『白黒キューピッド』 中村九郎 スーパーダッシュ文庫
4.『スパイラル(13)』 作:城平京 絵:水野英多 スクウェア・エニックス
5、『夏と冬の奏鳴曲』 麻耶雄嵩 講談社文庫
6、『ファファード&グレイマウザー(4) 妖魔と二剣士』 フリッツ・ライバー 創元推理文庫
7、『アグレッサー・シックス』 ウィル・マッカーシイ ハヤカワ文庫
8、『日韓いがみあいの精神分析』 岸田秀 金両基 中公文庫


1、本日の一押し。都市伝説的な、日常の隙間に存在する違和感を描いたホラー漫画。僕はあまりホラーを読んでも怖いと思った事は無いのだけど、この漫画だけは例外であります。読んでいるうちに、何度背筋に冷たい感覚が走った事か…。思うに、自分の生きている日常との距離感の近さがその原因かな。ちょっと暗がりに目を向けたら本当にそこに何かがありそうな不安というか。…ああ、まさに恐怖じゃなくて”不安”なんだな、この漫画は。
2、超直球王道的恋愛漫画。高品質で安定しており安心感のあるシリーズ。星野くんと根岸さんのカップルのお約束のボケとつっこみも楽しくてよいのだけど、お互いにふさわしい人間になろうとがんばっているのが初々しくて良いと思う。
3、うーんうーん…これはなんともはや。おそらく僕のような人間が買わなかったら買う人間はいないんじゃないかと思うんだけど、小説としてはどうなんだろ。
4、もはや推理とはかけ離れたところに到達した(何しろ”神”と”悪魔”と”希望”と”絶望”の話だぜ?)『スパイラル』の13巻。なんだかキリエさんが可愛いんですが、原作者の趣味でしょうか。僕も好きなのでもっと出番を増やしてください。展開的には神の代理人たる歩と悪魔の代理人たる火澄の最終決戦へ動き出しておりますが、対決を拒否してそれ以外の道を探ろうとする歩と、加速させようとする火澄の二人の葛藤がメインでございます。歩くんは男らしくなったなあ…。
5、麻耶雄嵩の二作目。いきなりの極厚ぶりにちょっと吃驚しつつニヤニヤと喜んでしまう僕(変態)。メルカトル鮎がシリーズ探偵として活躍するらしいのだが、前回はあんなのだったしな。今回こそまともに活躍するんだろーな…。
6、『ファファード&グレイマウザー』も4巻目。4巻目なんてあったっけ?と思ったけど、やっぱり本邦初翻訳だったらしい。タイトルにも聞き覚えが無いしなあ(僕が知らないだけだと思うけど)。これはしばらく積読予定。
7、SF系サイトのあちこちで褒められていたので買ってみた。かなりのバカSFらしいというような言われ方をしていたような気がするが、表紙やあらすじからはそんな様子はちっとも見えないなあ。まさかとは思うが、間違えて買ったのかと不安になってしまう。中味見てから買えよ、とつっこんではいけない。これも積読。
8、岸田秀は、昔、『ものぐさ精神分析』を読んだらとても面白かった記憶がある。最近は韓国関連で色々ごたごたしているので、なんとなく目に付いたのかな。本屋で見つけたので買ってみました。日本と韓国の間には戦争からの長いいがみあいの歴史があるわけだけど、僕の年代だと結局何が問題なのかよくわかんねーんだよなあ。まあ、参考までに。

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2005.04.22

『A君(17)の戦争(8) うしなうべきすべて』読了

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A君(17)の戦争(8) うしなうべきすべて』(豪屋大介/富士見ファンタジア文庫)を読み終わりました。相変わらず面白い。たまらん。

圧倒的物量で魔都ワルキュラへ殺到するランバルト王国軍に対して、小野寺剛士が率いる魔王軍は精霊ネットワークを活用した指揮系統システムを構築して対抗する。しかし、奮戦もむなしくその戦力差の前に魔族たちは疲弊していく。激化していく戦闘を実感しながら、剛士はただひたすらに耐え続ける。逆襲に転じるその時まで…。

魔王領攻防戦が続く第八巻。今回は封建国家ゆえに圧倒的戦力を動員できるランバルド王国に対して、文化的に成熟しているために戦力で劣る魔王軍がひたすらに防衛戦を繰り広げる展開に。恐怖に震えながら殺し合いを繰り広げる兵士たちと、彼らを死地に追いやる剛士の(普通の男子高校生的メンタリティを持つが故に、その事実に忸怩たる思いを抱き続けている)心の動きを描いている。というか、一冊丸ごと戦争と剛士の事しか書いていないこの潔さは特筆に値すると思う。それが面白いんだから何も言う事は無いわな。

相変わらず、人間や良識、現実を認識しようとしないオタクに対する嫌悪感が行間にたっぷり含まれていて挑発的だ。ライトノベルでここまで真面目に架空戦記を描いているのはついぞ知らないが、それよりも何よりも、この毒々しさが大変にたまりませぬ。モテモテ主人公、オタクを肯定する優しい世界を描きながら、同時にそんな世界でもバタバタ人は死んでいく事、そして人に慕われると言う事は責任を背負わなくてはならないと言う事を、決して皮肉めいた書き方では無く描いているのはこのシリーズの良いところです。まあ、それだって、結局はファンタジーではあるのだけどね。やっぱり理想論でしかないという欠点はあるし、また巧妙にヒロイズムを満たしている書き方はあざといなあとは思う。面白いからいいけどね。

ところで、この巻から挿絵が伊藤岳彦から正式に玲衣に変更されている。これまであったほんわかした雰囲気を廃して、ちょっぴりシリアス度が上がっている感じだ。ついでにエロス度も上昇しているような気がするが、まあそんな事はどうでもいいや。どことなく緒方剛志に似ている気もするな。

延々と続く魔王領攻防戦だけど、ちっとも話が続かないのでもうちょっと一冊の分量を長くしてほしいと思った。こんな戦闘の一局面だけを断片的に見せられたんじゃストレスが溜まりますよう。いっそのこと攻防戦が終了するまで書いて、まとめて上中下巻みたいにしてくれたらいいんじゃないかなと思いました。

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2005.04.21

本日の購入物

大体今期のアニメも出揃った感がありますけど、現時点では『交響詩篇 エウレカセブン』が頭一つ抜けている感じがする。絵的なビジュアルもけっこう良いけど(ただサーフボードは色々言われそうな気がする。僕はカッコイイと思うが)何よりも序盤のストーリーが良いね。信じる事を希望(であり姉との絆)として行動規範としている少年が、信じる事への不信感(まあ一話ではどこまで根の深いものか分からないが)をあらわにする少女と出会うボーミーツガールというのが良い。惹かれあうどころか根本的な部分で相容れない二人の思想が、いかなる止揚を迎えるのか楽しみ楽しみ。脚本が佐藤大だし、すごいものを見せてくれそうな気がする。

1、『平井骸惚此中ニ有リ』 田代裕彦 富士見ミステリー文庫
2、『同上 其弐』 同上
3、『同上 其参』 同上
4、『タフの方舟(1) 禍つ星』 ジョージ・R・R・マーティン ハヤカワ文庫SF
5、『光の王』 ロジャー・ゼラズニイ 同上

1~3、『キリサキ』で僕のハートを鷲掴みにされてしまった田代裕彦のデビュー作。富士ミスの中では(僕が読んだ中では)唯一にして最大の「ミステリマインド」を持っている作家だと思う(言うまでも無いが、これは独断であり偏見である)。
4、『氷と炎の歌』シリーズですっかりファンになってしまったJ・R・R・マーティンのSF連作集。この人は、とにかく物語が上手いよなあ。
5、もはや伝説となって久しいSF作品の新装版。名作、傑作の誉れ高い作品であったものの長らく絶版だったのが、一体なんだって突然復刻したのか良く分からない。まあいいか。

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2005.04.20

『翼ある闇』読了

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翼ある闇 メルカトル鮎の最後の事件』(麻耶雄嵩/講談社文庫)読了。実は初めての麻耶雄嵩であります。

京都近郊に建つ中世ヨーロッパの古城を思わせる館、蒼鴉城。名探偵、木更津悠也と相棒の”私”が訪れた時、惨劇は巻き起こる。首無し死体、密室、蘇る死者、見立て殺人など常軌を逸した、名探偵を嘲弄するが如き惨劇は、もう一人の名探偵、メルカトル鮎の登場を促す。二人の名探偵の推理の行方は如何に?

唖然呆然コメント不能。すげー。
もう十二年前の作品であり、僕のようなミステリ歴の短い人間から見るともはや古典と対して変わらないレベルの作品ではありますが、十二分に面白かった。ミステリ的には論理的というよりはインパクト重視で、緻密さよりはトンデモが目立つような作品ではあったけれど、ここまでやってくれれば何も言う事はありません。というか、トリックのぞんざいさは清涼院流水と大して変わらないような気もするが、あちらほどはぶっ飛んでいない。まだ理の範疇かな。とはいえ、その意味では、現在のメフィスト賞系の流れではあるのでしょうね。

それにしても、本当にメルカトル鮎の最後の事件なんだな。タイトルからしてインパクトがすごいけど、これだったら作品のシリーズ探偵はメルカトル鮎だと思うじゃないですか普通。そしてそれは間違っていないわけだけど、それがああいう展開とは…これが麻耶雄嵩の作品がアンチミステリと呼ばれる由縁か。もはや名探偵も、謎も、トリックもすべて意味を失い、ミステリ的世界観がすべて崩壊していく感覚を味わう事が出来ます。ラストのあんまりなオチには思わずゲラゲラと笑いが込み上げてしまって参りました(別に笑えるオチというわけではない)。これはミステリ作品(それも古典)に慣れ親しんだ人ほど衝撃を受けるんだろうなあ。

時の流れを感じさせない見事な作品でした。この衝撃が薄れないうちに続きを読みます。

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2005.04.19

本日の購入物

せがわまさきの『柳生忍法帳』が始まった事に狂おしいほどに大喜びを感じております吉兆です。こんばんは。ついに山風忍法帳シリーズ最大のヒーロー、柳生十兵衛の登場であります。ひゃっほー!ということは、いずれせがわまさき版『魔界転生』を読むことが出来るかも…ッ(感動のあまり絶句)。

1、『A君(17)の戦争(8) うしなうべきすべて』 豪屋大介 富士見ファンタジア文庫
2、『夏祭りに妖孤は踊れ』 飛田甲 ファミ通文庫
3、『7都市物語 シェアードワールド』 田中芳樹原案 徳間書店
4、『GANTZ(16)』 奥浩哉 集英社
5、『天上天下(13)』 大暮維人 同上
6、『CLOTHROAD』 脚本:大倉英之 絵:OKAMA

1、異世界架空オタク戦記の第八巻。随分間が空いたような気がするが、発売したのだから何も言うまい。萌え萌えした表紙と裏腹に世界に対して嫌悪巻に満ち満ちた劇薬であるからして用法には注意が必要です。ちょっと嘘だ。
2、前作の『幽霊には微笑を、生者には花束を』が大変面白かったので、まさかの続編発売の報を知った時は嬉しかったですね。主人公のキャラクターが良いのですね。理系で理屈っぽくて常に論理を重視するのだけど、あまりにも頭が良すぎて理論的に説明できない出来事すらも認めざるを得なくなってしまう自爆傾向が愉快で溜まりません。
3、田中芳樹はとっとと続きを書いてください。お願いします。
4、玄野くんはどんどんヒーロー化して行くわりにどんどん不幸になっている感じ。しかし、このあたりの話はなんだか展開が良く分からない。何でたえちゃんがメモリーに入っているの?
5、全然話が進まない。ストーリーがどういう方向に進んでいるのかさっぱり分からないんですが、それこそがこの作品の特徴といえなくも無いのかもしれない。つか、何でこんなにあっさり助けが。
6、OKAMAってすっげえ!その超絶の画力を存分に堪能できるファッションバトル漫画。倉田英之の脚本は、極めてオーソドックスであるのだが、それゆえにOKAMAの持つ過剰で尖がった部分を中和している。それが良いのかどうかは分からないが、エンターテインメントとしてはすごくバランスが良くなっているような気がするので、僕は肯定したいですね。

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『トリポッド(1)~(3)』読了

『トリポッド(1)~(3)』(ジョン・クリストファー/ハヤカワ文庫SF)を読了。すごく面白い。いわゆる侵略SFにしてジュブナイルという贅沢な仕様である。西島大介のイラストもいい感じだ。トリポッドの滑稽なまでの異質さが良く出ていると思う。

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トリポッド(1) 襲来
ぼくことローリーとアンディがサマーキャンプに参加していた時、突如として三本足の物体が襲来。それは戦闘機のミサイルで破壊されてしまったが、その物体<トリポッド>についてのTV番組が大ヒット。しかし、そのTVを見ていた人たちの様子がおかしくなって…。

少しずつトリポッドに精神を支配された人々によって、ローリーの日常は揺らいでゆく。その恐怖を描いた侵略SFであるのだが、同時にギクシャクした関係であったローリー一家が精神を支配しようとする世界に対して抵抗するうちに絆を深めていくという物語でもある。いささか御都合主義的なところはあるけど、子供と上手く話せない父親や、継母に反発する子供など細かいところで手を抜かない描写が、後半の和解に説得力を与えていて良いと思う。世界がトリポッドに支配されていく恐怖も上手く表現されているけど、最後はきちんと希望を残した終わり方をしているところはきちんとジュブナイルだな。
 
 
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トリポッド(2) 脱出
1巻から時は飛んで100年後。世界はトリポッドが支配するようになっていた。人々は14歳になったら”キャップ”を被り大人になり、穏やかで平和な生活を送っている。「本当にそれでいいのだろうか?」と疑問を抱く”僕”ことウィル。とあるはぐれ者に出会った時、自由を求める旅が始まる…。

いきなり100年も時代が飛ぶのには驚いたけど、ここからが本編の開始らしい。むう…アンジェラはもう登場しないのか…。
戴帽式というのは実に分かりやすくイニシエーションの儀式であるのだけど、それは何者かによって意志を支配されていることを受け入れると言う事を意味している。まあ、大人になる事への拒否というようなファンタジーのようにも読めなくも無いが、これは自分で考える事を放棄するのではなく、自らの意志で道を選ぶべきだという成長物語でとして捉えるべきなのかな。
それにしてもウィルは等身大の主人公ですね。短気で思慮が無く楽な方向に流れやすいというかなり駄目な奴なのだが、そんな奴がここぞと言う時には勇気を発揮して活躍するあたりはお見事と言う感じ。


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トリポッド(3) 潜入
トリポッドに支配されない自由な人々の隠れ基地に辿りついたウィルたち。そこではトリポッドの正体を探るため、トリポッドの都市へ潜入するための計画が進められていた。ウィルたちは6ヶ月の訓練を経て都市へ向かう候補に選ばれる。彼らがトリポッドの都市内部で見たものとは?

前作がトリポッドの世界からの逃亡を意味するのであれば、今回はトリポッドの懐奥深くにもぐりこむ事になる展開。ついにトリポッドの正体とその目的が明らかにされる。うーん、いかにも侵略SFと言う感じが良いなあ。宇宙人がやたらと人間臭いのは良し悪しかも知れないが、どこと無く憎めない描写でありながら決定的な断絶を見せているあたり子供向けとは言い切れない黒さがあって素晴らしい。下手に大人向けになるとお涙頂戴になりかねないよなー。ところで、相変わらずウィルは考えなしであるけれど、自分なりに出来る事をやろうとする姿勢はうそ臭くなくていい。


最終巻が楽しみです。

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2005.04.18

本日の購入物

それにしても今期のアニメはハイクオリティな作品が多すぎだと思うわけですが、問題はどこまでそのクオリティが続くのかと言う事が大変気になりますけど考えてもしょうがない事なので気にしません。以上。

1、『道士朗でござる(4)』 西森博之 小学館
2、『史上最強の弟子 ケンイチ(15)』 松江名俊 同上
3、『うしおととら(8)』 藤田和日郎 小学館文庫
4、『幻想水滸伝(9)』 志水アキ メディアファクトリー
5、『ヴァンパイヤー戦争(10)』 笠井潔 講談社文庫
6、『Elysion ~楽園幻想物語組曲~』 Sound Horizon 

1、だんだん健助の天下取り漫画になってきたような気がする。道士郎があんまり活躍していないのだが、まあ面白いからな。いいか。
2、いつの間に15巻も出ていたんだ。びっくりです。新島がどんどん友情に厚いナイスガイになっているな。以前の俗物+邪悪な新島がなつかしいぜ…。
3、雪女のエピソードがすごい無理矢理だ。オチもかなりひどい。昔に読んだ時はけっこう楽しめたような記憶があるのだが。穿った読み方をするようになっちまったなあ。
4、すごい面白い。相変わらず志水アキは良い仕事をしておりますな。とりあえずどんな状況であれセシルたんハァハァっつー事で一つよろしく(バカ)。
5、特に書くことが無い。ほとんど惰性だ買っているな…。ここまで来たら完結まで付き合うが、とりあえずキキを出せ。以上。
6、Sound Horizonの商業第2弾。どうやら歌劇らしいので楽しみである。

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2005.04.16

『我語りて世界あり』読了

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我語りて世界あり』(神林長平/ハヤカワ文庫JA)を読み終わりました。新装版の表紙画像が無いのはなんでだ。ぬー。

オーバーカムと呼ばれる人間の無意識にも似た共感空間を作り出す存在によって構築された世界。そこでは人間には個性と呼ばれるものは無く、すべての経験は同一化されている。自らの名前すらもたない人間達の中で、自らに名前を付けた3人の子供達だけが個性を維持し、過去の記録から個性をもった人々の人生を追体験をする遊びに興じていた。<わたし>は、子供達を見守りながら自らの存在を捜し求めて語り続ける…。

ありえないぐらいに面白い。
肉体を持たない純粋知性である<わたし>を語り手にした連作短編集。物語は語り手と、その語り手が見守る3人の子供達を中心に展開していく。オーバーカムの一部でありながら独立した自我を持ち始めた<わたし>は、自分の生存のための戦いを開始し始める。その戦いは明確な敵が存在するものではなく、個性をと言うものを認めない世界そのものである。<わたし>が必死に自らの実存を確かなものにしようとする足掻きが今回のそれぞれの物語と言える。

神林長平は、どちらかと言えば「ドラマ性」よりも「理論」先行タイプの作家だと思うのだけど、この作品は作者の理論を様々なアプローチから論じているものと言えなくも無い。それは、現実を規定する力「言葉」をめぐる問いかけであり、人間の持つ個性と言うものは所詮は言葉によって枠をはめられた状態であるには過ぎないと言う事などだと思う。人間か個性と言うものを得るためには、自らを規定する言葉「名前」を得る必要があり、3人の子供達は自らを名付けた故に個性を獲得した。そして<わたし>もまた自らの「名前」を求め続けるが、しかし、その試みは失敗し続ける。

この世の出来事のすべてを知り尽くす神(=悪魔)である<わたし>が、決して得られぬもの。それは自らに対する呼びかけであり、自分が存在する意味についての解答である。最後に彼が得た答えはこの物語の肝であるので詳しくは言えないのだけど、神林長平を読みなれている人にはある程度想像がつくかもしれない。まさしく<わたし>が語るからこそ世界は規定されていると言えるだろうか。

人間の「個性」というものの曖昧さ、「言葉」の持つ現実を規定する力、現実と幻想の境界線など、相変わらず冒頭から最後までどこまで言っても神林長平らしい作品で、設定から物語の構造まで難解極まりないのだけど、繰り返し繰り返し語られる「言葉」と「自己」を巡る物語には、どこかリリカルとさえ言える物悲しさがあるように思えた。自分は「意識をもった生き物」だと訴え続ける<わたし>の姿には、求め焦がれながら手に入らぬものへの切望が、淡々とした描写の中に織り込まれているところがとても良い。それゆえに最後に場面での<わたし>が自らの正体の、仮の姿が現れる場面での感動的なものになっていると感じた。

神林長平を読みなれている人なら、<わたし>の正体にもすぐに気がつくのかも知れないな。僕は神林長平を読むのが久しぶりな事もあって、気が付いたのは中盤を過ぎた頃になってから。遅すぎ。それでもファンか(すいません)。

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『光射す海』読了

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『光射す海』(鈴木光司/新潮文庫)を読了。面白くないわけではないのだが…。

入水自殺を図った女性。その恋人はマグロ漁船に乗り込みはるか遠洋にいる。果たしてこの二人の間には何があったのか?遺伝子と言う名の運命が形をとった時、恋人達の選ぶ道とは?

つーか、なんですかこの煮え切らない話は。
主要登場人物が3人いて、物語はその三人の視点から語られるという構成は別に悪くないのですが、そのうちの砂子健史と望月医師の存在意義が、明らかに物語を進める為だけの存在な気がしてしまって拍子抜け。マグロ漁船に乗り込んだ真下に対して、自殺を図ったさゆりの存在を伝えるためだけにいるメッセンジャーの役割しか果たしていない。砂子健史など、その役割を果たし終えた瞬間に舞台から退場してしまうし、作者にとっては登場人物とは、作者の主張を語らせるための存在でしかないような気がしまう。望月医師にいたっては結局何も解決しておらず、最後まで不倫関係をだらだら続けているだけだったりする。この不倫関係は、おそらく最後のサプライズの伏線になっているのだけど、本当に伏線でしか無いというのが大胆と言うかなんと言うか…。別に褒めていないけど。そして、そのようにして物語を転がしていった先にどのような結論が待ち受けているかと言えば…真下が大自然の脅威(誤植にあらず)に触れて人間的成長を遂げてめでたしめでたしと言う結末…舐めとんのか?

マグロ漁船での大洋の描写は、さすがに迫力があって美しいし良いと思う。鈴木光司は海が本当に好きなんでしょうね。これだけ読めただけでも大変良かった。夜の海の不気味さ、昼の海の広大さ、恐ろしさの描写はけっこう好きだ。好きなんだけど、物語的にはほとんど意味が無いよなあ。最後の成長のさせ方もかなり無理矢理だし…作者のやる気のなさげなストーリーテリングが透けて見えてなんか嫌だ。

なんだかんだで面白くはあったけど、最後まで物語を進めるだけのパーツを組み合わせた作品という印象がぬぐえなかったのが残念。作者の都合で舞台や登場人物を動かしているような気がしてしまって素直に楽しめなくなってしまうのである。『楽園』はかなりの傑作だと思うんだけどね。

ああ、本当に惜しいなあ。

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2005.04.13

『絶望系 閉じられた世界』感想の続き

『絶望系 閉じられた世界』の感想を色々見ているのだが、軒並みボロクソに言われているようだ。まあ、確かに一般受けは全然しない作品かも知れないのだからしょうがないのだが、なんだかもの凄く悔しかったのでここに宣言する。

『絶望系 閉じられた世界』は最高だ!超面白い!

と言うかですね、この作品を読んで、キャラクターに魅力が無いだのつっこむ事自体が間違いなんですよ!もともとこの作品における登場人物たちというのは、それぞれが代表される立場からなる主張を行うだけの象徴に過ぎないわけで、そこに面白さがあるわけが無いと思うんですがねえ。言ってみれば作者の脳内議論小説ともいえるのかも知れませんね。ただ、「登場人物たちの主張」=「作者の主張」かと言えばもちろんそんなわきゃ無く、あくまでも思考実験みたいなものではないかと思われます。それぞれの主張が繰りかえされることによって生じる不協和音が非常にスリリング。何時崩壊するかわからない綱渡りのような議論がたまらねえ。

あーちょっとすっきり。

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『ファントムの夜明け』読了

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ファントムの夜明け』(浦賀和宏/幻冬舎)を読み終わりました。これは…ミステリじゃないよなあ…。

幼い頃に双子の妹を亡くした過去を持つ真美は、一年前に別れた恋人が行方不明になった事を知る。時同じくして、真美にはある能力が目覚め始める。それは、死んだ妹が持っていたもの同じ能力だった…。

ぶっちゃけて言うと、超能力ミステリの範疇に入るのかもしれない。しかし、西澤保彦のような超能力パズラーを期待していると間違いなく肩透かしを食うでしょう。これは事件の謎を解くというよりも、事件に関わった人々の心理の暗がりを描いた作品であります。何もしなくても謎を解いてしまう能力を持ってしまった真美が、その力の意味を探す物語である。

能力の所為もあって、ちっとも謎が謎として生まれていないので(何しろ一瞬で犯人を見つけてしまう)、注目すべきはいかにして犯罪を立証するか、という話になってくるのが本来の路線だと思うのですが、ページ数が足りなかったのか、最初から計算どおりなのかは知らないけど、結局真美が自分の能力を自覚するところで終わってしまうのが残念無念。ここから超能力探偵の活躍の始まりだってのになあ。

やりたい事は分かるのだが、色々方向がとっちらかっている印象だ。真美の自らの能力に関する葛藤と、冒頭にあった行方不明の元恋人の物語が、まったく全然(二重否定だ…)リンクしていないので、ラストのサプライズがぽっかりと浮いてしまっている。うーん…あえて解釈をするのなら、未来へ一歩踏み出した主人公が、そもそもの始まりの出来事に決着をつけるという話なのかなあ…。分からん。

痛々しい浦賀節も今作では控えめで、まるで普通の小説のようになってしまっているのはウラガー(浦賀和宏が好きな人間)としてはやや残念。ただ”真犯人”の動機についてはいかにも未来が無い感じで、浦賀だったけど。こういう駄目なところに共感してしまうのがウラガーの証か…。

まあ悪くは無いと思うので、浦賀和宏が好きなら読んでも損は無いかな。

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2005.04.12

昨日の購入物

今日は会社の飲み会。似合わない事に幹事なんてことをやってきました。そもそも誰かと飲みに行くという習慣の無い人なので、分からないことも多数。まあ勉強にはなったけど、楽しいもんじゃないね。最近は年をとった所為か、どんどん他人に気を使わなくなっていくのに危機感を感じていたのでリハビリと言えなくも無い。やれやれ。

1、『トリポッド(1) 襲来』 ジョン・クリストファー ハヤカワ文庫
2、『トリポッド(2) 脱出』 同上
3、『トリポッド(3) 潜入』 同上
4、『白亜右月works』 白亜右月 メディアワークス

1~3、僕が信頼する書評サイトで褒められていたので。今のうちに読んでおいた方が良いらしい。しかし、西島大介は色々仕事をしておりますね。
4、昔から何故か好きな白亜右月の作品集。どこか電子的な、作り物めいた雰囲気が不思議な作風だと思う。爆裂天使関係が多いけど、他にも見たことの無い絵が多くてお得な感じがする。けっこう裸絵が多い割にはエロには結びつき難いのは不思議だな。良い。

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2005.04.11

『我が家のお稲荷さま。(4)』読了

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我が家のお稲荷さま。(4)』(柴村仁/電撃文庫)(amazon)読了。ゆったりと面白い。

鬼の許へ帰ったはずのシロちゃんが何故か大人になって帰ってきた。喜びながらも混乱する透だが、シロちゃんを追ってきた鬼たちに囲まれて困惑する。透はシロちゃんを連れて逃げ出そうとするが…。

放電映像のイラストも冴え渡る第4巻。まあ内容は相変わらずスケールが小さい世界で細かいお話が繰り広げられているんですが、キャラクターが立っているのでそれだけでも結構面白い。この作品を読んでいると、キャラクターをきちんと立たせると言う事の重要性が良く分かりますなあ…なんてな、戯言だ。ただ、事件に対するキャラクターの態度とリアクションにぶれが無いので、物語が非常に安定感があるように思う。偏った考え方をする人が少ないのも個人的には好感度大だ。善と悪を極端に分けるのではなく、両方のバランスをとった判断をしているという点で、結構知的な小説かもしれないと思った。例えば、主人公の透は、何かを選択するためには何かを諦め無ければいけない事を知っている、とてもクレバーな小学生だけど、でもその選択が出来るということは、小賢しさとは無縁な無私の心を持っているということなのだ。

独善と思い込みが肯定される世界も別段悪いと言うわけじゃないけど、僕は周囲との調和を大事にして、自然にさりげない行為を描いたこの世界が大変良いと思う。自分の我を押し通すばかりが生き方じゃ無いし、相手の話に耳を傾けることだって重要なのは当然の事。この作品に対して僕かが感じるイメージは、そういう”対話”だったりするのだけど、我ながら何を言っているのか良くわかりませんね。でも気にしなーい。

今回は(この作品にしては)バトルというか対立や負の感情がクローズアップされた感じだったかな。また一つの決断と喪失を味わってしまった透だけど、この結末ではハッピーエンドは難しいだろうなあ。あそこでああいう決断が出来るとはまったくたいした小学生だよ、こいつは。精神的に良い意味で大人すぎるが嫌味がない。完璧超人か。

決してこの世界は優しいだけではないと言う結末は、もしかすると転機になるのかも知れない場面だったのかも知れないと感じた。続きが楽しみ楽しみ。

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2005.04.10

『ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス』読了

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ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス』(上遠野浩平/電撃文庫)(amazon)を読み終えました。物語は収束に向かっているのか、それとも拡散しているのか良く分からないが、面白いから問題ないかな。

ブギーポップの2年ぶりの新作。
ブギーポップに復讐する――その動機のみで行動する少年、蒼井秋良は、同じ料理学校の織機綺とともに”牙の痕”と呼ばれる場所へ向かう。統和機構に所属するリミット―雨宮美津子は蒼井秋良を利用し”牙の痕”の秘密を統和機構に内密で解き明かそうとしていた。世界に自分の居場所がどこにも無いと感じている”メビウス”が”牙の痕”へ「帰る」時、目的を失った意志が動き始める…。

あらすじでちょっとハッタリをかましてみましたが、大体こんな話。織機綺の久しぶりの登場に、リセットの双子の姉が出てきたりとまた新キャラが出てきたりと相変わらず大変なことになっています。戯言シリーズなんて目じゃねえぜ!…人物表が欲しいな…。

”迷いが無い”ゆえに強く、同時に脆さをもつ蒼井秋良と、”常に迷っている”ゆえに弱く、ある意味において強い織機綺のコンビで展開する話なのだが、今回は虚空牙がらみのお話。4つの隕石のうちの一つが落ちた”牙の痕”からの脱出行とその周りで暗躍する人たちの話で、それに主人公達の心の動きがテーマに結びついているあたりさすがの上遠野。上手い。物語としては全然終わっていないが、二人の感情が一応の結末を見せることできちんとカタルシスを与えている。でも、それだって全然決着なんてついていないんだけど、自分自身との決着なんてものは、本来一生ものの命題であるのでわざとらしい結論をつけてしまっては興ざめなので、これで良いんじゃないかなー。

ところで「目撃したのに、誰も認識できなかった」ってのはやっぱり『ソウル・ドロップの幽体研究』のペーパーカットなんでしょうかねえ。あれも虚空牙がらみの話になるのか。今回で3つ目になるわけで、残り一つがどのように物語りに関わってくるのか。ここまで来たら出てこないわけも無いな。

ますます状況は錯綜し、物語的には何一つ解決していない混沌を見せているけど(新刊が出るたびに新たな問題が先送りになっているような…)一体どうやって落とすつもりなのか。個人的にはすべては水乃星透子に繋がるんじゃないかと思うのだが、それはまあ良いか。

続きは何時だ?(重要)。

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『絶望系 閉じられた世界』読了

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絶望系 閉じられた世界』(谷川流/電撃文庫)(amazon)読了。感想を書けるほどに自分の中でまとまっていないので、以下電波文を垂れ流し。時間の無駄をしたくない人は読まないで下さい(なら書くなよ)。

非常に面白かった。ただし、萌えとかライトノベル的設定に対する身も蓋も無い書き方をしているので小説としてはどうしようもない気もする。

杵築の友人、健吾の部屋に、”天使”と”悪魔”と”死神”と”幽霊”がやって来た。幼馴染の少女は連続殺人犯だった。その妹は既に壊れていた。この世界はすべてが狂っており、狂っている事にも気が付いていない人々がおり、杵築はそれらをすべて傍観し続ける…という話(だと思う)。

普段、谷川流がやっている事を、さらに身も蓋も無く、ある意味わかりやすくした話といえるかもしれない。世界に対する曖昧な不安感、書き割りめいた(人工的に感じる)世界に対する違和感などを、本当にそのまま登場人物に語らせているあたり、確かに実験小説と言っても良いかも。

”萌え”とか”ストーリー”とかを事象の彼方に投げ捨てて、ただひたすらに空虚なライトノベル論が繰り広げられるのも、谷川流の思考の一つであると考えると興味深い。作者にとっては、通常ライトノベルの”お約束”とされているものをすべて「装置」と位置付けており、そんなものは小説家が使うツールのようなものと(少なくとも作品内では)位置付けられている。”萌え”も一定の方程式に基づいて導き出される”答え”に過ぎず、条件を入力すれば、あたかもデータベースのように”萌えキャラ”が出力されると言っているようだ(まあ、こんなことは、青臭いと言えばこれほど青臭い発言と言えなくも無いのだが、ライトノベルの不毛さを知るにつけ、このように言いたくなる気持ちも分からないではない)。谷川流の考えはどうであれ、ここで重要なのは、このように作品内で語らせることによって、「この話は”小説”ではありませんよ」と言っているのだと思う。装飾はなし、ってことかな。

で、やっている事というのは、たぶん、作品のバックボーンにはSF的、あるいは哲学的な流れがあるのだと思うけどそのあたりには詳しくないので触れないでおきます(僕の理解力は、精々ハルヒの1巻はラッセルなんじゃないかなーと思う程度)。ただまあ、僕の分かる範囲で理解したところは、現実の認識の不確かさ(正気と狂気の不可分)、人間の認識による世界の捕え方、現実の改変とは認識の改変、とか。なんとなく、同作者の『学校を出よう!』シリーズと雰囲気が似ているような気がしますね。とりわけ、世界に対する憎悪や無関心が散りばめられているあたり…というか、それを言い出したら全部同じか。キャラクター的にもいつもの谷川流だし(杵築とミワ(カミナ)の関係と言うのは、キョンとハルヒ、佳由季と真琴の関係に近いような気がする)。

僕は、作者の物語に対して突き放している姿勢が好きなので(基本的に谷川流はセカイに対する絶望しか書いていない)、こういう作品はむしろ望むところだ。というか、僕が谷川流の好きな所が全部つまっているとさえ思う。もっとも、僕はやたらと評判が悪い『学校を出よう!』の1巻が大好き!と言う人間なので、あまり参考にはならないかもしれないけどね。『学校を出よう!』は、主人公の、自らを取り巻く書き割りのような世界に対する嫌悪(と言うほど積極的ではないもの。絶望感?)と曖昧模糊とした現実感の無さをそのまま具現化させた小説だと思っていて、「自分は世界に対して何も及ぼせない」という無力感が大変グッドだと思う。『絶望系~』そんな感じの話なのかなあと思わんでもないような気がする(どっちだ)。

まあ、何だ。そう言う話だ。僕は大変面白かったが、他人には薦めるつもりはまったくありません。以上。


(内容とは何の関係も無い余談)
この作品を読んでいたら、「ひょっとしたら、今自分が見ている世界は全部自分の妄想に過ぎなくて、本当の自分と言うのは病院の一室でうわごとを言っているに過ぎないのではないか」という妄想を抱いた事を思い出した。世界は自分の認識の中にあり、人間に理解が出来る真実(現実)とは認識(妄想)でしかない…と言うような事を言っていた人がいたような。誰だったかな。これも妄想だったかもしれない。…本当に内容に関係ねえ。

<追記>
感想はこちらに続きます。

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2005.04.09

本日の購入物

高校生の時はよく利用していた、でもここ数年ばかりほとんど利用していなかった本屋に寄ってきた。入ってみて驚いたのだが、以前と本の配置から全然変わっていない。塾の帰りに良く寄ったものだよなーと、懐かしい気持ちになってしまった。何かが変わらないものがあると言うのは、良いものだな。

1、『膚の下』 神林長平 早川書房
2、『やえかのカルテ(1)』 武田日向 角川書房
3、『やえかのカルテ(2)』 同上
4、『やえかのカルテ(3)』 同上
5、『robot Vol.2』 村田蓮爾:編集

1、本当は文庫落ちするまで待とうと思っていたのだけど、たまたま寄った古本屋で新品同様のこれを見つけたので購入。これで三部作も完結かー…と言っても神林長平をまともに読み始めたのって最近だから、別に感慨と呼べるようなものはないけどね。
2~4、桜庭一樹の『GOSICK』の挿絵をしている武田日向の描く、女の子と動物が出てくる漫画。ある事は知っていたけど探すまでも無いかと言う感じだったのだけど、たまたま本屋にて発見したため購入。一見ただの萌え漫画に見えるが、そしてやっぱりただの萌え漫画なのだけど、服や背景などの描き込みの緻密さはさすが。しかし、この本って一年に一冊しか出ないのか…。
5、村田蓮爾編集のアンソロのような画集のような。ヤスダスズヒト、HACCAN、前田浩孝の作品がなんか好き。前嶋重機もなんか面白いけどわけがわからない。長澤真の漫画は普通に先が気になる。浅田弘幸って上手いなあ。

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2005.04.08

昨日の購入物

眠い。

1、『絶望系 閉じられた世界』 谷川流 電撃文庫
2、『ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス』 上遠野浩平 同上
3、『我が家のお稲荷さま。(4)』 芝村仁 同上

もう『~魔術目録』は買うつもりはない。他にも色々買うつもりは無い。僕も年をとったもんだ…。
1、『ハルヒ』、『学校』シリーズの谷川流が描く絶望と狂気の世界。既に読み終えているのだが、これはすごい。観念の世界で繰り広げられる一握の希望も残らない絶望の世界。空虚な言葉と無為な舞台装置で繰り広げられる狂気。これは僕のためにあるような小説だな。
2、久しぶりに刊行のブギーポップ。これまた読み終えて入るのだが、大変面白い。物語が進んでいるようで実は全然展開していなかったり、登場人物たちの問題は全然解決していなかったりとキャラクター小説的にはかなりバランスが悪いが、面白いものは面白いのだから問題ない。迷い続けることは無意味ではないのだ、と、僕は思う。性急に答えを求めようとすることは思考停止と隣り合わせであるものだし。
3、随分久しぶりのような気がするが、まだ半年しか間があいていないのか。ちょっと驚いた。これまた読了済みだが、ゆったりとした物語が相変わらず魅力。どうしようもない悪人は登場しない代わりに、ほんの少しだけ狡さ、弱さを持った人々の描写が丁寧で僕は好きだ。

と言うわけで寝ます。

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2005.04.07

『酒気帯び車椅子』読了

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酒気帯び車椅子』(中島らも/集英社)を読了。面白いなあ。

商社に勤める中堅サラリーマンの主人公が、土地の取引を巡ってヤクザと対立する。決して折れぬ主人公に業を煮やしたヤクザたちは、主人公の家庭を襲撃。妻を犯し娘を連れ去った。家族を奪われ自らの足も失った主人公は、友人の手を借りて復讐を決意する---と言う話。中島らもの遺作に当たる。

上のあらすじだけで全体の70%を既に説明してしまっているあたり中島らも。しかし、あらすじを説明しただけでは面白さが今一つ伝わらないのも中島らも。僕はあらすじを全然読んでいなかったので、てっきり途中までサラリーマン小説なのかと思っていたけど、実はこれバイオレンス小説だったのね。でも、サラリーマン小説部分も大変面白かったけど。

最初はわざとらしいほどに幸福一杯の主人公に、また中年の願望充足小説かなあと思ったけれど、途中で物語を反転させるためにこう描いていたのか。納得した。しかし、どうでも良いけどおっさんのセクハラ発言にはビックリだ。同じ人類とは思えぬ。

復讐を行うために行動を起こし始めるあたりから、どんなに凄惨な復讐劇が始まるのかと思ったら、主人公サイドの圧倒的な戦闘力のためそう言う方向には行かなかったなあ。無敵じゃねえか!

やっている事は凄惨で陰惨極まりないのに、飄々とした語り口のために全然無残にならないのは相変わらず。バイオレンス小説で復讐談なのに、どこか酒を飲んで馬鹿話をしているような力の抜けっぷりは実に奇妙だが面白い。サクサク読めます。こんな変な作家だと知っていたのならもっと早く読めばよかった…。

作者のご冥福をお祈りいたします…。

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『リアルヘヴンへようこそ』読了

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リアルヘヴンへようこそ』(牧野修/角川ホラー文庫)読了しました。大変素晴らしい。

薄暗い部屋の中にいるのは干からびた老婆と暴行された女性。老婆の目からは既に光は失われ、女性の体は痣と血にまみれている。女性は黒塗りの受話器を持って呟く。くるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえくるえ----と。

相変わらず悪趣味極まりない描写が冴え渡る作品で、牧野修最高!と言っておきます。最初から最後までドロドロぐちゃぐちゃで、厭な描写がてんこもり。また生理的に気持ち悪いだけじゃなく、人間の悪意がもつ醜悪さをこれでもかと描いているあたり、どこまでも見事な牧野節である。この描写だけで御飯3杯は軽いね。

ところで、牧野修に対する僕の評価としては、微に入り細に渡る描写の丹念さに比較すると物語が今ひとつ面白くないなあという印象だったのだけど、これは面白かった。恐怖と悪意に満ちたスプラッタホラーとしての側面と、それに立ち向かう浮浪者たちと孤独な少年と言ういわば冒険物としての側面が、牧野修の職人芸ともいえる手腕で融合している。日常が揺らぎ、崩壊していく世界の中、人々のどす黒い悪意が剥き出しになって行く。しかし、世間では爪弾きにされていたアウトサイダーたちが、ぎりぎりの状況下の中でも善なる意志を信じて抗い続けると言う設定は(いかにも牧野修らしい二元論ではあるものの)とても力強く美しいと思う。絶望を描きつつ希望を描けるなんて、牧野修がこんなすごい作家だとは全然知りませんでした!己が不明を恥じ入るばかりである。

ラストに至る混沌としたスペクタクルはもう圧巻。迫り来る死とそれに対抗する人々の緊迫感、その裏で誰にも見取られる事も無く死んで行く人々、最後の優しい嘘。そして受け継がれる意志。た・ま・ら・ね・え!

牧野修が持つグロテスクな悪意と爽やかなほどに善なる意志が融合した傑作。これはSF大賞を受賞した『傀儡后』よりも面白いと思うなあ。

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2005.04.06

先日の購入物

購入物の書き忘れ。

1、『武装錬金(7)』 和月伸宏 集英社

1、……あー悪い。ちょっと飽きてきた。バトル漫画なのは最初から分かっていたのだけど、いい加減ワンパターン過ぎる。バトルばかりやっている割には戦闘が面白くないのが致命的。もうちょっと駆け引きとか見せてくれないものかと言うのは贅沢ですか?あとギャクも同じネタを使いまわしすぎなので新機軸を考えた方がよろしかろうと愚考します。

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『さよならトロイメライ Novellette -ノヴェレッテ』読了

4829162856.09さよならトロイメライ Novellette -ノヴェレッテ』(壱乗寺かるた/富士見ミステリー文庫)を読み終わった。ようやく既刊を読みおえた…。

知力体力ルックスのすべてかへっぽこ。史上最低の”トップ3”として学園生活を送る藤倉冬麻の日常は、常に全力疾走で勘違い暴走気味。何もしなくてもトラブルの方がやってくる毎日に、忙しい日々を送る毎日である。これはそんな彼の日常の物語。

てなわけで、ハイテンション系勘違いラブコメディ(伝奇風味)の第4巻。すでにミステリのミの字もありゃしないが気にすんな!気にしたら負けだ!今回は月刊ドラゴンマガジンに連載分に書下ろしを加えた短編集。富士見ファンタジアでは良くあるパターンですが、長期連載できるかどうかは売上にかかってくるあたり、あたかもジャンプコミックスの如きシビアさではあるが、このシリーズはどうなのか。…まあ、がんばって欲しいと思う。

内容については書くことが無い。本当に無い。
仕事に行くのに電車に乗って片道一時間ほどなのだが、駅のホームで読み始めて職場につく頃には読み終わっていたと言う事実を汲んでくれれば大体分かると思われます。内容が全然無いので感想の書きようもないのだが、ひょっとすると富士見ミステリー文庫ってこれがスタンダード?

しかし、つまらなかったかと言えばそんな事は無く。ハイテンションでアクセル全開で空転する文章は、相変わらずなかなか楽しく、もはや何か文章が書かれているだけで楽しめてしまうのは芸の領域に達していると思う。他の人にとってはどうなのか知らないけど。

話の中で起こる事件はどれも大した事がないし、そもそも事件自体が起こっていないことも珍しくないが、ただ主人公の脊髄反射的な言動を読んでいるだけで結構楽しめる。もうこの文体を受け入れてしまっているので、好きにやってください、としか言いようも無い。

その中で、唯一冬麻が語り手でない「変奏のアンダンテ」が、それまでの雰囲気と全然違っていて面白かった。大した事は無いのだけど、他の話のハイテンションぶりと比較すると温度がかなり低く、こんな話も書けるのかと少し思った。途中で伝奇物になってしまったり、それら一連のシーンが色々既視感のある描写だったりするのは苦笑してしまったけれど。現在のライトノベルにおける伝奇小説描写は、軒並み奈須きのこの影響下にあると言う事を再確認してしまった。やれやれ。

我ながら褒めているんだか貶しているんだか分からない感想だけど、自分でも良く分からないので勘弁して下され。

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2005.04.05

『さよならトロイメライ(3) 幻想リプレイ』読了

4829162724.09さよならトロイメライ(3) 幻想リプレイ』(壱乗寺かるた/富士見ミステリー文庫)を読了。まあ…こんなもんか。

演劇部員の美春に泣きつかれ、やむなく学園祭にむけての劇「オペラ座の怪人」の怪人役として出演する事になってしまった”史上最低のトップ3”こと藤倉冬麻。同じくトップ3にして理事長令嬢、巫城都と冬麻のパートナーである長峰泉とともに練習に励むが、照明器具の落下、部員の怪我など不自然な事件が相次ぐ。演劇部員達が口にする「紫の呪い」とは?また時同じくして現れた都の婚約者、柿崎の目的は?

あーもうミステリとしては本当にどうでも良くなっていますね。そもそも謎を謎として魅力的に描こうという努力をしておらず、明らかに都と冬麻のすれ違いの方にに重点がおかれている。考えてみたら、主人公達は全然謎を解こうとしていませんね。事件が起こっても不安を感じたりはするものの、特に解決に向けて行動を起こしたりはせず、普通に学園祭を楽しんでいる様子。ミステリとしては全然駄目だ…。

変わりに導入されたのが主人公の”血”の力。超常的な能力を受け継いだ主人公の出自とその力を狙う存在が現れて、おお、なんと伝奇小説への転身を図らんとしている様子です。順当な展開と言えなくもないですが、そう言う方向性で行くのなら最初からそうすれば良いのに、と富士ミスの編集方針についてはあきれるばかりであります。富士ミスにはこのパターンが結構多いような気がする…といえるほど富士ミスを読んでいるわけじゃないですけどね。

主人公が物語の中心に配置されていながら、主人公自身は物語の本流からは完全に蚊帳の外と言う構図は今までと変わっていませんが、一応主人公自身の異能にクローズアップされてきたあたりからそのルーツの物語になるのかもしれませぬ。あくまでもかもしれないだけですが。しかし、3巻目にしてようやくスポットが当たる主人公って一体…。

まあLOVE分は相変わらずなので、特に言う事はありません。説得力はまるで無いハーレムものでヌルイ事おびただしいが、つるつる読めて何も残らない作品ではあるので楽しい事は楽しい。あと、八千代が本格的にヒロイン化が進んでいるのでその筋の人にも好評です(たぶん)。今回は都が徹底的に可哀想な目に会う話なんだけど、最後はあまりフォローされていないような気がするなあ。

てなわけで感想終わり。すげえやっつけ仕事だ。いつもの事だが。

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『さよならトロイメライ(2) かんむり座の約束』読了

4829162562.09さよならトロイメライ(2) かんむり座の約束』(壱乗寺かるた/富士見ミステリー文庫)を読了。なんか最近富士見ミステリー文庫ばかり読んでいるような気がしてくるのですが、だんだんこのレーベルの生温さが心地よくなってきたような気がしてきたのが恐ろしいところ。ミステリそっちのけでラブラブ萌え萌えしている作品が多いけど、その作品に癒されてしまっている事実は否定できませんねえ…。ひょっとして疲れているのかなあ。

無理矢理つれてこられた藤倉冬麻もトップ3として過ごす日々にも少しずつ慣れ始めていた。けっこうこの日常も気に入り始めていたある日、突如として爆弾騒ぎが学園を騒がせる。冬麻は成り行きから爆弾騒ぎの犯人を探しに狩り出されることになるが、しかし、爆破事件は止まらずに…というあらすじ。

前作の売りの一つだった独特な文章とやらは今回は大分控えめで読みやすさを優先しているような感じかな。まあ、すでに舞城王太郎を通り抜けた僕にとっては大した違いはありません。あの文体のぶっ飛びに具合に比べれば誤差の範囲と言えるでしょう。その道は講談社ノベルスが6年も前に通った道だッ!とか。
そんな戯言は置いておく事にするとして、内容については文体こそ控えめにはなったものの、主人公の豪快な空回りっぷりと自爆ぶりは前回同様に楽しめるので問題は無いと思われます。むしろ読みやすくなった分、普通に楽しめるような気がしないでもないですねえ。

しかし、ミステリ的には大分後退してしまった印象があるのが残念なところでしょうか。前回は仮説→崩壊を繰り返すことによってどんでん返しを演出していたけど、今回はワンアイディア(ってほどでもないのか?)での勝負になっている。そのアイディア自体もそれほど大した事も無いので、わかる人には一瞬でわかってしまうと思う。大体容疑者が物語り半ばまで出揃わないのも問題で、考えてみたら事件が事件として成立するまでにもやたら時間がかかっているので、一体これでどうやって解決しろというのかという疑問がふつふつと沸いて来るなあ。まあ僕が読み取れていないのかもしれないけどね。

おそらく、それは本題ではないのでしょう。やはり、主人公の空回りっぷりと自爆ぶりをくすくす笑いつつ、相思相愛のくせにちっとも進展しない冬麻と都のラブコメっぷりに焼きもきしながら、ツンデレ少女の八千代の動向に注目するのが正しい読み方と言えるでしょう(本当か?)。…って、やっぱりLOVEなのか、富士ミスは…。

あとこれは余談ですが、この作品でちょっと興味深いところが一つあって、それは主人公がちっとも活躍はしないという点ですね。そもそも周囲の人間があまりにハイスペックであるため、主人公のやる事は基本的にお釈迦さまの手のひらの上なので、ほとんど何もしていないさえと言えます。しかし、無知ゆえの行動力と意思を示す愚者である冬麻が、遭遇した事件に対してあくまでも人を救おうとして立ち向かうと言う姿勢を見せる事で、あまりに賢明過ぎる名探偵たちに希望をもたらしているという構図はワトソンとホームズの力関係が逆転しているようにも見え、なかなか興味深い。なんだかんだ言っても主人公を中心にして物語が回っているんだよなー。

さて続き続き。

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2005.04.04

本日の購入物

4月に入って気分一新。気力も充実しているし、これからガンガン攻めるぜ!やるぞー!……3日遅れのエイプリルフール、皆さんいかがお過ごしでしょうか。駄目だこりゃ。

1、『デスノート(6)』 作:大場つぐみ 絵:小畑健 集英社
2、『NARUTO(27)』 岸本斉史 同上

1、やたら分厚い第6巻。今回はやたらと動きのある話でしたねえ。本誌ではすでに第一部完になっているけど、それでも長く続きすぎのような気がする。破綻しないうちにまとめた方が良いと思うんだが。
2、こっちも第一部完。と言っても切れ目なしで第二部開始なのは景気が良い話ではある。カカシ外伝が収録されて意いるけど、結末は大体分かっているからなあ。まあ普通に面白かった。

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2005.04.03

『さよならトロイメライ』読了

4829162414.09さよならトロイメライ』(壱乗寺かるた/富士見ミステリー文庫)を読了。なかなか面白かった。

田舎の高校にやって来た「転校生」によって私立御城学園に「転校」させられてしまった藤倉冬麻。突然の出来事に混乱する間もなく自分が学園でも選ばれた存在である”トップ3”にされてしまったことを知る。しかも、トップ3の”パートナー”としてやってきた女の子と四六時中一緒にいる事になり冬麻の混乱はさらに深まっていく。

同じ饒舌口語体系のライトノベルと言っても、『ホーンテッド!』が西尾維新的な流れであるとするならば、こっちは舞城王太郎的な流れのような気がする。思考をそのまま垂れ流したようなハイテンションかつ盛大に空回っている感じの文章は、確かに読む人を選ぶのかもしれないけど僕は結構嫌いじゃない。むしろ好きだ。ジャンク文章と言われりゃそうなのかもしれないが、何、文章に拘らないより拘った方が良いに決まっている(たぶん)。

内容は文体に反して至極まともライトノベルミステリと言っても良いんじゃないかなあ。きちんと伏線も張っているし、最後の真相も予想外のところをついてきたし。ただ、最後のどんでん返しの部分が地味というか、黒幕が明らかにされるシーンがあるのだけど、それが付け足し見たいな感じになったのは惜しいなあ。あと視点をころころ変えるのはちょっと読みにくかったけど、まあトリック的に意味があるみたいだから許せます。
それにしても名探偵役になれる能力を持った人間が多すぎです。この巻だけで3人はいるのに、実際に事件解決に奔走するのはワトソン役である主人公と言うのが捻くれておりますなあ。そのくせ事件には最後まで蚊帳の外であったのが笑えるというか哀れというか。この主人公は基本的に道化の役回りが宿命づけられていますね!キャラ設定的にも弄られキャラだし。主人公の自爆ボケとセルフツッコミがこの作品の肝かもしれないと半ば本気で思います。ちりばめられたギャクがその文体と相まって結構好きだなあ。

そんなこんなで結構楽しめたので続きもこの調子で読んでいくつもりです。それにしても最近富士ミスを読みすぎのような気がしないでもないが、どうせ僕は似非ミステリ読みだし、いいかな。

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本日の購入物

今日は秋葉原までお出かけ。おお、休日に外を出歩くなんて珍しいなあ!(冗談になっていません)

1、『さよならトロイメライ』 壱乗寺かるた 富士見ミステリー文庫
2、『さよならトロイメライ(2) かんむり座の約束』 同上
3、『さよならトロイメライ(3) 幻想リプレイ』 同上
4、『さよならトロイメライ Novellette -ノヴェレッテ』 同上
5、『我語りて世界あり』 神林長平 早川文庫
6、『ラー』 高野史緒 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション

それで何で本しか買っていないんだ僕は。アホか。
1~4、カっとなってやった。今は反省している。アホウ、反省すれば良いとうものではないわ!…じゃなかった。あちこちの評判で「文体に癖がある」「読者を選ぶ」という話を聞き、ひょっとすると僕好みの作品なのでは?と思ったので本屋で立ち読みしたところ、プロローグの段階で思わず笑ってしまった。その事実に敬意を評して購入。最近流行りの饒舌口語体ライトノベルの流れを組んだ作品(そんなジャンルがあるのならだけど)。
5、神林長平はほとんどそろえていたと思ったのだが、どうやらこれは買っていなかったようだ。たまたま発見したので買ってみた。また本が増えるなあ…と思いつつもこういうのは一期一会なんだよと自分を説得する日々である。小生、自分を騙すのだけは上手いのだ。
6、たまたま(以下略)。Jコレって高いなあ…、衝動的に買ってしまったが、もし文庫になっちゃったらどうしよう。まあそのときは文庫も買えば何の問題も無いか(根本的なところで間違っているような気もする)。

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『ハローワールド 青い記憶』読了

4044278113.09ハローワールド 青い記憶』(涼風涼、ニトロプラス/角川スニーカー文庫)を読了。うーん、悪いけどこれは厳しいな。

もはや廃棄を待つだけだったロボットである主人公は、その寸前に「HIKARI」と名乗る存在によって救われた。「HIKARI」によって新たに「友永和樹」という人間としての外見、戸籍を得た主人公に与えられた指令は、人間の学校に通い、人間の感情を調査せよというものだった。

うむむ、ゲームの悪いところがまったく変わっていない。会話文だらけで小説というよりはシナリオそのままというのは、まあしょうがないとしても、話の流れ自体が不自然極まりなくて困ってしまう。単に事件を次から次へと起こしているだけで、登場人物たちのそこに至る感情の流れがさっぱりに見えないので読んでいて何を楽しめばよいのか分からない。感情移入も出来ないしなあ。虚斑玄ほどに文章そのものに魅力があればまた違っていたんだろうけどなあ。声や絵がついていればまだましだったんだろうけど…。

続きを買うかどうかは微妙な所です。

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『マリア様がみてる 妹オーディション』読了

31509828マリア様がみてる 妹オーディション』(今野緒雪/コバルト文庫)。

前巻まで一向に話が進まないためにストレスが溜まっていたのですが、いくつの問題に解決の目処がついたようなのでようやく一息がつけた感じ。でも、やっぱり話を引っ張りすぎです。何時にになったら決着がつくんだよう。
とりあえず由乃さんの妹問題には多少の展開が見られた、のだろうか?むしろ茨の道のような気がしないでもないが、まあそれはそれで。
むしろ本題は祐巳のほうですね。ついに妹候補の最有力であった可南子が脱落(って言う言い方は、われながら”オーディション”という言葉に踊らされすぎで嫌になる。しかし、何を言い訳しているんだ僕は)したため、ほぼ瞳子で決定といったところかな。可南子がちょっと素直すぎるなあ、という不満も無いではないが、基本的にこの学院の人は良い人ばかりだし、ここでごねるようでは話が進まないしちょうど良い所なのかもしれない。個人的には、もうちょっとごたごたするかと思っていたのだけど、これは男性向けラブコメ的な発想なのかも。女性の割り切りの速さを甘く見ていますか、自分?
ここで逆転つぐ逆転の大どんでん返しになるなどという展開はマリ見て的ではないので、後は瞳子が素直になるかどうかなんだろう。次の巻ぐらいでの決着を予想しております(つーか願望)。

全然関係ないけど、”妹オーディション”ってなんかエロいよなあ…とか思っちゃった僕は致命的なまでに脳が腐っていると思います。本当に関係ないですね、はい。

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2005.04.02

『タイピングハイ!(2) いじっぱりのウェービー』読了

4044709025.09タイピングハイ!(2) いじっぱりのウェービー』(長森浩平/角川スニーカー文庫)を読了しました。どんどん僕好みの展開になってきて嬉しい限りです。

第9回スニーカー大賞優秀賞受賞作。表紙と内容が素晴らしくマッチしていないシリーズ第二弾であります。一体この表紙を見て、この作品が実は「ハードSF」であるということに誰が予測できるのでしょうか?たんなる幼女萌え小説のように見えながら、その実、人間の精神を自在に改変できるようになった未来での、変容してゆく自分を抱えた主人公の物語であります。表紙買いをした人には間違いなく地雷になり、またSF読みとっては表紙ゆえに買わないであろう事請け合いの、ちょっと売り方間違えているんじゃねーのと突っ込みたくなる作品である。ちゃんと売れているのか、これ。萌えるどころの話じゃないと思うぞ。話の展開はかなりバランスが悪いわ、色々説明不足だわでライトノベル的には結構駄目な感じだし、キャラへの感情移入は結構難しそうだ。この作者は、たぶん、テーマありきの作家であまりキャラクター描写には興味が無いタイプなんじゃないかなあ、という気がする。

人格を上書きされて変貌するヒロインや人体実験の産物たるサブキャラなど、やっている事は自体は無残としか言いようが無いところが僕好みだ。自我の不可侵性への疑問という題材は、神林長平がやっているテーマであると思うのだけど、この作品にはそのテーマと近いものを感じる。まあ、形は全然違うと思うけど。その変貌していく世界の前で、主人公の自我が揺らいでいくという展開は、まさかライトノベルでこんなテーマを読めるとは思わなかった事もあって大興奮の嵐である。良いなあ。

ただ、主人公の人格の特異性(人間の感情を上手く理解できず、感情移入が行えない)もあって、揺らいでいく自分に対して極めて無頓着であるのがちょっと気になるけれど。次の巻以降で、ロムロスが自我の揺らぎと崩壊に対してどのように対処していくのか、どのように感じているのかを描いてくれると嬉しいな。続きがすげえ気になってしょうがないです。

表紙に騙されず、SF好きの人に読んでもらいたい作品ですね。読もう!そして続きを書いてもらおう!(僕のために)

あと、主人公の最後の独白にはひっくり返った。お前、自覚があったのか!(そこ、つっこむところと違う)

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『涼宮ハルヒの動揺』読了

404429206X.09涼宮ハルヒの動揺
(谷川流/角川スニーカー文庫)
 
 
 
長門有希がどんどん可愛くなってくるなあ。メインヒロイン化が順調に進行しているみたいです。無表情な外面と、少しずつ振幅が広くなってきた内面のギャップが、当初の無機的な内面からの変化のせいもあって大変魅力的な感じになっています。しかも、キョンに対して明確に嫉妬、というほどに明確ではないにしても、感情をあらわにしていたりするし、名実ともにメインヒロイン。キョンにとっても一番気になる相手みたいな描かれ方をされているように感じますが、これは読み手の感情移入の問題かも。僕が長門有希(関係ないが何故かフルネームで書いてしまう)を気に入って来たせいでそう読めるのかもしれない。

今回は短編集なのでストーリーは進んでいませんね。今までの話の番外編というよりは、裏話的なものが多いようです。以下各話感想

「ライブアライブ」
『涼宮ハルヒの溜息』で語られていた文化祭当日でのエピソード。珍しく他人に迷惑をかけないハルヒの一面の話かも。ジャイアンだのなんだのハルヒはライトノベル読みには散々に貶されているヒロインではありますが、並外れたバイタリティを持ち合わせているだけで、比較的常識的な感性の持ち主ではあるのですよね。

「朝比奈みくるの冒険 Episode00」
SOS団制作の映画の話。行き当たりばったりかつシュールな物語が繰り広げられます。実はあんまり感想も無いのだけどキョンのツッコミのおかげでちゃんと読める。ツッコミが無かったら恥ずかしくて読めないよなあ。「溜息」で断片的にしか分からなかった場面をつなぎ合わせるとこうなるのか、という楽しみ方はありますね。

「ヒトメボレLAVOR」
長門有希の話。もう徹頭徹尾長門の話。長門の描写が、微妙に人間らしくなってきている感じがしていて大変素晴らしい。まあ、これもキョンの主観からの描写だから本当のところは分からないけどね。ただ、キョンが朝早く部室に来たときに、今は無い眼鏡を抑える仕草をするなど、内面の動揺を僅かに表していたりと芸が細かいです。ラストがそこまでまっとうに終わらせるとは、とやられた感じ。

「猫はどこに行った?」
冬合宿編。わざわざ書き下ろして書くとは律儀な作者だなあ。ミステリ的なトリックについてはなんともいえないけど、全体的に影の薄い古泉が自己主張している感じだ。自分の解説役としての適性をきちんと認識していたり、登場当初から胡散臭くて捕えどころが無い奴だったが、けっこう味のあるキャラクターになってきたような気がする。

「朝比奈みくるの憂鬱」
次の長編への布石らしい。まあ、あれだ、未来を変えるということさえも未来においては過去の事実に過ぎず、「変えた」という結果が記録されるに過ぎないと。だからなんだといわれても困ります。

 
 
次はようやく長編らしいので楽しみに待つことにしましょう。消失で解決していない問題もあるしなあ。

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2005.04.01

まあ、例によって本日の購入物

そうか、今日はエイプリルフールだったんですね。もはや日付の感覚が無くて、単なる週末のつもりでいました。今更嘘を考えるのもしんどいなあ、ということで怠惰な吉兆としてはいつも通りのだらだら日記です。

1、『マリア様がみてる 妹オーディション』 今野緒雪 コバルト文庫
2、『オルフィーナ(3)』 天王子きつね 角川文庫
3、『同上(4)』 同上

1、まだ祐巳の妹の話題で引っ張るようだけど、一体何時まで続くのだろう。というよりも、祐巳の妹が決まったら第2部が終わりそうな気もするな。さてさて。
2・3、昨日も購入した新装版の3、4巻。天王子きつねの真骨頂は、数多くのキャラクターを登場させた群像劇にあるということに気が付きました。とにかくキャラクターの使い方が上手すぎですね。

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