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2005.04.05

『さよならトロイメライ(2) かんむり座の約束』読了

4829162562.09さよならトロイメライ(2) かんむり座の約束』(壱乗寺かるた/富士見ミステリー文庫)を読了。なんか最近富士見ミステリー文庫ばかり読んでいるような気がしてくるのですが、だんだんこのレーベルの生温さが心地よくなってきたような気がしてきたのが恐ろしいところ。ミステリそっちのけでラブラブ萌え萌えしている作品が多いけど、その作品に癒されてしまっている事実は否定できませんねえ…。ひょっとして疲れているのかなあ。

無理矢理つれてこられた藤倉冬麻もトップ3として過ごす日々にも少しずつ慣れ始めていた。けっこうこの日常も気に入り始めていたある日、突如として爆弾騒ぎが学園を騒がせる。冬麻は成り行きから爆弾騒ぎの犯人を探しに狩り出されることになるが、しかし、爆破事件は止まらずに…というあらすじ。

前作の売りの一つだった独特な文章とやらは今回は大分控えめで読みやすさを優先しているような感じかな。まあ、すでに舞城王太郎を通り抜けた僕にとっては大した違いはありません。あの文体のぶっ飛びに具合に比べれば誤差の範囲と言えるでしょう。その道は講談社ノベルスが6年も前に通った道だッ!とか。
そんな戯言は置いておく事にするとして、内容については文体こそ控えめにはなったものの、主人公の豪快な空回りっぷりと自爆ぶりは前回同様に楽しめるので問題は無いと思われます。むしろ読みやすくなった分、普通に楽しめるような気がしないでもないですねえ。

しかし、ミステリ的には大分後退してしまった印象があるのが残念なところでしょうか。前回は仮説→崩壊を繰り返すことによってどんでん返しを演出していたけど、今回はワンアイディア(ってほどでもないのか?)での勝負になっている。そのアイディア自体もそれほど大した事も無いので、わかる人には一瞬でわかってしまうと思う。大体容疑者が物語り半ばまで出揃わないのも問題で、考えてみたら事件が事件として成立するまでにもやたら時間がかかっているので、一体これでどうやって解決しろというのかという疑問がふつふつと沸いて来るなあ。まあ僕が読み取れていないのかもしれないけどね。

おそらく、それは本題ではないのでしょう。やはり、主人公の空回りっぷりと自爆ぶりをくすくす笑いつつ、相思相愛のくせにちっとも進展しない冬麻と都のラブコメっぷりに焼きもきしながら、ツンデレ少女の八千代の動向に注目するのが正しい読み方と言えるでしょう(本当か?)。…って、やっぱりLOVEなのか、富士ミスは…。

あとこれは余談ですが、この作品でちょっと興味深いところが一つあって、それは主人公がちっとも活躍はしないという点ですね。そもそも周囲の人間があまりにハイスペックであるため、主人公のやる事は基本的にお釈迦さまの手のひらの上なので、ほとんど何もしていないさえと言えます。しかし、無知ゆえの行動力と意思を示す愚者である冬麻が、遭遇した事件に対してあくまでも人を救おうとして立ち向かうと言う姿勢を見せる事で、あまりに賢明過ぎる名探偵たちに希望をもたらしているという構図はワトソンとホームズの力関係が逆転しているようにも見え、なかなか興味深い。なんだかんだ言っても主人公を中心にして物語が回っているんだよなー。

さて続き続き。

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なにげにトロイメライに気持ちを吸引されている僕。 今回のお話は、学内で起こる爆発事件。いったい誰がこんなことをしているのだ、という推理の役目がなんと主人公である藤倉冬麻《ふじくらとうま》のもとに舞い込んでくる。おぼつかなげにも徐々に情報を集めていくとある線が見えてきた―― みたいな感じっす。 間に挿入される主人公たちとは違う人物たちの話がなんだろなあと思っていたらばそういう仕掛けでしたか。つかリンクしてくるってのはわかっていたけどね。 なかなかに感動的な仕上がりになっていてよろし... [続きを読む]

受信: 2006.04.09 15:46

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