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2005.04.02

『タイピングハイ!(2) いじっぱりのウェービー』読了

4044709025.09タイピングハイ!(2) いじっぱりのウェービー』(長森浩平/角川スニーカー文庫)を読了しました。どんどん僕好みの展開になってきて嬉しい限りです。

第9回スニーカー大賞優秀賞受賞作。表紙と内容が素晴らしくマッチしていないシリーズ第二弾であります。一体この表紙を見て、この作品が実は「ハードSF」であるということに誰が予測できるのでしょうか?たんなる幼女萌え小説のように見えながら、その実、人間の精神を自在に改変できるようになった未来での、変容してゆく自分を抱えた主人公の物語であります。表紙買いをした人には間違いなく地雷になり、またSF読みとっては表紙ゆえに買わないであろう事請け合いの、ちょっと売り方間違えているんじゃねーのと突っ込みたくなる作品である。ちゃんと売れているのか、これ。萌えるどころの話じゃないと思うぞ。話の展開はかなりバランスが悪いわ、色々説明不足だわでライトノベル的には結構駄目な感じだし、キャラへの感情移入は結構難しそうだ。この作者は、たぶん、テーマありきの作家であまりキャラクター描写には興味が無いタイプなんじゃないかなあ、という気がする。

人格を上書きされて変貌するヒロインや人体実験の産物たるサブキャラなど、やっている事は自体は無残としか言いようが無いところが僕好みだ。自我の不可侵性への疑問という題材は、神林長平がやっているテーマであると思うのだけど、この作品にはそのテーマと近いものを感じる。まあ、形は全然違うと思うけど。その変貌していく世界の前で、主人公の自我が揺らいでいくという展開は、まさかライトノベルでこんなテーマを読めるとは思わなかった事もあって大興奮の嵐である。良いなあ。

ただ、主人公の人格の特異性(人間の感情を上手く理解できず、感情移入が行えない)もあって、揺らいでいく自分に対して極めて無頓着であるのがちょっと気になるけれど。次の巻以降で、ロムロスが自我の揺らぎと崩壊に対してどのように対処していくのか、どのように感じているのかを描いてくれると嬉しいな。続きがすげえ気になってしょうがないです。

表紙に騙されず、SF好きの人に読んでもらいたい作品ですね。読もう!そして続きを書いてもらおう!(僕のために)

あと、主人公の最後の独白にはひっくり返った。お前、自覚があったのか!(そこ、つっこむところと違う)

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コメント

神林長平を久しぶりに読んでみたら、長森浩平との相似点の多さに驚いてしまった(もちろん逆だ)。テーマありきで物語の優先度が低いあたりもそっくりだし、そもそもテーマそのものが似ている(現時点では)。

というわけで、長森浩平はラノベ界の神林長平という事でFA。

投稿: 吉兆 | 2005.04.17 12:11

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