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2005.04.19

『トリポッド(1)~(3)』読了

『トリポッド(1)~(3)』(ジョン・クリストファー/ハヤカワ文庫SF)を読了。すごく面白い。いわゆる侵略SFにしてジュブナイルという贅沢な仕様である。西島大介のイラストもいい感じだ。トリポッドの滑稽なまでの異質さが良く出ていると思う。

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トリポッド(1) 襲来
ぼくことローリーとアンディがサマーキャンプに参加していた時、突如として三本足の物体が襲来。それは戦闘機のミサイルで破壊されてしまったが、その物体<トリポッド>についてのTV番組が大ヒット。しかし、そのTVを見ていた人たちの様子がおかしくなって…。

少しずつトリポッドに精神を支配された人々によって、ローリーの日常は揺らいでゆく。その恐怖を描いた侵略SFであるのだが、同時にギクシャクした関係であったローリー一家が精神を支配しようとする世界に対して抵抗するうちに絆を深めていくという物語でもある。いささか御都合主義的なところはあるけど、子供と上手く話せない父親や、継母に反発する子供など細かいところで手を抜かない描写が、後半の和解に説得力を与えていて良いと思う。世界がトリポッドに支配されていく恐怖も上手く表現されているけど、最後はきちんと希望を残した終わり方をしているところはきちんとジュブナイルだな。
 
 
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トリポッド(2) 脱出
1巻から時は飛んで100年後。世界はトリポッドが支配するようになっていた。人々は14歳になったら”キャップ”を被り大人になり、穏やかで平和な生活を送っている。「本当にそれでいいのだろうか?」と疑問を抱く”僕”ことウィル。とあるはぐれ者に出会った時、自由を求める旅が始まる…。

いきなり100年も時代が飛ぶのには驚いたけど、ここからが本編の開始らしい。むう…アンジェラはもう登場しないのか…。
戴帽式というのは実に分かりやすくイニシエーションの儀式であるのだけど、それは何者かによって意志を支配されていることを受け入れると言う事を意味している。まあ、大人になる事への拒否というようなファンタジーのようにも読めなくも無いが、これは自分で考える事を放棄するのではなく、自らの意志で道を選ぶべきだという成長物語でとして捉えるべきなのかな。
それにしてもウィルは等身大の主人公ですね。短気で思慮が無く楽な方向に流れやすいというかなり駄目な奴なのだが、そんな奴がここぞと言う時には勇気を発揮して活躍するあたりはお見事と言う感じ。


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トリポッド(3) 潜入
トリポッドに支配されない自由な人々の隠れ基地に辿りついたウィルたち。そこではトリポッドの正体を探るため、トリポッドの都市へ潜入するための計画が進められていた。ウィルたちは6ヶ月の訓練を経て都市へ向かう候補に選ばれる。彼らがトリポッドの都市内部で見たものとは?

前作がトリポッドの世界からの逃亡を意味するのであれば、今回はトリポッドの懐奥深くにもぐりこむ事になる展開。ついにトリポッドの正体とその目的が明らかにされる。うーん、いかにも侵略SFと言う感じが良いなあ。宇宙人がやたらと人間臭いのは良し悪しかも知れないが、どこと無く憎めない描写でありながら決定的な断絶を見せているあたり子供向けとは言い切れない黒さがあって素晴らしい。下手に大人向けになるとお涙頂戴になりかねないよなー。ところで、相変わらずウィルは考えなしであるけれど、自分なりに出来る事をやろうとする姿勢はうそ臭くなくていい。


最終巻が楽しみです。

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