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2005.03.31

『格闘する者に○』読了

4101167516.09格闘する者に○

著:三浦しをん(新潮文庫)
 
 
   
をを、素晴らしい。

漫画好きでマイペースな女子大生、可南子に迫る就職戦線の魔の手。普通の社会人になる適正が低いことを自覚する可南子は、自分の漫画好きを生かして編集者になるべく就職活動中。しかし、就職活動以外にも過程の問題やら年の離れた恋人との付き合いやら日々格闘する日々が続く、という話。

この小説で語られるのは、ごく当たり前の生活である。まったく劇的な事件は起こりません。足りない単位を取得するために学校へ行ったり、友人とおしゃべりをしたり、就職活動をしたり、家庭の問題があったり。決して派手ではなく当たりまえの、しかし、当たり前につらくて大変な出来事ばかりだ。この「劇的で無さ」が、かえって生きる事は日々戦い続ける事だということを明確に表しているように思った。

就職活動中に味あわされる不快感や、家庭でのちょっとしたすれ違いなどをシニカルに、だけど決して深刻になりすぎずに笑い飛ばすように描いているのが非常に良い。この世は普遍的に戦いに満ちているという現実感覚があるように感じたけど、このユーモアに満ちた語り口はむしろ軽快で爽やかとさえいえる。
なんとなく生きるのは大変だけど、そんなに悪いもんじゃないよ、読者に語りかけているような印象さえ受けた。まさに日々現実と戦い続けている人たちへの応援歌といった作品なのかもしれません。こういう書き方は、冷静で理性的な視点がないと出来ないよなあ、と素直に感銘を受けました。

とぼけた味わいと鋭い皮肉が混ざり合った作品で、三浦しをんって、もしかすると非凡な作家かかも知れないと思いました。他の本も読んでみる事にしようかな。

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