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2005.03.31

『格闘する者に○』読了

4101167516.09格闘する者に○

著:三浦しをん(新潮文庫)
 
 
   
をを、素晴らしい。

漫画好きでマイペースな女子大生、可南子に迫る就職戦線の魔の手。普通の社会人になる適正が低いことを自覚する可南子は、自分の漫画好きを生かして編集者になるべく就職活動中。しかし、就職活動以外にも過程の問題やら年の離れた恋人との付き合いやら日々格闘する日々が続く、という話。

この小説で語られるのは、ごく当たり前の生活である。まったく劇的な事件は起こりません。足りない単位を取得するために学校へ行ったり、友人とおしゃべりをしたり、就職活動をしたり、家庭の問題があったり。決して派手ではなく当たりまえの、しかし、当たり前につらくて大変な出来事ばかりだ。この「劇的で無さ」が、かえって生きる事は日々戦い続ける事だということを明確に表しているように思った。

就職活動中に味あわされる不快感や、家庭でのちょっとしたすれ違いなどをシニカルに、だけど決して深刻になりすぎずに笑い飛ばすように描いているのが非常に良い。この世は普遍的に戦いに満ちているという現実感覚があるように感じたけど、このユーモアに満ちた語り口はむしろ軽快で爽やかとさえいえる。
なんとなく生きるのは大変だけど、そんなに悪いもんじゃないよ、読者に語りかけているような印象さえ受けた。まさに日々現実と戦い続けている人たちへの応援歌といった作品なのかもしれません。こういう書き方は、冷静で理性的な視点がないと出来ないよなあ、と素直に感銘を受けました。

とぼけた味わいと鋭い皮肉が混ざり合った作品で、三浦しをんって、もしかすると非凡な作家かかも知れないと思いました。他の本も読んでみる事にしようかな。

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昨日と今日の購入物

昨日はうっかり購入報告を書くのを忘れていた。別に深い理由があったわけじゃないのだが、なぜか本を買った事をを失念していたとしか言いようが無い。
まあ、僕にとっては本を買うことは呼吸するのと同じぐらい自然かつ生理的な行為だからな。記憶に残らない事もあるだろう。

そんなわけはないか。

実際は単なる寝不足です(ゲームをやっていた)。

1、『ゼロイン(1)』 いのうえ空 角川書店
2、『同上(2)』 
3、『同上(3)』
4、『いのうえ空短編集』
5、『涼宮ハルヒの動揺』 谷川流 角川スニーカー文庫
6、『タイピングハイ!(2) いじっぱりのウェービー』 長森浩平 同上
7、『ハローワールド 青い記憶』 涼風涼 同上
8、『ガタラの豚 Ⅰ』 中島らも 集英社文庫
9、『同上 Ⅱ』 同上
10、『同上 Ⅲ』 同上
11、『ファントムの夜明け』 浦賀和宏 幻冬舎文庫
12、『オルフィーナ(1)』 天王子きつね 角川書店
13、『同上(2)』 同上

1~3、ふはは、バカめ(僕がな)。なぜか読みたい気分にさせられたので購入。まさに衝動買いといえましょう。内容は伊藤明弘からハードボイルド分を抜いてバカアクション度を高めた感じ。おそらくは美少女にガン=カタをさせたいという欲望のままに描かれた作品ではないかと思われる(推定)。
4、これはいのうえ空のあちこちで描いていた短編を集めた作品。すごく古いのもあってお得感は高い、ような気がする。意外だったのは一番最後に収録された作品。この作者にしては真面目にエロ描写に挑戦している作品で、いままではこの作者の描く少女はとても健康的な感じがして、直接的なエロには結びつき難い印象があったので驚きました。実に良い。もっとも作者の描く健康的なエロスの方も大変好ましいのでどちらが良いのかと言うと難しい所であります。しかし、なにを真面目に書いているんだ僕は。
5、ここ数作が尻上がりに面白くなってきている涼宮ハルヒの新刊。今回はザ・スニーカーに収録された短編+書き下ろし一編と言う構成です。しかし、作品ごとに時系列がシャッフルしていて時間の流れが良くわからなくなる。そもそもこれ何巻目だっけ?長門有希と鶴屋さんの躍進が目立つ感じです。
6、スニーカー大賞優秀賞受賞作。見た目と中身のギャップが激しすぎる作品です。表紙だけ見ていると萌え美少女(美幼女)が入り乱れるギャルゲー小説にしか見えないのだけど、実はこれはSFだったりします。しかもハードが付く方の。AI育成技術が極めて進んだ世界における人間の意識の変容を描いた作品です。本当ですよ?
7、ニトロプラスの同名18禁ゲームのノベライズ。ゲームの方も持ってはいるけど途中で挫折。序盤のあまりの退屈さと冗長さには、エロゲーの常とは言え耐えられなかったもので。読者をひきつける手間を惜しんじゃいけないと思うなあ。ノベライズの方では改善されているといいのだけれど。
8~10、ちょっと真面目に中島らもを読んでみようと思い立ち購入。とりあえず、本屋にあったなかで一番長そうな奴を選びました。ストレスがたまると程に厚い本が読みたくなるよねえ。え、そんなことない?
11、僕がまだ読んだ事が無い浦賀だったので購入。実は浦賀和宏って安藤君シリーズ以外はあまり読んでいなかったような気がする。そうでもないかも。どっちだ。
12・13、何故か今さら天王子きつね。久しぶりに読んだ。この人って絵が下手だなあ、としみじみ思ってしまうのだけど、漫画としてはめっぽう面白い。こんなに面白い作品だったのか、オルフィーナって。

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2005.03.30

『楽園』読了

4101438110.09楽園
著:鈴木光司 (新潮文庫)
 
 
 
ああ、面白かった。 
『リング』シリーズでヒットを飛ばした鈴木光司のデビュー作です。第二回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。
僕は、一応『リング』と『らせん』と『ループ』は一通り読んだのだけど、『ループ』のあまりのあんまりさにさすがにちょっとどうかと思った記憶がある。今思えば、あれはホラーとして期待をもたずに読めば結構面白い話だったような気がする。ちょっと勿体無い事をしたかな。

その後、ホラー作家として有名になりましたが、第一作目はどうやらファンタジーらしいです。読んだ感想としては、これはファンタジーというよりはラブストーリーじゃないかとも思うのですが。SFではない事は確かだけど、なんか冒険物見たいな雰囲気もあるしなあ(特に第二部)。こうしたジャンルレスな雰囲気は、いかにも日本ファンタジーノベル大賞らしい作品ではありますね。

これは一万年を越える『思い』についての物語である。引き裂かれた一組の男女の求め合う思いが、子孫達への血となり肉となって伝達され、子孫達はそのはるか過去の思いの残滓を抱いたまま、世界と戦い続ける。一万年というスパンで語られる物語は、人の思いはいかなる時間の流れの中でも不滅であり、時に形を変え姿が見えなくなろうともそれでも残るものがあるという「意志」の賛歌の物語でもあるのだと感じた。

また、根源の「思い」と平行して描かれる人々の姿もまた美しくて良かった。このあたり、一つの群像小説のような印象もあって、僅か三部で終わってしまうのが勿体無くなるぐらいだ。上中下巻組みにして、一万年にわたって営々と続く血族史を描いてくれたらなあと思わなくも無いがたぶんそれだと売れないのだろう。しょうがないか。

生きるとは戦いであるという闘争肯定の思想がすでに現れていたり、その後の作者らしいところはすでに現れているようで、なかなか興味深い。このあたりの主張が、作品に一本筋を通すような骨太さを与えている。その現実感覚と、神秘主義的と言っても良いイメージと相まって非常に爽快な読後感が感じられるのだと思う。大変面白かった。

ただ、一つだけこの作品に対して難点(と言うかいちゃもん)がある。<以下ネタバレ>「赤い鹿」のみを頼りに一万年以上の時間を超えて結びつきあった「思い」を、最終的に超自然的な力の存在によって回収させてしまうラストについては、それまでの登場人物たちの「思い」を否定してしまう(と言う言い方が悪ければ軽くしてしまう)ように感じがして気に入らなかった。人の思いをつなげるのは気が遠くなるほどの時間と幾つもの偶然とその時を生きた人々の人生であるはずなのに、最後にすべてを俯瞰する存在を匂わせることでそれがすべて何者かの意図であるように読めてしまう。超越的な存在そのものについては否定するつもりはないが(人間にはどうしようもない出来事があり、手の届かない世界があるという事は認めているつもりだ)、そういう存在はいちいち人間の営みには口出しするのではなく、はるか彼方から見守っていて欲しいと思うのは間違っているのだろうか。最後に鹿の痣が消え無かったなら、むしろ、時を越えた人の思いを感じる事が出来たと思う。<ここまで>趣味の問題といわれればそれまででありますが。ここらへんに微妙に宗教的な意図を感じてしまったのだが、たぶん深読みのしすぎなんだろうな。というか、僅か一行の描写でここまで文句をつけられる自分はかなりどうかしていると思う。

そういえば、『ループ』がああいう展開になったのは、この本を読めばすんなりと納得出来ますね。どちらかというと『楽園』系の物語だったのだから、全然ホラーじゃなかったのは当然といえば当然なんだなあ。

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2005.03.29

『エマ(1)』読了

4757722095.01エマ(1)
(久美沙織/ファミ通文庫)
 
 
とても面白かった。
アニメ化も決まった森薫の漫画を、久美沙織がノベライズ。どうやら、エンターブレインはこの作品にかなり力を入れている様子です。表紙、口絵ともに森薫の書き下ろしが入っていたり、なじみの無い用語に(注)が入っていたりと手の入れ方が半端でありません。いい仕事しているなあ。

原作では仕草や表情にこめられていた登場人物たちの心情を久美沙織の解釈に基づいて描かれており、原作とはストーリー的にはまったく同一でありながら別の角度から焦点を当てる事に成功していて面白かった。ノベライズのお手本のような作品ですね。元々、久美沙織はノベライズにおいてもいくつもの名作を生み出しており(MOTHERやドラゴンクエストは今でも傑作だと思う)その手腕が遺憾なく発揮されたと言っても良いでしょう。

部分的に久美沙織の「解釈」があったりして、原作を知っているほどにいろいろな発見がありますね。キャラクター描写についても森薫の原作の印象を壊さずに、微妙な味付けを加えられていて大変結構。今ひとつ掴みきれないハキムのキャラクターが、まるでハーレクィンみたいな感じになっていて面白い(ハーレクィンを読んだ事は無いけど、僕の持つイメージが、という事。実際のところは知らない)。

特に良かったのは、エマが初めて眼鏡をもらうシーン。初めて見た世界の美しさと、人の優しさに触れたエマの感動が克明に伝わってくる感じがして素晴らしかった。
あ、関係ないけど、エマの過去の話が出てきたのは驚きました。原作ではこういう所を描写しないもんなあ。漫画では描ききれない細部まで描かれていて良かったと思います。

良い原作と良い小説家の幸せな結婚、とか気取った言い回しをしてみたくなる作品でした。

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本日の購入物

すこしずつ復調しつつあるものの、好調にはほど遠い。そんな中途半端な状況が続いています。そんな時こそ本を買って気晴らししようとばかりに本屋へ。調子が良くても本屋には行くけど。

1、『エアマスター(24)』 柴田ヨクサル 白泉社
2、『ホーリーランド(9)』 森恒二 同上
3、『マーメイド・ヘブン』 長谷川裕一 角川書店
4、『センチメントの季節 秋の章』 榎本ナリコ 小学館文庫
5、『不死身探偵オクロック』 G-ヒラコウ エンターブレイン
6、『エマ(5)』 森薫 同上
7、『ガールフレンド(1)』 作:外園昌也 絵:別天荒人 集英社
8、『同上(2)』 同上 同上

ふはは、久方ぶりの大漁じゃのう。
1、坂本ジュリエッタの全存在を賭けた告白と時田伸之介の意地が炸裂する24巻。ついにエアマスター対渺茫が実現するというところ。滅茶苦茶面白い。特にジュリエッタ最高。情けなくてひたむきで一途で、もうどうしようもないんだがそこがいい。
2、TVドラマ化というだけでも驚愕だが(アニメじゃないのか)、そのスタッフを見れば驚愕を通り越す。監督:金子修介、脚本:黒田洋介、音楽:蓜島邦明というメンツを見た瞬間、頭が白紙に状態になりました。
3、長谷川裕一はデフォルトで購入。ドラゴン・エイジで漫画を書いているとは全然知らなかったなあ。
4、セックスを真正面から描いた作品。前々から読もうと思いつつ手が出なかったのだけど、文庫になっていたのでこれを機会に購入。
5、まあ、G-ヒラコウだし。理由になっていないとは自分でも思うけど、それ以外に理由もないし。
6、アニメ化も決定、小説版も出たということで、エンターブレインの強力なプッシュのもと第5巻の発売である。めでたい。やっていることはメロドラマみたいなものといえばそうなのかもしれないが、登場人物たちの仕草や目線、表情で綴られるこまやかな感情など、表現力が飛びぬけている作品。森薫は天才かもしれん。アニメも期待だ。
7・8、これも何で買ったのか思い出せない。外園昌也作品(原作だけど)を買うのは、「最後の竜に捧げる歌」以来だなあ(古すぎ)。

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2005.03.28

本日と昨日の購入物

眠い。その他、色々調子が戻らず。あーあ。

1、『このライトノベル作家がすごい!』 宝島社
2、『電波男』 本田透 三才ブックス
3、『SFJ 2005SPRING』 徳間書店
4、『失踪日記』 吾妻ひでお イースト・プレス

1、『このライトノベルがすごい!』の続編、なのかな。なんだか、僕が買う必要のある雑誌ではないような気もしてきたが、ここまで来たらこの試みがどこまで行くのか確かめてみたいという気持ちが無い事も無い。それにしても、最近のヤスダスズヒトの躍進ぶりには目を見張るものがありますな。
2、各所で話題の、二次元を巡る愛についての本。恋愛至上主義の昨今、そのような風潮から積極的に背を向けては見ませんか、という話だ。自虐と韜晦に走るのではなく、むしろ開き直ったオタク恋愛本という意味では画期的かも。まーでも、すべてを捨てて二次元に走るのはちょっとばかり勇気が必要だと思うし、そこまで突き抜ける事が出来るオタクも少ないと思うがなあ。
3、国内SF、それもライトノベル方面に目を向けた雑誌。最近の国内SFは漫画とアニメとライトノベルとは切っても切り離せない関係にあると言う事なのかも知れませんね。今回の特集で、押井守×冲方丁の対談をやっていたので買ってみた。
4、僕の中で吾妻ひでおが静かにブームになっている。といっても『ななこSOS』を読んだだけだけど。これは吾妻ひでおが行方をくらませてホームレスをやったり配管工になったりアル中になったりした体験を、不思議なユーモアで包んだ不思議な漫画。吾妻ひでおの自分を見る冷徹な筆致には空恐ろしささえ感じる。

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2005.03.27

二日酔い?

昨日は背徳の師匠のところで酒盛り。久しぶりにアルコールを摂取したらちと悪酔いしたようだ。ず、頭痛が。

あと、酒を飲んでいる時もかなり絡みまくって、余計な事をしゃべりまくっていた様な気がする。良く覚えていないが。
なんか変な事を言っていたらすいません。

最近、酒に弱くなってきて、酒量をコントロール出来なくなってきた気がする。気をつけないとなあ。

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2005.03.26

『ホーンテッド!(3) ラッシュ・アンド・ラッシュ』読了

4840112398.09唐突に表紙画像なんぞを付けてみた。文字ばっかりよりは画面がにぎやかになるような気がしないでもない。また唐突に飽きるまでは続けてみようかと思います。

ホーンテッド!(3) ラッシュ・アンド・ラッシュ
(平坂読/MF文庫J)

相変わらず悪ふざけをしまくった作品で大変良い。前にも書いたような気がするが、1巻を読んだ時点では、西尾維新の劣化コピー作家に過ぎない印象しか受けていなかったのだけど、2巻あたりから作者の独自色が展開されてきたみたいで良い感じです。作者は面白いと思った事は何でもかんでもやってみたがる人であるようで、西尾維新的な戯言のオンパレードはその一つでしかなかった様子です。3巻を読んでその印象が間違っていなかった事を確信したのですが、まあそれはそれとして。

「ブーメランばばあ」こと最強の人外生物にして師匠たる未至磨ツネヨによって北海道にまで(無理矢理)連れてこられた裕紀、深春、くおんは、そこでカウボーイ、インディアン、ゴスロリ少女と出会う。裕紀たちを名指しで襲い掛かってくるケッタイな連中と死闘が始まるのだが、まあ、それは本題ではないのかな。相変わらずめちゃくちゃな構成というか作者の悪ノリが過ぎるのか、数十ページに渡って超人バトルが繰り広げられたと思ったら、いきなり可愛い妹キャラ娘たちがほのぼの萌え展開が始まり、唐突に厳しい現実に立ち向かう少女の物語になるという有様である。でも不思議と混乱した印象はうけないのだな。主人公の饒舌さが上手く物語のテンションと噛み合っているということなのかもしれない。

ただ、作者も自覚的にやっている事なのだろうが、作中に大量のネタ(くおんのぱんつはいていない、とか)を仕込むやり方は、瞬間風速的なインパクトはあっても風化しやすいの難点だとおもう。とても器用な作者だとは思うけど、今のままだと単なるネタ作家という印象に留まってしまうのではないかという危惧を感じないでもない。登場人物たちの感情のぶれを描く事はとても上手いと思うので、もっとシンプルに書いても十分面白いものを書けそうだと思うのだけど、そんな作品が書けるほどに素直なタイプではなさそうだ。

この作者のそういう捻くれ具合が好きなので、これからも妥協しないでがんばって欲しいなあ。応援しています。
なんか自分、言っている事が滅茶苦茶だな。

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2005.03.25

『ゼロの使い魔(4) 誓約の水精霊』読了

4840112363.09ゼロの使い魔(4) 誓約の水精霊』(ヤマグチノボル/MF文庫J)を読み終わった。凄いねこれは。薄っぺらいが面白い事は面白い。

やっている事は、プライドが高くてわがままななご主人様(美少女)に振り回されて苛められてちょっとラブラブというオタクの妄想そのままだけど、二人の関係に対する作者の執念とも呼ぶべき情熱によって非常に面白いものになっている。要するにツンデレなのだけど、毎回同じパターンに陥ることなく、手を変え品を買えてヒロインを萌えさせるところは素直に凄いと感心するしかない。ヒロインであるルイズの豹変前と豹変後のギャップなすさまじく、もはやこれは爆弾と言ってもいいと思った。

ただ、冒険活劇としては相変わらず面白くない。これは作者の個性であるので難しいところではあるが、緊張感の欠片も無いとぼけた文体なので今ひとつ盛り上がらない感じがする。描写が写実的でなく、文章だけでは今ひとつイメージが喚起されないのも欠点だろう。

とは言え、ルイズの萌えキャラ立てにかける作者の情熱が伝わってるのは確かであるし、それはかなり成功の部類に入っていると思う。

ところで、セーラー服が単に水兵服(そのままだが)としか認識されていない世界ではどうやってもセーラー=清楚という認識は生まれよう筈も無いと思うのだが、まあ、突っ込んではいけないところなのだろうな。

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『電波的な彼女~愚か者の選択~』読了

4086302306.01電波的な彼女~愚か者の選択~』(片山憲太郎/スーパーダッシュ文庫)を読み終わった。この小説はとても僕の感覚に良く馴染むなあ。

前世から自分に仕えていると言う少女、堕花雨に付きまとわれる柔沢ジュウは、いつの間にか彼女の存在を受け入れはじめていた。ある日、雨と一緒に街を歩いている時に出会った少女が世間を騒がす凶悪犯”えぐり魔”に犠牲になったという事を知ったジュウは、雨が止めるのもかまわず”えぐり魔”を見つけ出す事を決意する。

というのが大体のあらすじである。これに雨の友人である斬島雪姫が加わり犯人探しを始めると言った展開に加えて、相変わらず他人の心を推し量るのが下手なジュウを中心にした微妙な三角関係も展開したりして相変わらず変な話だ。物語上で、ラブコメと猟奇殺人が同じレベルで扱われているのが面白いと思った。どちらかが従になって片方を引き立てるアクセントの役割を果たすのではなく、どちらも独立しているのだ。このあたりがこの作品の特異な点であるかもしれない。

さて、今回はジュウの煮え切らなさ、割り切れなさが目立った話だったな。母親の極めて分かり難い忠告を無視して、雨に対する感情に戸惑い、自分のプライドによって身動きが取れなくなったり、意地を張って見栄を張ったりしてまだまだ余裕がたりない様子。特に無自覚に雨を傷つけているあたりは、ちょっと修行が足りませんね。なんだかんだでマザコンだし。ただ、迷いながらも何かをしようというあたりはやはり主人公。周りが見事なまでに割り切れた人間であるのと対称的だ。おそらくは、彼のその割り切れなさこそがジュウの魅力なのだろう。それゆえに割り切れた人間には考えもしない動機で彼は怒り悲しむ事が出来るのだろうし、彼の感情が物語を動かす原動力になっているいるのだと思う。

そして、彼の行動は世界に対してあまりに無力であり、為しえた事はほんの僅かでしかないという突き放した感覚がこの話の凄いところだ。何しろ、最後に雨によって明らかにされる真相は、残酷というにはあまりに醜悪すぎる物であり、解決しても誰一人救われない結末である。周囲にいるヒロイン達によって、かろうじてジュウに救いとなっているが、このあたり作者のバランス感覚には感心するしかないといったところですね。

とにかく面白かった。続きを熱烈希望しているのでお願いします。

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2005.03.24

本日の購入物

本屋で牧野修の『傀儡后』の表紙イラストが山本ヤマト氏が描いていた。まるでライトノベルみたいな装丁だが、絶対騙される人がいそうだ。

1、『電波的な彼女~愚か者の選択~』 片山憲太郎 スーパーダッシュ文庫
2、『ゼロの使い魔(4) 誓約の水精霊』 ヤマグチノボル MF文庫J
3、『ホーンテッド!(3)』 平坂読 同上

1、この作者は結構好きだ。大変僕好みに歪んだ物語を書いていると思う。揺れ動き戸惑う心と突き抜けた異常さが心地よい。
2、つい買ってしまう。小説としてはあまり出来が良いとは思えないシリーズなのだが、作者の持つ「気の強い女の子に踏みにじられたい!」という欲望がストレートに伝わってくるのが面白い。業が深すぎですな。
3、この作者も結構好きだったりする。一巻を読んだ時は西尾維新のコピーかと思ったが、2巻目を読んだ時点で単に節操がないだけだという事に気がついた。作者は思いついたら実行に移さずには入れないタイプのような気がした。

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期待は出来んな

木村航+YUGの『ぺとぺとさん』がアニメ化らしい。まさかそこまで話題の作品だとは全然知らなかった、という驚きが先に立ってしまったのが正直なところだ。まあ、どうせ原作の持つ重くて歪んだ部分は適当に希釈されて、絵師のYUG氏が描くところのかわいらしい妖怪のほのぼのアニメになるであろう事は想像に固くないのであまり期待はしていません。たぶん見るけど。

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2005.03.23

『セルロイドヘヴン』読了

4757722389.01セルロイドヘヴン』(くげよしゆき/ファミ通文庫)を通勤中の電車の中で読んだ。とても面白かった。

僕は歪んだ物語が好きだ。歪んだ登場人物が好きだし、歪んだ設定だって大好きなのだ。昔から健全で明朗なものよりも歪んで不安定なものの方に心引かれるところがあったのだが、もちろん今だって歪んだものが好きなのである。何でこんな事を書いているかといえば、この『セルロイドヘヴン』が、まったく僕の好みである所の歪んだ物語だったからであったりする。

それにしてもファミ通文庫って無法地帯ですな。作者がやりたい事をひたすら詰め込んだ感じでひたすら暴走している感じだが、それを綴る文体は一歩一歩積み上げるような無骨な文体が、抑制を聞かせておりなかなか品が良くまとまっているような気がする。

物語の前半がひたすら主人公の背景描写に費やしている。それは下手をすると全体のバランスを崩しているような気もしないではないが、それによって主人公の安定を欠いた、歪んだと言っても良い人格を丁寧に描写されており大変良いと個人的には思う。この物語は、この主人公の造型が肝であるというのが作者の意図なのだろう。求めるものが分からず安物の希望にすがりつき、その鋼の如き肉体に反比例するような「泣き虫の子供」である主人公の造型は、異様であると同時にその不安定さにひどく心が揺さぶられる。人一倍泣き虫なのに泣けないでいた主人公が、ついに涙を流したシーンが僕はとても良いと思う。そこには、摩滅し切り捨て続けてきた主人公が最後で大事な宝物を見つけたという事なのだ。

だからこの構成を僕は支持したい。この作品は泣き虫な子供のまま擦り切れたドルチェがそれでも大事なものを見出そうと足掻く話なのであり、ドルチェの歪みに至る過程が無かったら平凡な作品に成り下がりかねないと思うからである。

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2005.03.22

『空のオルゴール』読了

4101166412.09空のオルゴール』(中島らも/新潮文庫)を読み終わった。これは買ったものではなく借り物である。何で借りたかというと、中島らもには以前から興味はあったものの買うまでには至らなかったので、とりあえず一冊読んで確かめてみる事にしたため。貸してくれてサンキューな、みしまっちの中の人。

で、まあ、その感想なんだけど…いやー参った参った。こりゃすごいわ。ぶっちゃけ面白い。面白いのだけど、全編酔っ払いの戯言に等しいぐてんぐてんで唐突極まりない展開がなにより凄い。あらすじを語る事自体が意味がないと思わせるほど奔放極まりない展開といい、年がら年中酒盛りしている登場人物たちといい、やたらと説明的な薀蓄やらどこをとってもB級としか言いようがない。この作者、かなり行き当たりばったりに書いているような気がするのだけど…これが何故か面白いんだよなあ。
なんと言うか、やっていることはかなり血生臭いのに、緊張感の欠片もない登場人物達のせいでなんとも能天気で牧歌的な雰囲気になってしまっていて、そのあまりのしょーも無さには脱力と乾いた笑いがこみ上げます。オチも素晴らしくどうでも良くて素晴らしい。く、くだらねー(褒め言葉)。

なんとも不思議な読み心地で、なんだか気に入ってしまいました。他の本も読んで見ようかな。

ところで町田康の解説はいささか大上段に構えすぎだよなあ。深読みし過ぎだって絶対。作者がそこまで深い事は考えているとはとても思えないんだが。これは果てしなくダメダメな空気を楽しむ作品なんじゃないかという気がするね。
ただ、中島らもは本当にたくさん本を読んでいる人だという事は良く分かった。巻末の参考文献一覧にはすさまじい量には驚いてしまった。ざっと数えたところ44冊あるけど、とてもそこまで文献がいるような作品じゃないよなあ…というのは禁句?

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本日の購入物

はて…豪屋大介の『A君<17>の戦争(8)』が見当たらぬが…と思ったら4/20発売ですか。富士見書房…やってくれた膿、やってくれた膿…。

1、『生きるススメ』 戸田誠二 宙出版
2、『セルロイドヘヴン』 くげよしゆき ファミ通文庫
3、『芽むしり仔撃ち』 大江健三郎 新潮文庫
4、『我らの時代』 同上 同上

1、同作者の作品の『ストーリー』が大変素晴らしかったので前作にあたるこれを購入。この作者の作品は(と言っても『ストーリー』しか知らないけど)、扱っている題材はありふれていてなおかつヘビーなものが多いのだけど、あまり説教臭くならないあたりが僕の好みである。上手いなあ。
2、特に理由も無く買ってしまった。強いて理由を挙げるならば、冒頭を立ち読みした時にキャラクターの持つ「歪み」がちょっと気に入ったからかな。
3、本屋に入るたびになんとなく探していた作品で、たまたま見かけたので買ってみた。これは大塚英志原作の漫画、『東京ミカエル』の原案…というかネタ本であるらしく、前々から興味があったのである。
4、実はこれは買うつもりで無かった。『芽むしり仔撃ち』だけ買うつもりだったのだけど、隣においてあったものでついふらふらと。こんなのばっかりだ…。

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2005.03.21

『ローマ人の物語(3)(4)(5)』読了

4101181535.09ローマ人の物語(3) ハンニバル戦記(上)』、『ローマ人の物語(4) ハンニバル戦記(中)』、『ローマ人の物語(5) ハンニバル戦記(下)』(塩野七生/新潮文庫)読了。書評は3巻のみ。相変わらずの傑作ぶりで大変良い。

第2次ポエニ戦争において、一軍を率いてアルプス越えを敢行しイタリア半島に侵攻し、その後16年に渡って戦い続けたハンニバル。戦えば必ず勝つというこの天才に、ローマはひたすらに戦い続け、ついにはハンニバルの戦いから学び取った若きスキピオが戦いを挑む…。

塩野七生のローマ好きがアクセル全開でとても面白い。ハンニバル戦記と書いてありますけど、どちらかと言えば戦術の天才であるハンニバル・ボルカ(電光)に対して総力を挙げて抵抗するローマ人の物語。その過程で幾たびもの危機に直面しながら、それまで培ってきたローマの共同体としての強さが、少しずつハンニバルを追い詰めていくと言うのは熱く滾ります。ハンニバルの生涯もどこまでもドラマティックでたまらない。16年間一度も負けなかった男の、ただ一度の敗北で戦争は終結したと言うくだりはもはや好き勝手絶頂である。ライバルとなるスキピオ・アフリカヌスとの関わりもあまりに出来すぎていてありえねえ!と思いつつも歴史の不思議さが興味深い。何しろ、最終的にハンニバルを敗北へ導くこのスピキオの初陣は、17才の時に来襲したハンニバルがイタリアでの最初の一戦の時で、負傷した執政官(父親)を連れて逃げたのがこのスピキオ。なんだこのドラマチック人生。

話は変わりますが、岩明均の歴史漫画、『ヘウレーカ』の舞台になったシラクサ攻防戦もこの第二次ポエニ戦争の時のことでしたね。少しですがこの本にもシラクサが出てきています。あわせて読むと面白いかも。

やっぱり僕はこの古代ローマが好きなんだなあ、という事を再確認しました。次も読もうっと。

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『嘘つきは探偵のはじまり』読了

475772201X
嘘つきは探偵のはじまり』(川上亮/ファミ通文庫)を読了。ああ、この川上亮は良い川上亮だ(偉そうだ)。

作品ごとに『素晴らしい!』と『くだらねえ…』と(僕の)評価が二分されるという複雑な作家であるところの川上亮の新作。川上亮名義ではこれで三作目。ファミ通文庫には秋口ぎくる名義でも書いていたので、えーと、初登場と言うわけではない、かな。この作品は『素晴らしい!』の分類出来そうで、いや良かった(僕が)。

金稼ぎのために銃の密売を探る主人公達が、偶然の事故に出くわしたり、チャイニーズマフィアに雇われたりしながら事件を解決する話。偶然に偶然を重ねる強引な展開など好き嫌いは分かれると思いますが、気楽に楽しめる一冊です。

基本的に悪人(とも言い切れないが善人では絶対無い)しか登場しない話で、それぞれの欲望のままに行動を起こしています。倫理観もかなり狂っており、おいおいそれでいいのかと突っ込みたくなる場面が多数あって、これが許せるか許せないかで作品の評価がかなり変わってきそうな気もします。僕は…実は結構厳しい(えー。

それにしても、どいつもこいつも刹那的な生き方をしているなあ。将来とか未来とか、あるいは現実と言うものに対する絶対的な拒否感がこの作品の根底にあるようにも感じるのだけど、まあ、この作品に限った話じゃないけどな。どこまでも現実を認識できない地に足のつかなさが、川上亮の持ち味であり弱点でもあるのだろうと言う気がする。現実からのひたすらに逃避する自分を、完全に肯定してしまっているところがこの作者のいけないところだと思うのだけど、余計なお世話と言うものですかそうですか。

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『新本格魔法少女りすか(2)』読了

4061824325.09新本格魔法少女りすか(2)』(西尾維新/講談社ノベルス)を先日読み終わりました。まさに一部の隙も無いほどにジョジョ小説ですね…って、この表現はどっかで使ったような気もするけど…まあいいか。

ファウストに連載されている作品2編に書き下ろしを加えた一冊。書き下ろしだけを楽しみに購入、といいたいところだけど、最初の方を読み始めたら止まらなくなり深夜までかかって読了しました。

一巻目では全身をハリネズミのように刺で覆っていた創貴君が、りすかのお兄ちゃんとの戦闘でちょっぴり「謙虚」さを学んで成長したらしく、お人好しというかお節介な側面が現れてきたのは意外な気がする。もちろん、自分に役に立つ相手限定という傲慢ぶりは相変わらずだけど。

以下感想。

四話、『敵の敵は天敵!』
今更言う事じゃないけど、TVアニメみたいなタイトルですね。
もう一人の魔法少女、ツナギ(新本格変態少女、らしい)の登場の回。少女というのは躊躇われるけど。
前の巻まではあまり気が付いていなかったのだけど、登場人物たちのオーバーアクション気味な悪乗りが目立ってきたような気がする(例、『な、なにぃ!』とか『そ、そんなバカな…!』とかそういうニュアンスのもの)。もう素直にジョジョのノベライズでも書いてくださいよ!
内容については、相変わらず講談社ノベルスから出ているのが不思議なくらいミステリとは関係が無くなっています。無論、りすかにミステリを期待してはいけないのでかまわないのですが、作品の肝であるべき戦闘シーンが、今回はいまいちだったかな。ツナギとの対決もほとんどパワーゲームみたいなものだし。創貴君の『切り札』も必勝と言うには程遠く、単なる気休め程度のものだものね。あんまりサスペンス要素も無かったな。ただ、創貴とりすかの関係が少しずつ変化してきている描写や、ツナギのキャラクターなどそれ以外に見所は多いですね。

五話、『魔法少女は目で殺す!』
この場合、殺されるのが魔法少女だと思うんだが。
ツナギ大活躍の回。なんか、本当に『りすか2』じゃなくて『ツナギ』が主人公の巻だよなあ。普段の人格は『葵井巫女子』タイプのハイテンション系の娘さんというギャップがなかなか良いのではないでしょうか。
ところで、ツナギの能力と言うのは、本編でも触れられているけど使い勝手は良いですね。飛び道具は苦手かもしれないけど、物理的な現象を起こす魔法であれば分解出来そうな気もする。何より接近戦での攻撃力は最強だし。

ところでりすかってのは、こういう『能力』とか『誰が強い』とかそう言う少年漫画的な楽しみ方が出来ると言うのが面白いな。西尾維新が10代に支持される理由と言うのはこういうところにもあるのだろうな。

6話、『出征』
迫り来る刺客を迎え撃つために旅立つ創貴たちと言う話…になる前の、創貴のバックボーンのお話。何故創貴がすべてを征服する野望を得たのかという話が語られる。創貴の父親、創継が初登場の回でもある。まーワイルド(と言うかほとんどチンピラ)な親父さんだこと…。

まあ、こんなところかな。こちらの続きも気になるけど、早いところ『ネコソギラジカル(中)』を出していただきたいものです…。

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2005.03.20

『あなたの「うつ度」を判定』をやってみた

あなたの「うつ度」を判定』をやる。
あまりこの手の判定テストの類はやらないのだが、ちょっと気が向いたのでやってみた。

一回目が64点。二回目が65点。三回目が62点。

> 61~
>すぐに自宅安静か入院が必要となる可能性があるレベルです。
>自分ひとりで抱えずに専門医に相談してください。
>医者を信じて頂ければきっと元の元気な先生に戻してあげられると思います。

駄目だ、終わった…(色々と)。

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『ヴァンパイヤー戦争(9)ルビヤンカ監獄大襲撃』読了

406275018X.01ヴァンパイヤー戦争(9)ルビヤンカ監獄大襲撃』(笠井潔/講談社文庫)を読みました。うーん、表紙がエロス。

3巻ぐらい続いたのかな、プドゥール編の終了です。あいも変わらず男も女も出てくる端からガンガン殺されています。生き残るのは、九鬼とムラキだけと言うのはすでに基本ですね。作者はムラキが気に入っているらしく、美味しいところとりまくりで、主人公たる九鬼が押され気味なのがちょっと可笑しい。

思えば、このムラキは明らかに笠井潔の探偵小説、『バイバイ、エンジェル』の主人公、矢吹駈の原型ですね。まあ、このあたりは色々な所で指摘されていて、今更僕が偉そうに指摘するのもおこがましいのですが、そこにも作者のムラキ(のキャラクター)に対する偏愛ぶりがうかがえます。矢吹駈シリーズは途中で読むのが止まっているけど、また読みたくなってきたなあ。

お話の方は既に大詰めでしょうか。中ボス的な役回りであったケゼビとの対決は前巻で終了して、今回は最終局面に向かいつつある舞台の準備と言ったところかな。スペシネフの最終目的とそれを阻止する手段が明らかにされ、九鬼側とスペシネフ側との間での闘争が開始される。…まあいきなり罠にかかっていきなりラスボス戦に陥っているのはご愛嬌ですが。

しかし、むやみやたらと大風呂敷を広げているのは良いとしても、それがすべて男女の愛、それも肉体を介した情欲に還元されると言うのは、壮大なんだか卑小なんだか分かりませんな。一応、宇宙スケールの話なのに…。ひょっとすると、これも一つのセカイ系と言えるのかも知れませんね(単に言葉を使ってみたかっただけだったり)。

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2005.03.19

『ぼくは、おんなのこ』読了

ぼくは、おんなのこ』(志村貴子/エンターブレイン)を読みました。すごい面白かった。
ほのかで淡い感情の動きをとても柔らかに描いた作品集。控えめで繊細な表現は、決して『何か』を訴えかけるものではなく、人々の日常を軽やかに、時に親身に時に突き放すように描いている。ほのかに香るエロスも良い感じ(表現は決してほのかでもないのに、何故かほのかに感じられてしまうのは不思議だ)。

しばらく志村貴子を集めてみようかと思います。

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2005.03.18

本日の購入物

最近、花粉症で思考能力が減退気味で、なんだか頭が悪くなっている気がする(前からという意見は現実にそぐわないので却下とする)。何より、集中力とが無くなるので文章を書く気力すらわかないと来たもんだ。どーしたもんかなー。

1、『嘘つきは探偵のはじまり』 川上亮 ファミ通文庫
2、『エマ(1)』 久美沙織 同上
3、『銃夢 Last Order(7)』 木城ゆきと 集英社
4、『皇国の守護者(1)』 原作:佐藤大輔 絵:伊藤悠 同上
5、『新吼えろペン(1)』 島本和彦 小学館

ぼちぼちでんな。
1、通常の小説家の仕事は川上亮名義になるみたいだな…。個人的に、作品ごとの評価が極端に上下する川上亮の新刊です。なんつーか、作者の思想にいささかの反発を感じるせいで楽しめなくなってしまうのことがあるのであった。でもそれなりに期待をしている作家でもある。
2、アニメ化も決まった英国メイド恋物語。ノベライズの女王の久美沙織(今、考え付いた)が描くもう一つのエマのお話。どうやら原作を忠実にノベライズするようである。久美沙織の解釈より新たに紡がれる物語は期待が高まります。あと、原作『エマ(5)』も月末に出るようなので忘れないようにしないと。
3、LOも7巻目。うーん…6巻で昔の面白さが戻ってきたか、と思ったけどまたなんとも居心地が悪い…。なんか言葉足らずだなあ。
4、これ!今日の一押し!佐藤大輔の原作を見事な技量でコミカライズされた作品。この出来栄えは、コミカライズ作品としては、『真月譚月姫』や『荒野に獣、慟哭す』に匹敵しますね。原作に対する理解の深さと、それを自分の作品として再構築する手腕が絶品。グレートだぜ!
5、吼えろペンが仕切りなおして復活…か?とりあえず、もはや作者の近況漫画と化しているような気がしないでもない。嘘エッセイ漫画?

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2005.03.17

『UMAハンター馬子―完全版 (1)(2)』読了

体調が悪いので簡単に。花粉症が…。

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UMAハンター馬子―完全版 (1)(2)』(田中啓文/早川文庫JA)を読了しました…が。うーん…なんと言うかなあ…ちょっとこれはどうだろうなあと思わなくも無い。何が駄目かと言いますと…なんと普通に面白いんですよ(いいじゃん)。
まあ、冗談はともかくとして、本当に意外なことに(超失礼)、当たり前に面白くてびっくりしました。田中啓文といえば、壮大かつ緻密な物語を心底くだらないオチで台無しにするのが芸風だと思っていたのだが…。きちんと伝奇小説をしていると言ってもいいと思う(田中啓文にしてはだけど)。

お話としては、蘇我家馬子、イルカの芸人師弟が日本各地を巡りながら様々なUMAが巻き起こす事件に出くわすと言うのが基本。口うるさくてわがままでがめつくてド助平なオバハンである馬子のわがままにイルカが頭を抱えながら振り回される話でもある。どっちかと言えば、こっちの方が比重が大きいかも。

最初の方は、様々なUMAに関して作者の独自の解釈を行う真面目なUMA小説だったのですが、話が進むに連れて伝奇小説的な側面が強くなってきた感じです。まさか、最後の方ではウルトラマンになるとは思いませんでした。しかも、なんだか良い話になっているし…ありえん(いや、僕の読み方が間違っているのかもしれない)。

まあそれでもやっぱり田中啓文は田中啓文でした。どの作品にも、本当にしょーもないオチを付けてくれます。いつもよりは少ないけど、駄洒落の方も相変わらずで一安心と言ったところですねえ。しかも物語の謎解きと意外な真実にまで根深く駄洒落が結びついているあたり、本当に業が深すぎです。綿密に伏線を張り巡らせた結果がこれかよ…と唖然とする事は確実でありますねえ(褒めていますよ?)。

田中啓文の属性がすべて詰め込まれた感じの作品ですね。関西系こてこて伝奇小説とでも言うべきセンスはあまりにも独自路線過ぎてとても一般受けはしないとは思いますが、僕は大好きだ。至極まっとうに楽しめてしまったあたりも意外な収穫でした。

(それにしても、この人もともとライトノベル関係でデビューした人なんだけどなあ…明らかにデビューする場所を間違っていましたね…)

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本日の購入物

ひう~…花粉症のあまり萌えキャラみたいな声が出てしまいそうです。とりあえず目が、目がー!(敬愛するキングオブヘタレことムスカたんをリスペクト)

1、『スクールランブル(8)』 小林尽 講談社
2、『新本格魔法少女りすか』 西尾維新 講談社ノベルス
3、『ななこS・O・S』 吾妻ひでお 早川書房
4、『パンプキンシザーズ(3)』 岩永亮太郎 講談社
5、『ストーリー』 戸田誠二 宙出版
6、『僕はおんなのこ』 志村貴子 エンターブレイン

1、アニメも絶好調(だと思う)スクランの最新刊で、今回はサバゲー編。それにしても、何でこいつら全員のりのりなんだろうなあ。文化祭のお祭感が良く出ていているように思いました(ほんとか?)。
2、西尾維新の放つ「ジョジョ」小説の2巻目。なんか、ある世代の小説家は、みんながみんなジョジョ小説を書きたがるような気がするなあ…。上遠野浩平といい、乙一といい…。
3、はじめての吾妻ひでお。本当は失踪日記を買いたかったのだけどね。どうやら売り切れみたいで購入できなかったので、代わりと言ってはなんですが購入。いやー変な話だ。絵的には手塚治虫の直系と言うべき感じだけど、ストーリーの素っ頓狂っぷりには不思議な味わいがあるなあ。
4、いやー素晴らしい。とても絵からは予想も付かない真面目な話だ。真面目なだけでなく、きちんとエンターテインメントをしている上に、渦巻く陰謀、差別に偏見が絡み合いまさに大河ロマンの様相を呈してきたぞー。それにしても陸情3課の面々は、意外なことに精鋭揃いですなー。
5、………え?これひょっとして傑作?てな感じで予想外のところからぶん殴られたような素晴らしさ。やべーこれはすごい。まだ全部読んでいないけど、最初の方を読むだけもすごいのが分かるよ!さ、続き読も…。
6、良い評判を良く聞く志村貴子の初読みです。最近、何故か名前と漫画を見かけることが多く、なんだか読まなければいけないような気がしてきたもので。読んでみるか…。

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2005.03.15

本日の購入物

うーん、花粉症で目が痒い。うっとうしいなあ。しかし、医者に行く暇もなかなか取れず。失敗した…。

1、「格闘するものに○」 三浦しをん 新潮文庫
2、「ヴァンパイヤー戦争(9)」 笠井潔 講談社文庫
3、「うしおととら(7)」 藤田和日郎 小学館文庫

1、三浦しをんのデビュー作が文庫化されていたので購入。そーか、これがデビュー作だったのか…。この人がWebで連載していたコラムが結構好きで、時々読んでいたんだよなあ(たしか、滝本竜彦も同じところで超人計画を連載していたんだよなー)。
2、うわ…また一般人が買いにくい表紙にしちゃって…あーあ、しらねーぞ…。あ、僕?もちろん「キキたん、ハアハア」とか言いながら喜々として買いましたよ(最悪だ)。
3、獣と化したうしおの復活と獣の槍誕生秘話編。文庫で読むとやたらスピーディーだなあ…。

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『ROOM NO.1301(5) 妹さんはヒロイック?』読了

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ROOM NO.1301(5) 妹さんはヒロイック?』を読了した。いやはや、小生、本を読み始めてから20数年経ちますが、ここまで奇怪な小説を読んだ事って滅多に無いですよ(ちなみに小生が始めて読んだ本は幼稚園に上がるか上がらないかで読んだドラえもんである。だが、本題には何の関係も無い)。

とっても面白かった…のだけど相変わらずわけがわからない話だなあ。
まず最初に、この物語の文法と技法は、僕にとっては未だかつていない未知のものだと断言してしまおう。凄いよこれ。僕も大概本を読んできたし、ギャルゲーもそれなりにはこなしてきたものの、それでもなおこんな作品は知らない。これに類する作品も知らない。何よりも、それが単に拙いとかそういう方向で回収されるのでなく、極めて面白いと言う事実がさらに異常な事態だと思う。本当に何だこれ。おそらく作者の今まで摂取してきたものと僕の摂取してきたものはまったく違うのだろうなあ。

作品からは、僕は「ギャルゲー(エロゲー)の文法によって構築された純文学」といった印象を受けるのだけど、それがどうしてそう言う印象を受けるのかどうかについては上手く説明できる自信が無い。キャラクター、設定はいかにもエロゲーでありそうな気がするのだが、ふとしたときにその設定を凌駕してしまう逸脱があるように感じる。なんか、ギャルゲー的な展開の裏でもっと違うものが展開されているような焦りを感じる時がある。この間、大江健三郎を読んだ時にも感じたもどかしさにも似ているような気もするのだが…まあ、全部気のせいかもしれないけどね。

今回の話で、健一君が徹底して「自分」と言うものに対して無頓着なところが明らかになっていますねえ。錦織さんにすごい待遇を提示されながら、健一君の反応と言えばただ戸惑うだけだったのに、シーナや蛍子に関しては驚くほど積極的に働きかけようとさえしている。なんともアンバランスな人格だなあ…。こういうところが、単なるギャルゲー小説ではないものにしているような気がするんだけどたぶん僕の妄想である事に1000点。

…なんだか作品について書けば書くほどわけがわからなくなってきた…。言いたい事が半分も伝えられないこのもどかしさ!ひょっとしてこれが恋!?(んな分けない)(なんだこの無理矢理なオチ…)

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2005.03.13

『デュラララ!!×2』読了

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デュラララ!!×2』を読了。なんか口絵に登場しながら作中には一度も出なかった人が何人かいるな…なんでだ?

相変わらず、読み始めたら読むのが止まらずあっという間に読了。ああ、面白かった。

前回はストリートマフィアであるダラーズ内部で展開する話だったけど、今回はそのダラーズの縄張りである池袋で、正体不明の切り裂き魔が現れる所から、町に不穏な空気が広がっていく…というところから始まる。新たなカラーズマフィア、黄巾賊の存在もアピールされ、次回以降には波乱の展開を匂わせています。

今回の主役というか中心人物となるのは、何故か切り裂き魔に狙われる少女、園原杏里と、池袋「最強」と呼ばれる平和島静雄。その周りで覆面ライダーことセルティが駆け回ると言った構図かな。特に今回は、今まで良くわからない存在だった静雄の内面にも踏み込まれており、彼の異常な強さと凶暴さ、それと裏腹に抱える恐怖とそれの克服という体裁をとっているところはまるで成長小説的な側面を持っています。しかし、もう一方の中心人物である杏里のパートでは、これまた彼女の内面に踏み込んではいるものその方向性は静雄と対極である。むしろ、彼女は成長することを拒否し、ひたすらに停止し続ける事で世界と対峙しているという志向をもっているため、彼女のパートは非成長小説とでも言えるのかもしれないな。

はっきり言って、この二人に視点を割り振ったことについてはあまり意味は感じないし、上手くリンクしているとも思わないのだが、この二人を含めた多くの人たちがそれぞれ自分の目的、信念に基づいて行動する事から生じる混沌は、相も変らぬ猥雑なエネルギーに満ち溢れていて大変素晴らしい。やっぱり成田良悟の本を読む楽しみと言うのはこういう猥雑さにあるとさえ思う。作者の弱点(というか、僕がなじめない所)であるところの登場人物たちの薄っぺらな造型も今回はあまり気にならなかったし(成田良悟の弱点については機会があれば別に書くかもしれない)。

クライマックスのサプライズについては、実はあまり驚かなかったなあ。意外なところから意外な正体が--というのは、すでに前巻でやってしまっていたからねえ…。あの「正体」については伏線って貼られていたっけ?あまり記憶に無いんだよな。

この巻で、どうやら舞台も整ったみたいだ。おそらく、作者はこの舞台(三国史)を作りたかったんだろうな…黄巾賊とはそのまんまのネーミングですねえ…。ともあれ、状況は更なる混乱をみせそうで、まさしくB級と言った設定に、成田良悟の真骨頂がみられそうな期待ではちきれんばかり。やべえ、続きが楽しみ過ぎです。

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今日一番びっくりした事

ドラえもんの新声優が発表…ってスネ夫の声って関智一かよ!

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『リリアとトレイズⅠ そして二人は旅行へ行った(上)』読了

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リリアとトレイズ(1) そして二人は旅行へ行った(上)』(時雨沢恵一/電撃文庫)を読了しました。表紙のセンスが素晴らしい。タイトルから白縁の部分、ついでに帯まで含めて一枚の絵のようだ。

古き良き少年少女の冒険小説を思い起こさせるシリーズも、登場人物を一新しての再開です。作品としての雰囲気は全然変わっていないのは長所か短所か。主人公達の人間関係図は大分変わってはいますね。主人公二人の力関係が大分違うというのは物語上大きいかと。

物語の基本となるのは、陰謀に巻きこまれた少年と少女が、お互いに力をあわせてなんとか立ち向かっていくという正統派なジュブナイル。冒険を通じて主人公たちの関係にも影響を与えていく展開など本当に正統派。宮崎アニメなどを思い起こすと分かりやすいかも知れません。ただ、前シリーズと比べると主人公二人の両親の社会的影響力が段違いなので、そのあたりどう展開させていくのか気にならないでもありませんが…主人公そっちのけで旧世代が(と言っても現役の年齢ですが)がんばってはタイトルが泣くというものだ。もちろん、そのあたりは後半で明らかになるでしょう。

ところで、リリアの性格は、本当にアリソンそっくりですねえ…。ただ、ズボラでマイペースな母親を見て育っているので、それを反面教師としているせいかアリソンに比べると常識的な印象も無いではないかな。きちんとトレイズの言う事も聞くし(文句はたらたらであっても)。一方トレイズはなんとも捕えどころの無い感じ。基本的にリリアラブなのだけど、普段の軽い言動と態度のせいでまるで気が付いてもらえない。で、ヘコむのだけど、しかし、自分がヘコんだところなど絶対にリリアには見せられないとばかりに意地を張るのでますます気が付いてもらえないという。ウブな少年よのー。

この二人が喧嘩したり仲良くなったりしながら冒険するという内容…になっていくのだろう。どこか童話調の御伽噺めいた雰囲気も大変素晴らしく、最初にも書いたけど、アリソンで好きだった雰囲気はまったく消えていないので個人的には一安心という所。続きを素直に待つことにしようと思う。

実は読んでいる最中、この作品が上下巻ということに気が付いていないくて、ラスト近くになってから初めて一冊で終わらないという事に気が付いた粗忽ものな吉兆でした。

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2005.03.12

『撲殺天使ドクロちゃん(5)』読了

撲殺天使ドクロちゃん(5)』(おかゆまさゆき/電撃文庫)を読了しました。いやはや、いつも通りとしか言いようがありませんね(つまり素晴らしかったということ)。

面白い事は間違いないのけど、読み終えたあとに残るものが何一つ無いあたり見事なまでにライトノベル。ライトノベルの典型に限りなく近い作品だが、これを読んで「なるほど!ライトノベルというのはこういうものなんだね!」と言われたらそれはそれで抵抗感を感じてしまうなあ。

さて、作品について書きたいと思うのですが…えーと何を書けばいいのだろう…。読み終えたはしから内容が抜け落ちて行くんだけど…。え、えーと、とりあえず、木工ボンド部というのが存外まともな部活だったというのが最大のポイントかな。しかも、主人公の桜くんには類まれなる木工ボン道(注…木工ボンドのみを用いた芸術。まだ世間には知られていないが、極めて奥が深い世界があるという…事実があるかどうかは知らない)の才能があったため、ついには木工ボンドの精が降臨し、桜くんを新たなる地平を導いてくれるのであった…。何だこの話。(それにしても桜くんは、短歌を瞬時に作成したりと何気にハイスペックな男なのかもしれないな…。問題は彼の才能はあまり一般社会では役に立たない方向に豊かであるという事ではあるが)

とにかくそう言うわけで、内容についてはあまりに語り難い作品であります。そもそも、この作品は脊髄反射的なボケとツッコミを繰り返す漫才小説であり、ギャグ漫画の持つスピード感を小説というフィールドで表現しようとした極めて実験的な作品なのである(と冲方丁はコラムに書いていた)。他の誰もが考えながら決してやれなかった事をこの作品は行っているという事であり、その意味では唯一無二(ユニーク)な存在であるといえましょう。

まあ、そんな事はどうでもいいのですが(いいのか)、思わせぶりに出てきたわりに数ページで消え去った後輩こと弓島千佳ちゃんはいったいなんだったのか…次回への布石だろうか。なんてあからさまな…テコ入れでしょうか(おい)。

続き物としては高品質安定というか、要するに楽しかったのですが、小説としてはぐだぐだというか滅茶苦茶なのは相変わらず。この人って絶対センスと勘だけで小説を書いているよね…。いわゆる「小説技法」からはかけ離れたところにいる作家だと思う。(しかし、この作者はドクロちゃんを終わらせたらどうするんだろ…。別の話をかけるんでしょうか)。

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2005.03.11

『ブラックベルベット 病める真珠が愛した司祭』読了

ブラックベルベット 病める真珠が愛した司祭』を読了。

おお、一巻よりも格段に面白くなっている!いや、一巻がつまらなかったわけじゃないけど。比較の問題ですね(誰に言い訳しているんだ?)。

チャイナドレスのスリットもまぶしい表紙から(男って…)いったいどんな内容かと思ってみてみたら、人物紹介のところで崩れ落ちた。主人公達よりも大きく紹介されているレインボウのインパクトがすさまじく、表紙の事がどうでもよくなったのは言うまでもない。

どうやらこの巻で、ようやく本編に入ったらしい。主人公の3人娘にもそれぞれ自分の問題とその取り組み方が表面化してきた感じで、舞台は着々と整ってきた感じがしますね。新キャラもどんどん登場して脇も固まってきて入るようですが、逆に状況はどんどん入り組んできているなあ。キリの目的が明確になっているので話自体は分かりやすくなっているようだけど…。

色々な人間関係がそれぞれの葛藤を浮き彫りにする感じで、この複雑な人間関係がどのように転がっていくのか、三巻が楽しみです。一応、アクションもあるけど、物語的にはこの人間関係が主な作品だと思うのだけど。…一般的にはどうなんだろう?

ところで、なかなかハル神父のキャラクターが面白い。一切の強化手術を拒否し、ただ鍛錬のみで強さを手に入れた剣士で変装の達人。変装ってなんだよ!全然関係ないじゃん!

あと、グラハム氏は相変わらず素敵でした。実は性格の悪い気まぐれな一面が明らかになるところが、今回のグラハム萌えポイントですね(何それ)。

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本日の購入物

ここのところ『リヴァイアサン / 終末を告げし獣』をエンドレスで聞いている。どうも僕は民族音楽っぽいのに弱いらしいという事に気が付きました。
あ、そうそう、若本規夫ボイスを堪能できるのも大変重要な点でございます。若本ボイスで『リヴァイアサン…それは終末を知らせに降臨する獣の名だ…』なんてささやかれては、マジで腰が抜けますわい。

購入報告です。
1、『鋼の錬金術師(10)』 荒川弘 スクウェア・エニックス
2、『ROOM NO.1301(5) 妹さんはヒロイック?』 新井輝 富士見ミステリー文庫
3、『リアルヘブンへようこそ』 牧野修 角川ホラー文庫

1、やっべ、マスタング大佐が格好良すぎ。男のダンディズムの本質は、度を越した痩せ我慢という事を作者は良くわかっていらっしゃる(でも作者は女性だったはず…お見事です)。
2、窪塚姉妹がメインのとなる話も今回で二冊目。ところで挿絵のイメージがちょっと変わりましたね?等身が伸びて大人っぽくなっているような気がするけど…気のせいかな。
3、読者を厭(嫌ではない)な気持ちにさせる事に、その筆力の大部分を傾ける天下の厭作家、牧野修の作品が文庫化されていたので購入。僕はこの人のファンなのです。何でわざわざお金を払ってまで厭な気持ちになりたがるのか自分でも不思議ですが…。おそらくは、この世の埒外にある存在を丹念に描写することによって生じる異世界感が心地よいのでしょうね。
戯言ですが。

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2005.03.10

『地獄変』読了

地獄変』(中島望/講談社ノベルス)を読了しました。芥川龍之介じゃありません。

不良グループの暇つぶしの遊びによって、源正義は14歳で死亡する。怒りと絶望の中で殺された正義は、しかし、禁断のテクノロジーのよってサイボーグ『ルシフェル』として蘇る。14歳の心を持った最強のサイボーグは、圧倒的な戦闘力に酔いしれながらあらぶる憎悪のままに自らを殺した少年達を虐殺を開始する…というのが前巻のあらすじ。

いやあ、相変わらずちょー面白い。今時珍しいくらいのガチンコ伝奇小説です。前作の昔の平井和正みたいなバイオレンスアクションもよかったけど、今回の風太郎忍法帳風味のバトルロワイヤルも良い感じです。もう、趣味爆発の悪玉や、馬鹿ばかしさすれすれの怪人連中とか楽しすぎるよ!アホだ(褒め言葉)ー。

前作にくらべると思春期の痛々しさは大分減った感じ。主人公の正義が、殺戮機械としての自分を受け入れてしまっているため、あまり揺らぎが無いせいかな。とは言え、愛するただ一人のためにそれ以外のすべてを殺す独善的なダークヒーローぶりがたまらない。

その主人公の前に立ちふさがるのは、これまたすがすがしいまでに邪悪な悪党である。ただ、自分の美学と趣味だけのために、何百何千の人々を殺害し、人体実験を施してなお笑うさまは、どこまでも外道かつ無道な純粋な悪そのものだ。

そして、ただ「地獄絵図」を描く為だけに血肉と臓物を撒き散らす「怪人」たちに対し、更なる暴力でもって叩き潰す最凶のサイボーグ「ルシフェル」!!蔓延る外道を圧倒的な力で蹂躙するさまは、世間的常識とか良識を云々する以前に痛快の一言。少年の快楽原則にまったくもって忠実でありビバ!といっておこう。

世間の常識?何それ、食えるの?という人にはオススメです(という紹介の仕方はどうか…)。

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2005.03.09

『銀盤のカレイドスコープvol.4 リトルプログラム:Big sister but sister』読了

銀盤のカレイドスコープvol.4 リトルプログラム:Big sister but sister』を読了。相変わらずおもしれえなあ。

主役が変わっているものの、相変わらず見事なまでに王道スポ根小説ですね。一度どん底に落ちた主人公が、フィギュアが好きだという気持ちを思い出して復活遂げるというあんまりにもお約束過ぎるストーリーに、偉大すぎる姉、タズサに対するコンプレックスを絡めて姉妹の和解を描いた展開はお見事という感じ。これまでの巻でタズサのキャラクターが完全に確立されているので、ヨーコの視点から見たタズサ像というのが新鮮な感じがした。ただ、P70から始まるドタバタはあんまり感心できなかったな。なんつーか…浮いている。物語的にもほとんど意味ないし。

しかし、これからどういう方向で進めていくんだろうなあ。次はまたタズサが主人公に戻るのかな?どちらにせよ大変あの楽しみな作品なので順調に続きが出てくれるのはよいことであります。

(全然関係ないが、絵師の鈴平ひろってつくづくおっさんが描けない人だ…。なんだコーチのあの髭は。付け髭か?)

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『皇国の守護者(9)』読了

皇国の守護者(9)』(佐藤大輔/中央公論社)読了。皇都クーデター編、ついに決着!長かったー!(待たされたー)

いや、相変わらずどえらく面白いですね。待たされた甲斐があったというものです。しかし、平野耕太のイラストは8巻だけかーちょっと期待していたのに…残念。

戦争に淫し、殺し合いを楽しみ、それでいて戦いに怯え、倣岸かつ高慢で、小心で繊細という主人公、新城直衛が相変わらず素晴らしい。この複雑怪奇な人物が戦争の天才ぶりは発揮していく様がこの作品の肝かと。部下も集まってきて唯一たりなかった人望すらも手に入れてもはや向かうところ敵なしといった印象ですね。もはや、新城が敗北する展開が思いつかないぞ…。まあ、圧倒的劣勢でありながら負けなかった男が戦力を手に入れたら当然だけど…。

<以下ネタバレ>
しかし、今作のラストで、ついに最愛の存在である蓮乃を失ってしまった新城の心はどこに向かってしまうのか…。地位も権力も手に入れた新城が、精神を魔王と化さしめたらおそらく皇国は焦土と化すぞ…。成る程、こういう展開にしてくるとはちょっと予想外だったな。
ところで、いきなり麗子の実子疑惑が浮上したわけですが…えーと今までの蓮乃関係の描写はそう言うわけだったのですね。ちょっと驚きました。えーと、そうすると新城の奥さんって…?…?
<ここまで>

すごいや、佐藤大輔。

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『ノルウェイの森』読了

ノルウェイの森<上><下>』を読了しました。もの凄く面白かった。しかし、今ひとつ言いたい事がまとまらないので以下垂れ流し。

『羊を巡る冒険』から大分時間が経っているのせいか、全然違う印象を受けた。一言で言えば、すごく分かりやすい。『風の歌を聴け』の頃の分かる奴だけわかれ、とでも言うような若さは幾分後退し、テーマをかなり噛み砕いているような気がする。何より、主人公の喜怒哀楽がはっきりしていて感情移入がしやすいのもポイント。また、女性の描き方が魅力的なものになっていてその点も良い。それぞれが強烈な個性を持っていてキャラが立っている。エキセントリックすぎてギャルゲーのヒロインみたいだと思ったのはここだけの話にしておいてください。

それにしても、直子という存在は主人公にとってはどういうものだったのだろう?たぶん偶像的な存在であるのだろうが、およそ生きた人間に対する感情とはちょっと違うような気がする。主人公にとっては決して手の届かない、それでも求める事をやめられない存在なのだろう。そういえば、主人公が蛍を放って、その蛍に手を伸ばすというシーンがあったような気がするが、そのことは象徴的であるように思う。
直子の存在は、作中でもしばしば描写されている通り、極めて完結的(というのは変な表現だ)存在であり、明らかに主人公と一緒に生きていくことは不可能であるのだと思う(直子が主人公の枕元で裸になるシーンで、主人公は直子を人間とは思えず、彼女自身が一つの完成形であるように感じていたのはとても象徴的だと思った)。

彼女に対する感情は、高校時代に死んだ友人、キヅキとそれに付随する感情から生まれている。それは別離の悲しみであり、喪失に対する恐怖などがあるのかもしれない。それらについては、2人は極めてよく似た感情を持っており、お互いを必要としてのはその失われたものを引き止める作業であったのだといえるのかもしれない。しかし、結局は直子は死に、失われるべきものが無い世界へ向かってしまう。主人公はこの世界に踏みとどまりさらに失い続ける自分を抱え込んだまま、なお生きる事を決意している。だが、生きる事を決意したところで、自分がどのように生きたら良いのか、世界の中での自分の立ち位置というものを見出すことが出来ず、彼は直子を失ったことに対する空虚さとそれに伴う現実に対する認識力を失ったまま、彼を現実に引き止める存在である緑に語りかけ続けている。

どうにもならず、どうしようもない苦しみが底には存在しており、結局ハーピーエンドとはいえない終わりかただが、しかし、それでもなお生きる事をやめないというメッセージであると感じだ。例えそれが悪足掻きのようなものだとしても。

それにしても女性キャラクターの個性の強さには驚くしかない。直子は作品の関係上どうしても偶像的な立場で留まってしまうが(あるいはわざとか?羊シリーズで感じた空虚な女性観に通じる存在であるように感じられる)、その直子を助ける女性、レイコさんや、ともすれば現実から遊離しそうになる主人公を現実につなぎとめる役割を果たす緑など、本当に魅力的だ。この2人が、抽象的な空論に陥りがちな作品世界を地に足をついた物語にしていると感じた。

強烈にエキセントリックな緑も良いが、レイコさんが特に良い。出番こそ多くないものの、しわだらけの顔、やさしい声、ちょっと無骨な態度などがいきいきと描かれている。豪快な中にも人間的弱さと傷を抱え込み、それでも笑ってギターを引く彼女は、直子と主人公にとっては頼れる相手であると同時に大切な存在でもある。彼女はあえて言うなら村上春樹作品的には『案内人』の役回りのような気がするのだが、これまでのように役目を終えれば消えてしまうようなキャラクターではなく、彼女自身が自らの道を歩み続ける人格であって、失敗もするし間違った事もするが、それが彼女をさらに魅力的な存在にしているように思った。

ノルウェイの森は恋愛小説という捉えられ方をされる事が多いような気がするのだが、改めて読んでみて感じたことは、外部と自分を切り離して生きる事を選択した主人公が、その自己完結的な生き方に疑問を抱き、世界と交わろうという決意をするまでの話なのだろう、という事である。これまでは外部に開かれようとしながらも結局は同じ所に戻ってきてしまう循環を描いていた村上春樹が、それを破ろうとした作品なんじゃないかな、と思った。もっとも、この作品でも完全に破れたわけじゃないですけど。他者と繋がろうとしても結局どうしたらよいのだろうか?と問いかける形で終わっているように思う。ラストはもう一歩踏み込んで欲しいという気もしないでもないが、これはしょうがないのでしょうね…。

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本日の購入物

小生、現在花粉症がマイブーム。否、ブームと言うよりも大フィーバー中であり他の物が目に入らない状態である。あまりにフィーバし過ぎて、小生、ダウン。ノーモア花粉!
とりあえず目が痒くて鼻水が止まらないファッキンな日々(まあ、お下品)、皆様お元気ですか?僕の近況はどうでもいいですね。

購入報告でござる。
1、『撲殺天使ドクロちゃん(5)』 おかゆまさゆき 電撃文庫
2、『リリアとトレイズ(1)  そして二人は旅行に行った<上>』 時雨沢恵一 同上
3、『デュラララ!!×2』 成田良悟 同上
4、『リヴァイアサン/終末を告げし獣』 REVO メディアワークス

1、未来からやって来た撲殺天使との流血とラブコメの日々も第5巻。いやー、おかゆまさゆきって本当に天才ですね。いつまで続くかは分からないけど、少なくとも今は紛れもなく天才と言って良いかなあ。丁寧かつへりくだったハイテンションな文体にネタとパロディとセンスに彩られたライトノベルの極北でございます。
2、『アリソン』の続編というか姉妹編……って上・下巻かよ!(書くまで気が付かなかった)。いきなりアグレッシブな事をしておりますな。それにしてもアリソンのエピローグから直接繋がるとは…。
3、個人的に成田良悟の作品の中では一番好きなシリーズ。どいつもこいつも壊れすぎ。一番の人外が一番常識的な人物というのがなんとも倒錯しているなあ。
4、大塚英志:原作の『リヴァイアサン/終末を告げし獣』のイメージアルバム。大塚フリークである僕にとっては買わずに済ませる事の出来ない作品ではあるが、sound-horizonのREVO氏が参加している点も見逃せない。なんか好きなんですよね…っておい!いきなり若本規夫が出てきたよ!マジか!!

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2005.03.07

本日の購入物

うーんうーん、精神的にも肉体的にも余裕が無いなー。毎日が疲労困憊であり、何かときついです。困ったもんだ。

1、『地獄変』 中島望 講談社ノベルス
2、『蠱猫 人工憑霊蠱猫01』 化野燐 同上
3、『ローマ人の物語(3) ハンニバル戦記(上)』 塩野七生 新潮文庫
4、『同上(4) 同上(中)』 同上 同上
5、『同上(5) 同上(下)』 同上 同上

でも本は買ってしまう…。
1、イノセンスな14才が暴走するバイオレンスアクションで色々な意味で度肝を抜かれた『14歳、ルシフェル』、その待望の続編。まさか出るとは思わなかった(酷い)。とても嬉しい。全然事前の情報を知らなかったので嬉しい不意打ちという感じ。それにしても、林田球のイラストがここまでハマる作品も珍しいと思う。
2、『地獄変』もそうだけど、講談社ノベルスのライトノベル化は着実に進行しているようだ。清水マリコの作品でおなじみのtoi8がイラストを描いていたのでなんとなく手にとってしまった。くそ…講談社の思惑にはまっているな…。
3~5、ローマ人の物語の第二エピソード。カルタゴの勇将、ハンニバルの物語である。正確にはアルプス越えを敢行してイタリア半島に侵入してきたハンニバルという強大な才能に対して、ローマはそのシステムと文化の全力を振り絞って抵抗するという話である。ああ…あらすじを書くだけでメロメロです。最高。

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2005.03.06

本日の購入物

昨日は久しぶりに飲み会。といっても毎月一回ぐらいのペースで飲み会をやっているような…僕にしてはなかなか珍しい事だな。僕は家では飲まないし、飲み会ぐらいでしか酒は飲まない人なので、こんなにお酒を飲む事自体が珍しい…。

買ったもの
1、『ブラックベルベット 病める真珠が愛した司祭』 須賀しのぶ コバルト文庫

1、本当に翌月に出た…。どっかの誰かには爪の垢を煎じて飲んでいただきたい、と思わなくも無いが余計なお世話だよなすいません。この作品は、コバルト文庫にしては男が出てくる比率が高いような気がしますねえ。

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『バイトでウィザード(7) したがえわが宿命に、と少女は呟いた』

バイトでウィザード(7) したがえわが宿命に、と少女は呟いた』を読了した。面白かった。『タマラセ』が新伝綺ならこれも相当に伝奇だと思うのだがなあ…。

この作品の特異な点というのが、ちょっとライトノベルとしてはどうなの?と言いたくなるぐらいの社会など大人のシステムの強固さが挙げられると思う。主人公である京介が所属する光流脈使い達の組織は、大地を走る力の源「光流脈」を用いて術を操る組織であり、京介はそこに所属する矯正術者あるのだが、矯正術者というのは、まさしく組織にとっての歯車であり消耗品である。その組織自体がすでにトップ達の権力争いの場と成り果てており、さらに言えばその運営目的も何らかの崇高な目的を掲げた組織ではなく単なる既得権益の確保を行っているに過ぎなかったりする。そこにいる大人達も組織の存続が第一で、京介たち一個人の感情には斟酌してなどくれないシビアな場所である。この物語では、主人公達は体制と秩序に従属することを義務付けられ、彼らを「肯定」してくれる優しい空間などはどこにも無い。「萌え」も「燃え」も「癒し」も「泣き」もない。要するにライトノベルと読むからおかしくなるのであって、サラリーマン小説として読めば何の問題も無いと思われる(そうかな…)。

ついに7巻目になって、物語もクライマックスに…なっているのか?なんとなく「敵」らしきものがようやく現れ敵対的な関係に陥っては来ているが、「敵」の正体も規模も分からない現状ではなんとも言えない。ただ、これまで無感情、無愛想、無感動であった京介が、彼をそのようにした過去と向き合う事で、それまで先延ばしにしてきた「決断」に対するツケを払わされる。選びようの無い決断を迫られる中、もう一度失う恐怖に晒された京介は必死に足掻き続けるが…という話。大変素晴らしい。
成る程、クールといえば聞こえは良い京介は、単に「選択」と「決断」を放棄してきただけに過ぎなかったのだね。その決断の葛藤に晒された彼は、うろたえ、迷う。しかしその迷いは人間としては当然のものだし、生きていく事だけでも某かの道を選び取らざるを得ないというのは誰でもやっている事なのである。この主人公はようやく試練に晒されつつあるのだろうな。

うーん、続きが気になるなあ。

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2005.03.05

『薔薇のマリアⅡ.壊れそうなきみを胸に抱いて』読了

薔薇のマリアⅡ.壊れそうなきみを胸に抱いて』(十文字青/角川スニーカー文庫)を読了。とても面白かった。

前作にて読者(主に僕)を熱狂させた期待の新人第2作目。前作では正統派ウィザードリィ調小説を書いて努力・勝利・友情(一部嘘)を描きその堅実な手腕には注目しておりました。しかし、そのあまりの堅実ぶりにまだまだ引き出しがありそうだ、と思ったのもつかの間、2作目にして早速その牙を見せ始めてきたという印象です。

オーソドックスな迷宮探索から打って変わって町での冒険が今回のメイン。ところがこの国というのが法も秩序もあったもんじゃない無政府国家であり、そこで生きる人々は当然の如く脛に傷を持つ者ばかり。そんな人間たちが集まる所は当然犯罪組織が横行する犯罪都市なわけです。そんなところで冒険といえば、裏の世界にかかわる事ばかりである。つまり、これは暗黒街小説なんですね。考えてみれば、いわゆるRPGで言う所の「パーティ」を「クラン(血族)」と言い表していたっけなあ…。既にこの時点で物語の方向性は決まっていたという事か。

拷問、レイプが横行し、善人が死んで悪人が生き延びるという結構ひどい話なんですが、主人公達の存在が作品の雰囲気を大分明るくしているような。ひねているくせに青臭いマリアローズがどこまでその主張を貫きとおせるかがこの作品のテーマになる、のかな?今回はかなりひどいところで終わっているので、今後の展開が気になります。今回のようなマフィアの抗争(まあ、片方は自警団だが)ストーリーで行くんだろうか…。

ただ、雑誌連載分を読む事が前提になっているのはちょっとどうかと思った。アジアンなんて文庫だけ読んでいたんじゃ、いったい誰?ってな感じですよ…。

ところで、ベアトリーチェの服がブレザーの制服にしか見えないんですが…これ、ひょっとして普段着なんでしょうか…。

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2005.03.04

『鬼哭街 鬼眼麗人』読了

鬼哭街 鬼眼麗人』を読了。うひゃひゃひゃ、楽しすぎる。てなわけで、18禁ゲームの紙媒体移植作の完結編。

それにしても一応元々は18禁ゲームなのだけど、文章をほとんどいじっていないでそのままスニーカー文庫に収録出来ているあたりなんだかな。これなら浅井ラボの方がなんぼか18禁だよ!

しかし、脳内物質がドバドバ出るぐらいに面白いのだが、なんだか敗北感を感じる読了感である。ゲームから音と絵を抜きさって文章だけにした手抜きノベライズだってのに…と考える方がいけないのか。少なくとも小説鬼哭街を読んで面白かった人はゲームの方もやってみて欲しいところ。もはや脳内物質どころではなく薬入らずにトリップできますぞ、たぶん。

「我は一刀にかける修羅」というフレーズにピンと来た人は無条件でオススメ。愛憎渦巻く人間関係とか武侠小説とか好きな人にもオススメです。好きな人にもある意味オススメ。トラウマになってください(酷)。

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『ヴァンパイヤー戦争(8) プドゥールの黒人王国』読了

更新を休んでいる間に色々読了しているので感想を書くのも大変だ。そろそろ読んだ本の感想をすべて書くというのも厳しくなってきたな…。

それはそれとして『ヴァンパイヤー戦争(8) プドゥールの黒人王国』(笠井潔/講談社)を読了。まあ、相変わらずですな。

ネクラーソフとケゼビがあっさりと退場してしまった第八巻。もうちょっと引っ張るかと思ったが…。結局、ネクラーソフの存在意義が良く分かりませんでしたな。ムラキをプドゥールに連れてきただけか?最初はムラキを手玉に取るほどの悪い奴、という現れ方をしたくせに…見事なまでの凋落振りに哀れさを感じなくも無い。結局何がしたかったんだろうなあ…。
不死身のヴァンパイヤーとして猛威を振るっていたケゼビも鴻三郎にあっさり敗北。…なんか…パワーバランス狂ってないか?手榴弾(一応ネタバレゆえ反転)一発で敗北かよ…いや、まあいいんだけどね。

ところでハタルの正体を口絵でばらしているのは問題だと思う(まあ、本編でもバレバレだけど)。

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トラックバックについて

ブログを始めてそれなりに経つが、未だにトラックバックというものが良くわからない。付けられた場合の返答ってどうすればいいのだろう?うーぬ。

とりあえずTBされた場合、そのブログは必ず確認して、その時にコメント出来そうな場合はコメントしたりしていますが…(していない場合でも読んでいます)。しかし、ブログの趣旨からすればTBされたらTB仕返したほうがつながりが出来るという意味でも良いのかな。双方向リンクを記事単位で行うわけか…と日々悶々としている吉兆でした(優柔不断)。

というわけで、TB返し。
ところで、「心では重すぎる」は良い作品ですなあ。薄汚れた漫画業界を歩む私立探偵、佐久間公のハードボイルドというのはある意味新機軸。大沢在昌ってすげえぜ。

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本日の購入物

購入報告の時にその日の雑記を書くと非常に書き易い気がしてきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか?僕はグロッキー(ボヤッキーではない。意味は無い)。

今週はずっと体調が悪く、昨日はついに寝床から起き上がる事も出来ない有様になってしまいマジで焦った。足に力が入らない程の疲労感に襲われ、もはや動く事もかなわず。こりゃ駄目だと即断し休む事にした。何でこんな事だけ決断力があるんだとか言われると非常に困ります。そんなことはどうでもいい。

今日になってようやく復調してきたので更新します。

今日の購入物であります。
1、『銀魂(6)』 空知英秋 集英社
2、『D.Gray-man(3)』 星野桂
3、『アイシールド21(12)』 作:稲垣理一郎 絵:村田雄介

ジャンプッ子ですから。
1、銀魂は、クサすぎる浪花節をやらせると上手いなあ。普段の心底くだらない(褒めています)やり取りがあるだけに泣かせに入るとやたら面白い。しかし、コメディモードとシリアスモードで完全に別キャラになっておりますな。
2、ジャンプにしては描写が実に悪趣味でよいですなあ。何気にゴシック趣味なのも良い感じ。それはそれとして、最近はすっかりリナリー萌え漫画と化しているような気がしないでもない。
3、ついにアニメ化ですか。うーん…ノーコメント。

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2005.03.02

昨日と今日の購入物

昨日はあまりに疲れすぎて更新する気力が沸かず。今日も一日ふらふらしていました。ひょっとして風邪かな…。

1、『ハヤテのごとく!(1)』 畑健二郎 小学館
2、『咎犬の血』 Nitro+ CHiRAL
3、『Wish Fate/stay night』 TYPE-MOON


1、発売後、一週間にして再販というスピード記録をマークした萌えギャグ漫画。週刊少年サンデー連載時から気になってはいたものの、発売日を忘れていて買いそびれてしまった作品です。安易に萌えやエロに走らないで、きちんとシチュエーションコメディ(って言うの?良く知らんけど)をやっているあたり作者の非凡なセンスを感じます。
2、………えへへ、つい魔が差して買っちゃいました。僕が贔屓にしているエロゲー会社、Nito+の18禁ボーイズラブゲーム。おお、今の僕は間違いなく漢らしい!…いえ、これを購入した師匠の家でどんなゲームか見せてもらったら、いかかがわしい男の友情も含めてなんだか大変面白そうに思えたもので。アキラくんは受けなのかなあ。
3、これは同人ゲームとして爆発的な人気を誇った『月姫』のスタッフによる初めての商業作品『Fate stay/night』のイメージアルバムであります。本当は買うつもりは無かったんだけどなあ。上のゲームを買った横浜のヨドバシカメラは、どうも売場担当者がFateの大ファンであるらしく、未だにFateのデモがかかっている凄い所であります。もちろんFateそのものも置いてありますが、何故か『空の境界』まで置いてあるという…。もちろん、このアルバムも置いてありました。やれやれ、発売日に見かけてしまったのが運のつきか…。

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